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より良い学生・職員向けサービスの展開をめざし、Windows ベースのセキュアな IC カードシステム JenCa を採用。
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国立大学が「国立大学法人」になって 3 年、大学の特徴を現した独自の試みが注目を集めています。愛知県名古屋市にある工科系単科大学、名古屋工業大学は、学生への高度情報システムの提供と、業務の一層の電子化のために、強固で安全なPKI認証基盤とポータルシステムによるシングルサインオンを導入しました。この情報基盤を構築するために日本の国立大学法人として初めて、インソースの認証局と全学生・全職員(約 7,000 人)を対象とした IC カードを導入し、学生・職員サービスの向上を果たしています。
<導入背景とねらい>
国立大学法人化を機に、学内の情報基盤を整備
国立大学法人名古屋工業大学(以下、名古屋工業大学)は、「ひとづくり ものづくり 未来づくり」を教育研究理念とする工科系単科大学です。2005 年に 100 周年を迎えた伝統校で、現在は大学・大学院を合わせて約 6,300 人の学生が学び、600 人の教職員・スタッフが日々の研究や業務に励んでいます。
名古屋工業大学は、社会に出てから大学で学んだことをそのまま生かしやすい工科系ということもあって、多くの学生にとって、IT を使い学ぶことは、社会で生かすことに直結します。そのため、学生に最先端の IT 環境を提供することに積極的だといいます。しかし、学内に散在する情報基盤の統一までは行われていませんでした。名古屋工業大学大学院 教授 情報基盤センター センター長 工学博士 松尾 啓志氏は、次のように話します。
「当大学は、平均的な大学に比べると学生・職員の IT リテラシーが高いため、ITシステム導入は比較的スムーズに進みます。ただ、これまで情報基盤は整備されているとはいえない状態でした。そこで国立大学法人化を機に、教育研究環境の充実だけでなく、業務作業を電子化により効率化していくためにも、学内の情報環境を整備しようという流れが生まれ、IC カード認証による全学統一の情報基盤を構築することを決めました」。
そして、法人化に伴う意識改革を促進するための起爆剤としての意味合いを含み、IC カード の導入と並行して情報システム統合や情報基盤を整備する組織の改革を実施。学生と職員が日々携帯している「学生証」と「職員証」が 接触・非接触ハイブリット型 IC カードに変更されました。
学生であれば、この新しい学生証を読み取り装置にかざすだけで、“出欠管理”、“PC へのログイン”、“コース マネジメント システム用の認証”、そして“図書館の賃借管理”などがスムーズに行えるようになります。
また、職員にとっては、物品購入や出張などの各種申請に IC カードが活用され、業務がスピーディに進められるようになりました。
名古屋工業大学は、このシステムを実現するにあたって、日本総研ソリューションズの IC カード PKI 認証基盤パッケージ JenCa を採用。Internet Information Services、Microsoft Certificate Services、および Active Directory という Windows Serverの標準機能をそのまま生かした IC カード認証をベースに、高いセキュリティと拡張性を有する PKI 認証基盤を実現しました。
<システムの導入>
システム運用の柔軟性や安全性とコストを考えると Windows しか選択肢はない


名古屋工業大学大学院 教授
情報基盤センター センター長
工学博士
松尾 啓志氏
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名古屋工業大学大学院 教授
情報基盤センター ネットワー
ク・セキュリティ部門長 工学博士
内匠 逸氏
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今回のシステム導入にあたって、情報基盤センターがめざしたのは、学生と教職員の個人認証の部分をすべて IC カード化し、IC カード システムをベースに認証基盤と全学共通の情報基盤を整備することで、職員の業務フローを整備するとともに、学生向けに有用な情報を提供できるしくみを作り上げることでした。
