Windows 7 VS Windows 10 五番勝負
第 1 競技: パフォーマンス - 速くて、サクサクなのはどっちだ?
【第一回戦】パフォーマンス編
Windows 7 世代と Windows 10 世代、PC がサクサク使えるのはどっち?
パソコンを快適に利用する上で、何よりも重要になるのはストレスなく操作できること、キビキビした反応といった“パフォーマンスのよさ”です。たとえば PC がすぐに立ち上がり、使いたいアプリケーションやファイルが素早く画面上に表示されれば、ストレスを感じることなく PC を利用することが可能です。逆に何をするにも待たされるような状況では、快適に作業を行なうことはできません。
この PC のパフォーマンスを左右する要素として、見逃せないのが OS です。まず OS そのものの性能に差があります。そして古い OS は同じ時期に販売されていた古い PC と一緒に使われていることがほとんどです。当然ながら最新の PC と比べると大きな性能差が生まれます。それでは、実際にどの程度の差があるのでしょうか? 発売当時の価格帯が比較的近く、いずれも Intel Core i5 を搭載した Windows 7 世代のノート PC と Windows 10 搭載の最新ノート PC を用意し、両者のパフォーマンスを比較してみました。
今回比較に利用した PC

最新 PC
OS : Windows 10 Pro (64bit)
CPU : Core i5-8350U (4 コア、1.7GHz / ブースト時 3.6GHz)
メモリ: 8GB
ストレージ: 512GB SSD
タッチスクリーン液晶搭載、Windows Hello 顔認証サインイン対応
発売時実売価格: 16 万円前後 (2018 年 10 月)

Windows 7世代PC
OS : Windows 7 Professional SP1 (64bit)
CPU : Core i5-2520M (2コア、2.50GHz / ブースト時 3.2GHz)
メモリ: 4GB
ストレージ: 320GB HDD
フル HD 液晶搭載
発売時実売価格: 18 万円前後 (2013 年 5 月)
第 1 種目 起動スピード対決
PC を立ち上げてすぐに使えるのはどっち?
Web サイトを見る、メールをチェックする、音楽を再生するなど、PC はさまざまな用途で使うことができますが、いずれにしてもまず起動しなければ始まりません。この起動に時間がかかってやりたいことができず、ストレスを感じたという経験を持つ人は多いでしょう。
ここでは、Windows 7 と Windows 10 のそれぞれの OS を搭載した PC で、電源ボタンを押してからデスクトップが表示されるまでの時間をストップウォッチで手動計測しました。計測は 3 回行ない、その平均で比較しています。

結果: Windows 10 世代 PC は Windows 7 世代 PC の 4 分の 1 以下の時間で起動!
グラフ: 起動時間(単位:秒)

Windows 10 世代の PC は平均 11.9 秒で起動したのに対し、Windows 7 世代の PC は平均 53.7 秒もかかりました。使っていてはっきりと違いが分かります。
これだけの差が開いた理由の一つとして、Windows 10 に搭載されている「高速スタートアップ」の機能が挙げられます。これは前回シャット ダウンした際の CPU やメモリ、周辺機器などの状態を保存し、次回起動時に利用することで起動時間を短縮する仕組です。
また新旧 PC のスペックの差も大きな要因となっています。Windows 7 世代の PC ではデータを記録するストレージは HDD が一般的でしたが、Windows 10 世代の現在では HDD よりもはるかに高速な SSD が主流です。CPU やメモリの高速化、高速スタートアップと合わせて、大幅な起動時間の短縮を実現しているのです。
さらに、サインインにおける処理の違いもポイントです。Windows 10 には指紋や顔を使ってユーザー認証を行なう「Windows Hello」と呼ばれる機能があり、今回の PC は顔認証に対応しています。そのため、ユーザーは何もせず、ただ PC の前に座っていればユーザー認証は完了します。
一方、Windows 7 にはそうした仕組がなく、ユーザーはパスワードを手で入力しなければなりません。今回の検証では、パスワードの入力に要した時間は 1 秒程度ですが、キーボードに不慣れなユーザーであれば、Windows 10 との起動時間の差はさらに開くことになるでしょう。
グラフ:スタンバイからの復帰時間(単位:秒)

また、Windows とハードウェアの進化により、電源オフからの起動だけではなく、スタンバイ状態からの復帰も高速化しています。Windows 10 は約 1 秒で復帰するのに対し、Windows 7 では約 3 秒を要しました。どちらもかなり高速ですが、今回の Windows 10 世代 PC では、スタンバイからの復帰と同時に顔認証が行なわれてデスクトップ画面が表示されるため、パスワード入力の手間もなく即座に作業が開始できるので、より素早いと感じます。
スタンバイ状態での動作の違いも Windows 10 と Windows 7 の大きな違いです。Windows 7 では、スタンバイ状態のときにメールを受信することはできませんでした。一方、Windows 10 では、特定のハードウェア要件を満たした環境の場合、スタンバイ中でもネットワーク接続を最低限維持し、メールやインスタントメッセージを受信することが可能な「モダン スタンバイ」という機能が搭載されました。Windows 8 の機能を発展させたものですが、ハードウェア要件が緩和されたため、より多くの環境で利用できるようになっています。
第 2 種目 アプリ起動対決
アプリをサクサク立ち上げて、快適に使えるのはどっち?
PC が立ち上がっても、アプリの起動やファイルの読み出しに時間がかかっていては快適だとは言えません。そこで今回は、多くのユーザーが利用している定番アプリである Microsoft Excel を用い、巨大な表を含んだ複数シートからなる約 166 MB の大きな Excel ファイルを開くのに要した時間を Windows 7 PC と Windows 10 PC とで比較しました。
利用した Microsoft Excel は、どちらも「Office 365 ProPlus」で提供されている最新版で、デスクトップにおいて Excel ファイルを[Enter]キーを押して開き、実際に Excel が起動してファイルの内容が表示されるまでの時間を手動計測しています。テストは 3 回行ない、その平均値で比較を行なっています。

