サーバー クラスタ : ローリング アップグレード。Windows Server 2003 へのアップグレード

発行 : 2003 年 1 月

概要
この資料では、Microsoft Windows 2000 Advanced Server および Datacenter Server オペレーティング システムを実行しているクラスタを、 Windows Server 2003 Enterprise Edition および Datacenter Edition オペレーティング システムを実行しているクラスタにローリング アップグレードすることの利点と方法を説明します。 また、この資料は、2 ノードの Microsoft Windows Advanced Server クラスタのローリング アップグレードに関するステップ バイ ステップのウォークスルーを提供し、 一部の既知の問題点の説明を行い、 トラブルシューティングの方針をいくつか提供します。

*
トピック
はじめにはじめに
利点利点
必要条件必要条件
制限事項制限事項
ローリング アップグレードの機能方法ローリング アップグレードの機能方法
ローリング アップグレードのウォークスルーローリング アップグレードのウォークスルー
既知の問題点既知の問題点
トラブルシューティングトラブルシューティング
まとめまとめ

はじめに

Microsoft Windows Server 2003 Enterprise Edition および Datacenter Edition オペレーティング システムの機能の 1 つは、 サーバー クラスタでオペレーティング システムのローリング アップグレードを実行する機能です。 ローリング アップグレードは、一度に 1 つのクラスタ ノードをアップグレードする処理です。 その処理は、クラスタが提供するサービスとリソースを、 アップグレード処理中に、常に、利用できるような方法で行います。 アップグレードに関連するシステムのダウンタイムは、1 つのノードから別のノードにリソースを移動するのに必要な時間です。 その時間は、通常 Windows ベースのサーバーをアップグレードするのに数時間必要であることに比べ、 数分にまで削減されています。

管理者は、 Windows 2000 Advance Server から Windows Server 2003 Enterprise Edition に、 または Windows 2000 Datacenter Server から Windows Server 2003 Datacenter Edition にローリング アップグレードを実行できます。 Windows NT Version 4.0 Enterprise Edition から Windows Server 2003 Enterprise Edition への直接的なローリング アップグレードは、サポートされていません。 つまり、Windows NT Version 4.0 から Server 2003 にアップグレードする場合、以下の 2 つの選択肢があります。

最初に、Windows 2000 Advanced Server へのローリング アップグレードを実行してから、 Windows Server 2003 Enterprise Edition にローリング アップグレードを実行することで、 クラスタの可用性を維持できます。

Windows NT 4.0 から Windows Server 2003 Enterprise Edition に、 ローリング アップグレード以外のアップグレードを直接実行できますが、 その場合、クラスタの可用性を維持できません。

混在バージョンのクラスタは、 異なるバージョンのオペレーティング システムを実行しているノードで構成されているクラスタです。 このクラスタは、同種のクラスタと同レベルの可用性を提供します。 ローリング アップグレードをサポートするリソースは、 混在モードのクラスタのノード間で、フェールオーバーとフェールバックの他、移動もできます。

システム ハードウェアやアプリケーションが同じプロシージャをサポートしている場合、 そのプロシージャを使用して、 システム ハードウェアやアプリケーションのローリング アップグレードを行うことができます。 ただし、この資料では、 オペレーティング システムのローリング アップグレードのみに注目しています。 アプリケーションのローリング アップグレードを行うことに関心がある場合、 アプリケーションのドキュメントを確認して、 アプリケーションがローリング アップグレードをサポートしているかどうか確認してください。

この資料は、 読者がクラスタリングの基礎知識を持っていて、Windows 2000 オペレーティング システムと Windows Server 2003 の Microsoft サーバー クラスタに馴染みがあることを前提としています。 これらのコンポーネントの詳細については、Windows Server 2003 Advanced Server のオンライン ヘルプを調べてください。

