西松建設株式会社

掲載日: 2003 年 8 月 25 日
タブレット PC を導入して検査システム 「Nesteem-OK」 を開発
現場監督の管理業務を大幅に効率化

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ソリューション概要

プロファイル
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西松建設株式会社 leave-ms建設工事の請負、企画、設計およびコンサルティング、不動産の賃貸、売買および仲介、建設用機器、材料の設計製造販売および賃貸、前各号に関連する事業等。
創業:明治 7 年、資本金: 235 億 1364 万 3,819 円、従業員 4,453 名 (平成 15 年 3 月 31 日現在)

シナリオ
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大幅なコスト低減
効率の高いシステム構築

ソフトウェアとサービス
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Microsoft Windows XP Tablet PC Edition

パートナー
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大中物産株式会社leave-ms

メリット

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手書きシートで検査実施後、入力作業を行っていたものを現場でタブレット PC へ入力し竣工検査の時間をほぼ半減。検査で確認した改修の必要な部分を作業の進行にしたがって色分けして進捗状況を把握し施工業者ごとの指示書を自動的に発行する。

ユーザーコメント
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「これまで用紙に記入してから入力作業を行っていたのに比べ、現場でタブレット PC に直接入力することで、所用時間がほぼ半減でき、大きな業務の効率化を実現できました。さらに指摘部分にペンタッチするだけで、使用されている部材や協力業者が表示され、手直しの進行にしたがって色分けされていくので、現状をひとめで把握できます」

西松建設株式会社
建築部 計画課 課長
小野茂樹氏談

「これまでの紙の作業手順と、違和感のないシステムにできました」

大中物産株式会社
ビジネスソリューション事業部
取締役
上野恭彦氏談

「新たにシステムを開発すると 1 年以上の期間が必要になるでしょうが、既存のシステムをタブレット PC 用にカスタマイズするだけでしたので、開発から半年足らずで使えるようになりました」

大中物産株式会社
ビジネスソリューション事業部
安田光一郎氏談


マンションなどの建設工事に於いては、工事着工から竣工までの間に安全管理や品質管理を目的とした各種検査を行います。竣工時には、法的に義務づけられている竣工検査のほかに、建設会社が自主的に行うものと、監理者や施主・ユーザーが立ち会って実施するものなど、5 回の検査を繰り返します。指定されたとおりの材料で適切な施工が完了しているかを確認していく重要な作業ですが、これまでこれらの検査は紙の図面類と人手に頼ってきたため、多くの工数がかかっていました。

西松建設株式会社 (以下、西松建設) では、これを効率化するため大中物産株式会社 (以下、大中物産) と共同して、建築物の検査システム 「Nesteem-OK」 を開発。タブレット PC (Microsoft® Windows® XP Tablet PC Edition 搭載パソコン) に直接現場で結果を入力させ、そのままネットワークに接続して処理することで、現場監督の作業負担を、大幅に軽減することに成功しました。

<導入の背景とねらい>
紙面での手作業記入を
そのままタブレット PC に置き換えて効率化


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西松建設株式会社
建築部 計画課 課長
小野茂樹氏

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マンションやオフィスビルなどすべての建造物は、建築法上の適法性を所轄の官公庁が検査するほかに、施主と設計事務所、建設会社の三者が引き渡しの前に、あらかじめ合意しているとおりの施工が的確に完了しているか確認し合います。

建造物が竣工する段階では、4 段階の検査が行われています。第 1 段階は、施工現場の責任で行う自主検査、次に本支店の担当部署が参加して行う社内検査、続いて設計事務所など監理者の検査、最後に発注者が立ち会って行う施主検査です。これらの検査が完了して、指摘された手直しも完了した時点で初めて引き渡しされ、1 つの工事が完成します。すべての検査は、品質保証と顧客満足にとって重要なものです。

これまでの検査方法は、検査する住戸の平面図と、チェック結果を手書きするようにレイアウトした A3 判の用紙をプリントして持参し、実際の物件を目視しながら、手直しなどの指摘箇所および指摘事項を図面に記入していました。記入を終えた用紙は事務所に持ち帰り、デスクトップパソコンで Microsoft Excel などの帳票に全指摘事項を入力し直していました。手直しが必要と指摘された部分は、それぞれの協力業者ごとに指示書を発行して、手直しの完了が確認されると、次の段階の検査に進みます。

手書き用紙による検査では、1 段階の検査に 1 住戸あたり平均 25 分ほどかかり、事務所に帰ってからの入力作業に 20 分ほど必要でした。1 住戸について 4 段階の検査すべてが終了するまで同じ作業が繰り返され、多くの労力と時間がかかっていました。

また、最も労力を要していた点は、手直しの箇所ごとに異なる協力業者に指示書を作成しなければならず、数十から数百に及ぶ住戸のマンションでは膨大な量の工数と、検査帳票が必要になる点でした。これらを管理していくのにも余分な保管場所と人手が必要でした。

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大中物産株式会社
ビジネスソリューション事業部
取締役
上野恭彦氏

「検査システムそのものは 『Nesteem-OK』 として 7〜8 年前から開発に着手し、『手作業でデータを作成してから入力し直す』 という部分を何とかして省力化したいと考えていました。ノートパソコンでは重すぎるのと、キーボード操作では現場では使いづらいし、PDA のような小型の装置では図面を表示して入力するのに不向きだという悩みがありました」と西松建設 建築部 計画課 課長の小野茂樹氏は語ります。

