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基幹系、情報系システムがシームレスに連携。
新聞販売力強化をめざし
.NET Framework ベースでオープン システム化。
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「変化への迅速な対応」はすべての業界、業種でいま最も強く求められている課題です。特に読者の伸び悩みや活字離れの著しい新聞や出版業界では、従来のビジネス モデルを見直さなくては企業の存続も危うい状況に至っています。時代の変化に追随し、対応を図っていくための鍵となるのが IT 戦略であることはもう常識ですが、掛け声にとどまらずに具体的に環境変化に対応できるシステムづくりをすることは、古くから IT 化を進めてきた企業ほど困難を伴うのが実情です。新潟県で県内世帯の 60% の普及率を誇る日本屈指の地方紙を発行する新潟日報社も例外ではありませんでした。しかし同社は頭打ちの傾向にある購読者数と、老朽化が進んだ汎用機中心の情報システムを前に、果敢にオープン化に取り組み、10 年後、20 年後にも利用し続けられることを目標に .NET Framework をベースにした、基幹系の新規業務システムの開発を行いました。その結果、従来のシステムを超えた迅速な情報活用の道が開け、同社が追求している「データ販売」による購読者維持、拡大を将来にわたって支えられる基盤を手にすることができました。
<導入の背景と狙い>
購読者減少傾向のなかでの激しい競争には「データ販売」が重要
新潟県に約 230 店の販売店をもち、1 日に 50 万部を発行する地方有力紙「新潟日報」。その発行元である新潟日報社は、地域での絶大なシェアを誇りながらも日本の全般的な傾向である新聞購読者の頭打ちに悩んでいました。もっとも購読者数の維持、拡大は常に厳しい競争にさらされてきた新聞業界ではどの企業でも血眼になって取り組んできたことではありました。しかし昨今はテレビやインターネットなどの他メディアに押され、また購読者層の高齢化が進むのみならず、再販売価格制度の法改正など業界全体が変革の時代に入っており、時代に取り残されない企業体質強化が重要課題と見なされるようになってきています。
折から、これまで 25 年の長きにわたって利用し続けてきた汎用機中心の情報システムが老朽化により限界を迎えつつあった同社では、これを機に新規業務システムのリプレースに踏み切ることにしました。
「当社は当社で、販売店は販売店でコンピュータを用いてデータを活用して販売活動を行う『データ販売』を掲げたのが平成元年のころです」と語るのは、同社の常務取締役 販売局長の河合文夫氏です。同社では顧客のデータをきめ細かく収集し、販売活動に生かす努力をこの 16 年ほどの間続けてきていました。「紙面販売を中心に、いろんな営業活動も含めて、地域社会と積極的に連携していくこと以外、生きていく道はない。営業展開、紙面展開、総合的なシステムづくりにしても、基本的なコンセプトはそこにあると思います」。
激変する環境のなかで、このおよそ 10 年間に新聞代金を値上げすることなくビジネスを維持、発展してきたのはきめ細かい販売促進の努力があればこそでした。しかし、今後も同様に販売促進を行っていくためには道具としての情報システムに不安が生じていました。
「販売店にはデータ販売を薦めながら、私たちの実情は勘とか経験に頼っている部分が非常に多くて、管理部ではデータ化していても、私たちはいつまでたっても昔ながらの帳面で業務を引き継いでいました。帳面は必ずしもすべての担当者が記入するとは限らないので、業務の継続がそこで途切れてしまうことがありました」と語るのは、同社販売局販売部部長代理の吉倉久一朗氏。継続的な販売促進を行っていくためには、従来からの情報システムのあり方や利用法では間に合わなくなっており、また過去の営業履歴を知ったうえでの新しい営業活動の企画も難しいという課題があったのです。
27 年間続けた自社開発も限界に近づく
