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2022/04/04

Surface の導入で ICT の利用頻度が一変。授業や行事、進路指導などにも積極活用される九国の取り組み

福岡県最多の高校受験者数を誇る九州国際大学付属高等学校・付属中学校は、勉学とスポーツが盛んな私立学校です。2018 年度から本格的に ICT 教育への取り組みを始め、翌年、2019 年の高校の入学生からは 1 人 1 台タブレットによる教育活動がスタートしました。2021 年度に「ICT 教育改革プロジェクト(ICTEIP)」が発足。ICT 教育環境改革、授業改革、カリキュラム改革、教育力向上改革の4つを柱に、ICT の活用とその改善活動が組織的に展開されています。

同校の ICT の活用が進んだのは、従来の他社製タブレットから Surface Go 2 への移行がきっかけでした。いまでは授業はもちろんのこと、さまざまな行事、生徒会活動、進路指導のツールとして積極的に利用され、教員による先進的な取り組みがはじまっています。同校が目指す「自走する生徒」の育成は Surface によって支えられています。

Kyushu International University Junior and Senior High School

ICT 教育改革プロジェクト (ICTEIP) が推進の核となる

九州国際大学付属高等学校・付属中学校では「生徒中心の学びを、ICT で支える (Student-Centered Learning )」をICT教育のコンセプトとしています。九州国際大学付属高等学校・付属中学校 ICTEIP リーダーの三好 規夫氏は「これまではあまり進んでいなかった、 ICT の活用を推進するために立ち上げられたプロジェクトです」と ICTEIP が発足した背景を語りました。

中学・高校・大学の連携を踏まえて、ICT 環境整備の検証や改善、デバイス活用と発展、教員の ICT 活用のボトムアップ、総合型選抜に対応した進学実績の向上、ICT 教育の観点からの「自走する生徒」の育成など、ICTEIP の役割や活動範囲は多岐にわたっています 

他社製タブレットからSurface への移行で「授業理解度」が向上

同校での生徒向けデバイスの本格導入は 2019 年度にスタートしました。当初は他社製のタブレットを導入しましたが、バッテリーの不具合や起動の遅さ、挙動の不安定さといった使いづらさがありました。教員は 50 分 1 本勝負の授業をしなくてはならず、使いづらさが授業時間を圧迫する機種では授業での活用はなかなか進まなかったといいます。そういった中で、ある時、他社製タブレットの故障のため Surface Go 2 が代替品として提供されると、「ぜひSurface に変えてほしい」という教員からの要望が多くなりました。起動の早さ、安定的な挙動、生徒が普段使いして持ち運ぶのに適したサイズ・重量感がその理由でした。そこから一気に現在の高校 2 年生への導入が進んだといいます。

2021 年度に ICTEIP が生徒・教員に実施した「ICT を活用した教育について」のアンケート結果では、 Surface を利用することで授業がわかりやすくなったとする生徒が全体の 84 % に上るなど、生徒の授業理解度にSurfaceの安定性や利便性が寄与していると結論付けられました。

「当初から Windows PC を採用したのは、大学進学後とその先の社会人を見据えたときに、Windows OS を利用する場面が圧倒的に多いからです」と三好氏はWindowsが高校教育に必要な理由を話します。

また生徒が教室で学ぶ上で Surface Go 2 の利便性も支持されています。「机の上に Surface Go 2 と紙の教科書やノートを置いても場所を取りません。画面の大きさ、機種本体の大きさがほどよいので、生徒が使う際、窮屈そうにしている様子を見ることはほとんどありません」(三好氏)

実際に Surface Go 2 を利用している同校の生徒からも「キーボードが取り外せて普段使いにはちょうどよい大きさと軽さです。Windowsに適したアプリをタッチ操作できるのは便利だと感じています」という声があがっています。

