Windows 8 の IVS 対応と IVS Add-in for Microsoft Office - 国の方向性と歩調を合わせた新しい日本語入力と表示の仕組み

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背景:JIS2004 と外字問題

JIS2004 の登場【字体・字形の問題】

2000 年 文部科学省の国語審議会は、法令、公用文書、新聞、雑誌、放送等、一般の社会生活において表外漢字 (注 1) を使用する場合の印刷文字字体選択のよりどころとして「表外漢字字体表」を答申しました。表外漢字字体表に合わせる形で、2004 年に日本語の文字コードを規定する日本工業規格 (JIS) が改定され、JIS X 0213:2004 (通称 JIS2004) となりました。JIS2004 では、168 字の例示字形が変更されました。

2007 年 JIS2004 に対応した最初の OS として発表されたのが Windows Vista です。Vista では、JIS2004 への移行に伴い、122 字の字形が変更されました。JIS90 の字形が JIS2004 の字形に置き換わったため、これまで使用していた字形が使えなくなる現象に対しては、フォントパック (注 2) を提供し、ユーザーの判断で新旧の字形を選択することを可能にしました。
注 1 常用漢字表にない漢字
注 2 Windows XP 向け JIS2004 フォントパックおよび Windows Vista 向けの JIS90 フォントパック

外字問題【対応文字数の問題】

マイクロソフトは、PC で扱うことのできる文字を拡張するために、JIS 第 1 水準および第 2 水準漢字 (JIS X 0208 6,355 字) をベースとしたシフト JIS の文字に加え、1998 年には JIS 補助漢字 (JIS X 0212 5,801 字) を追加し、仮名、英数字、記号などを含む合計 12,156 字の文字を、標準フォントとして組み込みました。

2007 年発売の Windows Vista では、JIS 第 3 ・第 4 水準漢字 3,695 字を収録する JIS2004 に対応 (注 3) しましたが、依然として、人名や地名を含むすべての漢字を表現できるわけではありませんでした。

多くの自治体は、そうした漢字を情報システムで扱えるようにするために、独自に文字コードを作成し、システムに登録して運用しています。このような文字は「ユーザー定義文字」あるいは「外字」と呼ばれています。外字には、異なるシステム間で相互運用性やデータ互換性がない、あるいはベンダーロックインの原因になるなどの弊害があります。
注 3 JIS2004 で追加された多くの漢字は、JIS X 0212 と重複しているため、実質的な文字数の増減はあまりない。

背景:文字に関する国の方向性と事業

汎用電子情報交換環境整備プログラム事業

「汎用電子情報交換環境整備プログラム」は、行政機関の IT システムで使用される文字の整理、体系化を目的として、平成 14 ~ 17 年度 (フェーズ 1) および平成 18 ~ 20 年度 (フェーズ 2) に行われた経済産業省の事業です。この事業を通じて、戸籍統一文字、住民基本台帳ネットワーク統一文字 (住基統一文字)、さらに登記業務に使用される文字を対象として、人名、地名等に使用される漢字についての調査研究が行われ、共通の文字情報データベースが整備されました。また、整備された文字情報データベースに基づき、ISO/IEC 10646 (国際符号化文字集合) に、必要な文字の追加提案が行われました。

同事業の成果として、戸籍統一文字、住基統一文字、登記統一文字が整理統合され、67,951 字の「漢字情報テーブル」が作成されました。

文字情報基盤整備事業

「文字情報基盤整備事業」は、汎用電子情報交換環境整備プログラムで整理、体系化された文字に対してフォントを提供すること、および国際標準規格である Unicode 規格の一つである IVS/IVD に対応することを目的として、平成 22 年度に実施された経済産業省の事業です。この事業の成果として、独立行政法人情報処理推進機構 (IPA) が 58,713 字の「IPAmj 明朝フォント」を開発し、2011 年 5 月に一般に公開されました。

IVS とは

Unicode では当初 1 文字に 16bit を割り当て、世界中の文字を 65,536 通りで表現しようとしましたが、これだけでは収まらないことがわかり、16bit を 2 つ組み合わせて表示する「サロゲートペア」という拡張技術が導入されました。
標準的な文字と意味や読みが同じだが形が異なる「異体字」に、サロゲートペアを利用して、番号を割り当てて管理する仕組みとしてできたのが IVS (Ideographic Variation Sequence)です。
IVS は、基底文字 (基本となる文字) の直後に異体字セレクターを付加することによって、使用したい字形を選択可能にします。例えば「邉」の場合、基本となる文字 (9089) + 使いたい字形 (E010x) で、さまざまな字形を表現します。

IVD とは

IVS に則って作られた異体字のコレクションが、IVD (Ideographic Variation Database) です。IVD の一つに、住民基本台帳、戸籍、登記などの利用を想定して整備された異体字コレクション「Hanyo-Denshi」があり、この「Hanyo-Denshi」に対応するフォントに「IPAmj 明朝」があります。

Windows 8 で何が変わるのか?

国の事業で整備された文字を扱う基盤

Windows 8 は Unicode IVS/IVD に対応することで、今まで外字を使うことでしか表現できなかった約 58,000 字の漢字を利用できる環境を提供します。

Windows 8 のデフォルトはどうなっているのか?