結果: Windows 10 が 2 倍以上の差で Windows 7 を引き離す
グラフ:Excel起動時間(単位:秒)

大きなファイルを使って検証を行なったため、さすがに Windows 10 でも約 20 秒かかりましたが、Windows 7 は約 53 秒と倍以上の時間を要することになりました。
アプリを起動する、そしてファイルを開くといった処理は PC を使う上で日常的に行なうものです。その処理にこれだけの時間差があるということは、小さなファイルだけを開くユーザーでもトータルで見た場合にきわめて多くの時間を“待つ”ことに費やしているということになるでしょう。こうした時間のムダを省き、快適に PC を使いたいのであればすぐにでも Windows 10 に乗り換えるべきではないでしょうか。
第 3 種目: Web ブラウジング対決
Web ブラウジングがスムーズなのはどっち?
ニュースのチェックに SNS を利用した友達とのコミュニケーション、さらには動画の再生やショッピングなど、さまざまな用途で使われる PC のアプリが「Web ブラウザー」です。
このように PC を使う上で非常に重要な Web ブラウザーですが、Windows 7 は「Internet Explorer」、Windows 10 には「Internet Explorer」に加えて、新開発の「Microsoft Edge」が搭載されています。そこでここでは、Web ブラウザーのパフォーマンスを計測することができる「WebXPRT3」というベンチマークテストを利用し、Windows 7 と Windows 10 のそれぞれの Web ブラウザーの性能を比較してみました。

結果:倍以上の差を付けてWindows 10 が圧勝
グラフ: WebXPRT3 (単位: Score)

WebXPRT3 は Web ブラウザーで利用するアプリ(Web アプリ)を実行し、そこでさまざまな処理を行なって性能を数値化します。今回の検証では、Windows 7 + Internet Explorer のスコアは「62」にとどまりましたが、Windows 10 + Microsoft Edge 環境では「131」と倍以上のスコアを出しています。つまり Web ブラウザーを使って Web サイトにアクセスしたり、あるいは SNS を利用したりするといった場面でも、Windows 10 世代の PC であれば快適に行なえるというわけです。
なお、今回の検証に使った Microsoft Edge はプレビュー版です。パフォーマンスの向上が見込める正式版がリリースされれば、Windows 7 と Windows 10 の差はさらに広がるでしょう。
最後に、PC のベンチマークソフトとして広く使われている「PCMark」を利用し、総合的な性能の差を検証しました。
PCMark では Web ブラウジングやワープロ ソフトでの処理、ゲーム ソフト ビデオ チャット、写真編集などの処理を行ない、その結果をスコアとして数値化します。このようにさまざまな処理を実施して評価を行なうため、PC の総合力を測ることができます。
2019 年 8 月現在、PCMark の最新版は「PCMark 10」ですが、今回用意したWindows 7 世代 PC で正常に計測できない項目が複数生じたため、今回は古い PC でも安定して動作する「PCMark 8」を使用しています。
第 4 種目 PC の総合力を比較
総合的に性能が良いのはどっち?
![Windows 10 と Windows 7 の [文書作成] [表計算] [動画再生] を表したイメージ図](http://www.microsoft.com/onerfstatics/marketingsites-eus-prod/_h/9be151e5/coreui.statics/images/1x1clear.gif)
結果: Windows 10 PC の方が 40 %近く高いパフォーマンスを発揮
グラフ: PCMark 8(単位: Score)

結果は Windows 10 を搭載した PC のスコアが「2,987」、Windows 7 搭載 PC では「2,153」となり、Windows 10 が 30 %以上も高速だという結果になりました。
Windows 7 が発売されたのは今から約 10 年前。その間 PC は大きく進化しています。今回検証に利用したWindows 10 搭載 PC は、コストパフォーマンスにも優れた製品で、最高峰の性能を持つ高価な PC ではありません。しかしそれでも Windows 7 時代の PC と比べると、性能面で大きなアドバンテージがあり、その差が今回の結果にもつながっています。

最終成績:やっぱり Windows 10 & 最新 PC は速かった!
Windows の起動時間、アプリの起動とファイルの読み出し時間、Web ブラウザーの処理能力、そして PC の総合性能を比較してきましたが、いずれの検証においても Windows 10 世代の PC が圧勝するという結果になりました。
Windows 7 と比べると、Windows 10 は大幅に進化しているだけでなく、定期的な大型アップデートによってさらに強力な OS へと進化しています。PC をもっと快適に使いたいと考えているのであれば、Windows 10 を搭載した PC への乗り換えを積極的に検討しましょう。