R2 機能概要

IIS 7.5

インターネット インフォメーション サービス (IIS) は、ASP.NET、Windows Communication Foundation (WCF)、SharePoint テクノロジーなど、マイクロソフトの Web テクノロジーを統一する中心的な役割を担う Web プラットフォームです。Windows Server 2008 R2 に搭載される最新バージョンの IIS 7.5 は、大幅に再設計された IIS 7.0 のアーキテクチャーを継承し、さらに拡張性と信頼性、管理性を高める多くの機能強化が施されています。

IIS 7 の概要

モジュール構造のアーキテクチャー

マイクロソフトは Windows Server 2008 に IIS 7.0 を実装するにあたり、IIS 6.0 のアーキテクチャーを見直し、大幅な再設計を行いました。IIS 7.0 はモジュール構造のアーキテクチャーを採用し、IT 管理者が Web サーバーの機能を正確かつ容易にカスタマイズできるように設計されています。IT 管理者は、40 以上の機能ごとに独立したモジュールを選択的にインストールまたは削除することで、Webサーバーをカスタマイズすることができます。Web サーバーの用途に必要なモジュールだけを搭載することで、攻撃を受けやすい面が大幅に削減され、かつ軽量化できます。このアーキテクチャーは、IIS 7.5 にも継承されています。

図 1: モジュール構造のアーキテクチャーにより、モジュールの追加と削除による容易なカスタマイズが可能です

図 1: モジュール構造のアーキテクチャーにより、モジュールの追加と削除による容易なカスタマイズが可能です

分散可能な統一構成モデルへの変更

IIS 6.0 以前は、Web サーバーの構成情報をメタベースと呼ばれる構成ストアに格納していました。IIS 5.1 以前はバイナリ形式 (Metabase.bin)、IIS 6.0 は XML ベースのファイル形式 (Metabase.xml) で、Web サーバーごとに集中的に管理していました。IIS 7.0 以降では、メタベースが廃止され、XML ベースの構成ファイル (Web.config および ApplicationHost.Config) に置き換わりました。この構成ファイルは、Web サイトや Web アプリケーションごとに分散構成することができ、別の Web サーバーへの構成の複製や、共有も可能です。また、この新しい構成モデルは、ASP.NET と IIS の設定を統一します。

診断およびトレース機能

IIS 7.0 および IIS 7.5 は、Web サイトや Web アプリケーションで発生する問題のトラブルシューティングを容易にする、複数の診断機能を備えています。Web サーバーの管理者や Web アプリケーションの開発者は、エラー ページや、失敗した要求トレースの出力レポート、Windows のイベント トレース (ETW) 機能と連動したログ記録を利用して、エラーの発生状況を追跡し、問題の原因を特定することができます。IIS 7.5 では、トレース機能が FastCGI モジュールにまで拡張され、PHP や CGI アプリケーション内に IIS のトレース呼び出し機能を組み込めるようになります。

図 2: 失敗した要求トレース機能が出力したエラー レポート

図 2: 失敗した要求トレース機能が出力したエラー レポート

FastCGI による PHP のサポート

IIS 7.0 および IIS 7.5 には、CGI アプリケーションの実行を安定化、高速化する FastCGI モジュールが搭載されています。FastCGI モジュールは、主に PHP の安定化、高速化に焦点を置いて、PHP の開発元であるゼンド社と共同開発されたものです。FastCGI モジュールにより、IIS は PHP のプラットフォームとして実運用可能になりました。またマイクロソフトは、SQL Server へのアクセスを提供する PHP 用ドライバを開発、提供するなど、IIS の PHP 対応を強化しています。

図 3: FastCGI モジュールにより、PHP エンジンを安定、高速にホストできます

図 3: FastCGI モジュールにより、PHP エンジンを安定、高速にホストできます

IIS.NET コミュニティ ポータル

マイクロソフトは、IIS の新しい拡張機能 (IIS Extensions) を IIS.NET コミュニティ ポータル (http://www.iis.net/) を通じて、随時提供しています。IIS 7.0 向けの FTP Publishing Service (FTP 7.0) や WebDAV 機能は、IIS 7.0 には含まれておらず、このポータルを通じて入手することができます。IIS 7.5 向けには、新たに Web Deployment Tool、Live Smooth Streaming、Windows Media Services 2008、Application Request Routing、Database Manager など、数多くの拡張機能がこのポータルを通じて追加提供されます。

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IIS 7.5 の強化ポイント

拡張機能を標準搭載

IIS 7.0 向けに IIS.NET コミュニティ ポータルで追加提供された拡張機能のうち、FTP Publishing Service (FTP 7.5)、WebDAV (WebDAV 7.5)、Administration Pack、Windows PowerShell スナップインの最新バージョンが、IIS 7.5 には最初から組み込まれて出荷されます。