そんな時、2002 年 10 月に開催された WPC EXPO 2002 に展示されたタブレット PC を見て 「これなら建築現場に導入しても使える」 と直感したそうです。

「タブレット PC なら総重量が 1kg 前後のものが多く、現場で検査作業に持ち歩いても大きな負担にはなりません。マンション 1 住戸の平面図を十分に大きな画面で表示でき、ペンタッチで正確に指摘部分を書き込んで、きれいな検査票が作成できます。事務所での作業はネットワークに接続してデータを送るだけで済み、業務の効率化が進められると考えました」 (小野氏)

元の Nesteem-OK システムがモバイル PC での運用を想定して開発を行っていたことも、早期導入に大きく拍車をかけた要因でした。「タブレット PC 対応にあたっては、ほとんど動作チェック程度で済むだろうと判断し、実際、導入決定から稼働まで半年しかかかりませんでした」 (大中物産 ビジネスソリューション事業部 取締役 上野恭彦氏)


<導入の結果と効果>
検査の工数が半減し
施工業者ごとに指示書を発行


現在、一部の現場からテスト導入され始めたタブレット PC 対応の Nesteem-OK は、ペーパーレス化に大きな効果がありました。最も大きな効果は、大幅な作業時間の短縮が実現できたことです。建物の規模や仕様にもよりますが、検査データ入力の時間はほぼ半分にすることができたと小野氏は言います。従来だと、事務所でのデータ入力と協力業者ごとの仕分け作業に 1 住戸当り 20 分程度、その後にプリントアウトして FAX 送信するなどの手間が必要でした。しかしタブレット PC を導入したことで、事務所に戻ってからの作業はデータ転送のみとなり、1 住戸わずか 2 分程度で終了します。また協力業者に指示書を電子メールで送信することもできるようになりました。

また Nesteem-OK システムは、住戸ごとに各部分の仕様と協力業者名がデータベース化されて、図面と関連づけられています。たとえば壁のクロスに汚れがあった場合、その部分をペンでマークすると、まず赤い引き出し線が描かれて、指摘の順番にしたがって番号が付けられ、手直しを必要とする部分が記入できます。事務所に戻ってから検査データをシステムに送ると、協力業者ごとに仕分された指示書が自動作成されます。指示書を発行すると赤い線が青に変わり、最終的に手直しの完了が確認されると青から黒い線になります。こうした色分けによっても現状をひとめで把握でき、指示漏れや確認漏れを防ぐことになります。これは検査の質的向上にもつながります。こうした改善の成果を、時間と経費で評価したのが以下です。

システム構成図


「平均すると 1 住戸の 1 回の検査について 23 分の時間短縮ができました。検査は 4 回ありますのですべて合計すると約 1 時間半になり、約 50% のコストダウンになります。100 住戸のマンションならば検査用紙を 2000 枚少なくでき、延べ 153 時間ほどの作業時間が節約できます」 (小野氏)

Nesteem-OK
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Nesteem-OK [拡大図]

<今後の展望>
引き渡しまでのすべての工程を
IT で効率化していく


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大中物産株式会社
ビジネスソリューション事業部
安田光一郎氏

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「これからの Nesteem-OK システムの開発テーマの 1 つは、1 つの指摘事項に対して複数の協力業者を設定できるようにすることです。ほとんどの施工は単独の協力業者への指示でよいのですが、複数の業者が連携して行う作業もあります。他に、指摘事項を入力するときに 『要確認』 などの注記を指摘番号に付けられるようにもしたいです。特に詳しく手直しの指示が必要なときには、コメントをデジタルインクによるペン入力ができるような機能も追加していきたいですね」 (小野氏)

さらに施工管理や進捗管理にも利用していくために、協力業者ごとに着工予定日や完了予定日を入力できるようにしたり、すべての協力業者に向けて業者別の指示書を一括して出力できるように拡張することも考えているとのことです。

タブレット PC を利用した検査システム Nesteem-OK は、2003 年 4 月末に発表されましたが、社内での利用だけでなく、外販も積極的に考えているとのことです。

「どこのゼネコンや工務店さんでも、竣工検査の多くは手作業に頼っているというのが実状です。検査で収集したデータの処理を効率化し、知識として集積していくことはコストダウンだけでなく、品質管理や顧客サービスの向上にもなり、大きな利益につながっていくと思っています」 (小野氏)

国土交通省、日本建設情報総合センターが中心になって進めている、公共事業における 「CALS/EC アクションプログラム」 では、2005 年度を目標に入札の電子化を始め、計画、調査、設計、契約、施工、維持管理といった一連の公共事業の業務プロセス全体を IT 化していこうという計画です。標準化されたデータを施工業者間で共有したり、相互に交換していくことで大幅な効率化が求められているのです。

「竣工検査という最終工程だけでなく、仕上げ施工の納まり、躯体 (くたい) 工事の配筋検査や型枠検査、日常で行う安全点検など、前工程への応用も検討しています。そのためには図面情報や文書を XML ベースで標準化して、協力業者のすべてと共有しながら工事を進めていく必要も出てくるでしょう。特に仕上表マスタの出力や、建物の用途種別や施主ごとに編集した仕上表マスタのデータをシステムに取り込む機能を追加して、大きなデータベースにして、工事全体の IT 化を図っていこうと考えています」 (小野氏)


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