SQL Server 2005 Reporting Services (SSRS)

公開日: 2005年10月6日

SQL Server 2005 の主要なコンポーネントの 1 つに、SQL Server 2005 Reporting Services があります。Reporting Services は、当初、SQL Server 2000 と共にリリースされ、組織全体でレポートの作成、管理、および配布を行うための包括的な環境を備えた、エンタープライズ対応レポート作成プラットフォームを提供しました。SQL Server 2005 Reporting Services は、エンタープライズ レポート作成の追加機能を提供することで、新たなユーザー ニーズを満たします。つまり、"一時的" な方法でデータと相互作用するだけでなく、独自のレポートを最初から作成し、他人と共有したいと考えているビジネス ユーザーの要望に応えます。Reporting Services では、レポートとの対話を求めるさまざまなユーザーの要件を、1 つのレポート作成ソリューションで解決できるようになりました。このドキュメントでは、SQL Server 2005 Reporting Services の新しい機能について説明します。

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トピック
リリース テーマリリース テーマ
コア製品の強化コア製品の強化
統合レベルの強化統合レベルの強化
開発者エクスペリエンスの向上開発者エクスペリエンスの向上
エンド ユーザーの支援エンド ユーザーの支援
まとめまとめ

リリース テーマ

Microsoft SQL Server 2005 Reporting Services (SSRS) には、4 つの主要なテーマがあります。個々の機能の詳細については、以下の節で説明します。

コア製品の強化

SQL Server 2000 Reporting Services を使用したユーザーからのフィードバックに基づいて、SQL Server 2005 のレポートの設計、処理、対話機能などの複数の面で強化されています。また、パフォーマンスとスケーラビリティが向上しています。

統合レベルの強化

SQL Server 2005 Reporting Services では、SQL Server Integration Services (SSIS)、SQL Server Analysis Services (SSAS)、SQL Server Management Studio などの、SQL Server 2005 のその他のコンポーネントとの統合が強化されています。また、企業のポータル シナリオへのレポートの追加を容易にする Microsoft SharePoint 製品およびテクノロジとの統合も強化されています。

開発者エクスペリエンスの向上

Microsoft Visual Studio との連携によって、Reporting Services は Visual Studio 開発環境への強力なレポート作成機能の統合を実現します。さらに、自由に再配布が可能な Microsoft Windows コントロールと ASP.NET コントロールによって、サーバー ベースのアプリケーションとクライアント ベースのアプリケーションのいずれにもレポート作成機能の組み込みを容易に行うことができます。

エンド ユーザーの支援

SQL Server 2005 Reporting Services には、レポート ビルダというツールが含まれています。これは新しい一時レポート作成ツールで、ビジネス ユーザーは独自のレポートを作成し、企業情報を閲覧することができるようになります。レポート ビルダは、元になるデータ ソースについて技術的な理解がなくてもレポートの構築を可能にする、わかりやすいビジネス クエリ モデルを備えています。

コア製品の強化

SQL Server 2005 Reporting Services における機能拡張の多くは、ユーザーからのフィードバックに基づいて SQL Server 2000 に対して行われたものです。

クライアントによる直接印刷

SQL Server 2000 の Reporting Services で印刷する場合は、レポートを印刷可能な形式 (PDF、TIFF、または Excel) にエクスポートしてから、プリンタに送信する必要がありました。SQL Server 2005 Reporting Services では、エクスポートを行わずに、印刷ジョブを直接送信することができます。

印刷するには、HTML ビューアのツール バーにある新しい印刷ボタンをクリックします。初めて印刷機能にアクセスすると、ユーザーのワークステーションに小さな ActiveX コントロールがダウンロードされます。その後で、標準的な Windows の [印刷] ダイアログ ボックス (図 1) が表示されます。

図 1

図 1

プリンタと印刷するページ範囲を選択できます。必要に応じて、用紙の方向や余白を変更できます。また、図 2 に示すように、ページ出力をプレビューし、出力結果イメージを確認することも可能です。

