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在宅介護サービスの効果的な運用を目指し
IT を徹底活用
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社会福祉法人名古屋市社会福祉協議会では、 5,000 人以上に利用される大規模な在宅介護サービスの効率的な運用を目指し、日立情報システムズの「ヘルパー Web 」を導入。それまでの OCR 伝票一括入力方式を、オンライン入力に切り替え、請求書作成業務を迅速化しました。開発には Microsoft® Visual Studio® .NET が利用され、これまでのクライアント サーバー システムを Web アプリケーションに再構築し、オンライン処理のレスポンスタイムも 1/10 以下に短縮。請求書作成に要する日数の短縮と、運転資金の節減という効果を得ています。
<導入の背景>
介護保険制度の施行後もサービスを継続
社会福祉法人名古屋市社会福祉協議会 (以下、名古屋市社会福祉協議会) は、 1951 年 7 月に名古屋市内の社会福祉関係者、団体からなる自主組織としてスタートし、 12 年後の 1963 年 11 月に社会福祉法人としての認可を受けました。定款にうたわれている設立目的は、社会福祉事業の健全な発達と、社会福祉活動の活性化を通じて地域福祉を推進させることです。
名古屋市社会福祉協議会では、この目的に沿う事業として、名古屋市における独自の福祉事業に関する計画の推進や、社会福祉団体の連絡調整と助成、地域福祉活動の推進などを行っています。常勤職員は、約 320 名で、嘱託職員も合わせると職員の総数は約 690 名 (2003年4月現在) であり、政令指定都市レベルで設置されている社会福祉協議会の中でも、規模が大きな部類に属します。
名古屋市社会福祉協議会が訪問介護サービスを手がけるようになったのは、介護保険制度に遡ること約 10 年、 1990 年 8 月のことでした。援護を要する高齢者などに対する「なごやかヘルプ事業」を立ち上げて、自立した生活を支援するための、訪問介護や家事サービスなどの事業を実施することにしたのです。サービスの提供は市内 16 区に置かれた区社会福祉協議会を事業所として行われ、ヘルプ事業の担い手となるヘルパーを養成するための研修センターも設置されました。
こうした取り組みは、 2000 年 4 月から始まった介護保険制度への対応に際しても役立ちました。介護保険制度では、社会福祉法人ではない事業者やヘルパーも、一定の条件さえ満たせば、居宅サービス計画 (ケアプラン) の作成や訪問介護を行うことができます。
したがって、介護保険制度が導入された時点において、なごやかヘルプ事業をどうするかについて議論がありましたが、発足時のマンパワー不足などを考え「ご利用者さまにご迷惑をかけられない」 (名古屋市社会福祉協議会 在宅福祉部 主幹 [経営担当] 平野博久氏) との判断から、なごやかヘルプ事業の内容を、介護保険制度に適合させた上で、名古屋市社会福祉協議会も 1 事業者としてサービスを提供し続けることにしたのです。
また、要介護認定の申請代行からケアプラン作成までを行う、居宅介護支援事業が新規事業として加わりました。
<導入の経緯>
16 の各区からOCR伝票を収集。処理時間の短縮が急務に
介護保険制度は、かかった費用の 10% を介護サービスの利用者が自己負担し、残りの 90% を、保険者である市町村が国民健康保険団体連合会 (以下、国保連) を通じて、サービス事業者に支払う仕組みになっています。精算はサービス事業者からの請求書に基づいて行われ、支払いを受けようとするサービス事業者は、 1 か月分のサービス提供実績を集計し、翌月 10 日までに、国保連に提出します。
この精算処理のために、名古屋市社会福祉協議会が採用した初代のシステムが、株式会社日立情報システムズ (以下、日立情報システムズ) 製の介護サービス業務パッケージです。このパッケージは、基本的には単一事業所向けの仕組みになっていたので、名古屋市社会福祉協議会では、 OCR 伝票を使ったバッチ処理方式で、請求書作成処理を行う運用方法を採っていました。データ処理の本部となる在宅福祉部に、 Microsoft Windows NT® コンピュータと業務用の高速 OCR を設置し、毎月月末に 16 か所の区事業所から、 OCR 伝票を収集します。伝票読み取り作業の後、集計と請求書作成の処理を行う方式です。
しかし、市全域対象という規模で請求処理をバッチ方式の運用にしたため、国保連への請求は翌々月に行わざるを得ませんでした。利用者が 5,000 名弱、ヘルパーの総数も約 3,000 名という、介護サービスとしては非常に大きな事業規模ですから、これは無理もありません。ネットワークでつながれた区事業所のパソコンから、毎日オンラインで入力することも技術的には可能でしたが、 1 件あたり 30 から 40 秒のレスポンスタイムがかかり、現実的な解決策とはなりませんでした。
そこで名古屋市社会福祉協議会は、日立情報システムズと共同で対策の検討を進め、専用の入力システムをカスタムで開発しました。区事業所からのオンライン入力のレスポンスタイムを向上させて、 OCR 伝票による一括入力を廃止し、処理が月末に集中しないようにすることで、請求書発行にかかる負荷を軽減するプランです。
