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マイクロソフト フライトシミュレータ では「シーナリー」というデータを後から組み込むことで新しい地形や機体を追加して楽しむことができます。JapanScenery シリーズ「東京フォトシーナリー」は、日本のクリエイタ−が総力を結集して作成した国内最大規模のシーナリーで、東京湾を中心に横浜、群馬、千葉、さらには大島や八丈島などまでリアルにカバーした壮大な作品です。フライト シム専門の開発団体「JapanScenery」で制作に携わった和田康之さんに開発の舞台裏をうかがいました。 |
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Q : JapanScenery シリーズを開発されたきっかけを教えてください。
まず、「マイクロソフト フライト シミュレータ 2002」から採用された描画方法によって、フォト シーナリーとの親和性が非常に向上した点が挙げられます。従来は、写真を使うと明らかに動作が重くなったり、遠方のテクスチャが剥がれたりしていたのですが、「マイクロソフト フライト シミュレータ 2002」以後かなり快適になりました。ようやくフォト シーナリーが実用になったということでしょう。実際、イタリアの DOLOMITI-TRENTINO SCENERY やアメリカの MegaScenery USA、日本の函館シーナリーなど、とてもよくできたフォト シーナリーが続々発売されているのもこのためです。
私も以前から多少フォト シーナリーをいじっていたのですが、さすがに広域のものとなると、とても個人の手に負えるものではありません。そんな折りに、今回のプロジェクトのプロデューサーで Aerosim.net を主宰されている大本 (usako) さんから、東京周辺のフォト シーナリーを制作しませんか、というお誘いを受けて、開発グループに参加させていただきました。その後、都市オブジェクト シーナリー作者の石井 (Shige) さんと空港シーナリー作者の宮崎 (Shirokuma) さんという、世界の フライト シミュレータ コミュニティーでも有名なお二人も参加されて、ようやくシーナリーとして 1 つの形が見えてきました。もう一点、ちょうど開発が佳境に入ったころに、これまたシーナリー制作で有名な村上卓弥さんが、とても使いやすいフォト シーナリー作成ツールを公開されました。開発環境をこちらに移行したおかげで一気に制作のスピードが上がりました。
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Q : 2004 年 2 月末に発売になったばかりの「東京フォトシーナリー」の手ごたえはいかがですか?
フライト シミュレータ のアドオン ソフトというと、PC ゲーム界でもかなりとんがった分野ですし、当初はかなり悲観的な予測をしていました。ただ、製品としてはなかなかよくできていると思っていましたし、JapanScenery シリーズを導入したらもう戻れないだろう、ぐらいには思っていましたので (笑)、フライト シミュレータ ファンの皆さんに是非一度ご覧いただきたいと。公式サイトでフレーム レートや高度表示を入れたスクリーン ショットやムービーを多数公開したのもそういう思いがあったからです。フライト シミュレータ ファンの皆さんの中には、こだわりの方も多くいらっしゃるのでおっかなびっくりの部分もあったのですが、今のところはおおむね好意的に受け入れられたようでほっとしています。
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Q : JapanScenery シリーズを開発する上で最も大変だったことはどんな点ですか?