FTP 7.5 は、SSL/TSL ベースの認証やデータ転送の暗号化、UTF8 のサポート、IPv6 対応など、新しいインターネット標準に対応した FTP サーバー機能を IIS 7.5 に追加します。FTP 7.5 の管理インターフェイスと構成ストアは、IIS 7.5 と完全に統合されており、IIS マネージャーを使用して管理することができます。

図 4: IIS マネージャーに統合された FTP 7.5 の管理インターフェイス

図 4: IIS マネージャーに統合された FTP 7.5 の管理インターフェイス

IIS マネージャーの機能強化

IIS 7.5 の IIS マネージャーには、構成エディター、要求フィルターの GUI インターフェイスが追加されます。構成エディターは、Web.Config などの構成ファイルの任意のセクションを参照、編集する機能を、GUI で提供します。要求フィルターは、URLScan モジュールによる特定の HTTP 要求の拒否/許可ルールを定義するための GUI です。IIS 7.0 では、これらの構成のために、テキスト エディターなどを使用して XML を直接編集する必要がありました。IIS 7.5 では、モジュール構造のアーキテクチャーを生かし、選択したモジュールによって IIS マネージャーの管理インターフェイスを拡張します。例えば、FastCGI モジュールでは、FastCGI の構成を行うための管理インターフェイスが提供されます。ASP.NET モジュールでは、認証機能とカスタム エラーを設定するための管理インターフェイスが提供されます。

図 5: IIS マネージャーに統合された構成エディター。構成ファイルを GUI で編集することができます

図 5: IIS マネージャーに統合された構成エディター。構成ファイルを GUI で編集することができます

ベスト プラクティス アナライザー

Windows Server 2008 R2 のサーバー マネージャーには、各役割に対応したベスト プラクティス アナライザーが統合されています。IIS 7.5 用のベスト プラクティス アナライザーは、IIS 7.5 の構成をスキャンして、確立されたベスト プラクティスに反する項目をチェックし、構成上問題を引き起こす可能性のある項目をレポートします。ベスト プラクティス アナライザーは、Windows PowerShell から実行し、結果を参照することもできます。

コマンドラインによる管理、監視の強化

IIS 7.0 では、IIS マネージャーの GUI 管理インターフェイスの他、IIS の展開、構成、管理、および監視を行うための CUI 管理インターフェイスが充実しました。

AppCmd は、IIS 6.0 の各種 WSH スクリプトを置き換えるもので、IIS の構成やサイトの制御、ワーカー プロセスやリクエストの監視といった、基本的な管理機能を提供します。IIS マネージャーのすべての機能を備えているわけではありませんが、GUI に比べて、情報へのすばやいアクセスと制御が可能です。AppCmd は、IIS のサブ コンポーネントを追加、削除する機能も持ちます。

IIS 7.0 には、マネージコード API (Microsoft.Web.Administration) や WMI インターフェイス (WebAdministration) が用意されているため、WSH や Windows PowerShell のスクリプトから管理することができます。.NET アプリケーションに IIS の管理機能を組み込むことや、独自の拡張モジュールを開発することもできます。

IIS 7.5 では、これらに加えて、Windows PowerShell による管理機能が強化されました。標準で提供される IIS 用の Windows PowerShell プロバイダーは、IIS を管理するための多数のコマンドレットを備え、一般的な管理タスクの自動化やリモート管理 (Windows PowerShell 2.0 のリモーティングを利用) を強力に支援します。

Server Core での ASP.NET サポート

IIS は、ServerCore でサポートされる役割の 1 つです。IIS のプラットフォームとして Server Core を採用することで、セキュリティが高く、軽量な Web サーバーを構築することができます。IIS 7.0 および 7.5 の共有構成、AppCmd をはじめとする CUI 管理インターフェイスは、Server Core 環境における IIS の展開と構成、管理を支援します。

Windows Server 2008 R2 の Server Core は、新たに .NET Framework に対応しました。これにより、Server Core 上の IIS 7.5 で ASP.NET アプリケーションを展開できるようになり、フル インストール環境の IIS 7.5 と同等の Web プラットフォーム機能を提供できます。また、.NET Framework を前提とする IIS の管理サービスや Windows PowerShell も利用可能になり、リモートの IIS マネージャーからの GUI による管理や、Windows PowerShell スクリプトによる管理が可能になります。IIS のプラットフォームとして Server Core を採用したとしても、管理機能が制約されることが無くなりました。

ホスト可能な Web コア

Windows Server 2008 R2 では、IIS 7.5 のホスト可能な Web コア (Hwebcore.dll) がサポートされます。この機能は、IIS 7.5 の Web サーバーのコア機能を、IIS 7.5 のワーカープロセス (W3WP.exe) 以外のプロセスでホストできるように設計されており、一連の API から利用することができます。ホスト可能な Web コアを利用すると、Web サーバーが稼働していない環境で、アプリケーションから IIS 7.5 の Web エンジンを呼び出すことができます。例えば、アプリケーション自身に Web サーバー機能を実装したり、あるいはアプリケーションのデバッグに利用したりすることができます。

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