この文書は、Web サイトを Microsoft Windows Media 9 シリーズ プラットフォームへとアップグレードすることの利点を、Web サイト開発者と IT プロフェッショナルが理解するのを支援する目的で書かれています。
ここでは以下のトピックを扱います。
Windows Media 9 シリーズについて - Windows Media エンコーダ、Windows Media サービス、Windows Media Player を含む、シリーズの構成要素について簡単に説明します。
概要
この文書では、Windows Media エンコーダ、Windows Media サービス、Windows Media Player などから構成される Microsoft® Windows Media® 9 シリーズ プラットフォームへと、Web サイトをアップグレードすることの利点について解説しています。 また Windows Media Player 9 シリーズ
SDK (ソフトウェア開発キット)
の改善点、シリーズの導入手順、および下位互換性を検証します。
最新情報 - Macromedia Flash と静止画像のサポート強化、ファスト ストリーミング、パフォーマンスの向上、プライバシーとセキュリティの強化などを含んだ、Windows Media 9 シリーズの新機能概要を提供します。
コーデックの改善 - 新たに改善された、Windows Media 9 シリーズ コーデックの利点を解説します。
Player ActiveX コントロールの改善 - Windows Media Player ActiveX® コントロールがどのように改良されたかを解説します。 これには Netscape ブラウザのサポート、拡張されたメディア ライブラリへのアクセス、リッチ
メディア ストリーミング、非表示ユーザー インターフェイス モード、その他が含まれます。
導入にあたっての検討ポイント -
サポートされる Player のバージョン
、ブラウザの互換性、そして Player
の各バージョンでどのコーデックがサポートされるかなど、導入にあたっての検討事項を解説します。
新機能の解説 - 拡張されたメディア ライブラリのサポート、リッチ
メディア ストリーミング機能、時間圧縮と延長機能、HTML ビュー、Web
ページからの Player
の起動といった新機能を、より詳しく紹介します。
下位互換性 - セキュリティとプライバシー問題に対処するために加えられた変更点と、Windows Media Player 9 シリーズがインストールされた状態で Windows Media Player 6.4 ActiveX
コントロールを使用したときの問題、および
Player 6.4 ActiveX コントロールの新しいラッパーについて解説します。
移行の開始 - Web サイト開発者が自分のサイトで Windows Media 9 シリーズの利点を最大に生かし、潜在的な互換性問題を避けるために、実行すべき各ステップを解説します。
まとめ - Web サイトを Windows Media 9 シリーズにアップグレードすることの利点をまとめます。
詳細情報 - Windows Media Player 9 シリーズ SDK を含む、Windows Media 9 シリーズに関するその他の情報ソースを一覧します。
Windows Media 9 シリーズは、新たに改良された次の各コーデック (圧縮/解凍) を備えています。
Windows Media Audio 9 Professional : このコーデックは、フル サラウンド
サウンド エクスペリエンスとダイナミック レンジ
コントロールを提供します。 再生デバイスのスピーカー構成に従い、マルチチャネル オーディオをインテリジェントに 2
チャネル (ステレオ) または 1 チャネル (モノラル) に振り分けます。 128 〜
768 Kbps のデータ
レートを使用するよう設計されています。
Windows Media Audio 9 Lossless : このコーデックは、損失がないオーディオ
コンテンツのエンコーディングを実現します。 マルチチャネル オーディオ
エンコーディングとダイナミック レンジ コントロールもサポートしています。
Windows Media Audio 9 : このコーデックは、Windows Media Audio 8 コーデックと比較して圧縮率を 20%
向上させています。 可変ビット レート (VBR) オーディオ
エンコーディングをサポートします。
Windows Media Audio 9 Voice : このコーデックは、人の音声を強調した優れた品質のオーディオ コンテンツを提供します。 音声と音楽の混合モード エンコードを提供し、20 Kbps
以下のビット
レートでの再生用に設計されています。
Windows Media Video 9 : このコーデックは、ストリーム配信、ダウンロード再生、物理メディアでの配布といったさまざまなシナリオに適した、高品質のビデオを作成します。 Windows Media Video 8.1 コーデックと比較して、圧縮率を 15
〜 50% 向上させています。 特に高いビット
レートで大きく改善しています。 またこのコーデックは、テレビやセットトップ ボックスでのインターレース コンテンツの再生を可能にします。
Windows Media Video 9 Screen : このコーデックはスクリーン キャプチャのために、陰影のついたイメージ、スクリーンの動き、スクロールなどの処理を強化しています。 フレーム落ちのない、1
パスの固定ビット レート (CBR) と VBR のエンコードをサポートします。 ストリーム配信とダウンロード再生の両方のシナリオに、完全に最適化されています。
