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Linux ベースの自己導入型ソリューションを Hyper-V™ でサービス化。
ゲスト OS として Linux を稼働することによって、サービス提供型ビジネスへの転換を短期間、少工数で実現
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スポーツ クラブ施設総合情報システム「ATOMS」を全国 300 か所のスポーツ クラブに納入した実績を持つ株式会社両備システムソリューションズ (以下、両備システムソリューションズ) は、売り切りからサービス提供型ビジネスへの転換を目指して ATOMS のサービス化を企図。ソース コードを書き換えるのではなく、仮想システム上のゲスト OS として Linux を稼働させる運用形態を選ぶことにより Linux ベースの既存アプリケーションとデータベースを短期間、少工数でサービス化することに成功しました。そのための仮想システムとして同社が選んだのは、Windows Server® 2008 の標準仮想化機能である Hyper-V。マイクロソフトと Novell の 2 社が協力して相互運用性を確保しており、仮想システムと Linux の両面で確実なワン ストップ サポートを受けられることが、採用決定の決め手となりました。サービス化された新商品「ATOMS-A」は 2009 年 8 月に暫定版が完成し、商用サービスも始まっています。
<導入背景とねらい>
ソリューション パッケージの提供形態を「売り切り」から「サービス」へと転換


株式会社両備システムソリューションズ
常務取締役
井戸 万寿三 氏
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株式会社両備システムソリューションズ
CRM 事業部 営業グループ
課長
坂口 幹雄 氏
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岡山市中区に本社を置く株式会社両備システムソリューションズは、両備グループに属する情報サービス企業の再編・統合に伴って 2004 年 4 月に誕生したソフトウェア企業です。本社以外の事業所として岡山市南区に本店、大阪府と東京都には支社もあり、合わせて 177 名 (2009 年 4 月現在) のエンジニアが民間企業向けのシステム開発、システム インテグレーション、ソリューション パッケージ開発などの業務に携わっています。
これらの業務のうち、同社が今後のビジネスの中核に育て上げようとしているのが、「サービスとしてのソリューション パッケージ」です。同社常務取締役の井戸 万寿三 氏が語ります。
「システム開発やシステム インテグレーションは県内や中国地方のお客様向けが中心となりますが、自社開発したソリューション パッケージは既に全国展開を果たしています。現時点では売り切りがほとんどなのですが、今後も激変が予測される IT 環境において、ソリューションをご利用いただくお客様を、システム運用の束縛から解放し、安心してお使いいただける、サービスという形態への転換をねらっています」。
こうした期待のかかるソリューション パッケージの代表格が、フィットネス クラブやスイミング スクール向けに提供されているスポーツ クラブ施設総合情報システム「ATOMS」です。その特長を、同社 CRM 事業部営業グループ 課長 坂口 幹雄 氏が語ります。
「スポーツ クラブの業務全般をご支援できる総合型のソリューションであることが ATOMS の最大の特長です。具体的には、会員管理や会費収納管理といった CRM 機能だけでなく、物品販売の物販管理、メタボ改善などの運動処方、経営者向けの経営分析、スタッフ向けのスイミング スクール管理や大会記録管理などと幅広い機能を備えており、既に全国 300 施設に導入されています」。
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株式会社両備システムソリューションズ
CRM 事業部 システム開発グループ
チーフ エンジニア
米田 素啓 氏
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株式会社両備システムソリューションズ
執行役員
岡部 泰之 氏
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この ATOMS は、主に、顧客サイトに設置する自己導入型のクライアント サーバー システムとして販売されてきました。アプリケーションとデータベースは Red Hat Enterprise Linux ベースのサーバー上で稼働し、利用者 (スポーツ クラブのスタッフ) は Windows PC 上で動作するリッチ クライアントからアクセスする方式です。同社 CRM 事業部 システム開発グループ チーフ エンジニア 米田 素啓 氏が語ります。
「場合によっては、お客様ごとのニーズに応えるために、アプリケーションの機能をカスタマイズしたうえでお納めするケースもあります」。
この他、ATOMS の機能を Web サービスとして提供するオプションも用意されていますが、すべての機能が実装されているわけではありませんでした。
<導入経緯>
Linux ベースのクライアント サーバー システムを短期間、低コストでサービス化
