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国際東北グループ

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掲載日: 2017 年 8 月 30 日

従来型に比べ低コストで導入しやすいバス ロケーション システムを Azure 上で実現
少子高齢化が進む地域でもバス利用者の利便性向上を目指す

国際東北グループ

国際東北グループ

岩手県交通株式会社、秋北バス株式会社、十和田観光電鉄株式会社といったバス会社を傘下に持ち、公共交通サービスの提供を通じて地域社会の活性化に貢献し続けている国際東北グループ。ここではバス利用者の利便性をさらに高めるため、新世代のバス ロケーション システムの実証実験が行われています。そのために導入されたのが、アーティサン株式会社が開発した「バス予報」。最新技術を積極的に活用することで、従来型システムに比べてはるかに低コストでの導入を可能にしています。このシステムの基盤としては Microsoft Azure を採用。システムの低コスト化や立ち上げの迅速化、スピーディな改善プロセスなどを実現するうえで、重要な役割を果たしています。

<導入の背景とねらい>
過疎化が進む地域にこそ求められる
バス ロケーション システム

写真:国際東北グループ国際東北株式会社 代表取締役社長 岩手県交通株式会社 代表取締役会長 本田 一彦 氏

国際東北グループ
国際東北株式会社
代表取締役社長
岩手県交通株式会社
代表取締役会長
本田 一彦 氏

写真:十和田観光電鉄株式会社 代表取締役社長 白石 鉄右ェ門 氏

十和田観光電鉄株式会社
代表取締役社長
白石 鉄右ェ門 氏

「次にやってくるバスはいまどこを走っており、何分後にこのバス停に到着するのか」。天候や道路の渋滞などによって運行状況が変化するバスの利用者にとって、このような情報が入手できるか否かは、安心感を大きく左右する要因になります。そのため既に多くのバス会社が「バス ロケーション システム」を導入、Web サイトなどでバス運行情報を発信しています。しかし過疎化地域のバス会社にとって、バス ロケーション システムの導入や維持管理を行うことは、決して簡単ではありません。導入や運用コストが過大となり、収益に見合わないケースも少なくないからです。

この問題を解決するため、アーティサン株式会社 (以下、アーティサン) が Azure 上で構築したバス ロケーション システム「バス予報」の導入を進めつつあるのが、国際東北グループです。同グループは 2013 年 11 月にMBO により独立した企業グループであり、岩手県交通株式会社、秋北バス株式会社、十和田観光電鉄株式会社といったバス会社を中心に 11 の企業で構成されています。

「岩手県の盛岡市以南を中心に路線バスを運行する岩手県交通では、2000 年代前半からバス ロケーション システムを導入していました」と語るのは、国際東北グループの統括会社である国際東北株式会社の代表取締役社長であり、岩手県交通株式会社の代表取締役会長も兼務する本田 一彦 氏。この導入には数億円ものコストがかかったと振り返ります。「このシステムも徐々に老朽化が進んでおり、それほど遠くない時期にシステム更新の時期を迎えるものと思われます。しかし従来型のシステムではコスト負担が大きく、そう簡単には更新の判断に踏み切ることができません」。

その一方で「十和田観光電鉄では、まだこのようなシステムが導入されていませんでした」と語るのは、十和田観光電鉄株式会社 代表取締役社長の白石 鉄右ェ門 氏です。同社が運行するバスは比較的運行間隔が長く、乗客は屋根のないバス停で待つケースもあるため、バスがいつくるかわかるようになれば、利便性や安心感が高まるはずだと言います。

「多額の導入コストを要する従来のバスロケーションシステムは投資回収に一定の事業規模が必要となるため、これまでは大都市中心で普及してきました」と本田 氏。しかし、本来、このようなシステムが真価を発揮するのは、運行本数が少なく待ち時間の長い、過疎化が進む地域のバス路線のはずだと指摘します。では乗客数が少なく収益性が限られるバス路線に、バス ロケーション システムを導入するにはどうすればいいのでしょうか。その問いに対する答えとなったのが、Azure 上で動く「バス予報」だったのです。

