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Pocket PC の使いやすさと表現力を生かした美術館ガイド システム「ミュゼナビ」を開発し、美術教育の促進に貢献するビジネスを展開。
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老舗の印刷会社として、石川県を中心に各種印刷をはじめ、企画編集出版やシステム構築まで、幅広いビジネスを手がけている能登印刷株式会社では、「文化の継承」を理念にアート ビジネスの創出に注力。Windows Mobile™ 2003 software for Pocket PC を利用した美術館ガイド システム「ミュゼナビ」を開発。音声と画像、テキスト情報を組み合わせた美術館ガイドにより、美術鑑賞、文化の理解促進に大きく貢献する、新しいアート ビジネス モデルを構築しています。
<システム開発の背景と狙い>
「21 世紀の美術館」を目指した、先進的な美術館ガイド システム


能登印刷株式会社
代表取締役
能登 隆市 氏
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能登印刷株式会社
美術メディア事業部
プロデューサー
小山 夏比古 氏
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1913 年創業の老舗である能登印刷株式会社 (以下、能登印刷) では 30 年ほど前に出版部門を創設。企業理念に「文化の継承」を掲げ、「次代へ、心の遺産を」をコンセプトに芸術や美術関連に注力した多彩な出版活動を展開、さらに近年ではコンテンツ事業に参入する中で、新たなアート ビジネスの創出を模索していました。
「文化に焦点を当て、アート ビジネスを展開している当社では、美術館の図録などの印刷物も手がけていたことから、美術館や博物館と接触する機会が増えてきました。その中で見えてきたのは、多くの美術館が集客に苦労しているという現実でした」と語るのは、能登印刷 代表取締役 能登隆市氏です。
「そうした状況を踏まえ、当社のコンテンツ事業を推進する中で、“文化を象徴する美術展や歴史展などの活性化”に貢献できるようなシステムを作れないか、と考えました。そこで、来場者に美術展をより深く楽しんでもらうために、従来の音声ガイド システムよりも、さらに詳しく展示品を説明できる美術館ガイド システム『ミュゼナビ』を開発しました」。
「ミュゼナビ」とは、携帯情報端末である PDA を使用したマルチメディア ガイド システムです。美術館や博物館の企画展などで有料で貸し出され、利用者はそれを持って館内を回ります。ガイドが受けられる作品には 10cm 四方のパネルでガイド番号が表示されているので、PDA の画面上に表示されている同じ番号をタッチ操作すると、ヘッドホンから作品の音声ガイドが流れ、PDA の画面からはテキストや画像で作品の背景をじっくりと参照することができます。
「作品や展示物の背景を、音声、画像、テキストとさまざまな形式で分かりやすく解説することで、新しい楽しみ方が提供できます。たとえば、ピカソは付き合う女性が変わるたびに作風を変えていました。そこで、展示した作品ごとに、ピカソが恋をした女性を写真と共に紹介できれば、お客様も今までとは違う視点で鑑賞してもらえるでしょう。また、社会科見学などで美術館を訪れる子供たちには、クイズ形式のコンテンツで、楽しみながら学習してもらうこともできます」と語るのは、「ミュゼナビ」のプロデュースを行った、能登印刷 美術メディア事業部 プロデューサー 小山夏比古氏です。さらに小山氏は、その開発経緯についても次のように語ります。
「美術館や博物館などの展示作品には、その作品を解説するキャプションが付いていますが、文字が小さいと見えない。逆に解説パネルが大きすぎると主役の展示作品の邪魔をしかねないので、展覧会の準備をするときにいつも問題になっていました。また、来場者側からは、混雑しているところではゆっくりと解説を読むことができないという不満もありました」。
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美術館ガイド システム「ミュゼナビ」
(※画面ははめ込み合成で、実際の表示とは異なります)
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また、多くの美術館にて利用されている音声ガイド システムには専用機が必要であるために、開発コストがかかるというネックがあったといいます。
「それならば、音声でもガイドが行え、さらに画面やテキストで解説できると同時に、開発コストも抑えられる市販の PDA を使うことを思いついたのです」(小山氏)。
