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Windows Media 9 シリーズのダイナミック レンジ コントロール

作成者 : Jared Davis
マイクロソフト ニュー メディア プラットフォーム部門
2003 年 1 月


はじめに

Microsoft® Windows Media® Audio 9 コーデックには、高分解能オーディオ、マルチチャネル機能、細かな制御が可能な各種係数、そしてダイナミック レンジ コントロールといった、コンテンツ プロバイダのための新機能セットが含まれています。
概要
この文書では、Microsoft® Windows Media® 9 シリーズの新機能であるダイナミック レンジ コントロールがどのように実装されているかについて、詳細な情報を提供します。
この記事は、Windows Media Audio 9 Professional および Windows Media Audio 9 Lossless コーデックにおける、ダイナミック レンジ コントロール機能の実装と使用形態を解説するために作成されています。

ダイナミック レンジとは、あるオーディオ コンテンツの最も音量が大きい部分と最も静かな部分との差を、デシベル (dB) で定義したものです。 クラシック音楽を例に取ると分かりやすいでしょう。 静かな p (弱く) から f (強く)、大音量の fff (きわめて強く) へと、広い範囲で音量が変動します。 映画も通常広大なダイナミック レンジを持ち、これがしばしば、シーンが移り変わるごとにユーザーがボリュームを上下しなければならないような原因となっています。 たとえば自宅で映画を鑑賞するときに、静かなシーンでは会話を聞くためにボリュームを上げ、直後のカー チェイス シーンではあわてて下げるといったことを私たちは余儀なくされています。 ホーム シアター環境ではこのように、ダイナミック レンジをコントロールできれば便利な場面が多々あることでしょう。

この記事には、次のトピックが含まれています。
  • Windows Media 9 シリーズのダイナミック レンジ コントロール - コンテンツが Windows Media Audio 9 Professional または Windows Media Audio 9 Lossless コーデックでエンコードされる際、ダイナミック レンジ コントロールがどのように適用されるかの情報を提供します。

  • ダイナミック レンジ値の調節 - Microsoft Windows Media エンコーダ 9 シリーズに含まれるユーティリティ、Windows Media ファイル エディタを使ってダイナミック レンジ値を変更する場合の、ベストプラクティスと予測される動作を解説します。

  • 詳細情報 - この他の、ダイナミック レンジ コントロールの実装に関するより詳しい情報を備えたソースを一覧します。

Windows Media 9 シリーズのダイナミック レンジ コントロール

Windows Media Audio 9 Professional または Windows Media Audio 9 Lossless コーデックでコンテンツがエンコードされる際、コーデックはダイナミック レンジの値を計算し、それをエンコードされた Windows Media ファイルのヘッダに挿入します。 エンコード時に計算されるのは、コンテンツの平均音量とピーク音声レベルです。 これらの値はそれぞれ参照平均値、参照ピーク値と呼ばれます。

再生時には Windows Media Player 9 シリーズの静音モード機能により、ダイナミック レンジ コントロールが適用されます。 静音モード機能はダイナミック レンジに影響を与える、[オフ][中程度][小さく] という 3 つの設定を備えます。 この設定は既定で、再生時のダイナミック レンジに次のような効果を与えます。
  • オフ - 処理が行われず、コンテンツは最大のダイナミック レンジで再生されます。

  • 中程度 - コンテンツの大音量と小音量の差を、中程度に抑えて再生します。 音量差は大幅には縮小されません。 音声信号のピーク値は、平均レベルより 12 dB 上までに制限されます。

  • 小さく - コンテンツの大音量と小音量の差を、非常に小さく抑えて再生します。 音量の差異縮小率は最大になります。 音声信号のピーク値は、平均レベルより 6 dB 上までに制限されます。
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ダイナミック レンジ値の調節

Windows Media エンコーダ 9 シリーズに含まれたユーティリティ、Windows Media ファイル エディタによってコンテンツ作成者は、エンコード時に計算された参照値とは異なるダイナミック レンジ値を指定することができます。 エンコードされたファイルを Windows Media ファイル エディタで開いたときに、作成者は参照ピーク値と参照平均値を確認し、それぞれに異なった値を指定することができます。 この記事では、Windows Media ファイル エディタを使ってユーザーが指定するこの値を、ターゲット ピーク値およびターゲット平均値と呼びます。 ターゲット ピーク値とターゲット平均値は各参照値を上書きするわけではなく、Windows Media ファイルのヘッダに追加されます。

このセクションでは、Windows Media ファイル エディタを使ってターゲット ピーク値とターゲット平均値を指定する場合のベスト プラクティスと予測される動作を解説します。 一般に、ピーク値だけを調節することが推奨されます。 平均値を調節しても、大音量と小音量の差には影響を与えません。 これは単にオーディオ全体の平均ボリュームをカットまたは増大させ、再生時に好ましくない歪みを生じさせる可能性があります。