Microsoft Windows Media Player ActiveX コントロールのオブジェクト モデルは、Web 開発者が Web ページに Windows Media Player 機能を加えるのを可能にする、スクリプト用インターフェイスを提供します。 HTML ページにこのコントロールを組み込むことによって、Internet Explorer や Netscape Navigator を使い、豊かでダイナミックなイベント
モデルを利用した、ビジュアルに優れたグラフィック環境を構築することが可能になります。 この
Player コントロールを利用して、開発者は Web サイト ユーザーのオーディオとビデオ
エクスペリエンスを、完璧にデザインすることができます。
この Player コントロールは、Windows Media Player 9 シリーズに新たな機能を加えると同時に、従来バージョンからの既存機能も更新し拡張しています。 このプラットフォームには、以下の新機能と更新機能が含まれています。
Internet Explorer 5.01 以降、Netscape Navigator 4.7、Netscape Navigator 6.2、および Netscape Navigator 7 のサポート。
メディア ライブラリ サポートの更新と拡張
: Windows Media Player 9 シリーズ ActiveX コントロールは、ユーザーのメディア ライブラリにあるメタデータへの、より柔軟なアクセスを可能にしています。 たとえば開発者は、あるユーザーが特定のアーティストの音楽やコンテンツを何度再生したかを判定し、その情報を基に関連製品やサービスをユーザーに提供するといったビジネス モデルを構築可能です。
リッチ メディア ストリーミング : 同期した HTML データの、単一ストリームによる効率的なネットワーク配信を可能にします。
Windows Media Player 9 のコントロールは、Windows Media Player 7 コントロールと同じ CLASSID ナンバーを持つことに注意してください (6BF52A52-394A-11D3-B153-00C04F79FAA6)。 開発者が Web ページに Windows Media Player 7 コントロールをすでに組み込んでいる場合、Windows Media Player 9 シリーズ コントロールを利用するために、Web ページ コードの CLASSID ナンバーを変更する必要はありません。
Windows Media Player オブジェクト モデルの詳細は、Windows Media Player SDK を参照してください。
Web
ページへの訪問者のコンピュータ環境が判定できたなら、それに最も適合するサイト構成を選択することができます。 たとえば、ユーザーの多くが Microsoft Windows® 95 を実行しており、Windows Media Player 9 シリーズにアップグレードできない場合は、彼らに旧バージョンのコントロールを提供したほうが賢明かもしれません。 またその反対に、ベストなユーザー
エクスペリエンスを保証するために、ユーザーに最新の
Player
のインストールを促すこともあり得るでしょう。
どちらを選ぶにせよ、ユーザーの環境に適切なコンテンツを提供することができるように、開発者はなんらかのコード検出機能を使用すべきです。 検出コードのサンプルは、Windows Media Player SDK から利用できます。 このサンプル コードは既存の Web ページに簡単に統合できるようデザインされ、Web サイト開発者がサポートしたいオペレーティング
システム、ブラウザ、そして Player
のバージョンを選択できるようになっています。
このセクションでは、Windows Media 9 シリーズ プラットフォームが必要とする特定のコーデック、オペレーティング システム、ブラウザの要件を説明します。
コーデック
一般に、Windows Media 9 シリーズ フォーマットでエンコードされたコンテンツを Web サイトで提供する場合、再生するユーザーは Windows Media Player 7 以降をコンピュータにインストールしている必要がありますが、次の例外に注意します。
Windows Media Audio 9 Professional コーデックの高度な機能 (マルチチャネル オーディオ、24 ビット オーディオ、およびダイナミック レンジ コントロール) を利用してエンコードされたコンテンツは、Windows Media Player 9 シリーズをコンピュータにインストールしているユーザーだけが再生できます。
Windows Media Player 6.4、Windows Media Player 7 for Mac、Windows Media Player for Mac OS X を使用するユーザーは、Windows Media Audio 9 コーデックでエンコードされたコンテンツを再生することができますが、Windows Media 9 シリーズの他のコーデック (Windows Media Video 9、Windows Media Audio 9 Professional、Windows Media Audio 9 Lossless、Windows Media Audio 9 Voice、および Windows Media Video 9 Screen) でエンコードされたコンテンツは再生できません。
オペレーティング システム
Windows Media 9 シリーズの利点を最大に生かすためには、ユーザーが Windows Media Player 9 シリーズをコンピュータにインストールする必要があります。 このバージョンの Windows Media Player は、幅広いオペレーティング システムでサポートされています。
