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株式会社アクアビットスパイラルズ

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掲載日: 2017 年 11 月 22 日

モノとネットをつなぐ「スマートプレート」を事業展開、
そのバックエンドの基盤を AWS から Azure へと移行

株式会社アクアビットスパイラルズ

株式会社アクアビットスパイラルズ

「ググらせない」や「Hyperlink of Things」といったコンセプトを打ち出し、モノとネットをつなぐ「スマートプレート」を展開する株式会社アクアビットスパイラルズ。ここではサービス提供のクラウド基盤を、Microsoft Azure へと移行しつつあります。その最初のきっかけになったのは、サービス提供を通じて収集されたデータの分析に、Power BI を採用したことでした。その後、Azure Machine Learning の活用もスタート。データ分析にマイクロソフト テクノロジーを利用するのであれば、データを生成するサービス基盤そのものも、Azure へと移行すべきだと判断されたのです。Azure 上での環境構築は、株式会社ISAO の協力の下、約 2 週間で終了。この環境で提供される最初のサービスは、2017 年 11 月 8 ~ 9 日に開催される「Microsoft Tech Summit 2017」で披露されます。

<導入の背景とねらい>
「ググらせない」をキーワードに、
モノとネットをつなぐ「Hyperlink of Things」を実現

リアルな世界に存在する「モノ」を、ネット上のサービスにつなぐことはできないか。このような発想から、モノとネットがつながる「Hyperlink of Things」というコンセプトを提唱し、それを具現化するサービス「SmartPlate (スマートプレート)」を提供しているのが、株式会社アクアビットスパイラルズ (以下、アクアビットスパイラルズ) です。同社は 2009 年 3 月にスマートフォンのアプリやサービスの開発を主な事業領域として設立されましたが、2015 年 2 月にスマートプレートをリリース、現在はこれを主力事業として展開しています。

写真:株式会社アクアビットスパイラルズ Founder & CEO 萩原 智啓 氏

株式会社アクアビットスパイラルズ
Founder & CEO
萩原 智啓 氏

「スマートプレートとは、NFC を内蔵したプレートです」と語るのは、アクアビットスパイラルズ Founder & CEO の萩原 智啓 氏。具体的な利用形態としては、冷蔵庫に貼るマグネットや会員カード、バス停の時刻表などに貼れるステッカー、店頭 POP、コンシェルジュ デスク上に置く案内板などがあると説明します。「スマートプレートにスマートフォンをかざすだけで、Web サイトや Facebook ページ、Twitter タイムラインなどにアクセスできます」。

それでは、モノとネットがつながることで具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。最大の効果は、ユーザーに検索をさせることなく、自社コンテンツへと誘導できることだと言えます。

Google のような検索エンジンが登場してから、多くの企業は顧客を自社コンテンツに誘導するために、看板や広告に検索ワードを掲載するようになりました。しかしスマートフォンがネット デバイスの主流となった現在では、検索を行う人は少なくなっており、Google の調査でも、1 日の間にスマートフォンで一度も検索を行わない人が 50% 以上いることがわかっています。最近ではスマートフォンで音声検索も行えるようになっていますが、これを街中で利用している人も決して多くはありません。入力手段がどうあれ言語による検索は、レベルの高いスキルを要求するものなのです。

これに対してスマートプレートは、スマートフォンをかざすという「非言語的」な行動で、目的のコンテンツにたどり着けます。アクアビットスパイラルズではこのような特長を「ググらせない」という言葉で表現し、これを商標登録しています。

スマートプレートでもう 1 つ注目したいのが、スマートフォンにアプリケーションをインストールする必要がないということです。スマートフォン ユーザーに、オリジナルのアプリケーションを導入させ起動してもらうことは、決して簡単ではありません。スマートフォン ユーザーが 1 か月間に起動するアプリケーションの数は平均 8 個だと言われており、そのほとんどが定番アプリケーションで占められているからです。アプリケーションが不要であれば、このハードルからも解放されます。

「このようなしくみは、これまでありそうでなかったものだと思います」と萩原 氏。同社はこれによってハイパーリンクを再発明し、世界中のコンテストに参加しながらその可能性を探ってきたと振り返ります。「最近ではスペイン バルセロナで 2017 年 2 月に開催された『4YFN※1』で『IoT TOP 8 Finalist』に選出されました。間違いなくいま最もホットなプロダクトであると自負しています」。

スマートプレートは企業からも大きな注目を集め、これまでに数多くの実証実験が行われてきました。その 1 つとして萩原氏が挙げるのが、ピザハットの冷蔵庫マグネットとして展開したケースです。

「このマグネットにスマートフォンをかざすと、ピザの注文や簡単なゲームができるようになっています。これによってサイトへの新規流入が継続的に増加しました。実証実験は 2017 年 2 ~ 5 月に行われましたが、実験が終了した後も流入が増え続けています。冷蔵庫マグネットは家の中の一等地に看板を設置するようなものであり、当社ではこれを『ハイパー家中 (イエナカ) 看板』と呼んでいます。この取り組みは 2017 年 9 月に行われた『プレミアム・インセンティブ ショー』で、『第 3 回リテール プロモーション アワード』を受賞しています」 (萩原 氏)。