<導入の経緯>
アーティサンの積極的な姿勢を評価し、
十和田での実証実験に着手

本田 氏が「バス予報」の存在を知ったのは 2016 年 12 月。宮崎交通が宮崎市で「バス予報」の実証実験を開始したことを 2016 年 10 月 18 日付けの宮崎日日新聞が報道、このことを知り合いから聞いたことが、そのきっかけになりました。

写真:アーティサン株式会社 代表取締役 小山 才喜 氏

アーティサン株式会社
代表取締役
小山 才喜 氏

「バス予報は従来型のバス ロケーション システムとは異なり、2 桁近く安いコストで導入/運用でき、経済性がきわめて高いシステムだということを知りました」と本田 氏。そこですぐにアーティサン株式会社 代表取締役の小山 才喜 氏に連絡を取り、話を聞くことにしたのだと言います。「小山 氏は当初から非常に熱意を持って、システム構築を通じて公共性の高い仕事をして、世の中の役に立ちたいと語っていました。また予算の話をする前から、当社バス路線の現地調査などを積極的に進めてくれたことにも驚きました。このような姿勢を高く評価し、ぜひ一緒にやろうと考えたのです」。

2017 年 1 月には、十和田観光電鉄の一部バス路線で「バス予報」の実証実験を行うことを決定。その翌月には実証実験を開始しています。導入の対象となったのは、「十和田」から「三沢」までの約 50 のバス停がある路線。この区間には 5 つの高校があり、乗客の 8 ~ 9 割は高校生で、いくつかのバス停は高校の正門前にあります。

運行しているバスの数は 12 両。これらに「バス予報」の車載機を設置して GPS でバスの位置を把握、そのデータを Azure へと集約したうえで、ロケーション情報を Web で提供します。「『バス予報』の特長の 1 つは、車載器がコンパクトで、使い方も簡単なことです」と説明するのは、アーティサン株式会社の小山 氏。車載器は手のひらサイズの箱にまとめられており、これにバーコード リーダーが接続されています。バスの運転手は運行前に、自分が乗るバスの路線がどれなのかをバーコードで読み込ませるだけで、すぐに運行に入ることができ、運行終了後も同様の操作を行うだけだと言います。「また従来のバス ロケーション システムは通信手段としてバス無線や PHS 回線を使っており、場所や電波状況によってはバスの位置を正確に取得することができませんでした。バス予報では NTTドコモの LTE 回線を使用することで、この問題も解決しています」。

バスの利用者は、スマートフォンなどで「バス予報」のサイトにアクセスし、「近くのバス停」を選択することで、次のバスがあと何分で到着するのか、定時運行からどの程度遅れているのかがわかります。またバスの路線情報を表示し、バスが今どの停留所間を走っているのかも確認可能。バスの時刻表を見ることもできます。

実証実験の告知は、バス停に QR コード入りのポスターを貼ることで行われました。この QR コードをスマートフォンで読み込むと、バス予報のサイトにアクセスするようになっています。「このような取り組みも、日本で初めてのはずです」 (小山 氏)。1 日あたりのアクセス数は約 600 件。この路線の乗客数は 1 日あたり延べ 600 人強なので、かなり高いアクセス率だと言えます。

「特に下校時はアクセスが多く、バスの到着時刻に合わせて学校を出る学生が多かったようです」と白石 氏。登校時は 5 分~ 10 分間隔で運行しているため 1 本バスを逃してもすぐに次のバスが来ますが、下校時は運行間隔が長くなり、冬は遅れることもあるため、「バス予報」を使うことで無駄な待ち時間を避ける学生が多かったのでしょうと言います。「当初は 2017 年 4 月で実証実験を終了する予定でしたが、アクセス数が多く、4 月に実施したアンケートの結果も良好だったため、5 月まで延長されることになりました」。

バス ロケーション システム「バス予報」のシステム イメージ図

アーティサン株式会社が提供するバス ロケーション システム「バス予報」のシステムイメージ。GPS で取得したバスの位置情報をインターネット経由で Azure へと送信、ここで収集した情報に基づき、バス運行状況を利用者のスマートフォンなどに配信します。 [拡大図] 新しいウィンドウ