JIS2004 対応時に変更された JIS90 字体 (122 字) が、Unicode IVS を利用することによって、JIS2004 字体と同様に使えるようになりました。両字体の混在も可能です。

  • 対象フォント: MS (P) 明朝、MS (P) ゴシック、MS UI Gothic、メイリオ、Meiryo UI


JIS90 の字形 (□内の字形) も、IVS を利用して入力・表示可能

Windows 8 は、Hanyo-Denshi IVD をデフォルトで扱えます。ただし、その膨大な文字を表現するフォントは標準では用意されていません。独立行政法人情報処理推進機構 (IPA) が公開している IPAmj 明朝フォント をインストールすることで、Hanyo-Denshi の文字を入力・表示することが可能になります。

Unicode IVS Add-in for Microsoft Office とは

概要

Unicode IVS Add-in for Microsoft Office は、Windows Vista または 7 上の Office 20007、Office 2010 で Unicode IVD に対応するためのアドインソフトです。

IPAmj 明朝をはじめとする Unicode IVD 対応フォントと組み合わせて使用することで、Word、Excel、PowerPoint などのマイクロソフト製品上で、異体字を含むデータの入力・表示・編集・印刷などが可能になります。

動作要件と提供方法

  • 動作要件: Windows Vista (32 ビット、64 ビット)、Windows 7 (32 ビット、64 ビット)
  • 使用条件: Microsoft Office 2007、Microsoft Office 2010 が実行可能な環境
  • CodePlex* より、インストールモジュール、ソースコードを 無償で公開
    * CodePlexは、SSI (Shared Source Initiative) の一環として 2006 年に開始したオープンソースのポータルサイトです。

パートナーソリューション

今後、他のパートナーからも、機能が追加、拡張されたアプリケーションが提供される予定です。

Windows / Office のバージョンによる比較

Windows Vista / 7
Office 2007 / 2010
Windows Vista / 7
Office 2007 / 2010 +
IVS Add-in
Windows 8
Office 2013
Unicode IVS/IVD 対応
×
異体字対応
ユーザー定義文字(外字)による対応
国際標準である Unicode IVS/IVD による対応
IME による異体字入力
×
入力できない
IME ではなく、IVS Add-in を起動させて入力(注)
IME による入力が可能
フォント
×
独自もしくは特定の外字に対応したプライベートフォント
OpenType に準拠したフォントを自由な選択
住民基本台帳、戸籍などに対応した IPAmj 明朝フォント (約 58,000 字) などを使用可能
オープンなデータ交換
相互運用性
×
同じ外字を登録設定しているシステム間でのみ相互運用が可能
データの永続性が保証されない
Unicode IVS に対応しているシステム間であれば、オープンなデータ交換が可能
データの永続性、互換性が保証される
コスト
×
外字の作成・運用コストが高い
有償版 IVS Add-in を利用する場合は追加コストが発生
特別なコストは発生しない

まとめ

Windows 8 は、国の方向性に沿って OS ネイティブで Unicode IVS/IVD に対応

国の事業で整備された約 58,000 字の漢字を利用できる環境を提供

外字に頼らないシステムの実現の可能性を秘めているプラットフォーム

Office 2007/2010 用アドインの活用で、既存の環境からスムーズに移行

国の動き

  • 汎用電子情報交換環境整備プログラム事業による行政文字の整理
  • 文字情報基盤整備事業によるフォントの提供 (IPAmj 明朝フォント)
  • 国際標準規格 (Unicode IVS/IVD) への対応推進

日本マイクロソフトの対応

  • IT ・印刷業界 6 社による IVS 技術促進協議会などを通じて、IVS 技術を促進
  • Windows 8 の Unicode IVS/IVD 対応
  • IVS Add-in for Microsoft Office の提供

期待される成果・市場に与える影響

  • 汎用電子情報交換環境整備プログラム事業によって整備された行政文字を扱う環境の提供
  • 文字情報基盤整備事業によって開発されたフォントを利用する環境の提供
  • 異体字を使用したデータの組織を超えた流通、交換を可能に (B2B, B2C, G2B, G2C)
  • 外字に頼らないシステムの実現、相互運用性の向上、ベンダーロックインの排除

参考資料 : Windows プラットフォーム別:「辻」の表現

Windows XP
Windows Vista、7
Windows 8
フォント : MS Mincho v2.3
「辻」
Unicode: U+8FBB
字体: JIS90
Windows XP 向け
JIS 204 対応 フォントパッケージ
「辻」
フォント: MS Mincho v5.0
「辻」
Unicode: U+8FBB
字体: JIS2004
(印刷標準字体)
Microsoft は最新 JIS 規格(JIS2004) を推進
Windows Vista、7 向け
JIS 90 互換フォントパッケージ
「辻」
フォント: MS Mincho v5.0X
「辻」
Unicode: U+8FBB
字体: JIS2004 (印刷標準字体)
「辻」
Unicode: U+8FBB、U+E0100
(U+8FBB、U+DB40、U+DD00)
字体 : JIS90
Unicode IVS - 国際標準
(Ideographic Variation Sequence)
JIS 2004 と JIS 90 の字体の双方を入力、共存可能
つじと IME で入力、変換すると…
Windows XP
Windows Vista、7
Windows 8
「辻」「辻」「辻」

参考資料 : Windows 8 IME : JIS90 字体の入力

IVS を含む単語の変換制限

  • IVS を含む文字、単語を変換候補に表示させないオプションの提供
    変換文字制限
  • デフォルトでは IVS の字体は変換候補に表示されない
  • グループポリシーで設定をコントロール可能

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