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2024/04/23

日野自動車 のハイブリッドワーク推進を支えるDaaSソリューションとして、Windows 365 Enterpriseを採用

変化へのスピーディな対応、従業員満足度向上 ( ES) を目指し、ハイブリッドワークを推進する日野自動車は、日常業務を支える IT 環境として、DaaS (Desktop as a Service) に着目しまた。DaaS とは、クラウドからデスクトップ環境を利用するサービスで、情報システム管理者にとっては、セキュリティ強化と運用負荷軽減が期待できます。

その DaaS ソリューションとして採用されたのが、Windows 365 Enterprise ( 以下Windows 365) です。導入に伴う複雑な設計が不要で、利用する CPU やメモリ、ストレージの容量を選択するだけなので、使えるになるまでのリードタイムが短いこと、運用がシンプルな点が採用の決め手となりました。Windows 365 は、Microsoft Azure (以下Azure) 上でインフラを完結できることから、ワンストップサポートによる大きな安心が得られる点も選定理由の一つになったとのこと。全体最適とガバナンス強化を図るべく、2025 年度までに従業員 1 万人への導入を目指しています。

Hino Motors

コロナ禍で導入したリモート デスクトップの課題が顕在化

トラック・バス事業を通じて社会を支えてきた日野自動車は、基本理念である HINO ウェイを礎に「人、そして物の移動を支え、豊かで住みよい世界と未来に貢献する」を使命とし、「チーム HINO」一丸となって挑戦を続けています。カーボンニュートラル、交通事故死亡者ゼロ、ドライバー不足や地方公共交通の維持といった社会課題は、物流や交通システム全体に及んでいます。これらの課題解決に向け、トヨタグループだけではなく、他社協業を通じて CASE (コネクテッド・持続性、自動運転、シェアード・共有、電動化)技術の活用をはじめとする技術革新も推進しています。

企業変革を駆動する原動力は従業員 1 人 1 人です。同社は、変化へのスピーディな対応、多様な働き方の実現を目指し、ハイブリッドワークを推進しています。インフラ整備を進める中、従来の課題について日野自動車 IT 企画部 住吉 圭 氏は次のように話します。

「コロナ禍における緊急対策として、在宅勤務ができるリモートデスクトップを一気に導入しました。しかし、自宅の BYOD (Bring Your Own Device) PC から、リモートで社内の PC を操作する仕組みだったことから、24 時間社内の PC を立ち上げておく必要がありました。これにより、PC の劣化スピードが早くなり挙動が怪しくなることもあります。1 人 1 台の社内 PC の運用 が必要となるため、PC維持に多くの従業員の負担がかかってしまうことも課題でした。」

2022  年、コロナが終息に向かう中、同社はハイブリッド ワークのインフラ整備に着手。テーマに据えたのは、シンクライアントとクラウド化でした。

シンプルな運用、インフラ全体のワンストップサポートが採用の決め手に

シンクライアントに着目した点について、日野自動車 IT 企画部 業務システム室 業務システム戦略 G 大塚 潤 氏は説明します。「シンクライアントは、サーバーで処理された結果を PC 画面に表示するのみ、端末にデータを残しません。端末のウイルス感染や紛失時も、すべてのデータはサーバーに保管されているため、情報漏えいリスクを最小化できます。また、運用やセキュリティ対策もサーバーに集約させられます。さらに、端末に求められるスペックも低く抑えられることにも利点を感じました。」

クラウド化を重視したポイントについて大塚氏は「所有から利用へという発想です。当社はオンプレミスの社内システムを Azure に移行し、クラウド化を進めています。つまり、シンクライアントに関しても、DaaS の利用は全社方針に沿っているわけですが、さらに運用負荷を軽減できるので、IT 人材が DX 推進などの本来の業務に集中できる余力を生み出せます」と話します。

DaaS の選定では複数のソリューションを比較し検討。Windows 365 にした決め手は「シンプルな運用」だったと、日野コンピューターシステム ネットワーク・OA 技術部 OA・コミュニケーション基盤室 室長 木村 昌弘 氏は振り返ります。「当初は、既存のデスクトップ環境を踏襲するために、細かく設定できる DaaS を検討していました。しかし、それではこれまで負荷の高かったデバイス運用管理と変わりません。社内で検討を重ねる中で日本マイクロソフトから、彼らがクラウド PC と呼ぶ Windows 365 の提案をいただきました。Windows 365 は構成も運用もとてもシンプルなので、迅速に社内に展開できそうな点と、デスクトップ環境の標準化がやりやすそうな点に魅力を感じました。」