専門用語

以前のバージョンのオペレーティング システム、 アプリケーション、またはハードウェアを実行しているノードは、"ダウン レベルのノード" といいます。

新しいバージョンのオペレーティング システム、 アプリケーション、またはハードウェアを実行しているノードは、"アップレベルのノード" といいます。

異なるバージョンのオペレーティング システム、 アプリケーション、またはハードウェアを実行しているクラスタは、"混在バージョンのクラスタ" といいます。

利点

ローリング アップグレードは、 多数の利点を提供するので、高い可用性を必要とするミッション クリティカルなシステムにとって最適な代替案と考える必要があります。

以下の 2 つの例を検討します。 ジャックとジル。 ジャックは、スタンドアロンの Windows Server 2003 ベースのサーバーで、 ミッション クリティカルなデータベース アプリケーションを実行します。 彼は、定期的 (3 か月ごと) に Windows Server 2003 オペレーティング システムの Service Pack を適用し、 アプリケーションを年に一度アップグレードして、 ハードウェアのメンテナンス アップグレードも年に一度実行します。 彼は過去の経験から、Service Pack のインストールには平均して 1 時間かかることを知っています。 通常、アプリケーションのアップグレードには 4 時間かかります。 ハードウェアのアップグレードには、30 分から 4 時間程度かかります。 また、彼は、何かに障害があるので、 アップグレードに計画の 4 倍の時間がかかることを年に一度証明できます。 このシステムの年間のダウンタイムの合計は、平均して以下のようになります。

4 x 60 + 240 + 240 + 240 = 16 時間。これは、99.8 パーセントの稼働時間に相当します。

ジルは、2 ノードのクラスタで、ミッション クリティカルな電子メール アプリケーションを実行します。 彼女はジャックと同じ規則を適用しますが、 同時に 2 つのノードをアップグレードするのではなく、"ローリング アップグレード" を実行します。 彼女は、ノードから別のノードにこのアプリケーションを移動するには、 平均して 5 分かかると見積もりました。 したがって、各アップグレードに関連するダウンタイムは、5 分に制限されます。 彼女のシステムの年間のダウンタイムの合計は、平均して以下のようになります。

4 x 5 + 5 + 5 = 30 分。これは、99.99 パーセントの稼働時間に相当します。

ローリング アップグレードは、以下の点で有益です。

ダウンタイムを最小限に抑えます。 ローリング アップグレードは、ソフトウェアまたはハードウェアのアップグレードに関連するダウンタイムを最小限に抑えます。

危険性を最小限に抑えます。 ローリング アップグレードは、アップグレードに失敗した場合にサービスを維持できなくなる危険性を最小限に抑えます。 1 つのノードのアップグレードが失敗した場合でも、 別のノードは依然としてサービスを提供でき、 システム管理者に、新たなダウンタイムを発生させずに障害が発生したノードの修復または置換を行う選択肢を提供します。

柔軟性を高めます。 ローリング アップグレードによって発生するシステムのダウンタイムがほとんどないことは、 管理者が、深夜や週末ではなく、 就業時間中にローリング アップデートを実行できることを表します。

必要条件

Windows 2000 から Windows Server 2003 へのローリング アップデート

Windows Server 2003 オペレーティング システムへのオペレーティング システムのローリング アップグレードをクラスタ ノードで実行するには、 (SP1 または SP2 などの任意の Service Pack が含まれている) Windows 2000 Advanced Server、 または Datacenter Server で開始する必要があります。 Windows Server 2003 オペレーティング システムは、 Windows NT 4.0 などの以前の Windows オペレーティング システムからのローリング アップグレードをサポートしていません。

Windows 2000 Advanced Server から Windows Server 2003 Enterprise Edition へのローリング アップグレードを実行できます。

Windows 2000 Datacenter Server から

Windows Server 2003 Datacenter Edition へのローリング アップグレードを実行できます。

Windows NT 4.0 から Windows Server 2003 へのアップグレード

最初に、Windows 2000 Advanced Server へのローリング アップグレードを実行してから、 Windows Server 2003 Enterprise Edition へのローリング アップグレードを実行します。

Windows NT 4.0 から Windows Server 2003 Enterprise Edition に、 ローリング アップグレード以外のアップグレードを直接実行します。 このアップグレードでは、クラスタの可用性を維持できません。

Windows NT 4.0 から Windows 2000 へのアップグレード

Windows NT 4.0 Server, Enterprise Edition SP4 から SP5 へのアップグレード、 SP5 から SP6 へのアップグレードなどに、ローリング アップグレードを使用できます。 また、ローリング アップグレードを使用して、 SP3 以降の任意の Enterprise Edition Service Pack を Windows 2000 Advanced Server にアップグレードできます。