<導入効果>
利用者から高く評価された実証実験、
Azure の活用でサービス改善もスピーディに実施可能に

アンケート結果は現在 (取材時) まだ集計中ですが、ほとんどは実証実験に好意的な内容でした。「今後本格的に導入してほしい」という意見が 7 ~ 8 割を占めており、「これは便利」「他の路線にも入れてほしい」というコメントも多数あったと言います。

「この路線の乗客には高校生が多いため、スマートフォンでのアクセスにも抵抗がないだろうと考えていたのですが、意外だったのは保護者からのアクセスも多かったことです」と言うのは白石 氏。特に下校時はその傾向が高かったと振り返ります。「この地域には、最寄りのバス停から自宅が離れているため保護者が車でバス停まで迎えに来るご家庭も多いのですが、バス予報を見ればいつごろバスが到着するかわかります。これによって保護者の方も、無駄な待ち時間を減らせたようです。バスを利用される方の笑顔が増えたので、ドライバーも気分良く仕事ができるようになったのではないかと思います」。

それではサービス基盤として Azure を活用したことは、この実証実験でどのような貢献を果たしているのでしょうか。

「最大のメリットは迅速な展開が可能になったことです」と説明するのは小山 氏。Azure は仮想マシンの立ち上げをスピーディに行うことができるうえ、Azure Web App のような PaaS サービスを活用することで、アプリケーションの実行やスケーリングなどの運用も簡単に行えると言います。また、Azure は BizSpark という我々スタートアップ企業に対しての特別なプログラムが用意されているなど、利用形態によってさまざまな支援策が日本マイクロソフトから提供されています。これによって高機能かつ使いやすいバス ロケーション システムを、低コストで早く提供することが可能になったと語ります。「宮崎交通で実証実験を行った時には、開発作業も兼ねていたため約 4 か月でサービスを立ち上げましたが、今回は 1 か月半で準備を完了しました。その時間の多くは、バス路線と運行ダイヤに関する情報収集と登録に費やされています」。

「バス予報」の車載器の写真

「バス予報」の車載器。手のひらサイズのコンパクトな筐体に、バーコード リーダーが接続されています。

その一方で「この実証実験では利用者にとって使いやすくするため、画面表示に関するさまざまな試行錯誤を行ってもらいました」と言うのは本田 氏です。「アーティサンはこのような要望にも短時間で対応してくれました」。

今回の実証実験の成功を受け、国際東北グループは新たな実証実験にも着手しています。次の対象となるのは岩手県交通が運行する釜石市のバス路線。このエリアには 3 路線あり、路線の分岐もあるため、より複雑な運用になると想定されています。バス停の数は約 40、車載器を搭載するバスの数は約 30 両。2017 年 6 月 15 日~ 9 月 15 日の期間で実施されることになっています。

「バス路線の構成や運行間隔の違いによって、利用者にとって見やすい画面のあり方も変わってきます」と小山 氏。そのため新たな実証実験でも、試行錯誤しながら画面構成をくふうしていると言います。「バスの位置情報の精度も土地によって変わることがわかってきました。そのため精度を維持できるようアルゴリズムの改善も行っています。このような取り組みも、Azure なら他社のクラウドに比べて、円滑に行えると感じています」。

「バス予報」の画面例:左から、トップ メニュー、バス停での表示、現在のバスの位置、時刻表

岩手県交通の釜石地区実証実験における「バス予報」の画面例。左から、トップ メニュー、バス停での表示、現在のバスの位置、時刻表。バスの運行状況をわかりやすく表示することで、利用者の安心感を高めています。 [拡大図] 新しいウィンドウ