Windows 98 Second Edition
Windows Millennium Edition
Windows 2000
Windows XP Home Edition
Windows XP Professional
ブラウザ
Windows Media Player 9 シリーズ ActiveX コントロールは、次のブラウザをサポートしています。
このセクションでは、拡張されたメディア ライブラリ、リッチ
メディア ストリーミング、時間圧縮と延長のサポート、HTML
ビュー属性、そして Web
ページからの Player
起動などの新機能を、より詳しく解説します。
メディア ライブラリの拡張サポート メディア ライブラリとは、ユーザーのコンピュータ上に保管されたデジタル メディア コンテンツ、あるいはユーザーが Windows Media Player を使って再生したことのあるデジタル メディア コンテンツに関する情報データベースです。 このうちいくつかの情報は、Windows Media Player のメディア ライブラリ機能に表示されます。 プログラム内部的には、より多くの情報セットにアクセスが行われます。
再生リストでは、デジタル メディア
アイテムを整理することができます。 再生リストはユーザーが作成することも、コードを通して開発者が作成することもできます。 Windows Media Player オブジェクト モデルには、個々のデジタル メディア
アイテムと再生リストの両方を開発者が操作できる、オブジェクトとメソッドが含まれています。 標準再生リストを使用しても、Windows Media Player 9
シリーズの機能である自動再生リストを使用しても、メディア ライブラリにクエリを実行することが可能です。
メディア ライブラリにアクセスする Windows Media Player オブジェクト モデルのプロパティとメソッドは、データベースへの読み取り専用または読み取り/書き込みアクセスを必要とします。 メディア ライブラリにはユーザーのプライベートな情報が含まれている場合があり、ユーザーの同意なしにこれらの情報にアクセスしたり、変更を加えるべきではありません。
Web サイトからユーザーのメディア ライブラリへのアクセスを求める場合、アクセス権を与えることの利点を明確に説明したならば (たとえばお勧めの音楽その他の付加価値サービスを提供するなど)、ユーザーはおそらく同意するでしょう。
アクセスを与えられたなら、開発者の Web ページはユーザーのメディア ライブラリにクエリを実行し、そのユーザーが特定の歌やアーティストをどれくらい頻繁に聴いているかといった情報を判定することができます。 この情報を使用して、関連する音楽アルバムの購入ページをユーザーに紹介したり、そのアーティストを特集したデジタル
メディア購読サービスへの申し込みを推奨したりといったことが可能です。
リッチ メディア ストリーミング
Windows Media のリッチ メディア ストリーミング機能は、混成 HTML データの単一ストリームでの効率的なネットワーク配信を可能にします。 Windows Media Player と Windows Media サーバーによって、オーディオ、ビデオ、そして HTML から成るコンテンツを、ブラウザへとスムーズでタイミングよく配信することができます。
オーディオ、ビデオ、HTML
が同期したこのコンテンツは、スタンドアロンの
Player または Web ページ内に表示されます。 これによって開発者は、Microsoft Producer for PowerPoint® 2002 でプレゼンテーション ビデオと PowerPoint
スライドを同期させたときのような効果を得ることができます。
リッチ メディア ストリーミングにより、デジタル メディア
コンテンツの周辺に、ブランドやその他の情報を組み入れることも可能になります。 この詳細は、Windows Media エンコーダ SDK および Windows Media
フォーマット SDK を参照してください。
時間圧縮と延長機能
一般に、実際よりも早くあるいは遅く再生されたスピーチは、理解するのが困難です。 これに対し Windows Media Player 9 シリーズの時間圧縮と延長機能は、音声のピッチ (音程)
に影響を与えることなく、コンテンツの再生速度を上下することを可能にします。 この機能により、有用なさまざまな再生シナリオが実現できるでしょう。
時間圧縮は Windows Media Player SDK で、Settings.rate プロパティを通して公開されています。
Windows Media 以外の構成でも時間圧縮は利用可能ですが、ユーザーが Windows XP を実行しており、Windows Media サービス 9 シリーズを実行するコンピュータ (Windows Media サーバー) からストリーム配信される Windows Media ベースのコンテンツを再生する場合に最適に働きます。
HTML ビュー
Windows Media のメタファイルは Web
ページを、再生リストにアイテムとして表示することができます。 これらの Web ページは [プレイ ビュー] ウィンドウに、視覚エフェクトまたはビデオに代わって表示されます。 開発者は HTML コードを使い、デジタル メディア コンテンツにカスタム
コンテンツや広告を加えたり、Player のユーザー インターフェイスを補うカスタム ユーザー インターフェイスを提供することができます。
Player に組み込む HTML コンテンツを指定するには PARAM 要素を使用し、その NAME 属性を