そしてそのプラットフォームとして採用されたのが、Windows Media® Player や豊富なサード パーティ製アプリケーションの活用により、マルチメディア コンテンツを容易に取り扱える、Windows Mobile 2003 software for Pocket PC でした。
<システムの導入経緯と開発メリット>
PC やサーバーとのシームレスな連動を実現する
Windows Mobile 2003 software for Pocket PC を採用


能登印刷株式会社
情報企画課
システム企画係
係長
鹿野 幸政 氏
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「ミュゼナビ」を開発するにあたり能登印刷では、各社の PDA を慎重に比較検討。最終的に Windows Mobile 2003 software for Pocket PC を搭載したデル株式会社 (以下、デル) の PDA「Axim X30」が採用されました。
その決め手になったのは、長期間の使用に耐えうる堅牢性や使い勝手の良さ、運用管理の利便性に加え、Windows Mobile 2003 software for Pocket PC が ActiveSync の機能により、Windows PC やサーバーとの連携を標準でサポートしていることでした。
「ミュゼナビ」のアプリケーションを開発した能登印刷 情報企画課 システム企画係 係長 鹿野幸政氏は、Windows Mobile 2003 software for Pocket PC のメリットを次のように実感しています。
「PDA 向けの開発は今回が初めてだったのですが、PC ソフト開発のノウハウをそのまま生かせるのが、非常に大きなメリットでした。特に Word や Excel が PDA 上で動くことは開発効率を高めています。この『ミュゼナビ』でもコンテンツ管理は、Excel で行っています。テキスト ファイルや音声ファイル、画像ファイルを作品番号とリンク付けして、Visual Basic で開発した簡単なプログラムで一括して PDA 側に送信して差し替えられるしくみを作りました。パソコンとのシームレスな連動が行える点が非常に有効でした」。
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デル株式会社
ビジネスセールス本部
営業第一部
菊地 雄三 氏
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さらに、採用のポイントとして、実際の使用時のバッテリの持ち時間も重要なポイントとして考慮されたといいます。まず、お客様が展示物を鑑賞している最中にバッテリが切れてしまうことを避けなければなりません。さらに、1 回貸し出した後で、フル充電を強いられるような仕様では、次のお客様に貸し出すことも行えず、1 日に来場されるお客様の数に合わせて相当数のストックを用意しなければいけないことになります。
「そのため、大容量のバッテリというのは、『ミュゼナビ』開発において重要な要素でした。この点では、パートナーであるデルの菊地さんが、PDA を使った新たなビジネス モデルに深い理解を示し、熱心に対応してくれたことでクリアしています」(鹿野氏)。
デル ビジネスセールス本部 営業第一部 菊地雄三氏は、次のように語ります。
「もともと、『Axim X30』はコンシューマ寄りの商品であったため、能登印刷さんのコンセプトを具現化し、ビジネス展開していく中では、戸惑った部分も正直ありました。それでもバッテリの問題は大容量バッテリの提供で解決し、現在『ミュゼナビ』は 1 回の充電で 3 回分の貸し出しが可能となっています。また、“Dell モデル”と呼ばれる当社の直販・受注生産方式により、価格面でも貢献できました」。
<システム概要と導入効果>
「新シルクロード展」など豊富な導入実績と
リピート率の高さ
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音声、画像、テキストで、作品や展示物をより詳しく解説する。
©東京国立博物館「文殊菩薩立像 (部分)」
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こうして完成した「ミュゼナビ」は、昨年、東京都現代美術館で開催された「パリ・国立ピカソ美術館所蔵 ピカソ展―躰 (からだ) とエロス―」を皮切りに、東京都美術館や京都市美術館で開催された「フィレンツェ―芸術都市の誕生展」、さらに現在、江戸東京博物館で開催中の「新シルクロード展」など既に多くの導入実績があります。
「ミュゼナビ」のコンテンツは、「1 つの音声ガイドは 1 分くらいを目安にする」など、お客様が展示から展示へと移動しながら聞くのに適切な長さに調節するなどの配慮がされています。また、作品鑑賞の助けとなるよう十分な検討も行われており、たとえば印象派の作品には、知識よりも感性を引き出すことに重点が置かれた解説になっています。