Windows NT 4.0 から Windows 2000 Datacenter Server へのアップグレードは、サポートされていません。 クリーン インストール処理でのみ、Windows 2000 Datacenter Server をインストールできます。

Windows Server 2003 (64 ビット) Enterprise Edition LE リリースから Windows Server 2003 (64 ビット) Enterprise Edition へのアップグレード

任意のバージョンの Windows Server 2003 (64 ビット) Enterprise Edition LE リリースから Windows Server 2003 (64 ビット) Enterprise Edition へのローリング アップグレードは、サポートされていません。 新規インストールか、Windows Server 2003 (64 ビット) Enterprise Edition へのシステムのアップグレードのいずれかを実行する必要があります。 つまり、アップグレード中またはインストール中は、クラスタを使用できません。

制限事項

ローリング アップグレードは、 通常のアップグレードより破壊的ではありませんが、 ローリング アップグレードは、ノード間でのアプリケーションの移動を必要とするので、 サービスを維持できなくなる場合がわずかにあることに留意する必要があります。 アプリケーションをノードから別のノードに移動するとき、 アプリケーションを停止する必要があります。 アプリケーションを停止した後、 クラスタ サービスがディスク、インターネット プロトコル (IP) アドレス、 またはネットワーク名など、アプリケーションが使用するすべてのリソースを別のノードに移動して、 別のノードでアプリケーションを再起動します。 クライアントとサーバー アプリケーション間のすべてのセッションが、 この処理中に停止されます。 その結果、データベース トランザクションがアボートされ、 ファイル ハンドルが無効になります。 2 番目のノードでサーバー アプリケーションを再起動した後、 クライアント アプリケーションを再試行でき、 最終的には再接続および復元できます。 影響が最小限でも、無視してはいけません。

1 つのノードをアップグレードしているときの 2 ノードのクラスタの可用性は、制限されます。 一方のノードをアップグレードしているときの 2 番目のノードの障害が原因で、 クラスタに障害が発生します。

2 ノードのクラスタのローリング アップグレード中に、 すべてのリソース グループを 1 つのノードに移動します。 つまり、クラスタのすべてのノード間にリソースが分散しているクラスタでは、 他のノードをアップグレードしている間、 すべてのリソースをホストしているノードを最大限の能力で実行できます。 このことは、アプリケーションの応答時間に影響を与える可能性があります。

2 つ以上のノードを持つ Windows 2000 Datacenter Server クラスタのローリング アップグレードの場合、 ユーザーには、アップグレードするノードから別のノードにリソースを移動する選択肢とは別の選択肢があります。 構成とノードの能力により、 アップグレードしているノードから、 追加の負荷を処理できるノードにリソースを移動することがあります。 また、アップグレード済みのノードから別のノードにリソースを配布して、 パフォーマンスの影響を軽減できます。 ローリング アップグレードを開始する前に、 各ノードのアップグレード中にどのリソースをどのノードに移動するか計画を立ててください。

注意
Windows Server 2003 Datacenter Edition は、OEM からのみ入手できます。 Windows Server 2003 Datacenter Edition の可用性については、OEM ベンダに問い合わせてください。

あらかじめ、クラスタのローリング アップグレードの計画を立てることは重要です。 混在バージョンのクラスタを数日間実行してから、 残りのダウンレベルのノードを Windows Server 2003 にアップグレードすることに決定した場合、 違う計画を立てる必要がある場合があります。 Windows 2000 オペレーティング システムから Windows Server 2003 に、 および Windows Server 2003 から Windows 2000 オペレーティング システムにフェールオーバー (およびフェールバック) できるサービスやアプリケーションを見つけます。 この情報は、異なるバージョンのオペレーティング システムを実行しているノード間で、 リソースをフェールオーバーまたは移動する必要がある場合に役立ちます。 混在バージョンのクラスタのサポート要件については、アプリケーションのドキュメントを確認してください。

クラスタ サービスは、 アップレベルのノードが、 ダウンレベルのノードが形成するクラスタに常に参加できることを保証します。 またクラスタ サービスは、リソースが、 ダウンレベルのノードにフェールオーバーおよびフェールバックできること、 およびダウンレベルのノードからフェールオーバーおよびフェールバックできることを保証します。 ただし、クラスタ サービスは、 アプリケーションもオペレーティング システムのローリング アップグレードを行うことは保証できません。 以下の表 1 は、クラスタ サービスがサポートするクラスタを利用できるリソースの動作をまとめたものです。

