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.NET 流通システムモデルや XML 、WS-Security などの最新技術を活用し
書店と取次とのリアルタイムな情報共有基盤を実現
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7 年連続で市場規模が前年割れしている出版業界で 3 年連続の増収を果たし、“元気のいい取次”として知られている株式会社大阪屋。ここでは最適配本を実現するための仕組みとして、.NET Framework を活用した情報共有基盤が構築されています。取引のある書店に対しては「.NET 流通システムモデル」に準拠した POS 端末を提供。ここから販売データをリアルタイムで株式会社大阪屋側のサーバーに集約することで、書店と株式会社大阪屋の両方が販売や在庫に関する情報を活用できるようにしているのです。データ通信は、インターネット上で XML データをやり取りすることで実現。この部分のセキュリティを WS-Security で確保するなど、最先端のテクノロジーが積極的に活用されています。
<導入の背景とねらい>
業界の長年の課題である最適配本を実現させる仕組みを検討


株式会社大阪屋
経営推進室副室長兼 EC 事業部長
管理統括部 情報システム部長
役員待遇
荻田 日登志 氏
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商品物流をいかに最適化していくかは、すべての流通業にとって共通する重要課題です。しかしこの課題を解決することは決して簡単なことではありません。特に商品販売を書店に対する“委託”の形で行っている出版業界は、物流の最適化が難しい業界だと言えるでしょう。書店に配本された書籍や雑誌のうち、実に 3 〜 4 割が返品されていると言われており、その分の出荷と返品の物流コストが無駄に費やされているのです。
この問題を解決するために、IT を活用した新たな取り組みを開始したのが株式会社大阪屋 (以下、大阪屋) です。同社は 1949 年に創業した出版物取次販売企業です。取次会社とは、出版社と小売書店の中間にあって、書籍、雑誌などの出版物を出版社から仕入れ、小売書店に卸売りする販売会社のことで、一口で言うと本の問屋のことです。日本中の出版社の本や雑誌は取次業者の倉庫にいったん集められ、そこから全国の書店に運ばれます。大阪屋は縮小する出版市場において 3 年連続増収を果たすなど、“元気のいい企業”として知られています。また IT 活用に関しても、1965 年に業界で初めてコンピューターを導入し、その後も独自の出版流通システムや書誌データベース、オンライン情報提供システム、出版物統合流通システムなどを構築、書店に対しても店舗管理 POS を提供するなど、積極的な取り組みを進めてきました。そして 2003 年には取引先の書店とリアルタイムで情報を共有できる「Web-OPAS」を構築。2003 年 12 月から本番稼働を開始しています。
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株式会社大阪屋
管理統括部 情報システム部
課長
八田 彰 氏
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「最適配本をいかにして実現していくかは、この業界における長年の課題です」と言うのは、株式会社大阪屋 経営推進室 副室長と EC 事業部長、そして管理統括部 情報システム部長を兼務する荻田 日登志氏。そのためには“いまどの商品が売れているのか”と“書店在庫がいまどのような状況なのか”を、単品レベルで管理する必要があると指摘します。「Web-OPAS」はこの要求を満たすために構築されたものであり、書店のレジ (POS 端末) と大阪屋のサーバー システムをオンラインで接続することで、書店の販売状況と在庫状況をリアルタイムで把握できるようにしているのです。「目標は出版社から書店までをカバーした“サプライチェーンマネジメント (SCM)”の実現です。これによって出版業界が抱える最適配本という長年の課題が解決し、最終的に出版物を手にする読者の皆様にも、喜んでいただけると考えています」(荻田氏) 。
「このような仕組みを作ろうという構想は、既に 2000 年頃から出ていました」と振り返るのは、株式会社大阪屋 管理統括部 情報システム部 課長の八田 彰氏。しかし大阪屋ではこの仕組みを単に構築するだけではなく、将来的な拡張性を考慮して標準化仕様に準拠した構築を希望していました。この要件を満たすために採用されたのが、.NET Framework をベースにした製品群でした。まず POS 端末としては、.NET 流通システム協議会および OPOS 技術協議会が策定する「.NET 流通システムモデル」に準拠した、東芝テック株式会社 (以下、東芝テック) の「ST-98」を選択。アプリケーション プラットフォームには .NET Framework をベースにした東芝テックの「CrossMission」を採用します。そして POS 端末と大阪屋に設置されたサーバーの間をインターネットで接続し、XML によるデータのやり取りを実現。さらにセキュリティを確保するために、WS-Security が利用されています。
<導入結果と効果>
取次側の効率的な配本計画の実現と、書店側の販売機会の損失を防止