出力結果イメージに問題がなければ、印刷ジョブはレポート サーバー上でレンダリングされ、クライアント指定のプリンタに送信されます。

エンド ユーザーによる並べ替え

SQL Server 2005 Reporting Services では、レポートの作成者は、自身が公開したレポートを閲覧するユーザーに対して、レポート内のデータを並べ替えることができるようにする機能を追加できます。

図

データの並べ替えを再実行するときにはデータベース クエリを改めて実行する必要がないため、スナップショットやキャッシュされたレポート上で行うことができます。また、この機能では、複数列の並べ替えや、ネストされたデータまたはグループ化されたデータの内部で実行する並べ替えもサポートしています。

複数値パラメータ

SQL Server 2000 Reporting Services におけるレポート パラメータの定義では、ユーザーによる単一値の入力を許可することしかできませんでした。たとえば、"color" という名前のパラメータがあった場合、そのパラメータには "red" と "blue" のどちらかの値しか入力できませんでした。SQL Server 2005 Reporting Services では、レポートの作成者が任意のパラメータを複数値に設定することができます。たとえば、図 3 では、1 つのパラメータに対して複数の値が選択されています。

図 3

図 3

ユーザーが一連の値を選択すると、レポート処理エンジンにより、適切な SQL 構文または MDX 構文が作成されます。また、レポートの作成者は、パラメータの既定値について一連の値を設定することもできます。開発者は、URL アクセスまたは Web サービス API を通して、複数のパラメータ セットをプログラムを使って渡すことができます。

カスタムのレポート アイテム

SQL Server 2005 Reporting Services を使用すると、独立系ソフトウェア ベンダ (ISV) および開発者は、カスタムのレポート アイテムの作成を通してレポート処理を拡張できます。カスタムのレポート アイテムは、組み込みの Reporting Services コントロール (テキスト ボックス、罫線、イメージなど) 以外の追加的な機能を提供するためにレポートに埋め込むことが可能なサーバー コントロールです。たとえば、開発者はゲージ、バーコード、地図などを追加することができます。レポート デザイナでは、これらのコントロールを Visual Studio の Toolbox に追加して、プロパティ ページやダイアログ ボックスの独自のセットを設定できます。カスタムのレポート アイテムの例として、"GaugeContainer" を図 4 に示します。

カスタムのレポート アイテムによって、単純なプロパティ設定以上のことができるようになります。カスタムのレポート アイテムは、標準の Reporting Services コントロールのようにデータ セットにバインドしたり、レポート処理エンジンの式の評価、グループ化、並べ替え、フィルタリングなどの機能を利用したりできます。

レポート デザイナの強化

新しいレポート ビルダ クライアント (このドキュメントで後述します) によって、ビジネス ユーザーは容易にレポートを作成できるようになります。その一方、IT 技術者やアプリケーション開発者向けの設計ツールとして、Visual Studio ベースのレポート デザイナも引き続き使用できます。SQL Server 2005 では、レポート デザイナを使用するために Visual Studio (VS) をワークステーションに事前にインストールしておく必要はありません。Visual Studio がインストールされていない場合は、VS シェルのコピーがインストールされ、レポート デザイナとその他の SQL Server 開発ツールがホストされます。レポートの作成者が Visual Studio をインストールした場合は、SQL Server 2000 の場合と同様に、レポート デザイナはアドインとしてインストールされます。

レポート デザイナには、式エディタを含め、いくつかの機能が拡張されました。図 5 は、強化された式エディタを示したものです。

新しい式エディタには、レポートの作成者が利用可能な一連の機能のほかに、インライン パラメータ情報、ステートメントの入力候補、リアルタイム構文チェックなどの IntelliSense 機能が含まれています。

統合レベルの強化

Reporting Services の重要な部分として、既存製品との統合が挙げられます。SQL Server 2005 Reporting Services は、SQL Server のその他のコンポーネントとの統合に加えて、Microsoft SharePoint の製品およびテクノロジとの統合が強化されています。