1 ローリングアップグレード中にサポートされる、またはサポートされないリソース

リソース注意

ファイル共有

ローリング アップグレード中にサポートされます。

IP アドレス

ローリング アップグレード中にサポートされます。

ネットワーク名

ローリング アップグレード中にサポートされます。

物理ディスク

ローリング アップグレード中にサポートされます。

WINS

WINS は、ローリング アップグレード中にサポートされません。 WINS リソースのローリング アップグレード中、以下の手順に従う必要があります。

1.

適切な Service Pack がある場合、 システムが Windows 2000 と適切な Service Pack を実行していることを確認します。

2.

クラスタ アドミニストレータのコンソール ツリーで、[グループ] フォルダをダブルクリックし、 WINS リソースを 1 つのノードに移動します。 リソースが含まれているグループをクリックして、[ファイル] メニューの [グループの移動] をクリックします。

3.

前の手順で移動した WINS リソースをホストしていない各ノードのオペレーティング システムをアップグレードします。

4.

アップグレードしていないノードから、 新しくアップグレードしたノードのいずれかに、 以前の手順で移動した WINS リソースを移動します。

注意

アップグレード後、WINS リソースは Windows 2000 のノードにフェールバックできません。

通常、上記の手順に従うことで、 ローリング アップグレードをサポートしないリソースの最高の可用性が得られます。

DHCP

DHCP は、ローリング アップグレード中にサポートされません。 DHCP リソースのローリング アップグレード中、以下の手順に従う必要があります。

1.

適切な Service Pack がある場合、 システムが Windows 2000 と適切な Service Pack を実行していることを確認します。

2.

クラスタ アドミニストレータのコンソール ツリーで、[グループ] フォルダをダブルクリックし、 DHCP リソースを 1 つのノードに移動します。 リソースが含まれているグループをクリックして、[ファイル] メニューの [グループの移動] をクリックします。

3.

前の手順で移動した DHCP リソースをホストしていない各ノードのオペレーティング システムをアップグレードします。

4.

アップグレードしていないノードから、 新しくアップグレードしたノードのいずれかに、 以前の手順で移動した DHCP リソースを移動します。

注意

アップグレード後、DHCP リソースは Windows 2000 のノードにフェールバックできません。

通常、上記の手順に従うことで、 ローリング アップグレードをサポートしないリソースの最高の可用性が得られます。

分散トランザクションコーディネータ

ローリングアップグレード中にサポートされます。ただし、混在モード (混在バージョン) のクラスタとして操作しているとき、 MSDTC リソースを作成または削除してはいけないことに注意してください。代わりに、任意のノードでアップグレードを開始する前に MSDTC リソースを作成するか、すべてのノードでアップグレードが完了するまで待つ必要があります。

インターネットインフォメーションサービス

「Windows 2000 インターネット インフォメーション サービスから Windows Server 2003 へのローリング アップデート」を参照してください。

NNTP サービス

NNTP サービス インスタンスは、Windows Server 2003 Enterprise Edition でサポートされていません。 したがって、アップグレードを行う前に、NNTP サービス インスタンス リソースをすべて削除する必要があります。

SMTP サービス

SMTP サービスは、Windows Server 2003 Enterprise Edition でサポートされていません。 したがって、アップグレードを行う前に、SMTP サービス リソースをすべて削除する必要があります。

タイムサービス

タイム サービスは、Windows Server 2003 Enterprise Edition でサポートされていません。 したがって、アップグレードを行う前に、タイム サービス リソースをすべて削除する必要があります。

ローカルクォーラム

ローリング アップグレード中にサポートされます。

メッセージキュー

プライマリ エンタプライズ サービス、 プライマリ サイト サービス、およびバックアップ サイト サービスは、 ローリング アップグレード中にサポートされません。 その他のメッセージ キュー サービスの構成は、 ローリング アップグレード中にすべてサポートされます。

1.

MSMQ クラスタ リソースをすべてオフラインにします。

2.