一方で、27 年間にわたって汎用機で自社開発を繰り返しながら業務システムを作りこんできたシステム部門では、従来のシステムに新しい機能を加えることに限界を感じていました。「GUI がもの足りないとか、オンライン運用のレスポンスの問題、さらに社員が欲しいデータを迅速に取り出せる能力、こういう部分について現場から改善の要求がありました」とシステム室システム部部長代理の長谷川信二氏は言います。「しかしこれだけ IT が進んで、新しいスキルを盛り込んで、ということになりますと、どうしても限界がありました。また組織上で人員の問題もあり、自社開発を続けることによる経費の問題もありました」 (長谷川氏)。
ところが汎用機には、6 〜 7 年サイクルで経営計画から見た更新期がありました。新システムへの移行が検討された 2004 年 4 月という時期は、ちょうどこの更新期にあたっていました。社屋再整備、設備投資の経営計画の更新期に、現場からの要望をミックスしてシステムを改めようと考えるのは自然の成り行きでした。
<システム導入の経緯>
現場の意向を反映して SI 事業者を決めるコンペティションを実施
課題は明らかであり、汎用機の限界も見えてきたこの時点で、同社の新システムの方向性はほぼ決まっていました。「おのずと道は示されていた」(長谷川氏) と言うとおり、オープン システムを利用したパッケージの適用と、開発効率の高い開発環境を利用して、将来の保守、変更、追加に対応できる形での開発を行うこと以外には、選択肢は考えられませんでした。パッケージに関しては広告や経理にかかわる部分に先行して適用しており、いち早くオープン化を果たしていましたが、同社独自の営業形態と運用の仕方を考えたときに、全部をパッケージとアドオンで賄うことはできないことがわかっていました。
長谷川氏はこの新システム構築に関しては現場の要望が十分に反映されなければならないと考えていました。その思いを SI 事業者選択のコンペティションでシステム室は選択を主導しない、というユニークな検討の方式をとることで表しました。経営課題を含めてすべての現況や要望をまとめ、どのような形のシステムに仕上げていくのか、そのイメージや方法を多数の SI 事業者に問いかけ、その回答 (提案) を、評価基準にのっとって採点していく方法をとったのですが、その採点は現場の人間が行い、システム室は採点をしないことにしたのです。
コンペティションの結果、選ばれたのは、株式会社 BSN アイネットでした。アイネットは、新潟市に本社を置き、幅広い分野で IT ソリューションを提供している会社です。
<導入システムの概要>
基幹システムと情報ポータルのシームレスな連携
アイネットの提案の骨子は、販売、印刷、他局 (部署) にまたがるような部数に関する管理を行える業務システムでした。販売部数の取りまとめ、定数、目標部数、販売店への請求などの業務、あるいは販売店のスタッフ管理にも役立つことがイメージされていました。
アイネットの産業システム事業部営業部マネジャーの石井雅彦氏は、システムのイメージをこう語ります。「基本的には情報系も基幹系も業務的な垣根はないんですね。読者が新聞の配達が遅いと販売局に電話を入れたときに、窓口の販売局ではポータル画面でどこの販売店の担当のお客さまかを確認して連絡をとるというような日常業務に生かせる、ポータル プラス 基幹というシームレスな仕組みが必要だと考えました」。
石井氏が中心となった新業務システムは「ライラック」と名づけられ、早速構築作業が始まりました。
そのポイントは、将来的にシステムのメンテナンスや環境変化に対応する変更作業が生じても十分に対応可能な技術を使うこと、操作性なども考慮した Web ベース システムであること、セキュリティ、特に個人情報保護に関して万全であること、などでした。
こうした要件に見合う開発基盤として、アイネットおよび新潟日報社が選んだのは、.NET Framework に基づいた、C# 言語による開発でした。「実はこのフレームワークを採用することで提案当初は開発メンバーの中で相当もめました。しかし、この 20 年来、新潟日報さんが汎用機でやってきたことを、我々が今後は未来永劫引き継いでいくんだという固い決意がありました。この後 5 年や 10 年でつぶれるようなプラットフォームでは困るというのが最終的な一致点で、その意味で『オール マイクロソフト』でいこうという決断をしました」(石井氏)。