クライアント サーバー版の ATOMS と同等の機能を Web サービス版と同じような方式で提供できないものか。2009 年 1 月、時代の変化に合わせて ATOMS を進化させていくための検討が両備システムソリューションズの CRM 事業部で始まりました。
営業サイドが求めたのは、「導入時の初期費用をもっと安くできないか」ということでした。「サーキット トレーニング」と呼ばれる小規模スポーツ クラブへの売り込みや 2008 年後半からの厳しい経済状況への対応を進めるには、高価なハードウェアを前提としないソリューションが欠かせなかったのです。
一方で、技術サイドは「充実した機能を保ったままで、 Linux ベースのソフトウェア資産をサービス化したい」と考えていました。現行の ATOMS Web サービス版は一部機能に限定して最大公約数的な仕様に基づいて作られているので、スポーツ施設ごとの事情に配慮したきめ細かな機能やサービスを提供することはできません。けれども、クライアント サーバー版をサービス化するにはソース コードをすべて書き直す必要があり、工数と期間の点で現実的とは言えませんでした。
そこで浮上したのが、クライアント サーバー版の ATOMS を Linux 対応の仮想マシン上で稼働させるというプランでした。
「弊社はこれまで、仮想マシンを組み込んだシステムを多数開発してきました。その経験と技術を適用することにより ATOMS のサービス化を短期間・低コストで行えるのではないかと考えたのです」(井戸 氏)。
また、同社執行役員で、開発部門を統括する岡部 泰之 氏は、「サーバー サイドの Linux は弊社の得意とする技術ですから、できるだけそのままの形で活かしたいという思いがありました」と語ります。残る課題は、仮想マシンを実現するための方式に何を選ぶかということでした。


株式会社両備システムソリューションズ
ソリューション部
IT 技術グループ
主任技師
吉田 徹 氏
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「最も簡単なのは、弊社が以前から開発・運用で経験を積んできた仮想システム製品を選ぶことでした」と語るのは IT 基盤の構築を担当している、同社 ソリューション部 IT 技術グループ 主任技師 吉田 徹 氏です。しかし、吉田 氏は「それまでの運用経験から、何かトラブルが起きたときの問題切り分けが難しくなることは確実」とも考えていました。
仮想システム製品のベンダーは、その上で動作するゲスト OS やアプリケーションの動作までは保証しないのが一般的なため、ソフトウェア障害が発生した場合、その原因がどのレイヤーにあるかの判定は、ユーザーが自らの責任で行わなければならないのです。
これに対して 2008 年 6 月に登場したマイクロソフトの Hyper-V には充実した技術サポートが約束されているという優位性がありました。こうした検討の結果、井戸 氏は、「マイクロソフトと Novell の 2 社が協力して相互運用性を確保している Hyper-V なら、仮想システムと Linux の両面で確実なワン ストップ サポートが受けられる」と判断。採用することを前提に Hyper-V ではどのような機能が実現できるかを確認することにしました。
<システムの概要>
Hyper-V 上で Linux をゲスト OS として稼働。アプリケーションとデータベースの移行を実現
検証がスタートしたのは、2009 年 2 月のこと。Red Hat Enterprise Linux で動作していたアプリケーションとデータベースを SUSE Linux Enterprise Server ベースのテスト環境に移し替え、動作に支障がないか確認するところから作業が始まりました。
「Hyper-V でサポートされている Linux は SUSE Linux Enterprise Server ですから、まず最初に Red Hat Enterprise Linux からの移植性を検証する必要があったのです」(岡部 氏)。
機能確認のためのテストを行い、要修正箇所の抽出を済ませた後は、パフォーマンスやキャパシティといった非機能要件の確認が行われました。
「1 台のサーバー上で 10 仮想マシンを稼働させることを前提に、現行のクライアント サーバー型と同程度のレスポンスが得られるかどうかを調べていきました」(米田 氏)。
その結果、最も迅速な応答が要求される入退館処理 (IC カードによる施設利用者の認証と照会) も 1 秒以下で完了するとの見通しが得られました。
2009 年 3 月末に、岡部 氏は以上の検証結果を経営層に報告。併せて、スポーツ クラブ向け ASP 型会員管理システム「ATOMS-A (エース)」として開発に着手することと 6 月に開催されるヘルス & フィットネス業界のコンベンション「HEALTH AND FITNESS JAPAN 2009」にプロトタイプを出展することの了承を取り付けました。