さらに、「クラウド PC 上で動作するMicrosoft Teams (以下、Teams) 性能も強烈に印象に残っています」と木村氏は続けます。「以前、日本マイクロソフトの品川本社にお邪魔したときに、奈良県にいらっしゃる社員の方がリモートで会議に参加されたのですが、その方が Windows 365 上の Teams から参加されていることに最後まで気付きませんでした。DaaS 環境でも、性能に全く遜色がないことに驚かされました。」

こうして、同社は Windows 365 採用に大きく舵を切りました。Windows 365 は、SaaS として、Windows OS をストリーミングしているので、Web ブラウザから、それぞれの従業員の Windows デスクトップ環境にアクセスできます(専用のクライアントアプリも用意されています)。

「従業員は、いつでもどこでもインターネット接続環境さえあれば、Windows 365 上で業務が進められます。自宅の PC であれ、社内の PC であれ、使用するデバイスを選びませんので、仮に利用中の PC が故障した際も、別の PC からアクセスすれば済むので、業務を継続できます」(木村氏)

さらに、ハイブリッドワークにおけるセキュリティを強化できると木村氏は付けくわえます。「Windows 365 は、信頼性の高い Azure からホスティングされているので、サイバー攻撃対策としても有効であると考えました。また、当社では、社内既定で USB メモリの利用が禁じられているのですが、そのような設定も可能です。一般的に、USB の無効化を BIOS で設定するのには手間がかかりますが、Windows 365 なら Microsoft Intune (以下 Intune) から設定を変えるだけです。USB 接続のマイクは使用できるけれど、USB メモリにデータを移すことはできないといった設定もできます。」

インフラの観点では、従業員に紐付くアカウントの管理との連動性の良さを住吉氏は挙げました。「Windows 365 では、Microsoft Entra ID (旧称 Azure Active Directory) で ID / アカウントの管理を、Intuneでデバイスを管理するように設計されています。これによって、システムとしての親和性はもとより全体最適、ガバナンス強化が図れます。また、日常業務を支えるインフラですから、システム障害に対してワンストップ サポートは大きな安心につながります。個別サービスの組み合わせでは、要因特定のための切り分けだけでも大変です。」

物理 PC の共有により社内 PC の台数削減を見込む

Windows 365 の導入に際して、同社 IT 企画部では、さまざまな検証をおこなったと大塚氏は話します。「IT 企画部で、実際に Windows 365 を使って快適なパフォーマンスを発揮できるかどうかを検証しました。自宅の PC から社内の PC を操作してアプリケーションを利用していた従来の仕組みでは、ネットワークがレスポンス低下の要因となるケースがありました。一方、Windows 365 は、Microsoft Hosted Network を利用するため、レスポンスよく、きびきびと動作します。」

一般的にシンクライアントは、導入コストが割高になると言われています。大塚氏は、「物理 PC から交換する場合と単純に比較するのではなく、運用コストにも目を向けるべきです」と補足します。

「PC の入れ替えや新規導入における工数が大幅に削減されるのみならず、物理的なキッティングや各部門でおこなっている PC 管理が不要になるなど、運用全体の観点から削減できる工程をリストアップし、コストメリットがあることをデータで示しました」(大塚氏)

こうした検討を経て、2023 年 9 月に、Windows 365 の採用を決定し、まずは、IT 企画部で導入を開始しました。「導入後も実際の業務で使う中で出てきた細かい要望を日本マイクロソフトに提示し、改善してもらっています。今後、本社部門、開発、工場などに展開し、2025 年度までに 1 万人の従業員に行き渡らせたいと考えています」(住吉氏)

Windows 365 の利用は既存のリモートデスクトップ運用からは、どのように変わるのでしょうか?

