生命保険業界大手の住友生命保険相互会社が、現在新しいシステムの構築を急ピッチで進めています。このシステムはすでに構築済みの全社ネットワーク「あいねっと 21」をベースに、Windows 2000® Professional を搭載したモバイル PC を全国の営業職員全員に持たせるというもの。営業職員への情報伝達の迅速化や事務処理の効率化はもちろんのこと、アカウンタビリティの充実やコンサルテーションの向上ツールとしても、大きな期待が寄せられています。本番稼動開始は 2001 年 2 月 27 日を予定。導入されるモバイル PC の数は 5 万 5000 台に上り、世界でも最大級の Windows 2000 Professional 導入事例として注目されています。
住友生命ではこれまでも、全国約 2000 箇所の支社・支部を結ぶ基幹系ネットワーク「あいねっと 21」を構築するなど、情報技術の活用を積極的に進めてきました。しかし従来のシステムは支社や支部の中に設置された「オンラインコーナー」で Windows 95 を搭載した PC 端末からホストシステムにアクセスし、そこで提案書のプリントアウト等を行って紙の状態で顧客に提示するというものでした。そのため契約条件の変更などに対応するにはいったん支社や支部に戻る必要があり、顧客に対する迅速な提案や情報提供を行うのは決して簡単ではなかったのです。
そこで住友生命では「あいねっと 21」のインフラを活かし、その上ですべての営業職員がモバイル PC を持ち歩ける環境の構築に着手。この PC で保険設計や情報提供を行うことで、アカウンタビリティやコンサルティング能力の向上、さらに情報伝達の迅速化が目指されています。新たに導入されるモバイル PC の数は 5万 5000 台で、これらすべてに Windows 2000 Professional を搭載。現在アプリケーション開発の最終段階に入っており、2001 年 2 月 27 日から約 1ヶ月間で全国展開が行われる予定になっています。
必要なアプリケーションをモバイル PC 上に載せ オンラインとスタンドアロンの両方に対応
住生コンピューター サービス 株式会社 IT 開発部 部長補佐 奥村 真也 氏
関西日本電気 ソフトウェア株式会社 第二 SI 事業部 第一システム部 部長 津田 康弘 氏
2001 年 2 月に本番稼動を開始するシステムの構成は図に示す通り。すでに構築済みの全社ネットワーク「あいねっと 21」をベースに、約 5 万 5000 台のモバイル PC と、約 6400 台のカラー LAN プリンタが新規に導入されます。ホストオンラインを実行するホストコンピューターや、各種業務処理やシステム運用管理を行うサーバ類は既存のものを活用。モバイル PC は従来のオンライン端末として利用できるほか、スタンドアロンの状態で商品情報の説明や保険設計書の作成などが行えるようになっています。
「今回のモバイル PC 導入で最も配慮したのは、営業職員にとっての使いやすさです」というのは、システム構築全般の統括を行った住生コンピューターサービス株式会社の奥村氏です。その配慮はハードウェアとソフトウェアの両面にわたっています。
まずハードウェア面では、薄くて軽く、高密度なバッテリーを搭載した PC が要求されました。日本電気ではこの要求に応えるため、新規に B5 サイズのサブノート PC を開発。タッチペンや画面反転機能など、営業職員の使いやすさに配慮した機能も盛り込みました。このモバイル PC の重量はわずか 1.29 kg。Windows 2000 Professional が稼動する B5 サブノートとしては、業界最軽量といってもいいでしょう。
このシステムではモバイル PC に顧客情報を載せて持ち歩くことになるので、セキュリティの確保も重要な課題でした。そのために今回のシステムでは、各モバイル PC にそれぞれ異なる「USB キー」を用意し、これをシステムを起動するための"鍵"として利用しています。モバイル PC を利用するためには自分の PC に合致した USB キーを差し込み、さらにパスワードを入力する必要があります。このような二重の認証メカニズムによって、顧客情報の漏洩を防止しています。
オペレーティングシステムに Windows 2000 Professional が採用された理由は、これまで利用していた Windows 95 との互換性、プラグ&プレイのサポート、OS 資源の制約からの開放、そして安定性・安全性が高く評価されたからだといいます。「Windows 2000 Professional は思った以上に安定しています」というのは、システムインテグレーションを担当した関西日本電気ソフトウェア株式会社の津田部長です。「ハングアップのようなトラブルはほとんど発生していません。」
前述の通り、今回開発されたモバイル PC は 2001 年 2 月〜 3 月にかけて全国展開され、本番稼動を開始します。このシステムが本番稼動を開始することで大きく 3 つの効果が期待されています。
まず第 1 はアカウンタビリティやディスクローズの充実です。新しいモバイル PC 環境では、商品内容を PC の画面で動画などを駆使しながらわかりやすく解説することができます。また提案書や契約書をカラープリンターで出力できるため、内容が見やすくなり、注意が必要な文言を色を変えて印刷するなどの工夫も可能になります。
第 2 はコンサルティング力のさらなる強化です。営業職員全員がモバイル PC を持ち歩くことで、顧客の目の前で提案書を作成したり、条件の異なる複数の提案を比較するといったことが容易になります。また顧客から新しい要望が出された場合でも、自社オフィスに戻ることなくその場で対応することが可能です。
そして第 3 が情報管理の徹底です。たとえば顧客へのアプローチを行う場合、その顧客の世帯構成をきちんと理解することで、提案内容のクオリティを高めることができます。今回のシステムでは顧客情報の画面に世帯構成のイメージイラストを表示するなど、営業職員の情報活用を助ける工夫が随所に施されています。もちろん新商品の情報伝達なども、オンラインを介して迅速に行うことが可能です。
これら 3 つの効果は、顧客満足度の向上に大きく貢献するはずです。住友生命は Windows 2000 Professional を利用した新しい情報ツールの展開によって、競争力をこれまで以上に強化できる基盤を確立しつつあるのです。