将来の拡張も考慮に入れた ATOMS-A のシステム構成は 2 台の物理 サーバーをペアのノードとして運用するクラスター構成になっています (図 1)。平常時は、それぞれの物理サーバーで 5 個ずつ、合わせて 10 個の仮想マシンを稼働させる運用形態。片方のノードに障害が発生した場合は、残りのノードで 10 個の仮想マシンすべてを稼働させるようにします。OS は、ホスト パーティション用が Windows Server 2008 Enterprise、5 個のチャイルド パーティション用が SUSE Linux Enterprise Server 10 個という選択になっています。また、管理ツールとしては、ユーザー認証とアクセス制御用の Active Directory®、物理/仮想サーバー管理用の Microsoft® System Center Virtual Machine Manager 2008、システム モニタリング用の Microsoft® System Center Operations Manager 2007 を 1 台の物理サーバーにインストールしました。管理ツールを System Center 製品で揃えた理由は集中管理によって、仮想マシンの台数が増えたときの管理工数増を抑えるためです。
マイクロソフトの System Center 製品は Windows Server だけでなく Linux も管理できるのが特長です。たとえば System Center Virtual Machine Manager 2008 は Linux 用のチャイルド パーティションのプロビジョニング、稼働管理、変換、最適化ができるほか、System Center Operations Manager 2007 と連携させることで物理環境と仮想環境の一元的監視も行えます。また、System Center Operations Manager 2007 の監視機能は業界標準のしくみに基づいていますから Syslog 連携 SNMP を利用したパフォーマンス/トラップ監視、TCP ポート監視なども標準構成だけで可能です。


図 1 Hyper-V ベースで構築された、スポーツ クラブ向け ASP 型会員管理システム「ATOMS-A (エース)」。アプリケーションを SUSE Linux Enterprise Server 上で動作させることにより、移植に要する工数の削減と開発期間の短縮を実現。 [拡大図]

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<導入の効果>
構築の過程で得られた経験とノウハウを武器に、他の領域でも積極的に仮想化案件を提案予定
ATOMS-A プロトタイプの構築とテストは 2 か月ほどで完了。2009 年 6 月 17 日から 19 日の会期で開かれた「HEALTH AND FITNESS JAPAN 2009」に出展したところ、来場者の大きな注目を集めることができました。さらに、このプロトタイプをリファインしてチューニングを施した暫定版も 8 月初めに完成。親会社の株式会社両備システムズが運営するインターネット データ センター (iDC) の設備を利用しての商用サービスも始まっています。暫定版をサービス インできたことについて、井戸 氏は次のように高く評価しています。
「Linux ベースのアプリケーションを Hyper-V でサービス化することによって、短期間かつ少ない工数で、弊社の目指すサービス提供型ビジネスへの第一歩を踏み出すことができました」。
また、それによって同社のビジネス全般が活気づいたことも、もう 1 つの重要な成果です。「Hyper-V ベースの仮想システムを構築する過程で得られた経験やノウハウを武器に、他のソリューションやソフトウェア開発の領域でも仮想化にかかわる案件を積極的に取っていくつもりです」と、井戸 氏は意気込みを語ります。
さらに、CRM 事業部の営業担当者として、坂口 氏はビジネスの幅が広がったことを、次のように評価しています。
「ATOMS と ATOMS-A が揃ったことで、より幅広い顧客層に弊社の商品をアピールできるようになりました。既に商談を進めているスポーツ クラブの方からは、『初期導入費用がほとんどかからず、毎月の経費で落とせる』とのお言葉をいただいています」。
<今後の展開>
Hyper-V 2.0 の Live Migration に期待。仮想デスクトップ インフラストラクチャも視野に
今後の拡張計画としてまず予定されているのは、2009 年内にも登場予定の Hyper-V 2.0 への対応です。同社では、そのための共有ストレージとして iSCSI 方式のものを既に準備しています。
「仮想マシンを物理サーバー間で瞬時に移動する Live Migration が可能になりますから、可用性向上のための機能強化策として可能な限り早く実装するつもりです」(岡部 氏)。
また、長期的なテーマとして、仮想デスクトップ インフラストラクチャ (VDI) を利用した「クライアント PC の仮想化」も候補に挙がっています。
「それほどリッチな機能を必要としない業務の場合、iDC 側に用意したクライアント環境をご利用いただいた方が可用性の点でも管理工数の点でも有利になります」(吉田 氏)。
ATOMS-A 用のクライアント端末についても、同じやり方で仮想化することを考えているとのことでした。
「発足後の一時期は Linux を主体としたソフトウェア企業でしたが、これからの両備システムソリューションズは、マイクロソフトの協力を得て、さらに広範囲のお客様のご要望に応えるべく励んでいきます」(井戸 氏)。
多方面での成長を続けようとするソフトウェア企業にとって、Hyper-V は既に欠くことのできない基盤技術となっています。
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