そうですね。やはりデータ サイズが、人間とマシンの処理能力の限界ギリギリだったことでしょう。まず空中写真を一万数千枚、手作業で 1 枚ずつ貼っていくのですが、この時点でメンバー全員霞み目との闘いでした。ただ写真を繋いでいくのではなく、地形に沿って補正しながら切り貼りしていくからです。また、シーナリーに変換するために、なるべく巨大な 1 枚の絵にします。これは継ぎ目を極力目立たせないためです。試行錯誤の結果、最大で 1.4 GB のソースになってしまった。この画像データをシーナリーに変換するのは、現在個人が所有できる PC の性能ギリギリだったようです。おかげで我が家はサーバ ルームのようにハード ディスクだらけになってしまいました (苦笑)。
ただ、そこまでしてやっと 1 シーズン分のデータです。「マイクロソフト フライト シミュレータ」のシーナリーに夜景を追加するためには、フル シーズンのテクスチャーを用意しなければなりません。しかし、空中写真というのは基本的に 1 カ所 1 シーズン分しかありませんし、そのうえ地域によって撮影した季節がまちまちです。埼玉で秋の稲穂が実っているのに千葉では青々とした畑がひろがっていたり。これを フライト シミュレータ 上でなんとか違和感のないレベルまで色彩を統一するのが大変でした。解像度を落とさないようにちょっとずつ色を塗り替えていくのですが、まるで写経のような作業でしたね。
夜景に関しては空中写真などありませんから、もうまったく想像の産物で、各地の山頂の展望台からみた夜景の写真などを集めて、灯火のきらめき、光芒をそれらしく表現できないかとがんばってみました。ぜひ、高度 5,000 フィートぐらいで部屋の明かりを消して、夜間遊覧飛行を楽しんでいただきたいです。
もう 1 つ苦労した点としては、Autogen (自動生成) オブジェクトの配置があります。開発当初はフォト シーナリーとのなじみが悪そうなのでやめようかとも考えていたのです。しかし、フライト シミュレータ ファンの皆さんの要望が大きかったので試しに配置してみると案外雰囲気がよい。というわけで作成することになったのですが、なにぶん範囲が広大ですので大変でした。これはツール担当の藤村 (unitan) さんが画期的なツールを開発されましたので、終盤はかなり効率的に行えました。とはいえ写真貼り同様、人海戦術ですので、リリース当日まで駆け込みでかかりましたね。
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Q : 「東京フォトシーナリー」は、「フライト シミュレータ 2004 翼の創世紀」だけでなく、前バージョンの「フライト シミュレータ 2002」にも対応していますね?
「フライト シミュレータ 2002」でも十分楽しめるのですが、やはり綺麗さと軽さの点で断然「フライト シミュレータ 2004 翼の創世紀」がお奨めです。新バージョンでは、シーナリーの描画システムがかなり進化しているほか、GMAX という 3D モデリング ソフトに最適化されています。「東京フォトシーナリー」の 3D オブジェクトはフル GMAX なので、緻密なモデリングの割には非常に軽いと感じられるはずです。さらに、「フライト シミュレータ 2004 翼の創世紀」では雲の表現がとても洗練されました。
多少 PC パワーが必要ですが、新バージョンの雲の描画は圧巻ですね。いうまでもないですが フライト シミュレータ は空と地面で 1 つの空間ですから、「東京フォトシナリー」をインストールされても、下ばかり見ないで前を見て飛んでください。ぜひ、「フライト シミュレータ 2004 翼の創世紀」で。
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Q : 「東京フォトシーナリー」の中で和田さんご自身が気に入っているシーンはどこですか?
そうですね。製品の紹介ムービーにも使っていますが、夕暮れ時の都心上空から富士山方向を眺めるシーンでしょうか。先ほども触れたように、「フライト シミュレータ 2004 翼の創世紀」の美しい雲の表現とあいまってちょっと感動的です。あと、調布飛行場から埼玉の本田エアポートにむけて VFR (有視界飛行) でのんびり飛ぶのも気に入っています。現実ではふらふら飛べるような空域ではないのでしょうけれど、これは フライト シミュレータ ならではですね。視程を 40 マイル程度にすると、とても雰囲気がでますよ。
Q : たくさんのユーザーが待ちわびているのではないかと思いますが、JapanScenery シリーズの今後の予定を教えてください。
都心と違って、地方の空中写真は一括した撮影が頻繁には行われないため、調達費がぐっとかさみます。そのため現在は、仕込みを慎重に進めているところですが、ぜひご期待ください。
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JAPAN SCENERY Vol.1 「東京フォトシーナリー」
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和田康之 (yosi) さん
JapanScenery 開発ディレクター
滋賀県在住。マイクロソフト フライト シミュレータ 2002 以降、日本全土をカバーした Japan Terrain Mesh Scenery 他のフリーのアドオン シーナリーを公開。「東京に行く機会は滅多にないのですが、今回のシーナリー制作で関東の地理に妙に明るくなりました」 |
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