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Microsoft® SQL Server™ 2000 と MapInfo で実現した
低コスト、高パフォーマンスかつ拡張性高い、
住民参加型 Web-GIS 地図情報システムの構築
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わが国の 7 割を占める中山間地域は過疎化、高齢化という大きな問題を抱えています。この現状を GIS(地理情報システム)という情報テクノロジで打破し、新しい地域社会を住民自らの力で描き直していこうという試みが島根県で行われています。
<導入背景と狙い> 中山間地域が抱える問題点
「山間地域と平野の地域はおわかりですね。この間が中間地域。中間地域と山間地域を合わせて中山間地域といい、これが日本の国土の 7 割を占めているのです」と、とかく難しくなりがちな行政用語をわかりやすく説明してくれたのは、島根県中山間地域研究センター 地域研究課 主任研究員の藤山浩氏です。島根県に限らず、中山間地域は共通して、人口の減少と高齢化など、いくつかの大きな問題を抱えています。その背景には、高度経済成長期に多くの若者が都市圏に仕事を求めて流出したこと、海外から安い農産物や木材が輸入されるようになり基幹産業であった農業と林業が衰退したことなどの要因があげられます。「これからの 21 世紀、海外の自然や資源を浪費せず持続的に暮らすことが求められています。中山間地域を、私たちのいのちと暮らしを支える「みなもと」の地として、「生命地域」と呼びたいと考えています。」と藤山氏は続けます。
1999 年、全国で初めて「中山間地域活性化基本条例」を制定した島根県は、県民、市町村総ぐるみで生命地域としての中山間地域の再生に取り組んでいます。その一環として藤山氏らが取り組んでいるのが、Web-GIS 地図情報システム「中山間地域情報ステーション」です。


島根県中山間地域研究センター 地域研究課 / 主任研究員 藤山浩氏
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GIS(地理情報システム)とは、地図データと位置に関するさまざまな情報をコンピュータで管理し、活用する仕組みのことです。藤山氏は 4 年前から GIS に着目し、島根大学と共同して、中山間地域を構成する“集落”(主に 100 人程度のコミュニティ)がどのような分布になっているのかを地図データに落とし込む作業から手をつけました。その結果、どの地域の高齢化率が高いのか、人口減少率についてはどうなのかといった疑問に対して、視覚的に分析ができるようになりました。
次に行ったのはバス路線の GIS 化です。たとえば、「病院までの乗車時間は?」という分析をかけ、地域の人口地図と重ねてみると、どこが一番不便なのかということが一目瞭然でわかります。このように、GIS を使って地図データとその位置に関するさまざまな情報を一元管理し、いろいろな切り口でこれを分析して表示される地図を何枚か重ねることで、これまで気づかなかった事実を浮き彫りにすることができます。
「この作業を私たちセンターの職員だけでなく、住民のみなさんが主体となってやっていけるようにしたのが Web-GIS による情報ステーションです」と、藤山氏は説明します。
<導入システムの紹介> MapInfo + SQL Server 2000 による「〜ダス」
「中山間地域情報ステーション」は、住民が入力した各種データを地図と連動して表示し、分析できるシステムで、既に多くのプロジェクトが提案されています。その例として次のようなものがあります。
- けものダス(〜ダスは、Data Acquisition System(データ取得システム)の頭文字)
けものを発見したらそのポイントをインターネット上の地図で場所をクリック。日時や頭数、被害など発見情報を入力すると、リアルタイムに地図データベースに反映され、鳥獣対策や保護対策に活用できる。
- スクールダス
地図データベースを活用して、小、中、高校など教育機関に地域に関する総合学習を自由に行ってもらい、共同研究の実施、研究成果発表の場に利用する。
- 森〜川〜海つなぐダス
森の源流から川、海にいたる水循環に着目したシステム。サケの遡上、イルカ発見情報などをマップ化し、流域保全 NPO の活動 PR などにも利用してもらう。
- 地域活動ダス
中山間地域を構成する集落の情報、各種コミュニティ活動、農林業普及活動情報、イベントマップなど、地域活動を活性化する目的のシステム。
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島根県中山間地域研究センター 地域研究課 主任研究員 笠松浩樹氏
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これらのプロジェクトはあくまでもサンプルであり、住民からの意見を集約して今後新しい「〜ダス」やマップが追加される予定です。また、「中山間地域情報ステーション」には、情報コーディネーターとして小村あかね氏、システムオペレーターとして森山慶久氏が常駐し、地域住民のつなぎ役やデータベースの管理を担当します。
このシステムのソフトウェア構成は次のとおりです。OS として Microsoft Windows® 2000 Advanced Server を採用、GIS 分析ソフトウェアとして採用されたのは、MapInfo 社の MapInfo Professional です。