Surface が授業や進路指導、教育支援アプリの利用に新たなメリットをもたらす

「ICT 機器を活用するメリットは『時間と場所の制約』がなくなることです」と三好氏は語ります。集団授業内でICT を使って生まれた時間に実施する「個別指導」や Microsoft Teams for Education で配信した事前課題を通して生徒が個別に知識を学び、授業では議論や発表を行う「反転授業」、Teams による志望理由書や面接原稿、小論文の添削などの「オンラインでの進路指導」など先進的な取り組みは広がっています。

また Surface と教育支援アプリの親和性も良いことが示されました。「アンケートでは、他社製タブレットが配布されている 3 年生よりも、Surface が配布されている 1、2 年生の方が授業や自主学習での MetaMoJi ClassRoomなどのアプリ利用がおよそ 20 % 以上も高い数値が出ています。やはり Surfaceの動作が安定しているため、生徒の活用がすすみやすいことに要因があると考えられます」(三好氏)

昨今の社会情勢で緊急事態宣言が発令された時も、Teams によるオンライン授業が 1 限50 分、1 日 6 限で実施されました。おどろくことに、実技を伴う科目での ICT 活用も進んだといいます。体育や学校行事、生徒会での ICT 活用を担う九州国際大学付属高等学校 保健体育科常勤講師 池 菜々海氏は「当初は1,800名もいる生徒に体育の授業をオンラインで実施することは困難ではないかと考えました」と振り返ります。しかし生徒の学びを保障したいという思いから、体育科の教員が動画の撮影編集及び配信などを工夫し、休校期間中に自宅でできるエクササイズ動画を 15 本、保健の授業動画を 6 本配信し、オンラインで授業を実施することができました。また、書道・音楽・美術などの芸術科もカメラで実技をプロジェクターに投影し配信するなど、さまざまな試行錯誤を重ねた上で、生徒の学びを保障する取り組みをしたといいます。

毎年、生徒が楽しみにしている体育祭や文化祭も、感染症対策により制限せざるを得なくなりました。校外で行っていた体育祭が会場の関係で行うことができなくなったため、代替として新たにスポーツフェスティバルを設けました。クラスマッチも例年よりも縮小した開催となりましたが、教員同士でアイデアを出し合い、Teams で競技場所と教室を中継しました。「生徒が密になることを回避できるだけではなく、生徒は教室でプロジェクターを通じた競技場所の中継を見られたので、臨場感あふれる応援ができたと思います」と池氏は制限された中での学校行事を振り返ります。

また、卒業式は保護者に向けてライブ配信を実施。体育館での式典時には6台、ホームルームでは17台の Surface Go 2 をはじめとするタブレット PC が準備され、その後のホームルームでは各クラス専属のライブ配信担当教員が配置されました。保護者からは「子どもの晴れ姿を見られないと思っていたけれど、配信という形で少しでも見られたことがすごくうれしかった」という感謝の声も多くあったといいます。

毎年行われる生徒総会では、生徒自身がクラス討議の資料作成から集約までを行い、生徒各自の Surface Go 2 で資料を閲覧しながらクラス討議を実施。生徒会の役員選挙も密を避けるために Teams で立候補者と推薦者の演説を配信し、Microsoft Forms を活用しオンラインで投票する仕組みを作ったといいます。「演説の原稿を Surface Go 2で作成し、Teams を通じて先生に添削を依頼している姿が見られますね。以前は紙ベースでやり取りをしており、時間的空間的な制約がありましたが、Surface Go 2があれば教員もいつでもどこでも見ることができ、デジタルペンでその場での添削もできます。教員もずっと職員室にいるわけではないので、Teams のチャットで原稿を送ってくれるのは助かります」(池氏)とお互いの時間を有効活用できるメリットを話しました。 