「自宅での作業に支障がないことから、自然にハイブリッドワークの利用者が増え、オフィスのレイアウトの見直しやコミュニケーションエリアを作ることに繋げていこうと考えています。現在は他部門や総務部と一緒に、全社的なオフィス環境の見直しにも取り組んでいますが、こうしたポジティブな変化はこれまでになかったことです」(大塚氏)

自分たちにとって最適な PC の台数について大塚氏はこう言及します。「Windows 365 は、複数人で物理 PC を共有し、それぞれが自分専用のクラウド PC にアクセスすることが可能です。それを実現する機能として Windows 365 Boot (物理 PC にログインすることなく、Windows 365 に直接アクセスができる機能) のテストをおこなっています。また社内ルールを整備し、自宅だけでなく社内でも BYOD の利用を推進することで社内 PC の台数削減にも取り組めそうです。」

運用の効率化では、物理的なキッティングが不要となるメリットは大きいと木村氏は話します。「これまでは、社内のキッティング専用のスペースに 100 台を超える物理 PC を並べて、数人が約 5 日間ほどかけて各種設定やアプリケーションのインストールなどの作業をおこなっていましたが、Windows 365 は DaaS なので、キッティングをする必要はありません。Intune でプロビジョニング ポリシーを定義すれば、あとは、自動的に展開、管理できますので、100 台を展開するのに半日もあれば終わります。さらにこれまではキッティングした PC を配送する手間と時間を要しましたが、いまではそれも不要になりました。トータルで考えると大幅な削減効果があります。」

マイクロソフトの組織を横断した伴走支援を高く評価

今後、Intune を活用し、運用のさらなる効率化を図っていきたいと木村氏は話します。「Intune では、クラウド PC も物理 PC も分け隔てなく管理できる点にメリットを感じています。Windows 365 の導入をきっかけに、セキュリティ強化の一環で、管理者権限の廃止に踏み切ろうとしているのですが、そのためにIntune の付加ソリューションである、Intune Suite に含まれている Microsoft Intune エンドポイント特権管理 (EPM) を検証しています。これは一時的に管理者権限を付与し、特定アプリケーションだけをインストールできる機能で、とても期待しています。」

1 ライセンスで任意の 3 人の従業員がクラウド PC にアクセスできる Windows 365 Frontline にも関心を寄せていると木村氏は付け加えます。「工場では、日勤や夜勤で人が入れ替わりますので、そのような従業員が利用できるデスクトップ環境として、有効な手段になると思います。」

設計部門では、Windows 365 の GPU 対応にも着目しています。「GPU が利用できるようになれば、自宅のクラウド PC 環境で CAD データが編集できるようになります。設計部門が有する膨大な CAD データをどのように運用するかと併せて検討しています」(大塚氏) 

また、将来の働き方として木村氏が理想形と語るのが、スマートフォンの活用です。「この片手に収まるスマートフォンから、Windows 365 にアクセスし、あとは、モニターとキーボードに接続するだけでまるで PC のデスクトップのような環境が生まれます。クラウド PC の本質は、物理 PC の枠を超えた使い方にあると思います。」

住吉氏は、マイクロソフトの組織を横断した伴走支援を高く評価しています。「導入前、多いときには週に 3 回、日本マイクロソフトの関係者と Teams 会議で打合せをしました。担当営業の方は議題に合わせて専門家を呼び、その場で当社の疑問に即答してくれました。その場で解決できなかった問題でも本国のエンジニアと連絡を取りあって解消。こうした伴走支援があったからこそ、当社は Windows 365 を導入して、ハイブリッドワークを実施する基盤を構築できました。日本マイクロソフトはプロジェクトを一緒に進める『パートナー』だと思っています。」

日野自動車の基本理念は、「人、そして物の移動を支え、豊かで住みよい世界と未来に貢献する」。人流や物流の課題の解決を通じて、持続可能な社会の実現に向けた従業員 1 人 1 人の働き方を、日本マイクロソフトは「パートナー」として支えていきます。

“伴走支援があったからこそ、当社は Windows 365 を導入して、ハイブリッドワークを実施する基盤を構築できました。日本マイクロソフトはプロジェクトを一緒に進める『パートナー』だと思っています”

住吉 圭 氏, IT企画部 インフラ基盤室 サーバー・PC基盤G G長, 日野自動車株式会社

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