住友不動産販売株式会社

掲載日: 2001 年 11 月 29 日
既存の間取り図や物件概要を参照し、スピーディに作図する「三銃士」
仲介店舗での販売図面の作成に Microsoft® Visio® をフル活用

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ソリューション概要

プロファイル
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住友不動産販売株式会社は、国内最大手の不動産販売会社です。創業は、1975 年。当初は住友不動産が開発、分譲するマンションと戸建て住宅の販売を行っていましたが、その後、他社物件の受託販売や仲介といった業務にも進出。現在では不動産全般に関する受託販売、賃貸、売買と賃貸の仲介を主要業務としています。国内の仲介店舗数は 196 (2001 年 6 月 25 日現在)、全従業員数は 2,145 名( 2001 年 3 月 31 日現在)

シナリオ
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販売図面作成システム
SFA

ソフトウェアとサービス
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Microsoft Visio
Microsoft Access

メリット
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図面作成ソフト「三銃士」の開発は、特別なソフトウェアを作成せず、Visio メニューのカスタマイズと VBA ソフトウェアやシェイプの追加だけで済ませたことから、非常に低コストかつスピーディーに行うことができました。

ユーザーコメント
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「 Visio の導入を決定したのが 2000 年 5 月で、8 月には一部店舗でパイロット運用を開始、10 月からはすべての店舗で利用できるようになりました。特定の人に作業が集中することなく、短時間に販売図面が作成できるようになったわけで、現場の評判は非常にいいようです」

住友不動産販売株式会社
企画本部 IT 戦略部長
諏訪 朋之 氏談


不動産販売業界では「販売図面」と呼ばれる文書を作成し、この図面を店頭に掲示したりチラシ配布したりして顧客に商品情報を提供しています(図 1 )。ほぼ同一の内容は「レインズ【注】」のデータベースや住宅情報誌にも掲載されるほか、住友不動産販売株式会社leave-msでは自社のホームページで提供している物件情報にも画像ファイルとして掲載しています(画面 1)。この販売図面を作成するための営業支援ツールとして同社が選んだのが、マイクロソフトの「 Visio 」です。

【注】国土交通省の外郭団体「不動産流通機構」。東日本、中部圏、近畿圏、西日本の 4 ブロックに分けて、全国の不動産仲介業者の取り扱い物件を登録したデータベースを運営


図1
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図 1 不動産販売業界で使われる販売図面の例
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画面1
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画面 1 住友不動産販売のホームページで提供している物件情報にも販売図面が画像ファイルとして掲載
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<導入の背景>
1 店舗 1 台の販売図面の作成マシンで、いつも順番待ちの状態


実は、販売図面作成をコンピュータ上で行うことを同社が考えたのは、これが最初ではありません。以前から販売図面作成に利用されていたのは簡易 CAD ( Computer Aided Design ) ベースの間取り図作成ソフトで、各地の仲介店舗にはそのための専用パソコンが 1 台ずつ設置されていました。ただし、このソフトで販売図面を作成するにはディジタイザを使って線 1 本から描き始める必要があり、典型的な間取りの物件であっても、1 枚の販売図面の作図にはかなりの時間を必要としました。パソコンの台数を増やして対処するにはディジタイザを含むシステム全体の価格が非常に高価であるため、図面作成の順番待ちを余儀なくされ効率が悪かったのです。

<システムの概要>
オリジナルのシェイプによる作図でディジタイザを廃止


画面2
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画面 2 「三銃士」の全体処理メニュー
* 画面3
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画面 3 処理メニューから販売図面を選択すると、販売図面の基本的なレイアウトが自動的に表示
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画面4
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画面 4 オリジナルのステンシル総数は 100 個以上。ステンシル上では、「外枠」「建具」「部品」「その他」などに分類
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Visio をベースとした住友不動産販売の販売図面作成システムは、社内では「三銃士」というニックネームで呼ばれています。営業、業務、IT スタッフの 3 部署が共同で作り上げ、利用するシステムというのがネーミングの由来です。前システムと違って、三銃士はすべての営業マンが自分で操作して図面を作成することが前提になっています。このため、約 1,500 人の営業マン全員にパソコンが用意されました。高価なディジタイザは三銃士ではまったく使わず、代りにスキャナとマウスを利用する方式を採用しました。

