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Windows Mobile® を 400 台活用したモバイル ソリューションで、販売管理のしくみを刷新。配置薬の競争力強化に向けた成長基盤を確立
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株式会社ノエビアは、"自然を科学する" を企業ポリシーに、原料探求・研究開発から製造、販売までを自社で一貫して行う総合化粧品メーカーです。2002 年 9 月には、一般医薬品の製造販売を手がける常盤薬品工業株式会社を子会社化し、医薬品分野にも進出しました。現在、ノエビアは創業来の対面販売のスタイルを維持しつつ、新たな独自の取り組みを始めています。またグループ全体では、幅広いチャネルを通じて個性溢れる機能性を追求した付加価値の高い商品を提供しています。グループ内で、対面販売での配置薬販売を行っている常盤薬品工業株式会社の 100% 出資子会社である株式会社常盤メディカルサービスでは、販売管理システムの見直しを行う際に、ノエビアグループの情報戦略に基づき、Microsoft .NET ベースのモバイル ソリューションを導入しました。Microsoft .NET Compact Framework プラットフォームを採用することで、Windows Mobile ならではの高い運用性を実現し、販売力の強化と顧客満足度の向上を実現しています。
<導入背景と狙い>
医薬品事業を支える販売の現場に、IT 活用を見直す新たな転機が到来


株式会社ノエビア
情報システム部 担当部長
三木 宏次 氏
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"美と健康" を共通のテーマに掲げ、主に化粧品事業、食品事業、医薬品事業の 3 つの分野で事業を展開するノエビアグループでは、対面販売という創業来のビジネス モデルを大切にしながら、一方で市場のめまぐるしい変化に対応していくために、さまざまな挑戦を続けています。グループ経営の根幹を支える情報基盤の刷新もその重要な取り組みの 1 つであり、同グループの情報戦略を担う、ノエビア 情報システム部の担当部長 三木宏次氏は、次のように語ります。
「.NET をベースとしたオープンな統合環境の実現に向けて、現在、基幹業務システムを中心に既存システムの再構築を進めています。2009 年までに全社レベルで .NET 化を完了させる計画です」。
ノエビアの 100% 出資子会社である常盤薬品工業もまた、2002 年 9 月に新たな転機を迎えつつありました。"南天のど飴" でおなじみの常盤薬品工業は、置き薬とも呼ばれる配置薬の分野でトップ クラスの一般医薬品メーカーです。配置薬事業は同社の長年にわたる成長を支えてきています。一軒一軒の家庭を訪問し、季節や健康状態に合わせて常備薬を配置していく昔ながらの対面販売スタイルにとって、きめ細かな対応と迅速なサービスの提供が、現代における配置薬事業の生命線となります。
そこで、お客様のニーズをタイムリーに捉え、局面にあわせて最適な行動を迅速にとるための支援システムが不可欠となります。ノエビア本体におけるシステム再構築の動きも追い風となり、配置薬販売を支える仕組みを見直すことになったのです。常盤薬品工業 メディカルサービス管理部 課長 野口伊智子氏は、検討の背景にあった問題点について、次のように説明します。
「それまでの販売管理システムは Microsoft Windows® 95 ベースであったため、まず OS が古いという点で再構築は必須と考えていました。次に、データ管理の問題です。全国 34 か所に営業所を抱えている常盤メディカルサービスでは、販売データは営業所単位で管理されており、本社で一元管理できていませんでした。しかも営業社員は、各自の販売状況を決められた時間に電話で報告してくるため、リアルタイムには把握できません。さらに全社レベルで 1 日の販売実績を把握するとなると、情報を集約するのに時間がかかり、どうしても翌日になってしまう。これも解決すべき重要な課題として認識していました。そして、もう 1 つネックとなっていたのが、営業社員が携帯する既存端末の大きさと重さです。ただでさえ荷物が多いうえに持ち運びが不便であり、軽量化が求められていました」。