これらを実現するシステムの選定にあたって情報基盤センターは、IC カードの種類から、シングル サインオンとの親和性、維持コスト、そして認証システムのアウトソース/インソースの選択に至るまで、さまざまなソリューションを詳細に比較しました。中でも、全学に共通の認証基盤として使えるセキュリティ品質を持ち、約 7,000 人のユーザーを想定した大規模運用にも耐えられること、および柔軟性を評価し、JenCa の採用が決まりました。
JenCa の採用は決まりましたが、名古屋工業大学大学院 教授 情報基盤センター ネットワーク・セキュリティ部門長 工学博士 内匠 逸氏は、導入するシステムの OS が Windows に一本化することに懐疑的なスタンスだったといいます。
「大学は教育機関ですから、Windows だけでなく、Mac も Linux も使います。私個人としても、決して Windows が好きというわけではありませんでした。ただ、コストパフォーマンスを見ると、Windows を選択せざるをえないのです。システム投資は設計から運用までを考えなければいけません。そうなると、コストをかけないための割りきりが必要な部分が出てきます。また、Windows には豊富な管理ツールもありますし、これらが統一したユーザインターフェースにより構成されています。当初は反対意見も多く聞きましたが、今ではベストな選択だったと考えています」。
導入に際しては、ソフトウェア面の苦労は少なくはなく、IC カードの仕様をすり合わせることに多くの時間を割きました。ただし、この部分はユーザー側の代表としてこの分野の専門家である教授陣が積極的に関与したため、議論が前に進みやすかったといいます。最も大きな苦労は、業務フローを洗い出すことにありました。名古屋工業大学大学院 准教授 工学博士 齋藤 彰一氏は、業務プロセスが整備されていなかった当時を、次のように振り返ります。
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名古屋工業大学大学院
准教授
工学博士
齋藤 彰一氏
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名古屋工業大学
情報基盤センター
技術専門員
高橋 直子氏
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「従来は承認や支払いなどさまざまな作業から構成される出張手続きのプロセスが完了するまでに 12 個の判子が必要でした。ところが、ほとんどの職員は 12 個という数を知らなかったのです。自分のところに回ってきた紙を処理するだけで、後のことは理解してはいなかった。いえ、そもそも理解する必要がなかったわけです。業務フローを整えるにあたって、こうしたことを 1 つひとつヒアリングしながら明らかにしていく作業は大変でした」。
JenCa の完成度と情報基盤センターの専門知識、そして地道な聞き取り作業を経て、新 IC カードシステムは、2007 年 4 月に新入学生を迎えると同時に稼働しました。
システムの稼働に伴い、すべての学生証と職員証は、新しい IC カード搭載のものに切り替えられました。今回のプロジェクトの最後を締めくくった、この学生証発行作業では、短期間にデータをそろえ、印刷工程を経て入学式に学生に手渡す必要がありました。日本総研ソリューションズ 金融・公共営業本部 公共営業部 営業課 部長代理 佐藤 隆行氏は、次のように振り返ります。
「後期試験の入学手続きが終わってから入学式までは 1 週間の猶予しかありませんでした。IC カードの学生証をこの短期間できちんと印刷して納品できるかどうか不安でしたが、印刷会社様に提出したデータにミスが全くなかったため、スムーズに納品できました。きっちりとした仕事ぶりに教育機関らしさが表れていて、印刷会社様に感心された思い出があります」。
<システムの概要と導入効果>
IC カード認証で様々なアプリケーションを透過的に利用
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日本総研ソリューションズ
金融・公共営業本部
公共営業部 営業課
部長代理
佐藤 隆行氏
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日本総研ソリューションズ
金融・公共営業本部
開発第二部 第二課
加太 俊哉氏
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名古屋工業大学で稼働した IC カード システムでは、学生も教職員も、大学の内外から IC カードを使ってポータルにログオンし、ポータルを通してさまざまなアプリケーションを利用できます。学外から利用する際には、専用の IC カード読み取り装置を PC に接続し、VPN を通してポータルにアクセスしたり、Web メールを利用したりできます。各種アプリケーションにログオンする際には、本人認証を JenCa を通して行っていますが、すべてが裏側で処理されるため、利用者は複数のアプリケーションを使う際に何度もログオンし直す必要がありません。
