これは、マイクロソフト社の依頼で執筆する Microsoft® Windows Media® 9 シリーズを使った HD エンコーディングに関するシリーズ記事の第一弾です。このシリーズ記事では、Windows Media ベースのコンテンツを実際に作成および配信するための実践的なテクニックと解決策を解説していきます。
この最初の記事では、Windows Media ビデオ 9 シリーズでエンコーディングすることにより、既存の HD コンテンツを迅速に HD 配信で再利用する方法を説明します。本シリーズの今後の記事で、HD の取り込み、編集、および圧縮の要点について解説します。この記事では、ランチタイムの間に最初の HD 作品を作成する方法を説明し、Windows Media で最高品質のエンコーディングを実現できることを読者とその上司の方々にお見せしたいと思っています。
急増する HD
以前から注目を浴びていた HD ですが、現在ついにメインストリームになりました。無線 HD と DVD HD はまだ一般的ではありませんが、HD はさまざまな方法でプロダクションやポスト プロダクションに利用されています。たとえば、DVD の先駆的企業 Criterion は、テレシネ取り込みからのデジタル中間ファイルに D5 HD を使用しています。そして、企業は配信したい HD コンテンツがあることを認識するようになり、それを配布する方法を探し求めています。
救いの Windows Media
幸いなことに Windows Media は、Microsoft Windows® ベースのコンピュータで再生できる HD コンテンツをオーサリングして配信するために必要なあらゆる機能を提供してくれます。そして、そのコンテンツを DVD-R で配信したり、インターネット経由で転送したり、あるいは、デジタル シネマや次世代の家電プレーヤーで再生したりすることもできます。
最初のエンコーディング用のソース ファイルとしてすぐに使える AVI ファイルを持っていない方もいるでしょう。この節では、HD ノンリニア編集 (NLE) タイムラインからコンテンツを取得してエンコードに利用できるファイルにする方法について説明します。NLE ツールを持っていない方は、この節を無視してください。HD 取り込みの方法については、今後の記事で解説します。
エクスポート形式とコーデック
まず最初に、普段使用しているアプリケーションから HD ソースを取得し、そのアプリケーションのエンコーディング ツールで Windows Media 9 シリーズが変換できる高品質形式のソースにします。Adobe Premiere Pro のように、Windows Media 9 シリーズに直接エクスポートできる NLE を使用している方は、この節を飛ばしてください。
Windows Media エンコーダを使用するなら、AVI ファイルを作成する必要があります。QuickTime ベースのワークフローを利用しているユーザーは、QuickTime ファイルを読み込める Canopus ProCoder や Discreet cleaner XL などのエンコーディング ツールを使用できます。
Macintosh ユーザーの方へ: Mac OS X で Server Message Block (SMB) プロトコルを使えば、 Apple Final Cut Pro ワークステーションから Windows ベースのコンピュータへ簡単に 35 GB のファイルをコピーできます。Macintosh コンピュータの [移動] メニューから [サーバへ接続] を選択し、「smb://」と入力して、その後に Windows ベース コンピュータの IP アドレスを続けます。
この記事では、例として Windows Media エンコーダ 9 シリーズを使用します。ここに示したアドバイスの多くは、Windows Media 形式にエンコードできる他のアプリケーションにもあてはまります。Canopus ProCoder、Discreet cleaner XL、ならびに Adobe Premiere Pro の 3 製品についての留意点を以下に記します。
Canopus ProCoder
私のお気に入りの Windows Media 9 シリーズ用のエンコーディング ツールは、Canopus ProCoder です。この製品は、ネイティブな QuickTime ファイルを読み込み、バッチ処理をサポートし、かなり高度な前処理を実行できます。
図 3: Canopus ProCorder により、エンコード設定を微調整することが可能
Discreet cleaner XL
Discreet cleaner XL も QuickTime ソース ファイルと、優れた Windows Media 9 シリーズ HD ファイルを作成するために必要な Windows Media 9 シリーズの他の全機能をサポートしています。cleaner XL は、Microsoft .NET テクノロジをサポートする唯一のエンコーディング アプリケーションです。cleaner XL のプロジェクト ウィンドウは既定値で Windows Media 9 シリーズを使用し、アプリケーションを起動するだけで簡単に出力を作成できるようになっています。フォルダの監視とプレビュー機能により、Windows Media 9 シリーズ HD ワークフローを簡単に統合できます。
図 4: Discreet cleaner XL は、Windows Media 9 シリーズ HD 出力用の前処理フィルタを備えている
Adobe Premiere Pro
Adobe Premiere Pro は、タイムラインから直接 Windows Media 9 シリーズにネイティブにエンコードできます。また、Adobe Premiere Pro から簡単に AVI ファイルにエクスポートし、その後最終的なエンコード処理のために別のコンピュータを使用できます。
図 5: Adobe Premiere Pro からは簡単に AVI ファイルへのエクスポートできる
プロパティとセッション
エンコーディングの方法を学ぶには、既存の設定を変更することが近道です。Windows Media エンコーダ 9 シリーズには多数の機能がありますが、ここではこのプロジェクトに関連する一部の機能についてのみ説明します。
圧縮
ここでは Windows Media エンコーダ 9 シリーズの [圧縮] タブでほとんどの作業を行います。[圧縮] タブを選択するには、Windows Media エンコーダを起動し [新しいセッション] ダイアログ ボックスで [キャンセル] をクリックします。次にエンコーダ ツールバーから [プロパティ] をクリックして、[圧縮] タブをクリックします。
オーディオ パラメータ [オーディオ形式] はソースに依存します。ここでは、ソースのサンプリング レート、ビット深度、およびチャンネルを使用します。Windows Media Player は、5.1 オーディオを旧バージョンの Windows が動作するコンピュータ上ではステレオに変換して再生し、マルチチャンネル スピーカーを備える Windows XP が動作するコンピュータではより優れたオーディオ エクスペリエンスを提供します。
任意の組み合わせに対して、いくつかのデータ レート オプションがあります。Windows Media Audio 9 Professional コーデックでは、最低のデータ レートでも非常に質の良いサウンドが得られます。これらは平均のデータ レートであり、合計ファイル サイズに影響を及ぼす点に注意してください。
これで HD ビデオ ファイルを作成できました。さて、このファイルはどのような方法で人々に見せますか?
再生の要件
一般的に、HD を使用する上で最大の課題は、ユーザーがそのファイルを確実に再生できるようにすることです。フレーム サイズ、フレーム レート、およびピーク データ レートが大きくなるほど、再生のために高速なコンピュータが必要になります。Windows 2000 または (理想的には) Windows XP と Windows Media Player 9 シリーズが動作する Pentium 4 または Athlon XP が最小の必要システム構成です。しかし、単純にクロック スピードでパフォーマンスを評価しても全体像はつかめません。メモリ、帯域幅、マザー ボード、ビデオ カード、ビデオ カード メモリ、ビデオ カード ドライバのバージョン、およびその他のコンポーネントがパフォーマンスに大きな影響を与えます。これらの設定を適切に行えば、ユーザーはスムーズに HD を再生できます。
DVD-R
Windows Media Video (WMV) ファイルを DVD-R に焼くことにより、ファイルをいろいろな場所に簡単に移動できます。DVD-R には 4.7 GB を保存できます。ビデオなら 5,000 Kbps、オーディオなら 192 Kbps という既定のビット レートで 2 時間弱のデータが入ります。ディスクに保存するコンテンツを減らすと、より高い平均データ レートを使用できます。