 |
|
「親切一番店」推進のために、欲しいデータがすぐに出せる“顧客情報分析システム”を導入し、CRM 施策を強化。
|
株式会社 東武百貨店では、情報システムを全面的に刷新し、オープン化を進めることを決定。その一環として、戦略的な顧客情報分析と活用を行うために、Microsoft®
SQL Server 2005 をベースとした株式会社 リゾームの「戦略会議シリーズ」を採用しました。CRM 施策の強化を図るこのシステムでは、さまざまな角度からデータを分析し、現場担当者が欲しい形で迅速かつ的確に抽出でき、さらに、蓄積された豊富なデータを駆使して、今まで埋もれていたようなアイデアを実行に移せる環境を実現しています。
<導入背景と狙い>
時代の要請や顧客ニーズの変化に即応するために、オープン系システムに移行


株式会社 東武百貨店
情報システム部
部長
葛馬 正記 氏
|
 |
株式会社 東武百貨店および株式会社 東武宇都宮百貨店(以下、東武百貨店)は、東武鉄道 株式会社を中心とする東武グループの百貨店運営会社として、東武沿線に池袋、船橋、宇都宮、太田原の
4 店舗を展開。お客様が必要とする商品を揃える「グッド・マーチャンダイジング」、心のこもった接客を提供する「グッド・サービス」、そしてお客様に楽しんでお買物をしていただける「グッド・ストア」の
3 つの取り組みで実現する「親切一番店」を経営方針とする、顧客に親しまれる百貨店です。
顧客のロイヤリティの高さは、売上の 6 割をカード会員が占めていることからもうかがえます。東武百貨店では、クレジット機能が付いた青い「東武カード」、外商顧客向けの黒い「ロイヤルカード」「VIP
カード」、および友の会会員向けの「東武友の会カード」を展開しており、カード会員の個人情報や購買履歴情報は、次のサービス展開を見定める顧客戦略のかなめとなっています。
合わせて 100 万会員を超えるこの顧客情報を高いセキュリティの下に、適切に管理しているのが東武百貨店の情報システム部です。東武百貨店 情報システム部 部長 葛馬
正記氏は、次のように話します。
「顧客情報の管理だけでなく、東武百貨店のシステム全般を計画し、それを適切に運用するのが私たちの仕事です。そして、もう 1 つ重要なことは、顧客に親切な店づくりを支援するシステムとして、ユーザーとなるあらゆるスタッフにとって親切な情報システムを提供することです」。
2005 年、東武百貨店では情報システム刷新という大きな決断をしました。現行のホスト システムを 2007 年度に撤廃し、すべてのシステムをオープン系で作り換えることを決定したのです。
ホスト システムが、長期にわたる利用で内部のしくみが複雑化し、現場からの要望にこたえるのに時間がかかっていたため、オープン化によってシステムの柔軟性と拡張性を高め、時代の要請や顧客ニーズの変化に俊敏に対応するための新しいプラットフォームの構築を図ったのです。
システム刷新の一環として、顧客情報を一元的に分析し、顧客のニーズを把握するためのしくみを新たに構築するプロジェクトも始動。その狙いは、顧客のニーズを確実に吸い上げることで、東武百貨店が標榜し続けている「親切一番店」づくりを徹底し、顧客満足度をさらに高めることでした。
新しいシステムに求められた最大の要件は、「現場からの要求に、迅速かつ的確に応え、さまざまな角度から顧客データを分析することができる」こと。もちろん、現場のスタッフたちにも使いやすいシステムでなければなりません。
そこで、東武百貨店 情報システム部では、オーダーメイドによる開発の可能性を含めて、複数社のソリューションを比較。選ばれたのが、Microsoft SQL Server
2005 と Microsoft Windows Server 2003 をベースとする株式会社 リゾーム(以下、リゾーム)の顧客分析システム「戦略会議シリーズ」でした。
<システムの概要と導入経緯>
百貨店業界で初めての採用


株式会社 東武百貨店
情報システム部
マネージャー
中山 正一 氏
|
 |
東武百貨店がプロジェクトを立ち上げ、方向性の検討が開始されたのが、 2005 年 9 月。既存の取引先をはじめとするさまざまな会社に声をかけ、方向性の検討と並行してシステムの選定作業を進めてきました。そして、同年
11 月、展示会に出展していたリゾームのソリューションが目にとまったと、葛馬氏は言います。
