しかし、ビデオとフィルムの高精細 (HD) 制作物は急速に増え、高精細対応ディスプレイのインストール ベースも拡大しています。消費者は、この高画質ディスプレイを利用した高品質コンテンツを求めています。放送電波を経由してコンテンツを配信することに加え、相当量のコンテンツがコンピュータを通じてディスプレイに配信されると思われます。消費者の声が、今後 HD コンテンツの利用を拡大する推進力になるでしょう。
HD コンテンツの要件を理解していただくために、この記事では、HD のオーディオとビデオ、一般的な HD 記録形式、HD 用のストレージとバックアップ システムなど、HD 形式と概念の基本を解説します。これらの基礎知識は、本シリーズの今後の記事で取り上げるインターレース プロファイルやインターフレーム エンコーディングのような概念を理解する上で欠くことができません。
Advanced Television Systems Committee (ATSC) は、米国におけるテレビ放送の標準を策定します。評判の悪い ATSC 表「3」には、今日使用されている HD 形式がまとめられています。この表の HD 形式を以下に示します。ATSC は米国の標準なので、この表に、西ヨーロッパで採用されている放送方式である PAL (phase alternating line) フレーム レートの対応値を追加しました。PAL フレーム レートは、Digital Video Broadcasting (DVB) グループにより明確に定義され、世界の他の国々で使われています。
HD は、5.1 (5 台のスピーカーとサブウーファ) または 7.1 (7 台のスピーカーとサブウーファ) のようなマルチチャンネルでマスタリングされるのが一般的です。ほとんどの HD テープ形式は少なくとも 4 チャンネルのオーディオをサポートし、多くは 8 チャンネルをサポートしています。Windows Media Audio 9 Professional コーデックは、最大24 ビット 96 kHz データ レートのストリームをかなり低い現在のオーディオ標準にまで圧縮できます。HD オーディオに関する詳細については、5.1 チャンネルの制作を解説する今後の記事と Windows Media 9 シリーズの Web サイトの作成方法に関するセクションを参照してください。
それぞれのデジタル形式には大きな違いがあります。非圧縮データ レートは、Windows Media 9 シリーズ コーデックを使って HD 配信用に圧縮された一般的なファイルのレートよりも何倍も高速です。Windows Media ファイルはまた、MPEG-2 ベースの形式よりもはるかに低いデータ レートを持てます。
SCSI 対 IDE
SCSI (small computer system interface) と IDE ドライブ用の ATA (AT Attachment) のどちらが高性能ストレージかということに関する論争は、もう 10 年以上も続いています。これまで、SCSI ドライブは ATA ドライブよりも高速で、ATA ドライブは動作のためにより強力な CPU パワーを必要とするという状況が続いていました。近年、シリアル ATA が SCSI に肉迫しています。私は、非常に高速な IDE RAID から動作する 1920 × 1080/60i の 10 ビット形式を見たことがあります。高速 IDE ドライブの価格は SCSI よりもずっと安く、しかもケーブル接続がシリアル ATA でより簡単にできるため、HD の世界では業界が引き続き ATA へ移行していくと私は考えています。
RAID に関する詳細は、PC Guide Web site の Redundant Array of Inexpensive Disks (RAID) ページを参照してください。
共有ストレージ
圧縮のために、高価な HD オーサリング ステーションが何時間も使えなくなる状況を避けるにはどうしたらよいでしょうか。また、Macintosh で HD コンテンツを編集し、圧縮のためにそのソースを Windows ベースのコンピュータに転送する必要がある場合はどうでしょうか。こうした難題の解決には、次のような共有ストレージ方式を検討してみるとよいでしょう。
イーサネット: 今日、ファイルを移行する最も簡単な方法は、イーサネットを使うことです。Microsoft Windows® オペレーティング システムを動作するコンピュータ間でファイルを転送する場合、Mac OS X 10.3 オペレーティング システムを動作するコンピュータから Windows ベースのコンピュータに転送する場合と同様、サーバ メッセージ ブロック (SMB) ファイル共有プロトコルを使用すると簡単です。それ以前の Mac OS X のバージョンでは、2 GB を超すファイルを Windows ベースのコンピュータに転送する場合には Fetch などの FTP クライアントを使う必要があります。
平均的な装備で最も簡単に HD コンテンツをバックアップする方法は、HD コンテンツを配信するために使われるのと同じ方法、つまりテープ デッキを使用することです。幸い、ほとんどの HD 装置は既にこの方法を採用しています。HDCAM のような非可逆方式では、HD のノンリニア編集 (NLE) ツールから復元するときに多少のディテールを失いますが、D5 HD のような軽度の圧縮形式では、テープに戻す際、必ずしも品質が落ちるわけではありません。