  • 4YFN (4 Years From Now) :世界最大のモバイル見本市「Mobile World Congress (MWC)」の分化会として併催される、「今後 4 年間での飛躍」が期待されるベンチャー企業を支援するためのイベント。2017 年 2 月には 4 回目が開催され、600 以上のスタートアップと 700 以上の投資家が集まりました。

<導入の経緯>
AWS に構築されていた LAMP 環境を、
Web App for Containers と Azure Database for MySQL へと移行

スマートプレートにスマートフォンをかざすと、まずアクアビットスパイラルズが提供するサイトへとアクセスし、さらにここから利用企業のサイトへとリダイレクトされるようになっています。このバックエンドのしくみを提供するための基盤として、以前は Amazon Web Services (AWS) 上に構築された LAMP 環境を利用していました。リダイレクトなどを行うアプリケーションを Amazon EC2 上の Linux + Apache + PHP で動かし、ここで得られたトランザクション データを Amazon RDS for MySQL へと格納するようになっていたのです。

写真:株式会社アクアビットスパイラルズ 取締役 CTO 矢山 丈児 氏

株式会社アクアビットスパイラルズ
取締役 CTO
矢山 丈児 氏

しかしアクアビットスパイラルズは 2017 年 9 月、この環境を Azure へと移行するという決定を下します。その最初のきっかけになったのは、データ分析機能として Power BI の活用を始めたことだったと、アクアビットスパイラルズ 取締役 CTO の矢山 丈児 氏は振り返ります。

「スマートプレートのサービスでは、利用状況をトラッキングするダッシュボードをお客様 (利用企業) に提供しているのですが、当社は規模が小さくデータ分析機能を自前で実装することが難しかったため、以前は利用状況の数値を追いかける機能しか提供していませんでした。しかしデータが持つ価値をビジネスに活かしていただくには、きめ細かい分析機能が欠かせません。そこで 1 ~ 2 年かけで実装を進めていく計画を立てたのですが、2016 年 10 月に Power BI の話を聞き、これなら短期間で分析機能を実装できると感じました。そこでマイクロソフトのエバンジェリストが参加するハックフェストを行っていただいたうえで、Power BI の導入へと踏み切ったのです」。

2017 年 6 月には、Power BI で作成した分析用ダッシュボードの提供を開始。スマートプレート種類ごとの UU (ユニーク ユーザー) 数や、ユーザーごとのアクセス状況ランキング、店舗内のヒートマップ作成などの分析画面を実現しています。さらにその後、Azure Machine Learning の活用にも着手。ユーザー行動のパターン分析やレコメンデーションのしくみも確立しています。しかしその結果、複数のクラウド サービスを連携させることで生じる問題に、直面することになるのです。

「Power BI や Machine Learning で使用するデータは、AWS の RDS でログを吐き出し、それを転送して取り込む必要がありましたが、これはとても非効率です。今後お客様が増え、分析すべきデータが増えていけば、この部分がボトルネックになる可能性があると感じていました。また 2 つのクラウド サービスを併用し続ければ、利用料金も余計にかかります。いずれは 1 つのクラウドへと統合すべきだと考えていました」 (矢山 氏)。

このような理由から、2017 年 8 月に Azure への移行に向けた検討を開始。ここで課題になったのが、移行に伴うリスクをいかにして抑制するかでした。そこでマイクロソフトは、Azure での LAMP 環境構築に関する豊富な経験を持つ、株式会社ISAO (以下、ISAO) を移行パートナーとして紹介。さらに、2017 年 11 月 8 ~ 9 日に開催される「Microsoft Tech Summit 2017」でスマートプレートを活用したい、という提案を行います。このような話し合いの結果、「Microsoft Tech Summit 2017」の開催日をリリース目標に設定した移行プロジェクトがスタートするのです。

<導入効果>
仮想マシンよりもはるかに簡単なコンテナ上での環境立ち上げ、
PaaS のマネージド サービスでセキュリティや可用性も向上

移行先の環境は図に示すとおりです。まずスマートフォンからアクセスされる Web アプリケーションは、Web App for Containers の Docker コンテナで Linux + Apache + CakePHP を動かし、その上で稼働するようになっています。トランザクション用のデータベースとしては、Azure Database for MySQL を採用。このようにすべて PaaS が利用されています。

Azure 上での環境構築が始まったのは 2017 年 10 月。ISAO の協力の下、MySQL のデータ移行や稼働テストも含め、2 週間で作業が完了しています。

写真:株式会社アクアビットスパイラルズ LAMP Engineer 中野 政邦 氏

株式会社アクアビットスパイラルズ
LAMP Engineer
中野 政邦 氏

「Docker コンテナでの LAMP 環境の構築は、あっという間に終わってしまいました」と言うのは、アクアビットスパイラルズ LAMP Engineer の中野 政邦 氏。もちろんその後の動作確認作業は必要になりますが、そこに至るまでの作業工数は EC2 の仮想マシンで LAMP 環境を構築するのに比べ、1/5 ~ 1/10 程度で済んでしまうと語ります。「実際に使ってみて、Azure PaaS の威力を実感しました。またデプロイ方法も簡単になるので、リリース サイクルも高速化できると期待しています」。