リゾームの「戦略会議シリーズ」は、“情報活用型マネジメント”を標榜して開発されています。多くのシステムが電子的なデータの扱いを重視するのと対照的に、会議の参加者がその場でシステムを利用してデータを抽出し、議論に活用できる使いやすさに、その最大の特徴があります。
また、さまざまな顧客分析や売り場分析も、現場の視点で行えることが特徴で、顧客心理や現場の感覚といったデータ化が困難な部分をシステムで管理できることも強みです。
唯一、ネックになると考えられたのは、「百貨店への導入実績がない」ということでしたが、葛馬氏は「同業他社への『導入実績がない』ということと、『機能の評価』は違います。2006
年 1 月にリゾーム様からの正式提案を受けて、予断を持たずに製品そのものを評価した結果、3 月に採用を決定しました」と説明します。
採用を決定した主な理由について、葛馬氏は、次のように説明します。
「まず、会議の席などで出される仮説を検証するためのデータが手軽に、すばやく抽出できることが一番の理由です。これまでは、システムの都合に合わせて、決められた項目の中から要件を細かく定義してリクエストしなければなりませんでした。さらに、データを抽出することにも時間がかかっていたため、上がってきたアウトプットを十分精査できず、本当に価値のあるデータなのかどうかがわからなかったのです。そのため、新しい角度からのデータ抽出も進まず、データ分析自体がルーチンワークに陥っていた部分がありました」。
そして、もう 1 つのポイントがコストにあったと、葛馬氏は話を続けます。
「リゾーム様のソリューションが SQL Server を並行稼動させて性能を高めるしくみによって、低コストに導入できることは、非常に大きなメリットです。また、長期に利用するシステムですから
SQL Server の性能と拡張性、そして将来性を高く買ったのも採用のポイントとなりました」。
システム導入は、2006 年 4 月にスタート。今回、「戦略会議シリーズ」が百貨店に初めて導入されるうえで、ポイントとなったのは「百貨店独自の商品コード体系への対応」でした。
百貨店では、売り場ごとに商品をひも付けて管理する必要があるため、1 つの商品が複数の売り場で販売されているときには、商品のマスタ データを二重に持つことになります。クラス管理と呼ばれるこの独自の商品コード体系に対応するためにリゾームでは、商品マスタとクラス管理用のマスタとの整合性をとりながら運用するしくみをシステムに実装しました。
新システムの規模について、東武百貨店 情報システム部 マネージャー 中山正一氏は、次のように話します。
「現在、月平均で売上の約 6 割をカード会員様が占めています。売上のピークは 1 月 2 日の初売りで、2007 年の実績は池袋店だけでも約 12 億 6000
万円。たとえば、この日のカード会員様の購入金額総計がその 6 割であったとして、複数の商品を購入する顧客がいらっしゃるわけですから、トランザクションは膨大です。それに、過去の購買レコードは年間で約
1 億件。2 年分システムに移行しましたから、約 2 億件のデータをすでに抱えていることになります」。
今回の新システムでは、この膨大なトランザクションを余裕をもって処理することが求められますので、必然的に大規模なものになりますが、コストを低く抑えることができました。複数の
SQL Server を並行稼動させ、処理を分散することでパフォーマンスを高く保つしくみが寄与したのです。今回のシステムは、処理を振り分ける親サーバーが 1 台、処理を分散して行うサーバーが
10 台の構成で稼動させています。今後、データ量が増えても、単純にサーバーを増やしてスケールアウトすることで、最低限のコスト負担で性能を増強することが可能です。
導入作業は順調に進み、2007 年 2 月に各店舗への説明会を実施し、本社−店舗間のインターフェイスのテストを終えることができました。性能面を含めたすべてのテストが完了した
3 月上旬、システムは本格稼動を迎えることになったのです。
<システムの導入効果>
顧客データの分析活用によって、埋もれていたアイデアを現実に
システム稼動後、現場のダイレクトメール発行担当者と売り場の責任者の議論が活性化したといいます。