導入されたのは WindowsR 2000 Advanced Server に SQL Server 2000、.NET Framework 1.1、C# 開発環境、Application Center 2000、System Management Server (SMS) という一連の製品群でした。新聞という、毎日届いて当たり前の商品を提供することを中核としてシステムですから、万一の停止や中断は許されることではありません。「ライラック」は、Advanced Server と Application Center 2000 を利用して、負荷分散クラスタ構成をとり、ミッション クリティカルな業務遂行に問題が生じないように工夫されました。
特に個人情報保護に配慮したセキュリティを確保するために採られたのは、Active DirectoryR による認証サービスと、SMS によるクライアント管理です。これらを利用すれば、さまざまなセキュリティの工夫を凝らせるとともにセキュリティ運用のためのコストが低減できます。
「特にセキュリティ対策については神経を使いました。セキュリティ パッチの適用を一括して行うために SMS を提案し、クライアントのバージョン管理や OS のパッチ管理などすべてを管理する仕組みを構築させていただきました」(石井氏)。
<導入システムの効果>
業務の迅速化と情報共有によるミス防止など、小回りが効いた合理化が実現


新潟日報社
販売局販売部部長代理
吉倉 久一朗 氏
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「ライラック」は 2004 年初めに稼働を始めました。このシステムが営業部門に及ぼした効果は、まず整理された情報が素早く手に入ることによる、リアルタイムな現状把握です。基幹系システムに入力され処理される情報が、情報ポータル画面ですぐに確認できるところが新しいシステムの大きな特長です。
「競争をやっていく上で、店の状況が一目でわかる、部数の流れを読み取れる」(吉倉氏) ことは重要な基礎情報になります。同様の効果は販売局でのクレーム対応の迅速化や、刷り時間や発送の状況確認の迅速化にも結びつきました。従来の帳簿による進捗確認や問い合わせ対応は必要がなくなり、事務処理の労力も大きく減少することになりました。また情報入力も、データを集める人とそれを入力する人とに分かれていた業務が、1 人の社員が自分の責任で入力する業務フローになり、簡素化するとともに情報が早くとりまとめられるようにもなりました。
さらに、社員が外出していることが多い営業部門では、連絡事項が共有され、伝達漏れや間違いが起こることが少なくなっています。
吉倉氏は、また客観的なデータとして、販売店の履歴を分析できることも重視しています。「販売店はそれぞれ独自の歴史があります。それを知れば、新しいことをやるときにどういうふうに進めればよいかがわかる。従来の勘ではなくて、データや記録のなかからそれが探れるように機能していけばよいと思います」(吉倉氏)。
操作性の面でも、ライラックは好評を博しています。「システムの導入なり変更なりの基本的なコンセプトは『現場中心』ということ。自分たちが使いやすい、使い勝手のいいものが体現できた、ということははっきり言えるんじゃないでしょうか」(河合氏)。
河合氏はさらに、「まだ全体的な評価ができる段階ではないかもしれないが、仕事を展開していく上での精神衛生上、銭金に代えられない部分がある」とも言います。まだ利用開始から間もない同システムですが、その効率性は確かな手ごたえとして体感できているようです。
今後は販売情報等をもとにした情報分析が容易にできるようになったアドバンテージを生かし、より競争力を強めていくのが同社の考えです。「時間短縮もそうですが、客観的に行うべき意思決定に役立つ情報が、すぐ出てくるというスピード。それはものを決定するうえで非常に大きな要因です。昔は家に持って帰って徹夜で処理したような仕事が、今では『あれを出してくれ』ですぐに手に入ります」(河合氏)。
今より客観的な販売店の実績データなどの蓄積と分析による販売促進活動にいっそうの力を注ぐことができるようになった同社では、さらに販売店の持つコンピュータ システムとの連携や、販売店訪問の実績を記録する訪店日誌の機能などの拡充を図ることにしています。
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