<今後の展望>
運行データを API 経由でも提供可能、
デジタル サイネージなどへの配信も検討

「バス予報」にはもう 1 つ注目すべき特長があります。それはバス運行状況に関するデータを、API 経由で外部システムにも提供できることです。

「たとえばバス停にデジタル サイネージを設置し、そこにバスの運行情報を配信するといったことも可能です」と小山 氏。ここで問題になるのが電源の確保ですが、アーティサンでは太陽光パネルと電子ペーパーを組み合わせたデバイスも開発しており、「省電力 IoT 機器と位置情報を活用した地域情報配信システム」として、平成 28 年度補正予算の「革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金」に採択されていると言います。

「このようなデジタル サイネージがあれば、観光客にとっての利便性も高まるはずです」と言うのは白石 氏。たとえば十和田観光電鉄には、新幹線が停車する「七戸十和田駅」にバス停を持つ路線が 2 路線あり、十和田湖や十和田市現代美術館を訪問する観光客が数多く利用しています。しかしこのバス停は始発ではないため、バスの停車時間が短く、本当にこのバス停でいいのか不安に思う観光客も少なくないのだと言います。「ここにデジタル サイネージを設置すれば安心感も高まり、バスを利用する観光客はさらに増えるはずです」。

さらに本田 氏は「すべてのバス停にデジタル サイネージや電子ペーパーなどを設置できれば、ダイヤ改正時の労力も大幅に削減可能になります」と指摘します。現在では時刻表の貼り替えを人海戦術で行っており、その作業時間も夜間に限定されているため、従業員に大きな負担がかかっています。しかしデジタル サイネージや電子ペーパーの低廉化によって導入のハードルが下がれば、データを配信するだけでよく、このような「一時的に発生する負担」もなくなるはずだと言います。「地方では働き手が減っており、人員確保も難しくなっているので、このような取り組みもバス会社の運営にとって、大きなプラス要因になるでしょう」。

小山 氏はこの他にも「バス予報」の API を活用することで、バスの運行管理や、バス停周辺の観光情報の提供、経路検索サービスとの連携等も可能になると言及。今後はこのような提案も、国際東北グループに対して積極的に行っていきたいと語ります。

「『バス予報』を採用した結果、スマホ ユーザー向けに、以前導入したバス ロケーション システムに比べて、はるかに使いやすいものを、低コストで実現できました。これなら少子高齢化が進む地域でも導入でき、利用者の利便性を高められます。これからもアーティサンと共にこのような取り組みを進め、バスの利便性向上や地域の活性化に貢献していきたいと考えています」 (本田 氏)。

写真:取材にご協力いただいた皆様

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ソリューション概要

プロファイル

国際東北グループは、2013 年 11 月に MBO (マネージメント バイアウト) により独立した企業グループです。国際東北株式会社が統括会社となり、岩手県交通株式会社外部サイトへ移動するため、別ウィンドウで開きます秋北バス株式会社 外部サイトへ移動するため、別ウィンドウで開きます十和田観光電鉄株式会社外部サイトへ移動するため、別ウィンドウで開きます の株式を保有。それらの傘下にある会社を含め、合計 11 社でグループを形成しています。主力ビジネスとして、路線バスや高速バス、観光バス事業等を展開。これらを通じて地域社会の活性化に貢献しています。

導入製品とサービス

パートナー企業

アーティサン株式会社

導入メリット

  • スマホ ユーザー向けに、従来型のバス ロケーション システムに比べて機動性が高く、見やすく使いやすいサービス提供を低コストにて実現できた。
  • 実証実験を行った結果、利用者の利便性向上に貢献でき、高い評価を受けた。
  • システム基盤に Azure を活用することで、システムの立ち上げを迅速化でき、使い勝手を高めるための改善もスピーディに行えた。

ユーザー コメント

「『バス予報』を採用した結果、従来型のバス ロケーションに比べて導入に向けたイニシャル コストが大幅に削減できました。コストを抑えたにもかかわらず、機動性が高いシステムを実現でき、提供される情報量も多く、スマホ ユーザー向けに使いやすいものとなっています。これなら少子高齢化が進む地方でも導入でき、バス利用者の利便性を高められるはずです」


国際東北グループ
国際東北株式会社
代表取締役社長
岩手県交通株式会社
代表取締役会長
本田 一彦 氏

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