これまでは、たとえば 1,000 件のダイレクトメールの発行を決めると同時に、発送リストの抽出条件を決めリストを抽出してダイレクトメールを発送するというプロセスでした。「情報システム部門でなければデータ抽出ができないなどの規則もあり、データ抽出に時間がかかっていたため、本当に重要なお客様を抽出できているのかどうかを十分精査することができませんでした。こうした課題解消に、新システムが貢献できる」と葛馬氏は言います。
「顧客情報データ ウェアハウスの導入で、よく効果として挙げられるのは、顧客を絞り込むことでダイレクトメールの発行数が減り、その結果として郵送コストが下がるという一面です。しかし、私たちは、それは、結果としてのほんの一部分のものにすぎないと考えています。より重要なのは、現場に柔軟に考えてもらい、仮説検証を繰り返して、本当にメッセージが響くお客様を見極めてもらいたいということです。さらに、顧客データのさまざまな分析を基にして、新しいアイデアが導き出されるような、そんな環境が必要なのです。その意味で、今回のシステムには大変期待しています」。
また、マーチャンダイジング(品揃え、価格、販売形態の決定など)面では、これまでのシステムでは作業負荷が高く、情報システム部門が十分に提供できていなかった買い回りデータの分析を活かす試みが開始されています。買い回りは、店舗を訪れた顧客が複数の商品を購入する履歴を指します。今回導入したシステムでは、対話型の分析が行えるため、「条件を変えたら買い回りに変化があるかどうか」を予測することが可能になりました。
これらを実現しているのは、ABC や地区/年齢、時系列、売上などの豊富な分析機能により、さまざまな切り口でデータを分析できるリゾームのソリューションと、その分析のベースとなる膨大なデータをリアルタイムに蓄積し、ハイパフォーマンスに処理している
SQL Server の組み合わせにほかなりません。
リゾーム 東京営業所 所長 三浦 芳樹氏は、「『戦略会議シリーズ』の開発コンセプトは、販売の現場にいるお客様の声から出たものであり、使いやすいしくみだと自負しています。当社では、
CRM (Customer Relationship Marketing) の次の段階として“CTM”(顧客動向即応活動:Customer Trend Marketing)という考え方を提唱していますが、東武百貨店様では、まさに当社の想いとも一致して、非常にうまく使っていただいています」と話します。
<今後の展望>
チャレンジングな試みを続けたい


株式会社 リゾーム
東京営業所
所長
三浦 芳樹 氏
|
 |
葛馬氏は、「私たちは、会社から資源を預かって最大のパフォーマンスを出すことが使命です。また、お客様に対しては、『親切一番店』としてのさらなる充実に少しでも貢献することで、還元するという役割もあります。今回、システムをオープン系に全面切り替えするのも、その一環。チャレンジングな会社ですから、情報システム部門としても常にチャレンジを続けていきたいと思います」と語ります。
今後、東武百貨店では、今回導入した顧客分析システムを、より現場に近い担当者にまで拡大していくことも計画していきたいと言います。
「現在、このシステムは顧客分析の担当者とダイレクトメールの担当者だけが利用しています。まだ、運用そのものが始まったばかりですが、今後は、現場の担当者にまで徐々に利用範囲を広げ、政策担当部門などの関連部門と共通のデータを使って自由にやりとりができるようにすることも考えていきたいと思います」(葛馬氏)。
全体会議でもこのシステムを使いながら活発な議論を交わす。そうして、顧客に適切なサービスを的確に提供し、顧客満足度のさらなる向上を図ることが目指す姿です。
顧客と直接接するスタッフにシステムを使ってもらい、彼らの感性やアイデアを土台として活発な議論を促し、仮説検証型のプロセスで「システムをどう使って結果を出すのか」を考える。それが、親切一番店である東武百貨店のこれからの魅力の源泉になるでしょう。
|
|  |
本ケーススタディに記載された情報は初掲載時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。
本ケーススタディは情報提供のみを目的としています。Microsoftは、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。
|
|
 |
|
|
|