InfoPath 2003 を使用した勤怠情報レポートの機能向上

公開日: 2004年9月27日
トピック
技術導入事例技術導入事例
ソリューション ソリューション
アーキテクチャアーキテクチャ
業務上の利点 業務上の利点
得られた教訓得られた教訓
今後の予定今後の予定
まとめまとめ
詳細情報 詳細情報

技術導入事例

発行 : 2003 年 12 月

Microsoft 社内の勤怠情報レポート (TAR) ツールの最初のバージョンでは、休暇と欠勤情報の入力に手間がかかり、使いにくかったため、多くの従業員が自分の勤怠情報を入力しませんでした。このような状況から、従業員が Microsoft を退職したときに、既に消化している休暇期間に対して誤って給与が支払われ、会社にかなりの財政的な負担が生じました。Microsoft IT グループは、Microsoft® Office InfoPath™ 2003 を使用して、5 週間という短納期で改良した TAR ソリューションを開発しました。新しい TAR ソリューションは、以前よりも機能豊富で柔軟なユーザー インターフェイスを備えているため、エンド ユーザーはより直観的な操作を行うことができます。また、週 7 日、1 日 24 時間の稼働体制で 99.7% の信頼性を維持し、休暇と欠勤データをレポートする規則への準拠率を向上しました。

状況

Microsoft では、社内で TAR ツールを開発し、このツールを使用して長期休暇、短期休暇、病欠などの休暇と欠勤期間を把握しています。最初の TAR ツールは、使いにくいものでした。複数の週を一度に参照する、日付の範囲を指定する、1 週間を超える休暇または欠勤データをまとめて送信するなどの操作ができませんでした。このように手間のかかる不便なプロセスであったため、多くの従業員が自分の休暇と欠勤期間をまったく入力しなくなりました。

休暇と欠勤期間に関して報告されなくなったことで、従業員の退職時に財政的な負担が発生しました。従業員が TAR に休暇期間をまったく入力しなかったために、Microsoft では、退職した従業員に対して支払い義務のない休暇期間分の給与を支払ってしまうことがありました。つまり、一部の元従業員は、休暇期間に対する給与を 2 度支払われたことになります。

Microsoft では、35,000 人を超える常勤の従業員が TAR を使用しています。毎年 3 〜 5% の従業員が退職する場合、そのうち 1% の従業員が休暇期間を正確に入力しないだけでもかなりの財政的損失を招くことになります。使いやすいソリューションを早急に導入して、休暇と欠勤データを追跡管理する必要がありました。

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ソリューション

Microsoft IT グループは、Microsoft Office 2003 ファミリの最新ソフトウェアである InfoPath 2003 情報収集プログラムを使用して、新しい TAR ソリューションを 5 週間の短納期で開発しました。従業員は、Microsoft のイントラネット ポータルを通じて、アップグレードされた TAR ソリューションを使用できます。

新しく強化された TAR の Web インターフェイスには、さまざまな新機能が実装されています。たとえば、ユーザーは、ビューを以下の 3 つから選択できます。

月次ビューでは、一度に最大 4 か月分のカレンダーを参照でき、日付を選択してボタンを 1 回クリックするだけで複数の休暇日をレポートできます。

週次ビューでは、休暇と欠勤期間の詳細な時間単位レポートを送信できます。また、報告した時間数の週ごとや年ごとの合計も参照できます。

サマリ ビューでは、レポートした休暇と欠勤期間の詳細な日次サマリを参照できます。また、レポートした期間のカテゴリごとに合計時間数を確認できます。

InfoPath 環境の TAR に対していくつかの機能がアップグレードされています。ユーザーが、月次ビュー (図 1 を参照) で複数のカレンダー週にわたって期間の参照や入力を行う機能を導入したことで、最大限の投資回収効果が実現されました。Microsoft IT グループのプログラム マネージャである Steve Devin は、次のように指摘しています。「月次ビューは、主要な改良箇所の 1 つです。ユーザーは、複数の画面を表示することなく、1 つの画面で自分の情報を検索できます。その結果、使いやすくなり、エラーが減ったことで、勤怠情報を報告する規則の準拠率が高まり、休暇に対して正確に給与を支給できるようになりました」。

図 1 TAR の月次ビュー

1 TAR の月次ビュー

ユーザーは、クライアント コンピュータから入力したデータのレポートを参照します。TAR データベースに接続していない場合でも、TAR のオフライン機能を使用して、すべての休暇データと欠勤データを参照できます。また、自分のデータを確認してから、データを送信してレコードを更新できます。このように、従業員が直接 TAR ツール上で、休暇や欠勤期間を簡単に計画できるようになりました。また、サマリ ビューを使用して、既に送信している 1 年間の休暇と欠勤期間の正確なスナップショットを参照できます。