利用するクラウド サービスを一元化したことで、コスト削減も可能になりました。「AWS と Azure の両方を使っていた時に比べて、約半分の利用料金になりました」と矢山 氏。また PaaS は、仮想マシン単位でのリソース利用に比べてきめ細かくスケールできるため、アクセスが急増した場合にも迅速に対応でき、無駄な料金も発生しにくくなると語ります。

これらに加え、セキュリティや可用性が向上することも、大きなメリットだと中野 氏は指摘します。

「AWS の仮想マシンでは、稼働監視やウイルス チェックのしくみを自社で構築する必要がありました。これに対して Azure の Web App for Containers は、サービスとしてセキュリティや可用性が担保されており、複数リージョンを利用した DR も可能です。LAMP スタックをマネージド サービスとして利用できるのは、当社のようにリソースが限られている企業にとって、とても心強いことです」。

スマートプレートのサービス環境イメージ図

Azure へと移行した後のスマートプレートのサービス環境。Azure App for Container と Azure Database for MySQL で LAMP 環境が構築されており、Azure Machine Learning や Power BI と効率よく連携できるようになっています。 [拡大図] 新しいウィンドウ

<今後の展望>
今後は Azure Cognitive Services を活用し、
リアルな世界での「ページ ランク」も実現

Azure 上で構築された環境でのサービス提供は、まず「Microsoft Tech Summit 2017」で行われる予定です。具体的には、展示会でのスタンプ ラリーや、トレーニング コンテンツへの入り口として、スマートプレートが利用されることになっています。またその後も新規顧客を中心に、AWS から Azure への移行が進められていく計画です。

「数万枚規模のプレートを配布する案件も複数話が進んでおり、来年には実際に動き出すと思います」と矢山 氏。このような大規模な利用が始まっても、Azure なら安心して動かせるはずだと言います。「予想以上のトランザクションが来た場合でも、柔軟なスケール拡張が可能です。もちろん Web のフロントエンドだけではなく、バックエンドの DB も同様に、柔軟にキャパシティを拡張できます」。

さまざまなスマートプレートの写真

さまざまなタイプのスマートプレート

その一方で、Azure Cognitive Services に含まれる Computer Vision の活用も計画されています。スマートプレートの設置場所を写真撮影し、設置状況とアクセスの関係を Computer Vision で可視化することが検討されているのです。

「Google はページ ランクによって Web ページの価値を定量化しましたが、スマートプレートの価値も設置場所によって大きく変化します」と萩原 氏。これをページ ランクと同じように、設置場所の重み付けを行うことで定量化できれば、最適化も容易になるはずだと言います。また矢山 氏も「写真を解析すれば、周囲の状況もわかります。Computer Vision に加え、2017 年 5 月に発表された Custom Vision も活用し、天気や場所の空気感なども含めて可視化できるようにしたいと考えています」と述べています。

最後に萩原 氏は、今後のビジョンを次のように語ります。

「『Hyperlink of Things』は新しい概念なので、これまでは認知拡大のため、大手企業との実証実験を中心に活動を展開してきました。しかし今後はスモール ビジネスを含め、幅広いお客様にご利用いただけるようにしたいと考えています。Azure への移行はそのための布石の 1 つであり、最終的に目指すのはだれもがスマートプレートを使える世界の実現です。モノから情報を取り出すという行為は、近い将来には間違いなく一般的なものになるでしょう。当社はこの新しいユーザー体験を広げるため、これからも積極的な取り組みを進めていきます」。

写真:取材にご協力いただいた株式会社アクアビットスパイラルズの皆様

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ソリューション概要

プロファイル

株式会社アクアビットスパイラルズ外部サイトへ移動するため、別ウィンドウで開きます は、2009 年 3 月に設立された IT 企業です。社名の「アクアビットスパイラルズ」には、「人・アナログ・リアルとデジタル・テクノロジー・バーチャルが融合してスパイラル構造を創り、昇華していくことで新たな価値が生まれる」という思いが込められています。現在は主力ビジネスとして、モノとネットとをつなぐ「スマートプレート」を展開。「ググらせない」「Hyperlink of Things」をコンセプトに、リアルとネットの連携による新たなユーザー体験を広げつつあります。

導入製品とサービス

パートナー企業

株式会社ISAO

導入メリット

  • 以前は AWS 上で動いていたバックエンド システムを Azure へと移行することで、Power BI や Azure Machine Learning とのデータ連携が効率的になった。
  • クラウド サービスを Azure に一元化したことで、ランニング コストを約半分に抑えることができた。
  • Azure App for Containers や Azure Database for MySQL といった PaaS を活用することで、LAMP 環境を短期間で立ち上げることが可能となり、セキュリティや可用性、スケールの柔軟性も向上した。

ユーザー コメント

「最終的に目指すのはだれもがスマートプレートを使える世界の実現。Azure への移行はそのための布石の 1 つです」

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Founder & CEO
萩原 智啓 氏

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