リモートワーク ホームリモートワーク コラム > Web 会議で賃貸契約、IT 重説とは?

2021 年 8 月 10 日

最近、よく Web 上で見かけるようになった“IT 重説”という言葉。不動産業界で使用されるいわゆる“業界用語”ですが、一般の利用者にとっても知っておくべき事項が多分に含まれているようです。本コラムでは“IT 重説”について、その成り立ちや内容、注意点などをわかりやすく解説したいと思います。


下から見たビルの外観

1. 不動産契約上のルール

まずは不動産の契約上、必要なルールについて理解を深めたいと思います。

1-1. 借主への重要事項説明=重説

金額の大きな不動産の取引を行うためにはある程度の知識が必要です。関連する法律や条令も多く、その契約にあたっては細かい条件までしっかり確認、理解した上で進めなければ、後々問題になるケースもあるからです。そのため、「宅地建物取引業法」という法律が定められ、資格取得者がきちんと売買を行うなど、取引上必要となる様々なルールが用意されています。

それらの一連のルールの中に、不動産の売買契約、もしくは賃貸借契約を結ぶ際に、重要な事項を丁寧に説明するよう定められています。しかも、それは専門家である宅地建物取引士が対面で説明しなければならないとされていました。これは、保険の契約にも同様のルールが惹かれていました。電話で申し込んでも、保険の外交員が自宅や職場に来て、きちんと内容を説明し、理解をしたことを示す署名、捺印が求められていたのもそのためです。

要するに契約金額が大きかったり、長期にわたり、なおかつ細かな規定や関連法があり、ある程度、それらの決まりを理解しないと、後々トラブルになったり、損害を被る可能性があるものに関して、きちんと資格を持った人間が、相手が理解するまで十分に説明した上で契約をするというルールによって、契約者が守られていたと言うことです。

この説明行為を、不動産業界では、宅地建物取引士が「借主への重要事項説明」、略して「重説」と呼んでいます。入居審査の際には、入居希望者はこの重要事項説明を必ず受けなければなりません。恐らく、皆さんも家を借りたり購入する際に「重要事項説明書」という書面を元に、不動産会社から説明を受けたと思います。その書面にはきちんと宅地建物取引士の記名押印があったかと思いますが、それがない場合には注意が必要です。

1-2. 重要事項説明書に記載されている内容

賃貸借契約時の重要事項説明書に記載されている内容は大きく、「対象物件に関する事項」と「取引条件に関する事項」に分類できます。ここにすべてを列挙はしませんが、対象物件に関する事項というのは、主に「登記内容」「法令制限」といった法律がらみだけでなく、「飲用水などインフラの整備」「耐震診断の内容」や「石綿使用調査の内容」など住民の生活に影響を及ぼす内容にも言及しています。また「取引条件に関する事項」に関しては、「賃料以外に必要な金銭」「契約の解除」「契約期間と更新」「敷金等の精算」「損害賠償の予定や違約金」などの内容が盛り込まれています。

これらは専門的な内容が多く含まれているため、入居予定者内容理解が不十分になりがちです。説明する側もそうですが、説明を受ける側もある程度の予備知識をつけたうえで話を聞いて理解を深めた方が良いでしょう。難しいから、形式的だからという理由で右から左に聞き流していると、実際に住み始めてから何らかの問題が浮上する可能性があります。この重要事項説明時に疑問を解消しておくのが理想です。

2. IT 重説とは

借主への重要事項説明=重説ということがわかったところで、今回の主題である「IT 重説」について解説を進めていきます。

  

ノート PC に向かって話をするビジネス パーソン

2-1. IT を活用した不動産取引

不動産契約において実施することが義務づけられている重要事項説明ですが、上記のように、しっかりとした理解が求められるという理由から、宅地建物取引法第 35 条によって対面で実施することが定められていました。

ところが、この必ず対面で行わなければならないという縛りが様々なケースにおいて不便さを生んでいました。例えば、入居希望者が物件とは遠く離れた場所に住んでいる場合、大阪に住んでいる人が東京の物件を借りたいとなったら、わざわざ交通費を出して、東京の不動産屋を訪問する必要がありました。無駄な費用と時間を費やすと言うことで、決して効率的とは言えません。そこで登場したのが、「IT 重説」という制度です。2017 年 10 月から、賃貸契約に関しては IT ツールを活用し、非対面でも重要事項の説明が実施できるようになりました。