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アーキテクチャ

最初の TAR ソリューションでは、3 つの異なる Web サービスを使用していました。ユーザーは、アプリケーションの ASP.NET ブラウザ配信を介して TAR との相互通信を行っていました。このアプリケーションでは、データを TAR データベースに送信するとき、およびユーザーのクライアント コンピュータに戻すときに、XML (拡張可能マークアップ言語) と HTML (ハイパーテキスト マークアップ言語) 間でデータを相互変換する必要がありました。休暇と欠勤期間は週単位で、データベースに別々に送信されていました。最初のソリューション チームには、常勤開発者、半日勤務開発者、半日勤務プログラム マネージャ、テスト担当者がそれぞれ 1 名ずつ配属されていました。

TAR アップグレード チームは、非常勤プログラム マネージャ、非常勤開発者、非常勤テスト担当者をそれぞれ 1 名ずつ配属し、最初の構成と比較して必要な人員を全体で 50% 削減しました。TAR アップグレード チームは、利便性と開発の両方の観点から InfoPath のメリットを詳細に評価したうえで、TAR の開発に InfoPath を採用することを決定しました。InfoPath の主要なメリットは、機能豊富で動的なフォームに情報を柔軟に収集できることです。

Microsoft の IT 開発者は、比較的短い学習期間で新しい InfoPath の開発環境を習得しました。TAR アップグレード チームは、開発当時に使用可能であった InfoPath のベータ バージョンを使用して、プロジェクト全体の開始から終了までを 5 週間で完了しました。このため、Microsoft は、財政的な投資回収を迅速に実現することができました。

新しい TAR ソリューションの実行要件は、以下のとおりです。

クライアントへの InfoPath 2003 の完全インストール (Microsoft Office Professional Edition 2003 のインストールまたはスタンドアロン パッケージ製品としてのインストールによる)

Microsoft Windows® 2000 または Windows XP Professional Service Pack 1 (SP1)

Microsoft Internet Explorer 6.0

TAR ソリューション アーキテクチャは、InfoPath 2003 ソリューションのマニフェスト (InfoPath クライアント上に XML データを書式設定して表示するためのファイルのコレクション) を処理するところから始まります。マニフェストは、Microsoft イントラネットに存在する TAR の URL (Uniform Resource Locator) をとおして公開されます。ユーザーは、Web サイトに移動し、マニフェスト ファイルのリンクをクリックします。ソリューションは、ローカル クライアントにキャッシュされ、勤怠データの入力と TAR ツールへの送信は、ユーザーのクライアント コンピュータ上で行われます。

ユーザーのデータを送信する準備が整うと、XML データが XML ベースのプロトコルである SOAP (Simple Object Access Protocol) を経由して Web サービスに送信されます。Web サービスは、ストアド プロシージャを使用する Microsoft SQL Server? 2000 データベースへの書き込みを最終目的として、Microsoft ADO.NET を使用してデータを書式設定します。その後、データは、逆の同じ経路をたどってクライアント コンピュータに戻り、TAR インターフェイスに表示されます。Microsoft IT グループは、2 × 1.4 GHz のプロセッサと 2 GB の RAM (ランダム アクセス メモリ) で構成された 2 台の IIS (インターネット インフォメーション サービス) 6.0 サーバーで TAR を実行しています。

ASP.NET アーキテクチャでは、ユーザー アクションごとにデータベースを呼び出す必要がありました。InfoPath アーキテクチャでは、クライアントがセッションごとに 1 回だけデータベースと通信し、すべての関連データを格納します。TAR では、データベースと複数回通信する必要がなくなり、クライアント コンピュータとデータベースとの通信時におけるユーザーの待ち時間が短くなったため、ユーザー エクスペリエンスが向上しています。また、このことから、サーバー負荷の減少と、ネットワークおよびインフラストラクチャ利用率の向上も実現しています。

図 2 は、TAR のアップグレード バージョンのアーキテクチャを示しています。

図 2 TAR のアーキテクチャ

2 TAR のアーキテクチャ

TAR アップグレード チームは、InfoPath ベースの TAR ツールに、既存の XML 期間追跡スキーマを再利用しました。また、いくつかのコードを確認し、パフォーマンス テストを実施することで、高度なセキュリティが確保されていることを確認しました。

TAR のアップグレード バージョンの開発に使用されたその他のテクノロジには、以下のものがあります。

Microsoft JScript® ‐ すべての TAR ビジネス ロジックの記述には、JScript を使用しました。

C# ‐ TAR アップグレード チームでは、Web サービスの開発に C# を使用しました。

TAR アップグレード チームは、より直観的なユーザー インターフェイスを求めており、その方針は、使いやすさと操作性を備えた柔軟でデータが豊富なフォームを提供する InfoPath の機能に反映されました。

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業務上の利点

Microsoft の IT 開発者は、比較的短い作業期間で、さまざまなアップグレード機能を備えた休暇と欠勤期間記録用の直感的で的確なツールを実現しました。主要な利点は、以下のとおりです。

導入の簡素化 ‐ TAR アップグレード版の導入が、InfoPath により簡単になりました。新たにリリースする場合、ASP.NET ソリューションでは複数のファイルを導入する必要がありますが、InfoPath ソリューションでは 1 つの結合ファイルを導入するだけで済みます。InfoPath を使用すると、ファイルの損失と、その後強制的に導入を再開するリスクが軽減されるため、導入の信頼性が高まります。また、サーバー マニフェストに対する変更は、クライアント ソリューション マニフェストに自動的にすべて反映されるため、メンテナンスとアップグレードが簡単になります。