Analysis Services クエリ デザイナ

SQL Server 2000 では、SQL Server Analysis Services のデータを SQL Server 2000 の Reporting Services に統合することはできましたが、MDX クエリの構築を支援する機能はありませんでした。SQL Server 2005 では、Visual Studio のレポート デザイナに、SQL Server 2005 Analysis Services (SSAS) 対応の統合型クエリ デザイナが含まれています。これにより、サーバー メタデータのドラッグ アンド ドロップ操作と結果のプレビューによって、クエリを構築することが可能になります。図 6 は、新しい MDX クエリ デザイナを示したものです。

Analysis Services クエリ デザイナには、結果をフィルタリングしたり、MDX クエリを簡単にパラメータ化したりする機能も実装されています。

SQL Server Management Studio の統合

SSRS の管理に従来どおりレポート マネージャを使用できますが、SQL Server 2005 には Windows ベースの SQL Server Management Studio を介して Reporting Services の展開を構成し、管理する機能も含まれています。Web ベースのレポート マネージャに代わるものとして SQL Server Management Studio は、リレーショナル データベース、Analysis Services、Integration Services、および Reporting Services を含むすべての SQL Server コンポーネントの単一管理ポイントを提供します。図 7 は、SQL Server Management Studio を示したものです。

Management Studio では、オブジェクト エクスプローラとプロパティ ダイアログが統合されました。さらに、レポート サーバーのスクリプト コマンド ライン ツールを通じて実行可能なレポート サーバー スクリプトの生成を完全にサポートします。

レポート作成を支援する SharePoint の Web パーツ

SQL Server 2005 Reporting Services には、SharePoint Portal Server 2003 または Windows SharePoint Services 環境へのレポートの統合を容易にする Web パーツ セットが含まれています。図 8 は、レポート ビューアおよびレポート エクスプローラの Web パーツを示したものです。

レポート エクスプローラの Web パーツにより、レポート サーバーのフォルダ階層を参照できるようになります。レポートの表示や、レポートのサブスクリプションの作成や編集を行うことができます。レポート ビューアの Web パーツを使用すると、複数ページ構成のレポートの表示やナビゲートを行ったり、サポートされている形式にエクスポートしたりできます。Web パーツ接続によってビューアをエクスプローラに接続すると、指定のレポートをポータル ページ上に表示できます。

開発者エクスペリエンスの向上

Visual Studio 2005 (Professional Edition 以降) には、開発者による豊富なレポート機能のアプリケーションへの統合を可能にする Reporting Services 機能が実装されています。この統合は、レポート サーバーの有無にかかわらず、行うことができます。

Visual Studio の統合

Visual Studio 言語プロジェクトには、レポート サーバー プロジェクトでのレポート作成に加えて、レポート設計が完全に統合されています。任意の Windows フォーム アプリケーションまたは ASP.NET Web アプリケーションに対して、レポートを直接組み込むことができます。組み込まれたレポートのデータ アクセス オプションは、Visual Studio のデータ機能を拡張したものです。レポートのデータ ソースとして、従来のデータベースを使用できるだけでなく、オブジェクト コレクションも使用できます。図 9 は、言語プロジェクトに表示されたレポート デザイナを示したものです。

設計にレポート エディタを使用すると、アプリケーション内で定義済みのデータ ソースにアクセスできます。レポートを定義すると、アプリケーションによってレポート ビューア コントロール (次の節で説明します) が使用され、結果が表示されます。

レポート ビューア コントロール

Visual Studio 2005 には、Reporting Services 機能のカスタム アプリケーションへの組み込みを容易にする、自由に再配布が可能なレポート ビューア コントロールのセットが含まれています。レポート ビューアには 2 つのバージョンがあります。1 つは、Windows リッチ クライアント アプリケーション用であり、もう 1 つは ASP.NET アプリケーション用です。図 10 は、レポート ビューア コントロールを示したものです。

このコントロールは、ローカル処理モードとリモート処理モードの両方をサポートします。ローカル処理モードでは、アプリケーションにより、レポートの定義と、データセットおよびトリガのレポート処理が提供されます。リモート処理モードでは、データ検索とレポート処理がレポート サーバー上で行われ、コントロールは表示とレポートのナビゲーションに使用されます。このモデルを使用すると、デスクトップからエンタープライズに至るまで、豊富なアプリケーションを構築することができます。