池氏は今後の ICT 活用による体育科の指導をこう展望しました。

「体育が苦手な生徒の中には、他の生徒とコミュニケーションをとるのが苦手で、具体的な改善点がわからないまま単元が終わってしまう子もいます。また、教員に見られると緊張して失敗につながる場合もあります。そういった中で、Surface Go 2 に映像を記録すれば、自分や仲間の動きを確認して改善点を伝えられます。今後は毎時間、Surface Go 2 を使って生徒自身の姿をポートフォリオに保存し、教員がいつでもフィードバックできる状況を作れればよいと考えています。さらに実技テストは、自分が最も成功したと思う映像を提出するといった新たな評価方法も考えています」(池氏) 

ICT を活用した教科指導から生まれる教育効果

九州国際大学付属高等学校 英語科 教諭 桑野 健太郎氏は、ICT による教育効果の向上に取り組んでいます。

桑野氏はまず集団授業の中で学ぶプロセスを評価しながら、生徒個々の理解度を調整するための個別指導の導入を説明しました。「Teams のクイズ機能や Forms を使って、生徒自身が問題演習に取り組みます。そして、現状では何ができて、何ができていないかを可視化し、教員が個別にフィードバックしていきます。これは学びのはしごを掛けていく活動です。また Forms などを利用して、統計的に集団の傾向をリアルタイムに把握して指導に結び付ければ、集団全体の成績も向上できます」(桑野氏)

高校だからこそ、大学へのスムーズな連携も考慮しているそうです。「Teams の課題機能を使えば、大学入学後に求められる ICT スキルを獲得できます。Surface Go 2 はキーボードでタイピングできるので、生徒は論文を Word ファイルで提出するようになりました。紙に比べて添削がスピーディーなので、教員の作業も効率化します。こうした論文の執筆を通して生徒の論理力や文章力も向上するので、大学での学び方を高校時代から身に付けられると思います」(桑野氏)

更に、時間と場所の制約を受けないオンラインの学びにも昨今は注力しているとのことです。「Teams を使って課題を出せば、教員はコメントを用いながらサポートできます。生徒も教員も自分の都合の良い時間や場所で取り組めます。特に部活動で多忙な生徒たちには便利ですね。やり取りの記録も残るので教員も提出状況のすべてを見渡した評価をしやすくなります」(桑野氏)

こうした先進的な取り組みや ICT 活用のアイデアはどこから生まれるのでしょうか。「基本的には『何ができるだろう』がスタートです。すでに先進的な取り組みをされている先生や学校もたくさんいらっしゃいますので、会議などのかしこまった形ではなく、自分も勉強しながら職員室などでいろいろと話をして、こんなやり方をしている学校があるよ、こんなことが雑誌に載っていたけど、みんなで共有しようよとなっています。Teams でも ICTEIP のチームを作って情報を共有しています。まずは楽しみたいという気持ちがベースにありますね」(三好氏)

さらにインタラクティブな学びの実現へ

 三好氏は今後の展望をこう語りました。

「各教科において全学的に ICT 機器を活用した授業シラバスを策定し、板書の時間を極力減らすことで、授業内における個別指導の時間を増やしたいと考えています。また一方通行的な授業を減らして、体験や教え合うといったインタラクティブな授業の割合を増やし、学習内容の定着率向上も目標です。さらに ICT をツールとした進路指導やアンケートをはじめとした教育効果の測定から ICTEIP によるデータ分析を進めて、エビデンスに基づく教育活動に進化したいと考えています」(三好氏)

Surface Go 2 はその利便性によって、既に同校の教育活動に深く浸透していることがわかります。ICT活用の効果を科学的に検証・改善する ICTEIP の存在も同校の特長です。今後も「自走できる生徒」の育成に向けて意欲的な取り組みは続くでしょう。

“他社製タブレットが配布されている 3 年生よりも、Surface Go 2 が配布されている 1、2 年生の方が授業や自主学習での MetaMoJi ClassRoomなどの利用がおよそ 20 % 以上も高い数値が出ています。やはり Surface の動作が安定しているため、生徒の活用がすすみやすいことに要因があると考えられます”

三好 規夫氏, ICTEIP リーダー 九州国際大学付属高等学校 国語科主任 教諭, 九州国際大学付属高等学校・付属中学校

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