三銃士を起動すると、Visio の編集ウィンドウに全体の処理メニューとなるパネルが表示されます(画面 2 )。三銃士は Visio に対してメニューのカスタマイズや「 Visual Basic for Applications ( VBA ) 」で開発されたソフトウェアを追加した構成となっており、販売図面に関するすべての機能はこのパネルからボタンのクリックだけで行うことが可能です。

処理メニューから販売図面を選択すると、販売図面の基本的なレイアウトが自動的に表示されます (画面 3 ) 。左に「キャッチコピーと地図」、中央に「間取り図」、右側に「物件の概要」、下に「営業店情報」という、業界標準のレイアウトです。Visio で作成するのは、この中の間取り図の部分になります。

作図方法は、ケースバイケースで柔軟に行うことができます。完全に新規物件の場合は、ステンシルに用意された壁や設備(バスユニットなど)などのシェイプを編集ウィンドウ上にドラッグ アンド ドロップでコピーし、サイズを調整して間取り図スペースにぴったりと当てはまるように割り付けていきます。編集ウィンドウ上には半間(約 90cm)単位のグリッド(補助線)も引けるので、大体の寸法さえわかっていれば作図は非常にスピーディに行えます。シェイプはほとんどがオリジナル作成で、総数は 100 個以上。ステンシル上では、「外枠」「建具」「部品」「その他」などに分類されています(画面 4 )。「販売図面では建築や工事の図面ほどの精密さは要求されないので、登録されているシェイプは業界標準の寸法と形状のものばかりです」(住友不動産販売企画本部 IT 戦略部長 諏訪朋之氏) とのことでした。キャッチコピーや物件概要などは、キーボードから直接文字を入力していくことになります。

既存の間取り図や物件概要の参照でスペィーディーに作図を完成

PHOTO
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住友不動産販売株式会社
企画本部IT戦略部長
諏訪朋之 氏
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現実の不動産販売業務では、販売図面を一から作成しなければならないことはまれです。ほとんどのケースでは、過去に取り扱ったことがある物件のデータを再利用すればよのですが、マンションの間取りは規格化されていることが多く、同じマンションの別室の販売図面があれば、多少の加工や左右を反転する程度の手間で簡単に流用することができます。また、物件概要は業界統一ルールに沿った記述になっているので、もとから転用がしやすいのです。

紙媒体上の間取り図の流用は、JPEG や BMP などの画像ファイルに変換して下絵として利用します (画面 5 )。具体的には、ネットワーク上のスキャナで原稿を読み取り、各自のパソコンで画像ファイルを呼び出し、一度赤色に変更したあとで、Visio のレイヤーの 1 つに縮尺を調整して貼り付け、それをお手本にしながら、ほかのレイヤーに壁や設備などのシェイプをはめ込んでいくのです。

* 画面5
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画面 5 間取り図の流用は、JPEG や BMP などの画像ファイルを下絵に利用
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このときに重要になるのが、レイヤーと縮尺シェイプの使い方です。導入前にいろいろと試してみた結果、「短時間で販売図面を描けるようにするには、あらかじめ下絵を縮尺シェイプで適度な縮尺に合わせ、レイヤーの表示順の階層を逆にたどって制作するのが最も効果的とわかりました」(諏訪氏)ので、社内教育でもその点を強調していると言います。

物件概要などの文字データに関しては、同社のホームページに掲載されている物件情報が流用できます。この目的で、三銃士で Visio のメニューに追加されているのが「Web 取得」という独自の XML データインポート機能です。「Web 取得」のダイアログボックスに物件ナンバーを指定すると、それに対応した Web ページの探索が自動的に行われたあと、HTML ドキュメント内でタグ表記されている物件概要が XML データに変換されて Visio 側に取り込まれます。この機能により、インターネット掲載物件は物件概要入力の重複が避けられます。また、従来専用ソフトで作成していた現地案内図も、ASP(アプリケーションサービスプロバイダー)との提携により Web 上で地図データを取得し、はり付けることで大幅な時間短縮を実現しました。もちろん、これらの画像データにも Visio のシェイプで物件所在地など装飾を施すことができます。

