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Microsoft Office Visio を活用した減災マップ作り。
地域防災に貢献しながら中学生の地理の学習意欲を促進。
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墨田中学校では、3 年生の有志 5 人が Microsoft Office Visio を活用した減災マップ作りに取り組みました。減災マップとは、震災、火災、人災、交通事故のカテゴリ別に、災害発生の危険がある場所をマップ上に示し、災害防止に役立てようというものです。さらに「フィールドワーク in Japan」という全国の中学生による地域調査報告会で、その成果を発表。発表内容のテーマ設定から、調査、まとめまでを生徒自らが取り組んだすばらしい発表となりました。
<フィールドワーク in Japan>
優れた力を持つ中学生のために発表の機会を


フィールドワーク in Japan
会長
佐野 金吾 先生
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2007 年 3 月 10 日に江東区教育センターで開催された、「第 5 回 フィールドワーク in Japan (FIJ)」。墨田中学校は、Visio を活用した減災マップの発表を行いました。震災、火災、人災、交通事故の 4 種類のカテゴリ別にマップを作成し、災害の危険性のある場所や消化器設置場所など安全対策のポイントになる場所などを配置。ポイントによっては、現地をデジタルカメラで撮影し、地図内に配置されたアイコンからリンクさせ、適宜その写真を提示しながらの立体的な減災マップの発表となりました。
指導にあたっている前墨田区立墨田中学校 進路指導主任 主幹 高圓省三先生(現墨田区立文花中学校 教務主任 主幹)は、減災マップ作りがテーマとなった理由を説明します。
「墨田中学校の学区域は関東大震災の時に大きな被害を受けています。そのことから非常に防災意識が強い地域なのです。こうした要因もあり、減災マップを作ろうということになりました。もちろん、減災というのは造語です。防災というと大げさに聞こえるので、私が命名しました」。
FIJ は、有志により組織された FIJ 実行委員会と全国中学校地理教育研究会が主催する、全国中学生の地域調査報告会です。優れた学力を持った生徒たちのために、その学力の発表の機会をつくることを目的として運営されています。元々は有志が集まり、「フィールドワーク in Tokyo」として 1989 年から開催されていましたが、2003 年より「フィールドワーク in Japan」として全国規模で行われるようになりました。
各校の発表の内容や方法は年々進化し、今回の FIJ では、ビデオ撮影をしたものや、Microsoft Office PowerPoint を使ったもの、あるいは外国語を駆使したものなど、非常にレベルの高い発表がそろいました。墨田中学校の Visio を活用した減災マップもその 1 つです。
現在会長を務めている佐野金吾先生は、FIJ について次のように説明します。
「FIJ では『子どもたちの“?”を“!”に』というスローガンを掲げています。子供たちにはすばらしい力があって、さまざまな疑問を自ら解決していくことができます。しかし、その“?”を“!”にするためには、私たち教師が手を貸してあげることも重要です。発表のまとめの段階などで、先生がアドバイスを与えると、子供たちの中に新しい発見が生まれることがあります。デジタルの地図を使って、さまざまな検証ができるようになれば、それもまた、子供たちの発見を生む、有効な手段となることでしょう」。
さらに佐野先生は続けます。
「世間では子供たちの無気力化などとよく言われていますが、私たちはそうは考えません。力もあるしエネルギーもあります。ですから子供たちの力やエネルギーを表現できる場所を提供してあげるということが大事になります。 FIJ はそうした目的から始まりました。実際の FIJ をご覧いただければわかると思いますが、生徒たちは自分で課題を見つけて取り組み、それをまとめて表現するということを私たちの想像以上のレベルでやり遂げています」。
<減災マップ作成活動の経緯>
地図制作の活動を通じて地域防災に貢献
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財団法人日本地図センター
地図研究所
研究第一部
主管研究員
小堀 昇 氏
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墨田中学校の減災マップ作りの活動は 2 年前にさかのぼります。
「2 年前、1 年生全員 (3 クラス 92 名) の手で、このマップ作りは始まりました。ですから今回発表した 3 年生 5 人は、1 年生の時からずっと関わってきたメンバです。当時は模造紙に手書きで作成した減災マップでしたが、FIJ の最優秀賞をいただきました」と高圓先生はマップ制作の発端を説明します。
活動の 2 年目には、地域の人々に減災マップの取り組みを広めようという目的から、墨田中学校を担当している保護司の方が中心となり、町会長、警察、消防などと連携して、地域の防災シンポジウムが開催されました。参加者からは、減災マップ作りの有用性に対する理解をいただいたとのことですが、一方でいくつかの改善点も浮かび上がりました。色鉛筆で塗っているので、少し見づらいということ。そして、作成した班によって地図の精度にばらつきがあることなどです。
その解決法として、初めて電子化の話が浮上しました。財団法人日本地図センター 地図研究所 研究第一部 主幹研究員の小堀昇氏から、「vMap」という Visio を使った減災マップの電子地図を勧められたのです。