また、MSMQ リソースごとに異なるネットワーク名リソースをオフラインにします。

3.

Windows 2000 から Windows Server 2003 Enterprise Edition に、すべてのノードをアップグレードします。

4.

ネットワーク名リソースをオンラインに戻します。 分散トランザクション コーディネータ (DTC) リソースがオンラインであることを確認してから、MSMQ リソースをオンラインにします。

印刷スプーラ

ローリング アップグレード中にサポートされる印刷スプーラ リソースは、 ライン プリンタ リモート (LPR) ポートのリソースだけです。 詳細については、Windows Server 2003 Enterprise Edition CD-ROM または Windows Server 2003 Enterprise Edition リソース キットの印刷マニュアルを参照してください。

その他の種類のリソース

アプリケーションまたはリソースに付属する製品ドキュメントを参照してください。

ローリング アップグレードを実行する前に、 ローリング アップグレードをサポートしないクラスタのリソースを識別します。 このことは、使用する必要があるアップグレードの手順を判断するときに役立ちます。

インターネット インフォメーション サービスのローリング アップグレード

Windows Server 2003 は、IIS をアップグレードできるスクリプトを提供します。 スクリプトを使用するか、 手動でアップグレードを行うかのいずれかを選択できます。 Windows Server 2003 オペレーティング システムでは、汎用スクリプト リソースを使用して、クラスタで IIS を管理します。

以下の 2 つの方法は、IIS がインストールされているクラスタをアップグレードできる方法です。

1.

提供されたスクリプトを使用して、IIS が含まれているクラスタで Windows 2000 からアップグレードする方法。

1.

アップグレードしているクラスタで、 分散トランザクション コーディネータ (DTC) リソースをまだ保持していない場合、このクラスタで DTC リソースを作成します。

2.

IIS インスタンス リソースが含まれているノード以外のすべてのノードを、 Windows 2000 から Windows Server 2003 Enterprise Edition にアップグレードするか、 ローリング アップグレードを実行します (必要性に応じて、いずれかを実行します)。

3.

アップグレード済みのノードで、コマンド プロンプトから %systemroot%\system32\inetsrv ディレクトリに移動して、

iis_switch クラスタ名 [グループ名] を実行します。

説明

クラスタ名

アップグレード済みのノードでホストされているクラスタ名または仮想サーバー名。

グループ名

既定では、スクリプトが、クラスタのすべての IIS Web と FTP リソースをアップグレードします。 ユーザーには、特定のリソース グループを指定する選択肢もあります。

注意
スクリプトは、新しく作成された汎用スクリプトリソースが含まれているグループをオンラインにします。ただし、グループのリソースがすべてオフライン、またはスクリプト実行時にだけ部分的にオンラインになる場合、アップグレード後にリソースをオンラインにする処理が失敗します。

スクリプトは、クラスタ グループに存在する IIS リソースをアップグレードしません。

スクリプトが完了した後、IIS を使用して、 アップグレード済みのノードで Web サイトを開始します。 この段階で、IIS は、Windows 2000 Server クラスタに存在しない汎用スクリプトを使用するので、 Server 2003 ノードでのみホストされることができます。 ここで、最後のノードをアップグレードします。

2.

IIS が含まれているクラスタで、Windows 2000 から手動でアップグレードする方法。

1.

アップグレードしているクラスタで、 分散トランザクション コーディネータ (DTC) リソースをまだ保持していない場合、 このクラスタで DTC リソースを作成します。

2.

IIS インスタンス リソースが含まれているノード以外のすべてのノードを、 Windows 2000 から Windows Server 2003 Enterprise Edition にアップグレードするか、 ローリング アップグレードを実行します (必要性に応じて、いずれかを実行します)。 IIS インスタンス リソースの依存関係を確認した後、 Windows 2000 ノードで IIS インスタンス リソースをオフラインにします。 IIS リソースに依存するリソースを確認し、 IIS 自体が依存するリソースも確認する必要があります。

3.

IIS インスタンス リソースのすべての依存関係を削除した後、IIS リソースを削除します。

4.