2002 年のノエビアグループ入りを機に女性の登用が進み、携帯性を重視するきっかけになったといいます。こうして、常盤メディカルサービスの "全社的なインフラの見直し" "販売データの一元管理" "現場の業務改善" の 3 つの目標が同期したことで、.NET ベースの新しいしくみへの転換が一気に加速することとなったのです。
<導入の経緯>
目指すべきシステムへのアプローチには、ユーザーの視点、お客様の視点を優先
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株式会社ノエビア
情報システム部 課長代理
中尾 かおり 氏
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ノエビアでは、新システム導入に際して、ユーザーのニーズや課題に対し、要件を十分に整理した結果、営業所や本社では Web アプリケーション、営業社員にはモバイル端末によるオフライン アプリケーションを導入し、既存端末に代わるモバイル端末には、携帯性に優れた Windows Mobile を採用する方針が決定しました。ノエビアでは、複数の IT ベンダから提案を受けて比較検討を行った結果、早い段階から WindowsMobile 向けのアプリケーション開発を手がけてきた実績が決め手となりシーイーシーを導入パートナーに選択しました。シーイーシー IT ソリューション本部 .NET ソリューション部 部長 溝道修司氏は、提案のポイントを次のように説明します。
「提示された要件を実現するためには、開発環境と実行環境の両面から、Windows Mobile 上で、Microsoft .NET Compact Framework を活用したモバイル ソリューションが最適と考えました。当社はこの分野において、他社に先駆けて製品開発を進めてきた経緯があり、成功事例も持っていました。このソリューションのよさをぜひ実感いただきたいという思いでご提案したわけです。もちろん、将来的に製品のサポートがなくなるようでは困りますから、マイクロソフトからも情報を入手し、自信を持ってお勧めしました」。
.NET Compact Framework は、Windows Mobile などのスマート デバイス上で XML 対応の Web サービスを利用可能にするためのプラットフォームです。当時、これを活用した開発事例が少ないなかで、すでに高い評価を得ていたシーイーシーの技術力が、ノエビアの信頼を勝ち取ったと言えます。
こうして 2003 年 10 月、ノエビア 情報システム部が中核となり、いよいよプロジェクトが本格的に始動しました。プロジェクトには、常盤薬品工業とシーイーシーがメンバに加わり、三位一体のプロジェクト体制が組まれました。最初の共同作業は、Windows Mobile 端末とプリンタの機種選定でした。プロジェクト リーダーを務めたノエビア 情報システム部 課長代理 中尾かおり氏は、こう振り返ります。
「端末の選定にあたっては、ハードウェア面の要件が多かったですね。バーコード リーダーおよびプリンタとの接続が可能で、データ通信のニーズに合致していること。無線 LAN や赤外線通信を利用してケーブルレスでスマートな運用ができること。これらすべてを満たすとなると、機種はおのずと絞られました」。
また、「システムが変わるのは自分たちの勝手。お客様にお渡しするものは、できるだけ変えたくなかったので、コンパクトなプリンタの提案もありましたが、最後まで A4 出力にこだわりました。」と、常盤薬品工業の野口氏。モバイル ソリューションにおいては、端末と通信機器だけといった身軽な運用を前提とするケースが多いなか、ユーザーの視点、さらにその先にいるお客様の視点で運用を考え、あえてバーコード リーダーやプリンタの条件にもこだわったのです。
開発システムは、配置薬業界の勝ち組を目指して "N-WIN" と名付けられました。営業所や本社における販売管理システムである "N-WIN for Office" と、営業社員向けの "N-WIN for PDA" の 2 つのシステムから構成され、いずれも設計はノエビアが担当し、 "N-WIN for Office" の開発をノエビアが、 "N-WIN for PDA" の開発をシーイーシーが全面的に担当しました。