2-2. 場所を選ばずに契約ができるように

IT 重説では、パソコンやタブレット、スマートフォンなどのデバイスを用い、テレビ電話やビデオチャットなどを通じて双方向で映像・音声をやりとりし、重要事項説明や質疑応答をおこないます。書類等は郵送でやり取りして手続きを進めます。インターネット環境が整っていることが前提条件となりますが、この IT 重説により、利用者が重説のために来店する必要がなくなり、より手軽に契約ができるようになりました。

利便性向上だけでなく、重要事項説明書は入居予定者へ事前に共有されるため、入居予定者はあらかじめ重要事項説明書に目を通して準備ができるようになります。そして自宅などのリラックスできる環境で説明を受けられるため、内容への理解も深まりやすくなります。

なお、現時点においては IT 重説の対象取引は賃貸借取引に限定されており、売買取引は従来通りの対面説明が義務付けられています。

2-3. IT 重説登場の背景

IT 重説が実現した背景は、2013 年 6 月に政府が発信した「世界最先端 IT 国家創造宣言」がきっかけにあります。社会全体の IT 化を推し進めるという動きの中で、IT 総合戦略本部により「IT 利活用の裾野拡大のための規制制度改革集中アクションプラン」が策定。不動産家規約の重要事項説明における IT 化の議論・検討がスタートしました。2015 年には、国土交通省主導のもとで IT 重説にかかわる社会実験を実施。目立ったトラブルが発生しなかったため、最終調整のもと賃貸契約における IT 重説は 2017 年 10 月より本格運用となりました。

3. IT 重説の問題点・注意すべきこと

一見すると、不動産会社にとっても利用者にとっても便利なように見える IT 重説ですが、問題点や注意すべき点もあるようです。

  

ヘッドセットをつけて手に持った書類の説明をするビジネス パーソン

3-1. IT 重説において遵守すべき点

IT 重説において遵守すべき点について説明します。まずは、利用者と不動産事業者が双方向でやりとりできる IT 環境の整備は必須です。IT 重説実施に関する同意をもらったうえで不動産業者は重要事項説明書等を事前に送付し、利用者はその内容を確認しておく必要があります。この重要事項説明ができるのは、宅地建物取引士しか許されていないため、リモート対面時にまず宅地建物取引士証の提示と確認を行い、また IT 環境に不具合があればただちに中断すべきと規定されています。これらは宅地建物取引業法によって規定されているので、必ず守らなくてはなりません。
また、必要に応じた内覧の実施や録画・録音、個人情報保護法に関する対応なども、後々のトラブル回避の観点から、可能な限り対応することが望ましい事項とされています。

3-2. 利用者へのアドバイスは不可欠

これらは Web 会議ツールの導入によって解決できる事項です。ルールとしてはもちろん、実際問題、話の途中で不具合が発生し、肝心な話を聞き逃してしまったら大問題です。通信回線が安定しているか、音声や映像は乱れないか、機器のスペックなどの確認と、安定した動作が確保できる Web 会議ツールの選択も必要です。フリープランのツールなどを使っていると時間制限があったり、セキュリティ上の不安がつきまといます。不動産会社側はもちろん、IT 重説を受ける利用者側の機器構成、通信環境、ツールのチェック、もしくはアドバイスなどが必要不可欠となります。

4. IT 重説の流れ・必要なもの

IT 重説の流れの一例と、IT 重説を実施するにあたり必要な事項をご案内します。

4-1. IT 重説の流れ

まず、利用者の IT 環境の確認が必要です。パソコン、タブレット、などのデバイスと通信環境、マイク、カメラ、スピーカー機能はどうか、Web 会議ツールはどうか。リモートワークや Web 会議の経験があれば、恐らく対応は可能でしょう。おすすめなのは事前の接続テストの実施です。音声が途切れないか、映像は乱れないかなどの通信状態を確認しておきます。そして、利用者に書類一式を郵送。宅地建物取引士が記名押印した書面であることが必須事項です。事前に確認してもらう必要があるので、IT 重説の前日までに届いているようにするのが望ましいです。
そして、当日、実際に IT 重説を実施。説明する側は宅地建物取引士証を提示して確認してもらい、併せて契約者本人であることを確認してから開始します。途中で通信障害などの不具合が起きた場合は直ちに中断します。終了後には、利用者に契約書類一式および必要書類を返送してもらいます。契約完了後、契約開始日またはその前日までに鍵を渡して終了です。