株式会社大阪屋
営業推進統括部 企画調整部 営業推進課
課長
山見 紀子 氏
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Web-OPAS の導入は、書店と大阪屋の双方に大きなメリットをもたらしつつあります。
まず書店側は、リアルタイムで自店の在庫を確認できるため、お客様からの問い合わせに短時間で対応できます。「これまでは前日の売上からの在庫 (バッチ) データ上にはあるが、実際に棚にあるかどうかわからないまま棚を見に行くケースが少なくありませんでした。在庫の有無がはっきりしないものを探すのは大変でした」と株式会社大阪屋 営業推進統括部 企画調整部 で営業推進課 課長を務める山見 紀子氏は語ります。しかし事前に Web-OPAS で在庫の有無をチェックできれば、確信を持って商品を探すことができると言います。これは書籍を求めるお客様の満足度を高めると同時に、書店販売員の書籍を探す時間の短縮につながり、人件費の節約にもなります。
複数の書店を展開するチェーン店では、グループ全体の在庫もチェックできるため、店舗間で商品を融通し合うことも可能になります。店頭にない商品を取次店に発注すれば、納品まで早くても 3 日はかかりますが、グループ内で商品をやり取りできれば、即日もしくは翌日に商品を取り寄せることも不可能ではありません。
また売上データをリアルタイムに見ることができれば、書店経営をより効率化することも可能になります。一般に書店への配本は取次店が判断して実行する割合が多く、書店で判断して発注するケースはそれほど多くありません。しかし書店側に判断材料があれば、各書店がより積極的に発注に関与できるはずです。これにより品切れによる販売機会の損失を防ぎ、返本作業にかかる送料や人件費などの現場コストの削減が可能となることでしょう。
一方、大阪屋側にとっては、リアルタイムの売上データに基づいて配本を行えるため、より効率的な配本計画を立てることができます。「例えば時系列の売上パターンから、売上のピークを予想することもできるはず」と八田氏。この予想に合わせて配本を前倒しすることも考えられると言います。無駄な配本を防止する上で、リアルタイムデータは重要な役割を果たすと期待されています。
<導入システムの紹介>
書店のレジ (POS 端末) と大阪屋のサーバーシステムをオンラインで接続
書店の販売状況と在庫状況をリアルタイムで把握
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TIS 株式会社
産業第 2 事業部 産業システム第 4 部
統括マネージャー
川口 吉宏 氏
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Web-OPAS のシステムは、大きく 3 つの部分から構成されています。書店に設置された POS 端末、大阪屋に設置されたサーバー群、そしてサーバー群に蓄積された自店のデータを書店側で活用するための分析システムです。
まずこのシステムを実現する上で重要な役割を果たしたのが、東芝テックの POS 端末「ST-98」です。ST-98 は従来型のレジ (リアルレジではなく、一日一回ファイル転送方式にてセンターにデータを送る方式のレジ) として既に大阪屋で使用されていましたが、Web-OPAS 構想の中でも採用されることになりました。その理由は大きく 2 つあったと言います。1 つは .NET 流通システム協議会が策定した業界標準スキーマを採用していること。この製品は前述のように「.NET 流通システムモデル」に準拠しており、OS には Microsoft® Windows® XP Embedded を採用しています。システムインテグレーションを行った TIS 株式会社 産業第 2 事業部 産業システム第 4 部 統括マネージャー 川口 吉宏氏は「POS 製品の選択肢としては他にも独自手順の Web 型 POS などがありましたが、今後のことを考えれば標準を採用すべき」と説明します。もう 1 つの理由は製品自体の安定性が高いことです。ST-98 はオンライン システムの端末として高いポテンシャルがあるだけではなく、単体でも安心して使える製品であると評価されているのです。「POS 端末の安定性は、書店システムで最も重要なことです」と山見氏は言います。POS 端末に問題が発生すれば、書店のビジネスが止まってしまうからです。「東芝テックの製品は信頼性も高く、メンテナンスなどのサポートもしっかりしています。実際に ST-98 の安定性は驚くほど、トラブルはほとんどありません」(山見氏) 。


東芝テック株式会社
流通第一営業部 流通機器第二課
中井 広朗 氏
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書店で商品を販売した時点で ST-98 に入力された情報は、その場で XML データに変換され、WS-Security で安全性を確保した上で、インターネット経由で大阪屋に設置されたサーバーに送られます。サーバー側の OS は Microsoft Windows 2000 Server を採用しており、まず IIS が ST-98 からの XML データを受け取り、これを CrossMission の「Message Exchanger」に渡します。CrossMission が受け取ったデータはアプリケーションに渡され、ここで必要な処理が行われた後に ADO.NET 経由で Microsoft SQL Server 2000 に格納されます。XML データのハンドリングについて「.NET Framework は非常に洗練された仕組みを持っています」と指摘するのは、東芝テック株式会社 流通第一営業部 流通機器第二課の中井 広朗氏です。「.NET Framework では XML データを文字列としてではなく、完全なオブジェクトとして扱えます。また XML シリアライザーの機能も非常によくできていますね」(中井氏) 。
Microsoft SQL Server 2000 上の各種データは、当日分の販売データはそのままリアルタイムデータとして蓄積され、前日までのデータは夜間バッチによって集計された後、分析用データとして蓄積されます。書店に設置された分析システムは、これら両方のデータを統合的に分析できるようになっています。分析のためのアプリケーションは ASP.NET で作成されており、このアプリケーションに PC 上の Web ブラウザからアクセスします。
このような仕組みの上で、売上一覧発注や自動発注、レジ売上データの表示、約 150 万件の書誌データを用いた書誌検索発注、雑誌検索、売上および送品、返品情報の集計機能が実現されているのです。
<今後の展望>
出版社から書店までをカバーした情報共有の実現へ
2004 年 8 月現在、Web-OPAS を導入している書店数は 130 店舗を超えています。引き合いはかなり多く、導入店舗数は今後一気に増大すると見込まれています。特に 2004 年 6 月には雑誌コードが変更され、これに対応するには POS 端末を入れ替える必要があるため、これをきっかけに Web-OPAS を導入する書店も多くなっています。また 2004 年 4 月には追加機能もリリースされており、利便性はさらに高まっています。これも導入店舗数の増大に大きな貢献を果たすはずです。
また書店への展開だけではなく、今後は出版社も巻き込んでいくことも検討されています。リアルタイムで販売情報を共有できれば、出版社にとっても数多くのメリットが期待できるからです。「出版社から書店までカバーした情報共有により物流効果の向上が実現できれば、出版業界の流通の仕組みが根本から変わる可能性もあります。Web-OPAS の構築はそのためのスタートライン。今後は書店や出版社の皆様と一緒に、出版物をどのように売っていくかを考えていきたいですね」(荻田氏) 。
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