Windows 2000 の新しい TCP/IP 機能

Windows 2000 の TCP/IP は旧版からアップデートされており、単一のサブネット上での構成が簡単になったり、帯域幅の広いネットワーク環境での TCP パフォーマンスを最適化するための機能がいくつか追加されています。

追加された機能には、次のサポートが含まれます。

プライベート アドレスの自動構成

自動プライベート IP アドレス指定 (APIPA) を使うと、DHCP サーバーを含まない単一サブネット ネットワークの TCP/IP アドレスの構成を自動化することができます。

既定では、Windows 2000 を実行しているコンピュータは、まずネットワーク上の DHCP サーバーと通信して、インストールされている各ネットワーク接続に関する構成情報を動的に取得することを試みます。

IP アドレスの APIPA 範囲は、IANA (Internet Assigned Numbers Authority) によって予約されています。この範囲内の IP アドレスはインターネットで使用されません。

APIPA は、インターネットに接続されていない単一ネットワークのスモール オフィスやホーム オフィス ネットワーク用の IP アドレス構成作業を不用にします。

サイズの大きい TCP ウィンドウ

ウィンドウ サイズは、明確な受信確認を待たずに送信できるパケットの最大数を決定します。TCP ウィンドウのサイズが大きいと、送信側と受信側の間で大量のデータが転送されたときの TCP/IP パフォーマンスが向上します。典型的な TCP ベースの通信では、通常、最大ウィンドウ サイズは接続開始時に決定された時点で固定され、64 KB までに制限されます。

サイズの大きいウィンドウがサポートされていると、TCP オプションを使うことにより、長時間に渡るセッション中に必要に応じて動的に実際のウィンドウ サイズを再計算し変更することができます。このオプションを使うと、同時により多くのデータ パケットをネットワーク上に送出することができ、結果的にスループットが向上します。

サイズの大きい TCP ウィンドウの詳細については、「RFC 1323 TCP Extensions for High Performance.」を参照してください。

選択的確認応答

典型的な TCP ベースの通信では、確認応答は追加方式で行われます。TCP は、1 つ前に受信確認したセグメントに続くセグメントを受け取ったときにしか確認応答しないのです。連続していないセグメント (順序どおりに受信されなかったセグメント) には、明示的な受信確認は行われません。TCP では、決まった短い時間内にセグメントが受信され、受信確認されることを要求されます。これが行われなければ、受信確認されなかったセグメントおよびそれに続くすべてのセグメントを再送信しなければなりません。

選択的確認応答は、新しい TCP オプションです。選択的確認応答では、受信側は、実際に受信できなかったデータだけを選択的に送信側に通知し、そのデータだけを再送信するように要求することができます。この結果、再送信を要求されるデータの量が少なくなり、ネットワーク帯域幅をより有効に利用できます。

選択的確認応答の詳細については、「RFC 2018 TCP Selective Acknowledgment Options」を参照してください。

向上した RTT 見積もり

RTT (Round Trip Time: 往復時間) は、TCP で、送信側と受信側の間での往復通信に必要な時間を見積もるために使用されます。Windows 2000 では、RTT の見積もり方法を向上させる TCP 往復時間測定オプションの使用がサポートされています。より正確な RTT 情報をより頻繁に計算することにより、TCP は再送信タイマを設定するにあたって、正確な見積もり結果を使用でき、TCP 全体の通信速度およびパフォーマンスがより向上します。

RTT 見積もり精度の向上は、国を越えて広がる WAN やワイヤレス リンクまたは衛星通信リンクを使う WAN など、往復時間の長いネットワーク リンクでの通信に大きく貢献します。

TCP 往復時間測定の詳細については、「RFC 1323 TCP Extensions for High Performance」を参照してください。

ICMP ルーター発見

ICMP (Internet Control Message Protocol: インターネット制御メッセージ プロトコル) ルーター発見は、デフォルト ゲートウェイが手動で構成されておらず、DHCP を使って割り当てられてもいない場合に、ICMP メッセージを使ってネットワーク セグメント上のデフォルト ゲートウェイを発見します。ICMP ルーター発見は、ルーター要請とルーター アドバタイズの 2 つの ICMP メッセージで構成されます。ルーター要請は、ホストが、ネットワーク上のルーターを発見するために送信します。ルーター アドバタイズは、ルーターがルーター要請に応答する際、および自分がまだ利用可能であることをネットワーク上のホストに定期的に知らせる際に送信します。ICMP ルーター発見は、Windows 2000 を実行しているホストの TCP/IP では既定の設定で有効になっています。

ルーティングとリモート アクセス サービスを実行している Windows 2000 Server コンピュータは、ルーターとして ICMP ルーター発見をサポートするように構成することができます。詳細については、「ルーティングの概要」を参照してください。

ICMP ルーター発見の詳細については、「RFC 1256 ICMP Router Discovery Messages」を参照してください。

DNS キャッシュ

Windows 2000の TCP/IPの DNS (Domain Name System: ドメイン ネーム システム) リゾルバは、DNS 名クエリをキャッシュします。DNS キャッシュの内容は、Ipconfig ユーティリティを使うことにより表示およびフラッシュできます。詳細については、「クライアントの機能」および「ipconfig コマンドを使ってクライアント リゾルバ キャッシュをフラッシュおよびリセットするには」を参照してください。

NetBIOS over TCP/IP を無効にする

Windows 2000 では、各ネットワーク接続の NetBIOS over TCP/IP (NetBT) を無効にすることができます。この機能は、Microsoft ネットワーク コンポーネントの Microsoft ネットワーク用クライアントとファイルとプリンタの共有を使うことにより、DNS の名前登録と名前解決だけを使って、NetBT が無効になっているほかのコンピュータと通信するコンピュータのために用意されたものです。NetBT を無効にするコンピュータの例としては、ファイア ウォール環境 (NetBT サポートが必須ではないまたは要求されない) でのエッジ プロキシ サーバーや要塞ホストなど、ネットワーク上で特殊なあるいはセキュリティ上の役割を担うコンピュータがあります。

次に示すのは、Windows 2000 を実行しているコンピュータ上で NetBT を無効にする際に考慮すべき点です。

NetBT を無効にするコンピュータのよい例は、プライベート ネットワークと接続されており、なおかつインターネットなどの外部ネットワークと接続されているサーバー コンピュータです。この場合、インターネット接続に NetBT は必要ありません。インターネット接続でだけ NetBT を無効にすることにより、デュアル ホーム コンピュータは、内部ネットワークの WINS サーバーとしてもクライアントとしても機能し続けられるうえ、WINS クライアントがそのコンピュータにインストールされている他の物理ネットワーク アダプタで確立された接続のサービスを受けることもできます。

NetBT は、TCP/IP プロトコルのプロパティの [WINS] タブで無効化できます。詳細については、「WINS を使うように TCP/IP を構成するには」を参照してください。NetBT の無効化は、Microsoft ベンダ固有の DHCP オプションを使うことにより DHCP を介して行うこともできます。詳細については、「Microsoft のベンダ固有のオプション」を参照してください。

その他の機能情報

Windows 2000 での TCP/IP のパフォーマンス向上および機能に関する追加情報については、前に示した RFC ドキュメントを参照してください。RFC ドキュメントを入手する方法については、「RFC を入手する」を参照してください。