グループを Windows Server 2003 Enterprise Edition ノードに移動して、汎用スクリプト リソースを作成します。

注意
手順 3 の確認に基づいて、 現在削除した IIS リソースの依存関係と同一の汎用スクリプトの依存関係を再作成します。 IIS リソースに依存していたすべてのものを、 代わりに汎用スクリプト リソースに依存するように作成する必要があります。 また、IIS が依存していたすべてのものに依存するように、 汎用スクリプト リソースを作成する必要があります。 アップグレード済みのリソースが、IIS の汎用スクリプト リソースの所有者であることを確認してください。

5.

新しい汎用スクリプト リソースが含まれているグループをオンラインにします。

6.

IIS を使用して、アップグレード済みのノードで Web サイトを開始します。

7.

最後のノードをアップグレードします。

アプリケーションの考慮点

以前記載したように、 クラスタ サービスは、アプリケーションがローリング アップグレードをサポートすることを保証できません。 ただし、アプリケーションが以下の条件を満たして "いない" 場合、 アプリケーションはローリング アップグレードをサポートできます。

クラスタ化されたディスクにプログラム ファイルを格納します。

リソース DLL の名前または場所を変更します。

システム レジストリ、 またはクラスタ構成データベースのいずれかにあるアプリケーション レジストリ キーを削除します。

アプリケーションのディスク上のデータ構造を変更します。

上記のいずれかを行うアプリケーションは、ローリング アップグレードをサポートしません。

ローリング アップグレードの機能方法

フェーズ 1: 準備構成

通常の事例では、 各ノードは以下のソフトウェアをインストールした状態で、 Windows 2000 Advance Server を実行します。

Microsoft サーバー クラスタ

ファイル サーバー ----> グループ 3 および 4

SQL データベース ----> グループ 1 および 2

この時点で、クラスタは、各ノードがクライアントの要求を処理できるように、 以下の図 1 のように構成されています。

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図 1: 2 つのノードがクライアントを処理する構成

フェーズ 2: ノード 1 のアップグレード

以下の図 2 が示すように、 ノード 1 を一時停止します。 ノード 1 のすべてのリソース グループを、ノード 2 に移動します。 ノード 1 が一時停止しているので、 ユーザーはこのノードに新しいグループを作成したり、 新しいグループを移動することはできません。 この時点で、ノード 2 は、すべてのクラスタ リソース グループを処理します。 ノード 1 はアイドル状態なので、アップグレードできます。

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図 2: アイドル状態のノード 1 とアクティブなノード 2

この時点で、Service Pack のインストールまたは Windows Server 2003 Enterprise Edition へのアップグレードを開始できます (以下の図 3 を参照してください)。 ノード 1 のアップグレードが完了した後、 テストを実行して、オペレーティング システムが完全に機能することを確認します。

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図 3: ノード 1 のアップグレード

クラスタ サービスは、 クラスタのバージョンを統合するほか、 各ノードのオペレーティング システムのバージョンとクラスタ サービス自体のバージョンを管理します。 クラスタ サービスは、これらのバージョン番号を使用して、 異なるオペレーティング システムのバージョンを実行するノードが、クラスタに参加できるかどうか判断します。

フェーズ 3: ノード 2 のアップグレード

アップレベルのノード 1 が、 再びクラスタに参加します。 クラスタ サービスは、アップレベルのノードが、ダウンレベルのノードのプロトコルを理解して、 ダウンレベルのクラスタに参加できることを保証します。

ノード 2 をアップグレードする前に、 クラスタが正常に動作することを確認します。 簡単なテストを行うには、以下の手順に従います。

1.

重要でないリソース グループを選択して、 そのリソース グループをノード 1 に移動します。 この手順が正常に終了した場合、 クラスタ サービスが機能していることが証明されます。

2.

このリソース グループをノード 2 に戻します。 この手順は、ノード 1 がこのリソース グループのリソースを変更しなかったことを証明し、 ノード 1 に障害が発生した場合、 リソースがフェールバックできることを証明します。

以下の図 4 が示すように、 ノード 2 を一時停止します。 ノード 2 のすべてのリソース グループを、ノード 1 に移動します。 ノード 2 が一時停止しているので、 ユーザーはこのノードに新しいグループを作成したり、 新しいグループを移動することはできません。 この時点で、ノード 1 は、すべてのクラスタ リソース グループを処理します。 ノード 2 はアイドル状態なので、アップグレードできます。