データベースに登録した内容からチラシや売買契約書を作成

画面6
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画面 6 売買契約書などの書類は、物件ナンバーを指定して基本的な項目を自動的に転記させ、足りない項目だけを入力
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販売図面として作成した物件データは、チェックと印刷を行ったあと、一連の流れで作成される「チラシ」のために、データベースに登録されます。対象となるのは物件概要を中心とした文字データと、間取図、案内図で、あらかじめ用意された多数のテンプレートより適当なものを選択し、ボタン 1 つで登録されたデータをレイアウトの異なるチラシへ再現することができるのです。保存先のデータベースにはマイクロソフトの「Access」が利用されています。営業マンのパソコンには共有フォルダ上のテーブルに対するリンクのみが設定されており、リンクファイルに対して「保存」を実行すると Access データベース内の本物のテーブルが更新されるという仕組みです。

データベースに登録されたデータを活用する処理としては、前掲のチラシのほかに、重要事項説明書と連動して作成される売買契約書があります。まず重要事項説明書に物件ごとの固有情報を入力しデータベース登録します。その後、売買契約書を開き、物件ナンバーをキーとして、データベースを取得し不足部分を入力すれば完成します (画面 6 )。詳細な約款は、書式の裏面にあらかじめ印刷されており、住友不動産販売の三銃士ではこの処理も Visio で全面的に行うようにしています。なお、文字データの項目はキーボードから入力する必要がありますが、選択項目では選びたい番号や記号の上をダブルクリックするだけで自動的に「丸印」が付けられます。また、年月日はカレンダーオブジェクトから容易に選択できるなど、現場の営業マンにかかる負荷を極力減らす工夫が随所に施されています。

現時点では、このデータベースは仲介店舗内でのみ共有されており、全社データベースとしての集中管理は行われていません。これにはいくつかの理由があるのですが、ある地域の物件データを別地域の営業マンや顧客が必要とするケースは少ないということが大きく影響しているようです。

ただし、住友不動産販売が全社的な販売データベースを持っていないというわけではありません。同社は顧客関係管理 ( CRM :Customer Relationship Management ) システムを構築済みで、このデータベースに対して各仲介店舗からデータを入力するための全社ネットワークもすでに完成しています。全社管理の対象となる顧客および物件データは、Visio ベースの三銃士ではなく、CRM システムを使って登録することになります。CRM データベースの内容は日々、ホームページの掲載物件情報に更新されるので、販売図面を作成する場合には、すでに説明した Web 取得機能で取り込んで流用すればよいという考えです。

<導入の結果と今後の課題>
短期間かつ低コストで導入を実現
導入決定からわずか 4 か月で完成、稼働


特別なソフトウェアを作成せず、Visio メニューのカスタマイズと VBA ソフトウェアやシェイプの追加だけで済ませたことから、三銃士の開発は、非常に低コストで行うことができました。Visio の導入を決定したのが 2000 年 5 月で、8 月には一部の仲介店舗でパイロット運用を開始。10 月からは、すべての仲介店舗で三銃士を利用できるようになりました。

同社では、具体的な導入効果の定量的測定はまだ行われていません。それでも、「作図作業が簡単になった」「時間がかからなくて便利」といったユーザーの声は多く、現場での評判は非常によいとのことです。特定の人に販売図面の作成作業が集中することなく、短時間に作図できるようになったわけですから、いずれ行われる効果測定でもかなりよい結果が出ることでしょう。

三銃士の開発にあたって、諏訪氏が所属する企画本部では営業マンの労力を軽減することを最大の設計目標にしたと言います。「営業マンの本業は顧客とのコンタクトを増やすことなので、空いた時間をそちらに振り分けてもらいたいです」(諏訪氏)というわけです。三銃士は、この期待にきっとこたえてくれるに違いありません。


* 本事例記事は、Enterprise Servers WORLD 2001 年 11 月号 ( IDG JAPAN) より転載させていただきました。

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