過去記事一覧

  • 2008 年 10 月

    ローカライズ業務におけるターミノロジー マネジメント: Part 1

    この記事では、製品やサービスのローカライズ (現地化) 業務に活用されているターミノロジー (用語) マネジメントの手法について紹介し、さらにターミノロジー マネジメントにおける記号論的アプローチと名義論的アプローチの相違についても簡単に説明します。

    ローカライズ処理の一部として行われているターミノロジー マネジメントは、近年大きく変化しました。また、製品のライフ サイクルのどの時期にターミノロジー マネジメントが実施とされるかも変わりつつあります。ローカライズの方法論がまだ確立されていない時代には、作業がある程度進んだあとに翻訳者が製品チームと連携することなく新規用語のみをデータから抽出してリストを作成するような方法も見受けられました。このような原始的な用語リストは、やがて定義を伴った用語集に取って替わられるようになります。通常、用語集はローカライズの開始時に作成され、それぞれの製品に固有と考えられる用語のみで構成されます。このような手法でも、異なる製品間では同じ用語集が活用できないことがあります。現在マイクロソフトが実践しているターミノロジー マネジメントでは、ローカライズ処理が開始される前に多くの新規用語が特定され、英語ターミノロジストは製品チームの開発者と連携して作業を行います。多言語で概念ベースの製品用語データベースを使用することで、複数の製品チームや外部の協力会社、翻訳者各位に同時に用語データを提供することができます。

    従来の用語集では、各用語とその意味を直接関連付けする記号論的な (semasiological) アプローチで用語を管理します。このアプローチは、一般の辞書にも共通するものです。用語集の各項目はそれぞれ 1 つの単語を表し、その単語の各言語における定義も記載されます。たとえば、英語の "frame" という項目には、"1 つのイメージを格納する箱形のスペース"、"Web ページの 1 セクション"、"ビデオを構成する一連のイメージの 1 つ"、"一単位として転送される情報のパッケージ" のような記載がされます。用語指向のこのシステムでは、類義語 (たとえば "blog" と "weblog") と、そのバリエーション ("web log") は元の用語とは別の項目として記録されます。ローカライズという業務の枠組の中で使用される用語集はソース言語 (主に英語) で用語のその定義を、ターゲット言語で用語の訳を紐付けして管理します。英語に用語のバリエーションが存在する場合、ターゲットには同じ訳語が繰り返し記載され、扱われる用語も製品固有のものが主流です。用語を分析して検証し、同じ用語の訳語を共有するシステムが実装されていないと、異なる製品間で用語の不一致が発生することもあります。

    マイクロソフトのターミノロジー マネジメントでは、概念と用語を関連付けする名義論的 (onomasiological) アプローチを採用しています。用語データベースの各項目はそれぞれ 1 つの概念を表し、ソース言語 (英語) でその概念を表現する複数の用語が紐付けされ、さらにターゲット言語で対応する用語が関連付けされます。たとえば、データベース項目である概念の定義が "ローカル エリア ネットワークやインターネットのような通信ネットワークを経由したテキスト メッセージやコンピューター ファイルのやり取り" だとすると、英語の用語には "electronic mail"、"email"、"e-mail"、"mail" が列挙され、日本語には "mail" に "メール"、その他の各用語には "電子メール" という訳語が関連付けされます。概念ベースのこのシステムでは、製品のジャンルにかかわりなく同じ概念を表す用語を共有できるため、用語の揺れも抑制でき、ターゲット言語における用語の標準化、ひいてはユーザー エクスペリエンスの向上にも寄与することができるのです。

    マイクロソフトのターミノロジー マネジメントの詳細については、この過去記事一覧のほかの記事でも詳しく紹介しています。ぜひご一読ください。

  • 2008 年 9 月

    ソフトウェア コンテンツのグローバル化: Part 2

  • 2008 年 8 月

    カタカナ用語末尾の長音表記の変更について - プレス リリース抜粋

  • 2008 年 7 月

    ソフトウェア コンテンツのグローバル化: Part 1

  • 2008 年 6 月

    マイクロソフトのターミノロジー マネジメント: Part 3 – 実際のローカライズ業務におけるターミノロジー

  • 2008 年 5 月

    マイクロソフトのターミノロジー マネジメント: Part 2 – ターゲット言語での用語の準備

  • 2008 年 4 月

    マイクロソフトのターミノロジー マネジメント: Part 1 – ソース用語の選択

  • 2008 年 9 月

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