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図 4: アップグレード済みのノード 1 とアイドル状態のノード 2

Service Pack のインストールまたは Windows Server 2003 Enterprise Edition へのアップグレードを開始できるようになりました (以下の図 5)。 ノード 2 のアップグレードが完了した後、 テストを実行して、 オペレーティング システムが完全に機能することを確認します。 この時点で、アップレベルのノード 2 が、アップレベルのノード 1 に正常に参加する必要があります。

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図 5: アップグレード済みのノード 2

フェーズ 4: 最終段階

以下の図 6 で示すように、 ノード 2 が再びクラスタに参加するので、 リソース グループをクラスタ構成の 2 つのノードに再配布して戻します。

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図 6: 2 つのノードがクライアントを処理するアップグレード済みの Windows Server 2003 の構成

ローリング アップグレードのウォークスルー

このウォークスルーでは、 Windows Server 2003 Enterprise Edition への Windows 2000 Advanced Server ベースのクラスタのローリング アップグレードを取り上げます。 ローリング アップグレードの最新情報については、 オンライン ヘルプおよび Windows Server 2003 Enterprise Edition CD-ROM のリリース ノートを参照してください。

1.

すべてのリソースの一覧を準備します。

2.

ローリング アップグレードをサポートしないリソースを識別します。

ローリング アップグレードをサポートしないリソースを保持している場合、以下の 3 つの選択肢があります。

1.

リソースをオフラインにして、ローリング アップグレードを続行します。 ローリング アップグレード処理全体にわたって、 リソースが使用できなくなります。 すべてのノードをアップグレードした後、 このリソースをオンラインにする必要があります。

2.

リソースを削除します。 ローリング アップグレード処理全体にわたって、 リソースが使用できなくなります。 すべてのノードをアップグレードした後、このリソースを再インストールする必要があります。

3.

大部分のリソースがローリング アップグレードをサポートしない場合、 すべてのノードを同時にアップグレードすることや、 クリーン インストールを実行することを検討する場合があります。 いずれの場合も、アップグレードまたはインストールの処理中は、リソースを使用できません。

3.

クラスタ アドミニストレータを起動するには (以下の図 7 を参照してください)、[スタート] ボタンをクリックして、[プログラム]、[管理ツール] の順にポイントし、 [クラスタ アドミニストレータ] をクリックします。

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図 7: クラスタ アドミニストレータ

すべてのノードとリソース グループが、稼働中でオンラインです。

4.

最初のノードをクリックします (この例では、I4DELL1N1 です)。

5.

[ファイル] メニューの [ノードの一時停止] をクリックします。 I4DELL1N1 の状態が [一時停止] に変更されます。(以下の図 8 を参照してください。)

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図 8: I4DELL1N1 が一時停止しています。

6.

左側のウィンドウで、[I4DELL1N1] の隣の [+] をクリックして展開します。 [アクティブなグループ] をダブルクリックします。I4DELL1N1 で現在ホストされているすべてのグループが、 右側のウィンドウに表示されます (以下の図 9)。

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図 9: I4DELL1N1 のアクティブなグループ

7.

右側のウィンドウの [Disk Group 1] をクリックします。 [ファイル] メニューの [グループの移動] をクリックします。 一覧に表示されている各グループに対して、この手順を繰り返します。

各グループのサービスを他のノードに移動して再起動している間は、 サービスが中断されます。 グループをすべて移動した後、I4DELL1N2 がすべてのグループをホストして、 すべてのクライアント要求を処理します。I4DELL1N1 は、アイドル状態です (以下の図 10)。

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図 10: I4DELL1N1 がすべてのグループを保持します。

ここで、クラスタにインストールされているすべてのリソースの種類を確認する必要があります。

8.

左側のウィンドウの [リソースの種類] をクリックします (以下の図 11)。

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図 11: リソースの種類

9.

ローリング アップグレードをサポートしないリソースの種類を判断して、 サポートされていないすべてのリソースをオフラインにします。(上記の表 1 を参照してください。)

10.