4-2. IT 重説に必要な機器

それでは IT 重説を始めるに当たって、準備するものについて説明します。IT 重説を実施するためにはネットワーク環境が必要です。画面が静止してしまったり、音声が途切れたりした場合は IT 重説を中断しなければなりません。おすすめなのは安定した通信環境が確保できる有線 LAN の活用です。Wi-Fi を使用しているのであればルータなどの機器刷新し、ご家庭の広さに合わせたスペックを確保したいものです。宅地建物取引士証などが確認できるよう、十分な解像度のカメラや、音声のやりとりのためにマイクなどの音響機器などの性能も確認しておきましょう。

4-3. アプリケーション

チャットアプリケーションや Web 会議、テレビ電話会議システムなども必要です。無料で利用できる簡単なアプリから、IT 重説や Web 接客に特化した不動産業者向けの有料サービスも登場しています。選択のポイントとしては、セキュリティの安全性、録画録音機能の有無があげられます。

どの程度本気で取り組むのか、によって、どのシステムを導入するかそれぞれ検討してみてはいかがでしょうか。有料システムもピンからキリまであるのが実情です。まずは、どの程度本気で取り組むのかなど、きちんと覚悟を決めたうえで導入すべきです。せっかく導入しても活用しなかったらもったいない話です。まだ、未確定な部分が多いとしたら、まずは他のビジネスコミュニケーションでも活用できる汎用型のツールを使用することをおすすめいたします。

5. IT 重説導入のデメリット

これまでメリットを中心に説明してきましたが、果たして IT 重説導入に関するデメリットや課題はあるのでしょうか。

5-1. IT ツール導入の壁

課題というほどではありませんが、IT ツール導入の手間があります。まずは、IT ツール導入の手間がかること。IT 重説にはテレビ電話やパソコン、タブレット端末といった IT 通信機器を用います。対面しながら会話できるアプリケーションも必要です。仮にこのような IT ツールを所持していない場合、導入の手間はデメリットといえるかもしれません。

最近は、多くの企業がリモートワークを導入しているので、改めて説明するまでもありません、中には IT ツールに使い慣れていない利用者もいます。そういった場合にしっかりサポートをしないと、利用者にとってはデメリットに感じてしまう可能性もあります。

ただ最近では、こうした IT 機器は導入済みの企業がほとんどでしょうし、一般家庭においても普及は進んでいるものと考えられます。もしかしたら、高齢の方の場合、IT 環境の管理を子でもたちに任せている場合もあります。そういった場合、事前にアナウンスをして、IT リテラシーのレベルを確認する必要があります。

5-2. 通信環境の問題

通信環境によってはコミュニケーション障害などのリスクが考えられます。IT 重説は完全にインターネット依存になるため、環境がすべてです。会話が途切れてしまったら、IT 重説そのものが成立しません。とにかく環境を整えること、それさえクリアすれば、IT 重説は不動産業者にとっても消費者にとってもメリットばかりだと思われます。可能となります。

6. IT 重説に最適なツールとは?

IT 重説導入の際におすすめしたいコミュニケーションツールをご紹介します。

6-1. IT 重説に必要な機能をすべて搭載

これまでの説明してきたように、IT 重説にとって重要なのが、円滑なコミュニケーションを支える安定性と、誰もが簡単に使える操作性を兼ね備えた Web コミュニケーションツールです。そういった意味では、現在、多くの企業で浸透しつつあるリモートワークに活用されている「Microsoft 365」が転用できます。「Microsoft 365」には、強固なセキュリティ、スムーズな情報共有機能、コミュニケーション機能など、IT 重説に必要な機能がすべて搭載されています。

6-2. 公式 IT 重説対応アプリケーション

特に活用したいのが、「Microsoft 365」に含まれる Teams です。この「Microsoft Teams」はマイクロソフトが提供しているグループウェアで、チャット・通話機能の他、ビデオ会議機能、ファイル共有機能、Office アプリとの連携機能があります。コロナ禍の影響もあってか、Teams の利用者は急増しています。「Microsoft Teams」を活用すれば、スピーディな情報の共有が可能になります。

実はこの「Microsoft Teams」は、(公社) 全日本不動産協会が推奨する、公式 IT 重説対応アプリケーションとなっています。IT 重説の要件を満たし、さらにご利用しやすい価格帯であることが評価されているようです。

リモートワーク・ハイブリッドワークに適した環境設置のために

リモートワーク・テレワーク・在宅勤務環境を安全・快適に実現するためには、「セキュリティの確保」「Web 会議のためのデバイス選択」「グループワークのためのアプリケーション」など検討する課題も多く、またこれらを潤沢な資金で準備するのではなくコスト削減につなげることが大切です。

これらの達成のための Microsoft 365、Excel の使い方や、リモートワーク・ハイブリッドワーク環境を充実させるために以下の記事が参考になります。

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