こうした工夫により、「ミュゼナビ」は過去の導入実績で平均して 1 日の来場者の約 15% に利用されるという高稼動率を維持。たとえば、「フィレンツェ―芸術都市の誕生展」では 2 か月で約 17 万人が来場し、そのうちの 16.3% にあたる約 2 万 7 千人が「ミュゼナビ」を利用しています。
さらに、能登印刷が独自に行ったアンケート調査では、「ミュゼナビ」を利用したユーザーの 80% 以上が満足しているという結果を得ています。
また、「ミュゼナビ」を借りた来場者の 8 割が、他の美術展で従来の音声ガイド システムを借りた経験があり、さらにそのユーザーの 9 割が “次回も「ミュゼナビ」を使用したい”と回答。従来のガイド システムと比較しても、「ミュゼナビ」は高く評価され、今後、新規ユーザーを取り込みながらリピート率の高い運用が期待できます。
「従来の音声ガイドの使いやすさを踏襲しながら、テキストや画像による新しい情報が得られることが、新規ユーザーを獲得できた大きな要因だと思います。画像については、現状では著作権の関係で制約がありますが、『ミュゼナビ』のようなシステムが普及していけば、PDA で作品の画像を取り扱うルールも整い、さらに充実したコンテンツ提供ができるようになるでしょう」(小山氏)。
さらに、「ミュゼナビ」は、主催者側にとっても、新たなるビジネス モデルを提示したといえます。
「美術展などは、海外の美術館に対するレンタル料や輸送料、保険料など莫大な費用がかかるため、すばらしい企画があっても、費用面で開催がうまく運ばないことが多くあります。こうした中で『ミュゼナビ』は主催者にとって重要な収入源の 1 つになります。さらに、『ミュゼナビ』を広告メディアとして活用し、テレビ コマーシャルを流すことができれば、スポンサーも集めやすくなるでしょう。これも、Windows Media Player を使って動画を再生できることのメリットですね。こうした意味で『ミュゼナビ』が企画展開催の活性化にも貢献できると考えています」(小山氏)。
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「ミュゼナビ」の主な導入実績と今後の導入予定 [拡大図]
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<今後の展望>
Microsoft .NET Framework で生産性をアップし、
今後は美術展以外の用途へビジネス モデルを拡大
現在、能登印刷では、Windows Mobile 2003 software for Pocket PC に標準搭載の Microsoft .NET Compact Framework を使った次期「ミュゼナビ」の試作を進めています。
「私たちが普段パソコンのアプリケーションを作るときは、Visual Basic や C++、C# などの開発言語を使っています。個人の知識やスキルには限界がありますから、PDA のときだけ Java などの他の言語を使うのは非生産的です。その点、Microsoft .NET Framework を使えば、既にスキルやノウハウを蓄積している開発言語を使って、PDA からパソコン、サーバー系のアプリケーションまで、すべてに対応できるようになるので、生産性が大幅に向上します」(鹿野氏)。
また、Windows Mobile 2003 software for Pocket PC は、無線 LAN (802.1x) や Bluetooth などのワイヤレス環境にも対応しているため、能登印刷では、無線 LAN を使った「ミュゼナビ」の実証実験も行っています。
「無線 LAN を利用すると、場所の制約なく Web サーバーから直接データを取り込むことができるので、従来手作業で行っていた Pocket PC のデータを差し替える手間が省けます。ただし、アクセス ポイントをいろいろな場所に設置しなければならないため、開催期間の短い企画展よりも、常設展向きの仕様であるかと思います」(鹿野氏)。
さらに能登印刷では、Pocket PC を美術展以外の用途にも積極的に展開していく考えです。具体的には、Pocket PC の優れた拡張性を生かし、コンパクト フラッシュ型 GPS (全地球測位システム) を PDA の本体に装着することにより、GPS の機能を使った新たなビジネス モデルも検討しています。たとえば、観光ガイド システムもその 1 つ。特に外国人の観光客が多い浅草などで外国人向けにターゲットを絞ったビジネス展開をねらっています。他にも、外国人向けの工場案内システムなど、多方面にわたる実用化レベルでの検討が始まっています。美術館ガイド システムとして誕生した「ミュゼナビ」は、各分野で新たなビジネス モデルを確立しうるマルチメディア システムとして、今後ますますの活躍が期待されています。
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