スキャンとは、情報収集のプロセスのことです。多くの写真家にとって、オリジナルの透過原稿をスキャンする第 1 目的は、オリジナルになるべく近い画像を得ることです。しかしスキャナによってさまざまな癖があるため、スキャン結果は大きく異なってしまいます。

同じ写真を複数のスキャナで取り込んでみるとわかりますが、同じメーカーの製品でも、機種によって得られる画像に大きな違いが生じます。わずかな場合もありますが、やはり違いはあるものです。これに対処するため、スキャン結果を標準化するためのスキャナ プロファイルを作成して、スキャナが情報を記録する際の不正確さを補正することができます。
スキャナ プロファイルを作成するには、既知の値が含まれた画像をスキャンして、それらの値を、スキャナが実際に記録した値と比較します。相違点は補正スキームに変換され、正確なスキャン結果を得るために使用されます。
ここでは、モナコ システムズ (www.monacosys.jp) が提供している MonacoEZcolor を例にとって、スキャナ プロファイルの作成手順を説明します。MonacoEZcolor は、モニタ プロファイル、スキャナ プロファイル、そしてプリンタ プロファイルを非常に簡単に作成するためのパッケージを提供しています。ソフトウェア自体には、あらゆる目的のために必要なものがすべて含まれているわではありません。たとえば、モニタ プロファイルを作成するためのセンサーは含まれていません。ただし、フラットベッド スキャナ用の、反射原稿および透過原稿のプロファイルを作成するための IT8 ターゲットは含まれています。フィルム スキャナ用のカスタム プロファイルを作成するには、モナコ システムズから 8,400 円で提供されている IT8 35mm 透過ターゲットを購入する必要があります。

MonacoEZcolor を使用してカスタム スキャナ プロファイルを作成するには、次の手順を実行します。
1. | MonacoEZcolor を起動します。 |
2. | 作成したいプロファイルのタイプを選択します。(図 1)。この例では、スキャナが入力デバイスであるため、[スキャナ プロファイルの作成] を選択します。 ![]() |
3. | [はじめる前に] 画面には、重要な注意点がいくつか書かれています (図 2)。プロファイルを作成するスキャナを安定させるため、少なくとも 30 分間は電源をオンにしておいてください。また [はじめる前に] 画面には、スキャナ ソフトウェアの自動調整オプションと、すべての色管理オプションをオフにするよう書かれています。注意書きをよく読み、[次へ] ボタン (右矢印) をクリックして続行します。 |
4. | [IT8 ターゲットと参照ファイルを選択します] ウィンドウで、プロファイル作成のためにスキャンする IT8 ターゲットのタイプを選択します (図 3)。フラットベッド スキャナの印刷用のプロファイルを作成する場合は、[5x7 反射型ターゲット] オプションを選択します。フラットベッド スキャナで透過原稿アダプタを使用する場合は、[4x6 透過型ターゲット (ポジ)] オプションを選択します。専用フィルム スキャナのプロファイルを作成する場合は、[35mm 透過型ターゲット (ポジ)] オプションを選択します。[次へ] をクリックします。 |
5. | [ターゲットをスキャニングします] ウィンドウに、プロファイルを作成するスキャナの IT8 ターゲットをスキャンするための案内が表示されます。フラットベッド スキャナの場合は、ガラス面が汚れていないことを確認し、ターゲットをセットします。フラットベッドで透過ターゲットを使用する場合は、透過アダプタが実際に照明している場所にセットしてください。フィルム スキャナの場合は、スライドをスキャンするときと同様に、35mm ターゲットをスキャナに挿入します。 Encarta は自動的に写真に著作権情報を追加します。 |
6. | スキャナが TWAIN をサポートしている場合は、[Twain から読込み] をクリックして、直接 MonacoEZcolor ソフトウェアにスキャンします。そうでない場合は、[画像の読込み] をクリックします。TWAIN を使用すると、画像をスキャンして画像編集ソフトウェアで保存する際に、作業空間などの別のプロファイルの適用を防止できるため、TWAIN オプションを選択することが推奨されます。既存のスキャン結果をロードする場合は、手順の 10 に進んでください。 |
7. | MonacoEZcolor は、お使いのスキャナ ドライバの起動を試みます (システムの設定によっては、Photoshop またはその他の画像編集アプリケーションが起動されます)。前の手順で MonacoEZcolor が推奨した解像度でスキャナ設定を調整してください。すべてのコントロールをニュートラルな値にリセットし、すべての自動調整オプションや色管理オプションをオフにします。 ![]() |
8. | ターゲットだけがスキャンされるようトリミングして、[取り込み] ボタンをクリックすると画像が取り込まれます。スキャンが完了したらスキャナ ソフトウェアを閉じます。 |
9. | トリミングと方向が適切であるかどうか確認します。画面には、作成したスキャンのサムネイルに加え、適切なスキャン結果と不適切なスキャン結果の例が表示されます (図 4)。スキャン結果が不適切な場合は、[戻る] ボタン (左矢印) をクリックしてターゲットをスキャンしなおしてください。適切な結果が得られた場合は [次へ] をクリックします。 |
10. | [参照ファイルを選択します] ウィンドウで、スキャンするターゲットに適合した参照ファイルを選択します。この情報は、ターゲット自体に表示されます。[参照ファイルの選択] ボタンをクリックして適切な参照ファイルを選択し、[開く] をクリックします。 ![]() |
11. | [プロファイルの保存] ボタンをクリックして、作成したプロファイルの名前を入力します。プロファイルの名前は、使用したスキャナの機種がわかるような、またフラットベッド スキャナの場合はプロファイルのタイプ (反射または透過) がわかるような名前にすることをおすすめします。 |
12. | 最後に表示されるダイアログで、プロファイルが正しく作成されたことが確認されます。[次へ] をクリックして、手順 2 のメインメニュー画面に戻ります。 |
SilverFast は Lasersoft Imaging (www.silverfast.com (英語)) が提供するスキャン専用ソフトウェアで、スキャン プロセスを非常に優れた方法で制御することができます。数多くの種類のスキャナをサポートしており、最高のスキャン結果を得たいユーザーには非常に役立つソフトウェアです。また、標準の IT8 ターゲットを使用してスキャナのカスタム プロファイルを作成するためのオプションもあります。また SilverFast では、そのカスタム プロファイルをスキャンに直接適用できるため非常に便利です。SilverFast の価格はサポートするスキャナによって異なりますが、一般的なフィルム スキャナの場合は、プロファイル用の IT8 ターゲットも含めて 350 ドル以下です。