「いろいろ検討しましたが、操作性が群を抜いていたこと、利用できるデータが幅広かったこと、比較的低コストで導入できることなどが選択理由です」(藤山氏)と、その選択理由を話してくれました。MapInfo Professional で作成したデータをイントラネット、インターネット経由で利用するために、MapInfo 社が用意しているのがインターネットマッピングサーバー、MapXtreme for Windows および空間データ管理システム SpatialWare SQL Server です。MapXtreme for Windows は、リクエストされた地図データを GIF 画像にして Web サーバー(Microsoft Internet Information Services 5.0)に返します。GIF は全てのブラウザが対応している標準形式であり、地図のように色数が限られている場合、サイズが小さく抑えられるという利点があります。MapXtreme は、Microsoft Active Server Page をサポートしているので、迅速にアプリケーションを開発することができるのも大きな特徴です。一方、地図データの展開には非常に時間がかかります。複雑なデータ構造を持つ空間データに対するクエリーは、通常、該当するレコードが見つかるまでシーケンシャルにこれを走査するという作業を要するからです。SpatialWare は、あらかじめ空間インデックスを SQL Server 2000 上に持つことで、GIS エンジンとの高速なデータのやりとりを可能にしています。
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島根県中山間地域研究センター 情報ステーション システムオペレーター 森山慶久氏
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「MapInfo 社によるこれらのツールとの高い親和性(特に、SpatialWare は SQL Server 2000 専用で、拡張ストアドプロシージャを使って 150 におよぶ豊富な空間関数をインプリメントしています)、低い導入コスト、他業務にも活用できる汎用性」(藤山氏)などを考慮して、RDBMS として SQL Server 2000 が選択されました。
「将来的なアクセス増加に対しては Microsoft Application Center 2000 を使った負荷分散ができます。また、Pocket PC と GPS(位置情報システム)カードを使った最短経路の検索など、GIS との組み合わせでより効果的な利用法がいろいろ考えられるシステムには SQL Server 2000 Windows CE Edition を連携させるなど、規模や目的に応じて柔軟に拡張可能である点も SQL Server 2000 をはじめとする Microsoft プラットフォームに統一した理由です」(株式会社バーテックスシステム談)
Web で収集されたデータは、ユーザー認証サーバーに送られ、そのランクによってデータベースに反映するかどうかが決定されます。たとえば、ゲスト扱いの入力はプライオリティが低く、あくまでも仮登録となり、承認が済むまでメインデータベースに内容が反映されることはありません。一方、研究開発者、地域の特派員として積極的に何度もこのシステムを利用する人にはより高いプライオリティが与えられ、迅速なデータベースの更新ができる仕組みになっています。こうすることによって入力データの精度をあげ、より正確なデータ収集を可能にしています。
<導入結果と感想、新たな展開> 注目度も高く、実際の地域住民の参加こそがカギ
2002 年の 10 月に、同センターは移設、拡充オープンが予定されています。ほぼ同時期の本システム公開に向けて、現在、各分野の調査メニューの募集、選定を行っている段階です。
「気象データと農作物の生産高の相関、博物館、観光資源、文化資源の GIS 化など、やりたいことはいっぱいあります」(藤山氏)と、内部からもアイディアが次々と出てきています。地元新聞紙にも記事として取り扱われたり、Web-GIS について企業から商業的アプローチの可能性について打診があったり、注目度は高まっています。しかし、このシステムの主役はあくまでも地域住民です。「住民参加」について地域研究課 主任研究員、笠松浩樹氏は次のように語ってくれました。
「たとえば、イノシシの出没情報などを寄せてくれる農業に携わっている住民の年齢は 60 代が多く、インターネット人口が多いといわれている 20〜30 代とはかけ離れています。正確なデータを豊富に集めることがこのシステムでは重要ですから、私たち職員が足で稼ぐ情報収集や情報収集を担う特派員の配置も必要だと考えています」
また、正確な情報収集を重視する一方、たとえば「スクールダス」では子供たちがコンピュータを通じて、メダカやカエルなどの取り組みやすいテーマで、地域社会や自分たちを取り巻く自然、環境に、より積極的にかかわることになるでしょう。この意味で「中山間地域情報ステーション」は、埋もれていた情報を収集、分析するツールであると同時に、それ自身が地域社会とのかかわりを促す面白い仕掛けとなるといえるでしょう。
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