学生の出欠確認では、前期だけで 学部・大学院合計で約 700 の授業、1 日あたりのべ約 1 万 4,000 件の出席データがシステムに送信されており、管理者は JenCa を通して履修状況把握システムに蓄積されたデータに基づいて履修状況を把握します。松尾氏は、「学生の履修状況をきちんとチェックすることで、授業に出づらくなるのを防ぐ試みなどを行っています。学生にとって、管理されるのはいやではないかと考えがちですが、今の学生はどこかで見守っていてくれることに安心感を覚えてくれるようです」と話します。早期に手を差し伸べることで、退学率や留年率の引き下げを目指します。
また JenCa は、同様に図書館システムとも連携しており、書籍の賃貸情報を自動登録することができます。図書館利用者は、必要な書籍の返却予定日を知ることができるほか、借りている書籍の一覧機能や、延滞時に警告が表示される機能などを利用できます。
なお、JenCa の認証は Active Directory で行います。SQL Server で構築された統合 ID 管理データベースを Active Directory と連携し、IC カードから入ってきた情報と照合します。そこで認証されて、システムの利用が可能になります。
IC カード導入とともに、名古屋工業大学は、学生向けの全教育用 PC をリプレースし、すべてで Windows Vista, Microsoft Office 2007と Visual Studio 2005 を使えるようにしています。これで、学内の PC 教室に設置されている約 600 台の教育用 PC の利用率は、大幅に向上したといいます。
学生と直接触れあうことの多い名古屋工業大学情報基盤センター 高橋直子氏は、「IC カードを持っていれば、学内で快適な PC環境や WEB環境を使いたい放題なので、学生が非常に喜んで使ってくれている印象があります。LINUXを中心とした以前のシステムではそれほど利用されていませんでしたが、いまではどこも埋まっている状態です」と話しています。また、事務システムは全面的にシンクライアント化したため、、自分の事務環境をどの PC からでも利用できること、セキュリティ管理、PC管理のコストも削減できることも強みです。
このほか、法人化に伴ってシステム活用の自主性が高まったため、以前では考えられなかったような、学生の利便性を高める取り組みも実行に移されました。大学生協に対するシステムの一部開放です。
大学生協は、大学の中で食堂やショップを運営していますが、名古屋工業大学とは別法人です。セキュリティの観点から、システムをすべて開放することはできませんが、たとえばキャッシュレスで食堂を利用できれば学生にとって魅力的。そこで、申し込みをした学生・教職員を対象に、生協で IC カードを利用できるようにしました。大学側と生協側で、アクセスできる情報に制限をかけたことで、このしくみを実現できました。2007 年 9 月現在、約 2,700 人の学生・教職員が生協のキャッシュレス サービスを利用しています。
<今後の展望>
学生へのよりよい支援に向けて 〜データ マイニングの試み〜
名古屋工業大学では、今回導入した IC カードシステムを統合情報基盤として、さらなる利便性を高めるべくシステム連携を加速していきます。学内にある複数のアプリケーションにポータルを通して利用できるようになれば、業務の多くをポータル上で行えるようになるため、教職員の作業負担が軽減します。また、学生にとっては履修登録の実行や休講情報の参照などをすべてポータル上で行えるようになり、利便性が一層高まります。
また、コースマネージメントシステムの利用履歴、ICカード出欠システム履歴を含むさまざまな履修状況を把握できるようになったことで、その情報に基づいてデータ マイニングを行い、履修状況と成績の関連性を調査するなどの実験も行う計画です。データ マイニングには膨大なデータが必要になるため、すぐに結果が出ることはなさそうですが、数年後には「あなたのこのままの履修状況では、何%の確率で卒業が危ない」とシステムが警告してくれるようになるかもしれません。
情報基盤センターでは、今後も「学生に役立つ・業務改善できるシステムを開発する」という方針のもと、最先端の IT を採用し、学生・職員向けのサービスをより一層拡充したい考えです。
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