エンド ユーザーの支援

SQL Server 2005 Reporting Services には、レポート ビルダというツールが含まれています。これは新しい一時レポート作成ツールで、ビジネス ユーザーは独自のレポートを作成し、企業情報を閲覧することができるようになります。レポート ビルダは、元になるデータ ソースについて技術的な理解がなくてもレポートの構築を可能にする、わかりやすいビジネス クエリ モデルを備えています。

レポート ビルダは、SQL Server リレーショナル データベースおよび SQL Server Analysis Services マルチ ディメンション データベースにおけるレポートの構築をサポートします。レポート ビルダは、フル機能のデータ分析ツールとして設計されているものではなく、IT 担当者が自身でクエリ作成やレポート作成を実行できるようになっています。

レポート ビルダ クライアント

レポート ビルダ クライアント (Report Builder) は、レポート サーバーから起動される、ClickOnce 機能を使用した Windows フォーム アプリケーションです。レポート ビルダのユーザー インターフェイスは、Excel や PowerPoint などの使い慣れた Microsoft Office パラダイムの上に構築されています。図 11 は、レポート ビルダを示したものです。

Visual Studio のレポート デザイナの自由形式とは対照的に、レポート ビルダ レポートは事前に定義されたレポート テンプレート (テーブル、マトリックス、またはチャート) を介して構築されます。新しくレポートを作成することも、既存のレポートを変更することもできます。作成したレポートは、必要な権限があれば、レポート サーバーに公開できます。変更が複雑な場合は、レポート ビルダ レポートを Visual Studio のレポート デザイナにロードすることもできます。

レポート ビルダ モデル デザイナ

レポート ビルダを使ってレポートを構築するときは、元になるデータベース スキーマのビジネス モデル表現を使用します。ビジネス モデルを使用してレポートを作成する場合は、接続文字列や、SQL または MDX の書き方などを理解する必要はありません。SQL Server Analysis Services へのアクセスを提供するモデルはレポート サーバー上で自動的に生成されますが、レポート ビルダ モデル デザイナを使用して、SQL Server リレーショナル データベース上に構築されたモデルを生成したり、変更したりすることができます。このモデル構築プロジェクトは、Visual Studio ベースの開発シェル内部における新しいタイプのプロジェクトです。図 12 は、レポート ビルダ モデル デザイナを示したものです。

モデル デザイナを使用すると、IT 技術者は、生成されたモデルの要素を変更できます。作成したモデルは、レポート サーバーに公開し、レポート ビルダ クライアント (Report Builder) からアクセス可能にすることができます。

まとめ

SQL Server 2000 Reporting Services は、組織全体で費用対効果の高いエンタープライズ レポート作成を実現するためにリリースされました。SQL Server 2005 Reporting Services (SSRS) は、これをさらに確かなものにします。クライアントによる直接印刷、エンド ユーザーによる並べ替え、複数値パラメータ、カスタムのレポート アイテム、およびレポート デザイナの拡張を通じて、コア製品の機能向上が実現します。また、SSRS は、SQL Server 2005 Analysis Services、SQL Server Management Studio、および SharePoint Services との緊密な統合によって、レポート作成エクスペリエンスを高めます。統合されたレポート開発に対する Visual Studio 内部での機能向上により、開発環境が改善されます。また、アプリケーション開発へのレポート作成機能の組み込みを容易にするレポート コントロールによって、開発環境が強化されます。さらに、新しく追加された レポート ビルダが、エンド ユーザーを支援します。ビジネス ユーザーは、Visual Studio を離れて、ドラッグ アンド ドロップ パラダイムを活用しながら、また元になるデータベース スキーマを業務向けに変換しながら、レポートの構築や変更を行うことができます。これらのすべての特性を駆使することで、組織全体でエクスペリエンスを向上させ、レポート作成ソリューションの完全性を高めることが可能になります。