データの同期方法の検討、Windows Mobile 端末向けの画面設計など、仕様決定までに何度となく議論が繰り返されたものの、実際の開発作業は順調に進んだといいます。ノエビアの中尾氏は、「東京と神戸という距離を超えてのやりとりであり、さらに開発期間も限られていたなかで、こちらの意図を確実に理解して、正確かつ迅速に組み込んでいただけたことが大きいですね」と、シーイーシーを高く評価しています。一方、プログラム開発を担当したシーイーシー IT ソリューション本部 .NET ソリューション部 主任 近藤紀子氏は、「開発プログラム担当は私を含めて 4 名。1 つのアプリケーションを開発するのに、各自が機能ごとに分業でき、効率よく開発を進めることができました」と語り、開発期間の短縮に .NET Compact Framework の貢献があったことを実感しています。
<システムの概要>
.NET Compact Framework によるサポートが、Windows Mobile アプリケーションの高い運用性を実現


常盤薬品工業株式会社
メディカルサービス管理部 課長
野口 伊智子 氏
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3 社の連携により、新システムは短期間で開発が完了し、予定どおり、2004 年 5 月に運用を開始しました。ただし、データ移行の観点から、全国で一斉に運用を開始できない事情もあり、約 1 年をかけて 1 か所ずつ移行作業を実施していくほかありませんでした。ノエビアの中尾氏はその理由を次のように説明します。
「移行の前日ぎりぎりまでシステムが動いているわけです。最終データを待って夜中にデータ クレンジングを行い、翌朝から新しい環境で動けるようにしなければなりません。これまで営業所単位で管理されてきたデータに対して、この作業を一斉に行うのは現実的に不可能でした」。
また、運用と教育を並行で実施していくことになるため、十分なサポート体制を確保する必要もありました。新システムの立ち上げに全国の営業所をまわり、機器のセッティングから営業社員の教育、サポートまでを担当した常盤薬品工業の野口氏は、こう振り返ります。
「週末に対象となる営業所に入って環境を整え、週明けの月曜と火曜で安定稼働を目指す。この繰り返しでした。これを数名の体制で行っていたのです。運用開始当日に、10 名から 20 名もの営業社員に対して教育を行い、翌日からは早速営業に出てもらう。年配の営業社員もいる中、全員が機器に精通しているとは限りません。非常に限られた時間と人員での対応は、なかなか大変でした」。
とはいえ、ほぼ 2 日間で安定稼働を実現できたのは、設計段階でユーザーの使い勝手を徹底的に追及した成果と言えるでしょう。実際、N-WIN のユーザー インターフェイスは非常にシンプルに設計されています。
「従来の端末から Windows Mobile 端末になって画面が小さくなったため、これまで 1 つの画面で展開していた業務を、点検や配置といった業務の手続きごとに分けて画面を切り替えるようにしました。業務の流れに沿って画面を操作していけばよく、明らかに使いやすくなっています」(ノエビア 中尾氏)。
営業社員の 1 日は、端末上で当日の訪問予定を作成し、訪問するお客様の前回のデータをサーバーから各自の端末に取り込むことからスタートします。このとき、Windows Mobile 端末内部に搭載された Microsoft SQL Server 2000 Windows CE Edition と、サーバー側の Microsoft SQL Server 2000 との間でマージ レプリケーションによる双方向のデータ同期が行われます。これらの機能は、Windows Mobile と SQL Server との組み合わせで実現されるものです。訪問に必要なデータの準備が整ったところで、必要な配置薬を車に積んで出かけることになります。プロジェクトの第 2 フェーズで入出庫管理にも対応したため、ここでも Windows Mobile 端末が活躍します。入出庫管理では、端末からサーバーへの商品数の送信となりますので、XML Web サービスを利用したデータ送信を行っています。
訪問先では、救急箱の点検、常備薬の配置を Windows Mobile 端末とバーコード リーダーを使ってオフラインで行い、その場で赤外線通信で接続したモバイル プリンタから請求書を発行。あえてオフラインを前提としたのは、物理的に接続できない地域があるためです。営業社員は 1 軒の訪問が終了したところで初めてネットワークに接続し、本社にデータを送信します。もちろん、お客様の大事な情報を扱う現場であり、セキュリティの確保が不可欠となります。データベースの暗号化を行い、さらにログイン機能を付加するなどして、アプリケーション上のセキュリティには十分配慮したといいます。