信頼性の向上 ‐ 現在の TAR は、週 7 日、1 日 24 時間の稼働体制で、前のソリューションと同じ 99.7% の信頼性を確保しています。レポートが大幅に正確になったことが、Microsoft の収支にとって最も重要です。

Web サービスの再利用 ‐ Microsoft IT グループは、InfoPath の機能を活用して、他のエンタープライズ アプリケーション用に XML 形式で格納されている Web サービスを再利用しています。たとえば、Microsoft のヨーロッパのパートナーは、休暇と欠勤期間の追跡に TAR を使用していませんが、TAR の Web サービスを使用することで、国境を行き来する従業員を管理するマネージャに対してデータのグローバル ビューを提供することが可能になりました。

要員の全体的な削減 ‐ TAR は、保守要員を必要としません。発生する可能性のある問題を処理するために製品サポート チームが編成されますが、保守コストは常に最小限に抑えられます。

サーバー負荷の最小化 ‐ エンタープライズ レベルのアプリケーションを実行する企業では、サーバー スペースが限られていることが多いため、サーバーへの負荷を最小限に抑えるソリューションが必要とされます。Microsoft は、InfoPath ベースの TAR ソリューションを使用することで、IT サーバーに対する全体的な負荷を抑えることができました。また、新しいソリューションでは、一度に送信できる休暇と欠勤のデータ量が増えたため、データベースに対する読み取り/書き込み操作の発生頻度が低くなりました。たとえば、従業員が 2 週間の休暇を登録する場合、2 回に分けずに 1 回のクリックでその休暇期間を送信できます。さらに、InfoPath では、クライアントで XML が標準サポートされます。したがって、XML と HTML 間でデータ変換を行う必要はありません。

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得られた教訓

1 つの開発が終わると、ツールやテクノロジを使用した作業の最善の方法に関して教訓が得られるものです。Microsoft の IT 開発者は TAR をアップグレードして、次のような教訓を得ました。InfoPath を使用して Web サービスと通信する予定の開発者は参考にしてください。

Web サービスのメソッドを前もって完成しておくこと ‐ Web サービス (SOAP) のインターフェイスが変わると、InfoPath ソリューションの変更に手間取り、作業に時間がかかる可能性があります。したがって、開発者は、クライアントの InfoPath ソリューションを設計する前に、できる限り Web サービスのメソッドを完成しておく必要があります。

データを前もって収集しておくこと ‐ InfoPath は、単一の Web サービスと通信します。開発者は、導入計画の際に、InfoPath 環境以外のデータを収集する必要性を考慮に入れる必要があります。

学習曲線の計画 ‐ InfoPath ソリューションでは、開発者がコーディング段階から XML ベースで構成する必要があるため、通常の開発方法を変更する必要がある場合があります。また、InfoPath 2003 の最初のバージョンでは、すべてのコードをスクリプトで記述する必要があり、マネージ コードを展開できません。組織で導入計画を作成する際に、開発者が自分の持つ技術や考え方を適合させるための時間をとる必要があります。

最近、Microsoft は、マネージ コードに基づく開発環境を InfoPath でサポートする予定であることを発表しました。この拡張機能は、2004 年度の上半期に、Web サイトからフリーのダウンロード ツールキットとして配布される予定です (http://www.microsoft.com/japan/msdn/office/)。

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今後の予定

Microsoft IT グループは、アップグレード版の TAR ツールの次バージョンを開発する予定です。InfoPath は、プラットフォームと開発者ツールが 1 つのパッケージとなっているため、開発者は、TAR の将来のバージョンを開発するときに、InfoPath に関する知識を十分に活用できます。ソリューションが実用化されると、開発者はそのソリューションの使用を更新および拡張し、マネージャ レポートなどのユーザー シナリオを追加できます。

現在、TAR ソリューションを使用しているのは、Microsoft の常勤従業員です。TAR ソリューションの次バージョンでは、現状で約 2,500 人いる時間給従業員にまで使用対象が拡張される予定です。

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まとめ

InfoPath 開発環境で TAR をアップグレードすることにより、複数のソリューション メリットを得られました。開発チームは、5 週間という短納期の開発サイクルで作業を終了し、従業員へのロールアウトをすぐに行いましたが、このソリューションは 99% を超える信頼性を実現しています。Microsoft にとって最も重要なメリットは、企業全体で休暇と欠勤期間をレポートする規則への準拠率が向上したことであり、その結果、レポートがより正確になりました。正確なレポートが提出されるようになり、元従業員に対して休暇期間分の給与を余分に支払うリスクが低減したため、投じた資本に対して実際に財政的効果を Microsoft は得られました。

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詳細情報

インターネットでは、次の Web サイトで当社の情報をご覧いただけます。

http://www.microsoft.com/japan/

http://www.microsoft.com/japan/technet/itsolutions/msit/default.mspx


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