HTML ビューに、VALUE 属性を表示したいコンテンツの URL に設定します。 PARAM 要素が ASX 要素の子であった場合、HTML
は再生リストが持続する間全体にわたり表示されます。 ENTRY
要素の子要素であった場合には、その再生リスト エントリの持続時間内にだけ表示されるため、これを利用し、再生されている内容により変化する補助コンテンツを指定することが可能になります。
Web ページからの Player 起動
Windows Media Player 9 シリーズは、Player
自体にカスタム
エクスペリエンスを統合するための、多くの新機能を備えています。 これらの機能によりコンテンツ
プロバイダとユーザーは、整然とした一貫性のあるエクスペリエンスを得ることができます。
Windows Media Player SDK には、カスタマイズされたフルモードの
Player を Web ページから開くための、新しいメソッドが用意されています。 openPlayerというこのメソッドは、指定の URL セットを現在のメディア アイテムとして持ったプレーヤーを起動します。
HTML ビュー属性とともにこのメソッドを使用することにより、開発者はユーザーのスタンドアロン
Player に表示されるデジタル メディア Web
エクスペリエンスを、詳細に指定することができます。 最新バージョンの
Player
をインストールしていないユーザーは、このページに代えて
Player を組み込んだ標準 Web ページへとリダイレクトすることができます。
Windows Media Player SDK
には、さまざまなセキュリティとプライバシー問題に対処するために、いくつかの変更が加えられました。 Player
6.4
コントロールのコードを修正することなくこれらの変更を加えるために、Player
6.4 のコントロールを Windows Media Player 9 シリーズのコントロールにマップする、ラッパーが作成されました。
このラッパーは、ユーザーが Windows Media Player 9 シリーズをインストールする際自動的にインストールされます。 このラッパーにより開発者は、既存の Web ページ コードに大幅な変更を加えることなく、ユーザーにセキュリティとプライバシー改善のような最新 Windows Media Player 9 シリーズ コントロールの利点を提供することが可能になります。
すでに Web ページで Player 6.4 のコントロールを使用しており、Windows Media Player 9 シリーズをインストールしたユーザーに向けコンテンツを提供したい場合、いくつかのケースでは Web ページのコードを変更する必要があるかもしれません。 たとえば開発者は、サポートされていないアプリケーション プログラミング インターフェイス (API) が使用されていないか、コードをチェックする必要があります。 サポートされていない API の一覧は、Windows Media Player 9 シリーズ SDK の「Object Model Migration Guide」に収められています。
さらに Windows Media Player 9 シリーズでは、一意の
Player ID をコンテンツ
プロバイダに送信するかどうか、ユーザーが選択可能になりました。 ユーザーがこのオプションを有効にした場合、Player
は Windows Media サーバーに一意の ID を送信します。 このオプションが無効の場合は、サーバーが特定のセッションの間だけ個々のクライアントを一意とする、ランダムなセッション ID を生成します。
Windows Media Player 9 シリーズ コントロールが Microsoft Win32® プログラムに組み込まれている場合は、ラッパーがすべての呼び出しを Windows Media Player 9 シリーズ コントロールに渡す点に注意してください。
Windows Media 9 シリーズへの Web サイトの移行を開始するにあたり、潜在的な問題を避けるために、開発者は以下の手順を実行します。
Windows Media Player 9 シリーズ SDK をインストールする
: これには、サポートされている API とされていない API に関する、すべての情報が含まれています。
現在の Web ページ コードを見直し、互換性テストを実行する
: これには、最新バージョンの Player
をコンピュータにインストールし、次いでテストする Web
ページを開くのが最も簡単な方法です。 最低限、予期した通りにコンテンツが再生され、再生コントロールが正しく表示され、ビデオ ウィンドウが正しくサイズ設定されていることを確かめます。
Windows Media Player 9 シリーズ ActiveX コントロールへの移行を実施する
: Player 6.4
コントロールは機能が少ないうえ、新しいコントロールに比べセキュリティ性に劣ります。 加えて、Player
6.4 コントロールへのサポートは段階的に終了していきます。
Windows Media 9 シリーズ プラットフォーム (Windows Media エンコーダ、Windows Media
DRM、Windows Media サービス、Windows Media Player) を統合し、最適なユーザー エクスペリエンスを構成する
: これは Web ページを更新し、Windows Media Player 9 シリーズ
コントロールを使用することから開始することもできますが、たとえばファスト
ストリーミングを活用したい場合は、まず Windows Media サービス 9 シリーズにアップグレードする必要があります。 また、新しいコーデックの利点を引き出すには、Windows Media エンコーダ 9 シリーズへのアップグレードが必要です。