株式会社マイスター
シニアエンジニア
伊勢 和史 氏
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「今は多くの学校でパソコンを利用した授業が行われていますので、生徒たちは Microsoft Office Word や Microsoft Office Excel を使えるようになっています。Visio も Office 製品ですので、同じようなアイコンやメニューの配列になっていて、生徒たちが覚えやすく導入しやすいだろうと思いました」と小堀氏は Visio 専用のベクター地図である vMap を勧めた理由を説明します。
そして、もう 1 つ重要な理由が、パソコンのスペックの問題でした。
「一般の地図ソフトは、いろいろな機能が備わっていて操作が複雑になるので、高いスペックを要求します。しかし、一部の私立中学校を除いて、大抵の学校ではスペックの低いパソコンが利用されています。そのような環境でも軽快な動作をするためには、Visio は最適でした」(小堀氏)。
vMap の開発元である株式会社マイスター シニアエンジニアの伊勢和史氏は vMap について次のように説明します。
「vMap はシンプルな白地図なので、色付けをしたり、さまざまなアイコンを配置したりと自由な地図作成が可能です。たとえば、消火栓の数や配置を調べているときには、消火栓のアイコンを、マウスでドラッグ&ドロップして白地図の上に配置するだけでいいのです。今回の生徒さんたちはあっという間に覚えてしましました。アイコンを自分で作るのも容易ですし、弊社のホームページでも、さまざまな種類のアイコンを提供していますので、不自由なく、いろいろな研究に使っていただけると思います」。
墨田中学校の減災マップが電子化されることになったとき、佐野先生から高圓先生に 1 つのアドバイスがありました。それは、「1 人暮らしの高齢者の分布図を作る」という提案です。
墨田区の「災害弱者サポート隊」というボランティア組織に中学生が参加して、高齢社宅を訪問。減災マップに、1 人暮らしの高齢者の情報を反映し、いざというときの救助活動に役立てようとするものです。
「中学生が 1 人暮らしの高齢者のお宅を訪問して、コミュニケーションを図ることに大きな意味があります。それに、保護司の方が訪問すると嫌がられる高齢者の方もおられますが、中学生であれば、すんなりと受け入れてもらえます」(高圓先生)。
<ソリューション>
わずかな期間で写真入りの減災マップを作成
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前墨田区立
墨田中学校
進路指導主任
主幹
高圓 省三 先生
(現墨田区立文花中学校 教務主任 主幹)
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2007 年の FIJ に参加した減災マップのメンバは、全員が中学 3 年生。高校受験という大きなイベントがあったため、減災マップのアップデートは、有志 5 人の手で行われることになりました。
しかも、全員が受験を無事に終えてからの作業開始となったため、スケジュール的な余裕がありません。FIJ での発表までに残された時間は 1 週間を切っていました。
「2 年前に手書きで作成した地図をベースにしたのですが、さらに精度を上げるため、火曜日からもう一度地域を回って情報を集めることから始めました。発表は土曜日ですから本当に時間がありません。建物や消火栓、消化器の位置をもう一度全部確認しました。そしてそれらの情報を基に Visio での作成に移ったのですが、それがもう木曜日でした。間に合うか心配だったのですが、生徒たちは驚くほどの早さで操作を覚えてしまいました」(高圓先生)。
Office 製品を使い慣れている生徒たちにとって Visio の操作を覚えることはとても簡単なことだったと高圓先生は言います。
「生徒たちはマイスターの伊勢さんから操作方法を少し教わったただけで『うん、分かった』と言って、本当に翌日にはマップを仕上げてきました。それをまたみんなで手直しして完成させました。私自身はなかなか覚えられないのですが、子供たちはもう、 Word や Excel などですっかりパソコンに馴染んでいるのですよね」。
また Visio では各種画像を挿入できるということも、大きなメリットでした。
「Visio を使っていると、地図の中に、写真や動画をリンクさせてしまうことも簡単にできてしまいます。そこで今回、私がギリギリになってから『デジカメで写真を撮って、地図上に追加して、実際の町の様子をみてもらおう』と提案して、また大急ぎで子供たちに頑張ってもらいました。白地図に手書きする作業はたいへんですが、Visio での作成は簡単でとてもきれいに作れますので、生徒たちは本当に楽しんで作業をしていたようです」(高圓先生)。
忙しいスケジュールにも墨田中学校の生徒たちのエネルギーが尽きることはなく、FIJ で発表する段取りやスピーチの内容も、すべて生徒自身がまとめあげたといいます。
「1 年生の時から今回のような発表を繰り返しているので、要点をまとめながら、持ち時間内で発表が終わるようにしっかりと段取りを立てることに慣れています。今回の FIJ でも 10 分という持ち時間の中、9 分 51 秒でしっかりと発表を終えました。生徒たちが自ら課題を見つけ、自ら課題を追求し、自らまとめるという FIJ の目的をそのとおり実践したすばらしい発表だったと思います」(高圓先生)。


「第 5 回 フィールドワーク in Japan」における墨田中学校の発表
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<今後の展望>
生徒たちの生きる力を育む
高圓先生は生徒たちが持つ力のすばらしさを語ります。
「地図作りの活動を見ていると、中学生のすごさに驚かされます。教師はただ発表の場を紹介しているだけですけれど、実際に取り組んでいる生徒たちはどんどん成長しているのですね。私は 20 数年間教員を続けていますが、今の子供たちには力があると思います。テレビなどではよく、国際比較で日本の子供たちの学力が下がっているといわれますが、それは一面的なものの見方でしかありません。決して、子供たちが駄目になったわけではありません。それは今回の発表を見れば、分かってもらえるでしょう」。
また地図制作の活動は、学習指導要領の主旨を具現化するものであるとも説明します。
「今の学習指導要領では、生徒が自分で課題を見つけ、自分の足で調べ、そこで得られた発見を地図にまとめあげる学習を推進しようとしています。しかし、地理を学んできた先生が少ないこともあり、現実には、あまり実践されていません。しかし、Visio を使えば少ない手間で、気軽に地図を使った授業を実践することができます。肝心なことは、生徒たちが外へ出て発見を得ることです。新しいツールを使うことで、子供たちの活動が広がり、学習指導要領の意図がもっともっと実践されることになれば、すばらしいですよね」(高圓先生)。
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