Windows Media ファイル エディタでターゲット ピーク値だけを指定し、ターゲット平均値を指定しなかった場合、静音モード設定が再生時に次のような効果を与えます。
  • オフ - 処理が行われず、コンテンツは最大のダイナミック レンジで再生されます。

  • 中程度 - コンテンツのピーク音声信号はターゲット ピーク値までに制限されます。 ただし参照ピーク値がターゲット ピーク値よりも低い場合、ピーク音声信号は変更されません。 平均ボリュームは参照平均値と等しくなります。

  • 小さく - コンテンツのピーク音声信号は、ターゲット ピーク値と参照平均値の平均点までに限定されます。 これはその平均点が参照ピーク値より低い場合です。 平均点が参照ピーク値より低くない場合、ピーク音声信号は変更されません。 平均ボリュームは参照平均値と等しくなります。
たとえば、参照ピーク値が -3 dB、参照平均値が -20 dB であると仮定します。 ターゲット ピーク値が指定されていない場合、静音モード機能の [中程度] 設定ではピーク値が -8 dB、[小さく] 設定ではピーク値が -14 dB となります。 Windows Media ファイル エディタを使用してターゲット ピーク値を 0 dB に指定した場合、[中程度] 設定のピーク値は -3 dB となり (参照ピーク値と同じ)、[小さく] 設定ではターゲット ピーク値とターゲット平均値の平均点が計算され、-10 dB のピーク値となります (平均点は 0 dB と -20 dB を加算し、それを 2 で割ったもの)。 一方、ターゲット ピーク値を -10 dB に指定した場合、[中程度] 設定では -10 dB のピーク値 (ターゲット ピーク値と同じ)、[小さく] 設定では -15 dB のピーク値となります (-10 dB に -20 dB を加算し 2 で割ったもの)。

Windows Media ファイル エディタを使用してターゲット ピーク値とターゲット平均値の両方を指定した場合、再生時の動作は、元のダイナミック レンジ (参照ピーク値から参照平均値を引いたもの) とターゲット ダイナミック レンジ (ターゲット ピーク値からターゲット平均値を引いたもの) の関連性により異なります。 ターゲット平均値の指定は推奨されていないことに注意してください。 元のダイナミック レンジがターゲット ダイナミック レンジより小さい場合、元のダイナミック レンジが使用されます。 元のダイナミック レンジがターゲット ダイナミック レンジより大きい場合は、静音モード設定が再生時に次のような効果を与えます。
  • オフ - 処理が行われず、コンテンツは最大のダイナミック レンジで再生されます。

  • 中程度 - コンテンツはターゲット平均値を使用して再生されます。 ピーク値は、ターゲット ピーク値までに制限されます。

  • 小さく - コンテンツはターゲット平均値を使用して再生されます。 ピーク値は、ターゲット ピーク値とターゲット平均値の平均点までに制限されます。
たとえば、参照ピーク値と平均値がそれぞれ -3 dB と -20 dB、ターゲット ピーク値と平均値が -5 dB と -15 dB と仮定します。 元のダイナミック レンジ (-3 dB 引く -20 dB で 17 dB) はターゲット ダイナミック レンジ (-5 dB 引く -15 dB で 10 dB) よりも大きいため、[中程度] 設定では平均値が -15 dB、ピーク値が -5 dB となります。 [小さく] 設定では、平均値が -15 dB、ピーク値が -10 dB となります。

別の例として、参照ピーク値と平均値がそれぞれ -3 dB と -20 dB、ターゲット ピーク値と平均値が -5 dB と -25 dB というケースを仮定します。 元のダイナミック レンジ (-3 dB 引く -20 dB で 17 dB) がターゲット ダイナミック レンジ (-5 dB 引く -25 dB で 20 dB) よりも小さいため、[中程度] 設定では平均値が -25 dB (ターゲット平均値と同じ)、ピーク値が -8 dB (-25 dB 足す 17 dB) となります。 [小さく] 設定ではターゲット ダイナミック レンジが、[中程度] 設定のターゲット ダイナミック レンジの半分と等しくなります。 したがってこの例では、[小さく] 設定のターゲット ダイナミック レンジは 10 dB (20 dB の半分) となり、使用される平均値は -25 dB のまま、使用されるピーク値が -15 dB (-25 dB 足す 10 dB) となります。


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詳細情報

Windows Media 9 シリーズのダイナミック レンジ コントロール実施に関する詳細は、Windows Media ファイル エディタ ヘルプを参照してください。 Windows Media ファイル エディタは、Windows Media サイトからダウンロードできる Windows Media エンコーダに含まれています。

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