最新リリースの Service Pack が適用されていることを確認した後、 Windows Server 2003 Enterprise Edition セットアップ プログラムを使用して、I4DELL1N1 をアップグレードします。

注意
Windows Server 2003 セットアッププログラムが、クラスタ化されたディスクのいずれかに一時ファイルを格納しないことを確認するには、インストールオプション /tempdrive:X を使用します。 (詳細については、この資料の「既知の問題点」を参照してください。)

セットアップ プログラムは、I4DELL1N1 のクラスタ サーバーを検出して、 Windows Server 2003 Enterprise Edition 用のクラスタ サービスを自動的にインストールします。 I4DELL1N1 は、アップグレード処理の最後に自動的に再びクラスタに参加しますが、 依然として一時停止しているので、 クラスタ関連の機能は処理しません。

ここで、I4DELL1N1 で検証テストを実行して、機能を確認する必要があります。

1.

I4DELL1N1 でクラスタ アドミニストレータを起動します。 [一時停止] 状態の I4DELL1N1、および [稼働] 状態の I4DELL1N1 の 2 つのノードを確認する必要があります。

2.

[I4DELL1N1] をクリックして、[ノードの再開] をクリックします。

3.

2 番目のノード (I4DELL1N2) で、手順 4、5、6、7、8、10、11、および 12 を繰り返します。

4.

必要な場合は、ローリング アップグレードをサポートしない任意のアプリケーションをアップグレードします。

5.

ノード間でグループを移動して、クラスタをテストします。 すべてのリソースが、任意のノードでオンラインになる必要があります。

既知の問題点

一時ファイルの場所

アップグレード プログラム Winnt32.exe は、 すべての一時ファイルを格納するために、 最大の空き領域があるディスクを選択します。 クラスタでは、このディスクが、クラスタ化されたディスクになる可能性が最も大きくなります。 /tempdrive:X オプションを使用して、 アップグレード プログラムが、一時ファイルを格納するために (クラスタ化されたディスク "ではない") 適切なドライブを使用することを確認します。

印刷スプーラ リソース

印刷スプーラ リソースは、 ローリング アップグレードをサポートしますが、LPR ポートと標準 TCP/IP ポートの種類のみサポートします。 他の種類のポートは、Windows 2000 ベースのサーバー クラスタではサポートされません。

混在バージョンのクラスタを実行しているとき、 プリンタ スプーラやプリンタ構成を変更しようとしてはいけません。

混在バージョンのクラスタでの構成の変更

混在バージョンのクラスタを実行しているときにクラスタ構成を変更することは、 推奨またはサポートされません。 特に、アップレベルの Windows Server 2003 ベースのノードでのみ使用できる種類の新しいリソースを作成しようとしてはいけません。

トラブルシューティング

リソースがローリング アップグレードをサポートしません。

上記の手順 2 の指示に従います。

1 つのノードをアップグレードした後、リソースがオンラインになりません。

リソースをオンラインにできない理由、 またはリソースをアップレベルのノードでオンラインにした後に障害が発生する理由がいくつかあります。

1.

"リソースがローリング アップグレードをサポートしません。"

リソースをダウンレベルのノードに戻して、 オフラインにします。すべてのノードをアップグレードするまで、 リソースをオンラインにできません。

2.

"リソースが Windows Server 2003 との互換性を保持しません。"

3.

"アプリケーションが依存する別のリソースを、オンラインにできませんでした。"

他のリソースが、上記の 1 または 2 に分類されないことを確認してください。

ノードのアップグレードが失敗します。

ノードのアップグレードが失敗した場合、以下の選択肢があります。

1.

ノードを修復します。

2.

バックアップからノードを復元します。

3.

ノードのクリーン インストールを実行します。 この場合、クラスタからノードを削除し、 インストールが完了した後、再びクラスタに参加します。 この処理は、クラスタで実行している他のアプリケーションに影響を与えることがあります。 これらのアプリケーションの再インストールが必要になることがあります。 サーバー クラスタのインストールに関する Windows Server 2003 Enterprise Edition または Datacenter Edition のオンライン ヘルプを参照してください。

まとめ

この資料では、 クラスタのローリング アップグレードを実行するための準備に役立つ情報を提供しました。 ローリング アップグレードにより、 ユーザーは時間とお金を節約し、 何かが失敗しても依然として機能しているサーバーがあることを知っているという安心感が得られ、 クラスタが提供するサービスを使用しているクライアントの満足度が高まります。

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