旧システムが Microsoft SQL Server (サーバー側) と Microsoft Access (クライアント側) をベースにしていることから、専用入力システムの開発にあたっては、これらのデータベースとの親和性が特に重視されることになりました。また、法制度の変更に伴うクライアント ソフトウェアの差し替えを最小限にするために、クライアント サーバー システムではなく、 Web アプリケーションとして開発することも決まりました。
<システムの概要>
既存資産を有効活用し、高生産性を達成するために Visual Studio .NET を選択


株式会社日立情報システムズ
中部支社
市町村合併推進支援部
主任
土方 雄二 氏
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「ヘルパー Web 」と呼ばれる新システムの開発にあたっては、 Visual Studio .NET が開発環境として採用されました。株式会社日立情報システムズ 中部支社市町村合併推進支援部主任の土方雄二氏は、「短期間での開発が求められたので、数多い Visual Basic® プログラマを投入できる Visual Studio .NET が、もっとも有利と考えました。更に他の利点として、サーバーにのみメンテナンスを行えばよいという保守の簡易性が挙げられます」と語ります。また、 ADO .NET を介して、 SQL Server や Access のデータベースに容易にアクセスできることも評価されています。
ヘルパー Web は、本部に置かれた 2 台の Microsoft Windows® 2000 Server と、 16 か所の区事業所に設置された、全 55 台のクライアント パソコン、およびそれらの間を結ぶ光ファイバー回線を使って運用されています。 2 台のサーバーは、 1 台が SQL Server 2000 のデータベース サーバー、もう 1 台が Internet Information Services (IIS) ベースのアプリケーション サーバーという構成です。
アプリケーション サーバーには、 Visual Basic .NET で開発された、データ入力、参照用のアプリケーションが組み込まれていて、 ADO .NET 経由で SQL Server 2000 のデータベースを読み書きします。この他にも、介護プラン作成用の業務パッケージ「ケアマスタ」や、ヘルパー採用システムなどが稼働しています。また、各業務システム間でデータ連携を迅速化するため、利用者やヘルパーには共通の ID が付与されています。
一方、クライアント側に組み込まれているアプリケーションは、ローカルバッチ処理用のものだけです。利用者登録、介護スケジュールへのヘルパーの割り当て、介護サービスの実績入力などのメイン機能は、すべて Web フォームを Internet Explorer (IE) から呼び出して利用する、 Web アプリケーション方式が採用されています。
すべてを Web アプリケーションにしなかったのは、「ヘルパーの給与計算などは、区事業所ごとに行う必要があり、大量プリントも必要であったため」 (土方氏) でした。ローカルバッチ処理用のデータベースには Access が使われていて、本部の SQL Server 2000 データベースにも存在する共通項目については、自動的に同期処理が行われます。
<今後の展望>
レスポンスタイムの向上で、経営分析の迅速化も実現


株式会社日立情報システムズ
中部支社
第一営業部
第一課 リーダ
長縄 希雄 氏
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完成したヘルパー Web は、 2002 年 8 月から業務に使われ始めました。システム開発の最大の目標であった、オンライン入力のレスポンス タイムは、数秒にまで短縮されています。「請求書発行の業務負担が軽減され、現場からの入力が可能になったことで、目的は十分に達成された」 (平野氏) というのが、名古屋市社会福祉協議会としての評価です。
さらに、 OCR 伝票の一括入力処理が不要になった結果、在宅福祉部の定員を一名減らすことができたという、副次的な効果も生み出しています。
社会福祉法人は利潤追求を目的とする団体ではありませんが、事業の現況と見通しはつねに明確であることが求められます。在宅福祉部にとって、レスポンス タイムが格段に向上したヘルパー Web の検索、集計機能は、そうした経営管理を実現するためのツールとして活用できます。要介護度などの利用者属性ごとに、介護に要する時間や費用を集計することによって、事業のおおまかな傾向をつかむことができるのです。
「以前のシステムでは、複雑な検索条件で一覧表示させると、 2 分ほどかかっていました。新しいヘルパー Web では 1 秒程度で答えが出てきます」と、平野氏はヘルパー Web の生産性の高さを高く評価しています。
これからの社会福祉協議会のあり方について、総合規制改革会議による 2001 年 12 月の「規制改革の推進に関する第一次答申」は、民間事業者や社会福祉法人では行いにくいサービスへの取り組みと、公的助成に依存しない適切な運営、という 2 点を強く求めています。そうした課題の達成に、最新の IT 技術を応用したこの新しいシステムは、必ずや大きな貢献を果たしてくれるものと期待されています。
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