<現在までの状況>
Windows Mobile と .Net Compact Framework の活用で、バージョンアップも容易にクリア
現場からも使用しやすいとの声多数
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株式会社シーイーシー
IT ソリューション本部
.NET ソリューション部 主任
近藤 紀子 氏
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すべての営業所で運用が開始されてから約 2 年。新システムは、配置薬販売に関わる業務の負荷を軽減し、販売力強化の結果が出ています。
「現場からは、持ち運びが楽になったという声が届いています。しかも、パソコンに比べて起動が早いので、お客様をお待たせすることがありません。1 軒あたりの作業効率が格段に向上しました。本社ではリアルタイムに数値を把握できるようになり、また各営業所では、誰がどこを訪問したか、何時何分にいくら精算したかといった情報をパソコンの画面で正確に管理できます。徐々に紙ベースでの報告書が減りつつあり、社内のペーパーレス化にも貢献しています」(常盤薬品工業 野口氏)。
「システムは定着しないと活きてきません。作ったシステムを現場のユーザーにいかに活用してもらうか。この視点が、設計、開発、教育のすべてのプロセスにおいて一貫していた」と、シーイーシーの溝道氏が強調するとおり、運用後の成果が同プロジェクトの成功を物語っています。もちろん、すべてが順調に進んだわけではありません。営業社員の 1 日の流れが共通である以上、朝夕にサーバーへのアクセスが集中してしまい、大量の待ちデータが発生してしまうこともありました。しかしこの問題も、シーイーシーの解析、適切な対処によりシステム側でのパフォーマンス改善と、運用側での負荷分散対策によって解消されています。
一方、Windows Mobile のバージョンアップへの対応では、プログラム改変の負荷も少なく、容易にクリアできたといいます。「Windows Mobile 2003 から Windows Mobile 2003 Second Edition への移行は、担当者 1 人が 2 週間弱の期間で検証が終了しました。何より、同じプログラムをそのまま利用することが可能なため、ほとんどは確認工数となっています。また、Windows Mobile 5.0 への移行もメイン アプリケーションは同じソース コードで実行可能であり、プログラム ロジックには何も手を入れていません。複数の端末、バージョンであっても同じコードで対応が可能なのは、Windows Mobile と .Net Compact Framework ならではと考えています」 (シーイーシー 近藤氏)
<今後の展望>
販売データの戦略的活用が当面の課題。
一方で、モバイル ソリューションの広がりにも期待
常盤薬品工業の野口氏は、既に次の展開を見据えています。
「“対お客様”の業務については完成しました。データの一元管理もできてきています。次の段階は、そのデータを有効に使うためにどうするか、ということです。将来的には、お客様のニーズを商品開発に活かせるようなしくみを実現したいですね。そのためには、紙ベースでの報告書の作成や顧客台帳の管理をどこまで Windows Mobile 端末に取り込めるかといったことも、重要な検討課題となります」。
Windows Mobile の果たすべき役割は、単なる業務支援の領域を超え、さらに広がろうとしているのです。また、配置薬販売での成功をプロト タイプに、今後さらなる発展が見込まれています。ノエビアの三木氏は、モバイル ソリューションへの期待を次のように語ります。
「営業支援ツールとしての活用も視野に入れています。今回のしくみをベースに、これらをうまくビジネスに取り入れながら、いかに現場の機動力を高めていくか、さまざまな応用が期待できます」。
Windows Mobile を活用した販売管理システムは、"美と健康の提供" を支える次世代の情報戦略に、早くも大きなインパクトをもたらしつつあります。ノエビアグループにとっても、ここが新たな挑戦へのスタート地点と言えそうです。
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