カスタム スキャナ プロファイルは、スキャンしたデータを画像ファイルの正確な色情報に変換するために必要な情報を提供します。しかしほとんどのスキャン ソフトウェアではカスタム プロファイルを画像に直接割り当てられないため、変換は自動的に実行されません。写真編集ソフトウェア内でファイルを開いた後でプロファイルを割り当てる必要があります。
RGB イメージの各ピクセルの色の値は、赤、緑、青の値として保存され、それらをまとめてピクセルの色を正確に定義します。しかしこれらの値はそれ自体では何の意味も持たないただの数字です。それらに色を割り当てるためには、デバイスに依存しない色空間で値がどのような色になるかを変換テーブルで定義する必要があります。プロファイルを使用しないと、色は現在の RGB 作業空間に基づいて Photoshop によって変換されます。
RGB 作業空間は、スキャンした画像の色の値を正確に表現しません。カスタム プロファイルを作成したのはこれを解決するためです。あとは、画像のスキャンに使用したカスタム スキャナ プロファイルの変換情報に基づいて画像内の色の値を変換するよう、Photoshop を設定するだけです (図 5)。
カスタム スキャナ プロファイルを画像に割り当てることと、画像をそのプロファイルに変換することの違いに注意してください。プロファイルを割り当てても、画像の色の値は変化しません。プロファイル内の情報に基づいて変換を行うだけです。色自体は同じままで、色の意味が変化するだけです。
![[プロファイルなし] ダイアログ ボックス](http://img.microsoft.com/japan/windowsxp/using/digitalphotography/prophoto/images/scanner_06.jpg)
画像をプロファイルに変換するのはまったく異なる操作です。この場合、色の値の変換方法が変更されるのでなく、画像データ ファイル内の数値が変更されます。これにより、別のプロファイルに基づいて変換された場合に、各ピクセルは同じ見かけ上の色 (できるだけ近い色) になります。カスタム スキャナ プロファイルを使用する場合、スキャン結果の不正確な色をそのまま保持したくはありません。画像をプロファイルに変換せずに、カスタム スキャナ プロファイルを画像に割り当てるのはこのためです。
最高の結果を得るためには、オリジナルのスキャン結果の色の値が、カスタム プロファイルの割り当て前に変更されないようにすることが大切です。このため、スキャンした画像を開く場合、使用する作業空間に画像が変換されないようにする必要があります。画像が自動的に作業空間に変換されないよう、Photoshop の [カラー設定] ダイアログ ボックスで、[プロファイルの不一致 : 開くときに確認] および [所在不明のプロファイル : 開くときに確認] チェック ボックスをオンにしておいてください。または、[RGB リスト] で、[埋め込まれたプロファイルの保持] を選択してください。
![[プロファイルの指定] ダイアログ ボックス](http://img.microsoft.com/japan/windowsxp/using/digitalphotography/prophoto/images/scanner_07.jpg)
2. | [ファイル] メニューをクリックし、[開く] をクリックして画像を開きます。[プロファイルなし] ダイアログ ボックスが表示されたら、[プロファイルの指定] を選択します (図 6)。お使いのスキャナに適したプロファイルをリストから選択します。ほとんどの場合は、[次にファイルを作業用の RGB に変換します] チェック ボックスもオンにしたほうがいいでしょう。[OK] をクリックすると、プロファイルがイメージに割り当てられます。この後の手順は行う必要はありません。 |
3. | [プロファイルなし] ダイアログ ボックスが表示されない場合は、[イメージ] メニューをクリックし、[モード] をポイントして [プロファイルの設定] をクリックしてください (図 7)。 |
4. | [プロファイル] を選択します。 |
5. | プロファイルのドロップダウン リストから、画像のスキャンに使用したスキャナ用に作成したカスタム スキャナ プロファイルを選択します。 |
6. | [OK] をクリックします。画像の色が、カスタム プロファイルに基づいて変換されます。 |
ネガ フィルムの感光乳剤に含まれるオレンジ マスクの問題のため、ネガのスキャン用に正確なプロファイルを作成することは不可能です。ネガの場合は、スキャン ソフトウェアの設定を使用して、最も実際に近い結果を作り出す必要があります。
最大限に正確な結果を得るためには、カスタム スキャナ プロファイルを適用する予定のスキャンを行う際に、プロファイル作成時にターゲットをスキャンしたときと同じスキャナ設定を使用してください。