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2022/12/28

Windows タブレットで「スマート農業」の担い手を育てる

人間が生きていくために欠かせない仕事である農業。就業人口が減り続ける日本においては、デジタル技術の活用により効率化・高品質化した「スマート農業」の実現が求められています。

こうした状況下で、ICT を駆使した教育により、次世代のスマート農業の担い手を育成しているのが愛媛県立西条農業高等学校です。同校は、一人一台端末として Windows 端末のFujitsu Tablet Arrows Tab Q5010 を使い、Microsoft 365 Education を活用することによって、地域社会の未来に必要な人材を育てているのです。

Saijo agricultural high school

農業にも教育にも ICT の力を取り入れていく

西日本最高峰である石鎚山の麓に位置し、「うちぬき」と呼ばれる豊かな地下水で産業を発展させてきた愛媛県西条市。そんな西条市で現代農業を学ぶ学校が、愛媛県立西条農業高等学校です。

西条農業高校では、作物・野菜・果樹栽培を専門とする食農科学課、測量・農業土木・造園の技術を身につける環境工学科、そして「農業×家庭」をテーマに、体系的に保育・食育を学ぶ生活デザイン科に分かれ、社会の変化に対応した教育を提供してきました。その一つが「スマート農業」です。ドローンによる農薬・肥料散布や、データに基づく生育管理アプリの活用など、デジタル技術を駆使して高効率・高品質な生産を実現することがスマート農業です。教育現場におけるテクノロジー活用の先導者として、「マイクロソフト認定教育イノベーター (MIEE)」となった愛媛県立西条農業高等学校 生活デザイン科 教諭 野田昇吾氏は、「現代の農業に ICT 活用は欠かせない」と語ります。

「高齢化が進み、また、コロナ禍で技能実習生の受け入れもままならない昨今では、農業の労働不足は深刻なものとなっています。ICT によって人手をかけない農業を実現することが、国を挙げた課題となっているのです」(野田 氏)

2022 年に始まった高校での一人一台端末利用は、農業教育に ICT をもたらす後押しにもなりました。西条農業高校の生徒達はWindows 端末を手に持ち、デジタルな学びを深めています。 

フィールドワークに適した Fujitsu Tablet Arrows Tab Q5010

愛媛県は一人一台端末として Fujitsu Tablet Arrows Tab Q5010 を採用し、県立高校 60 校に貸与しています。野田氏は、同端末の「防塵 (IP5X 相当)・防水(IPX5/IPX7/IPX8 相当)」という性能を高く評価します。

「非常に頑丈なタブレットのため、そのまま畑に持っていって使うことができます。カメラも付いているので、生育記録の写真を撮れるのが便利ですね。その場でMicrosoft Excelに記録し、SharePointで共有することがあっという間にできます」(野田 氏)

ARROWS Tab Q5010 は、教育現場での取り扱いやすさを重視したモデルです。表面はグリップ力の高いデザインになっており、滑って落とすリスクを減らしています。仮に落としてしまったとしても、上下左右の堅固なフレームが落下衝撃を吸収し、液晶画面が割れるリスクを抑えてくれます。

あらゆる場面で Office アプリケーションを活用できる ARROWS Tab Q5010 の特性は、端末の採用理由にもなりました。

「教育委員会の方から聞いたのですが、ARROWS Tab Q5010 を選んだ理由としては、『Windows 端末であること』が大きいそうです。高校は社会に直結する学びの場ですから、Microsoft Word や Microsoft Excel、Microsoft PowerPoint などに早めに慣れておくことが、将来に必要だと考えられたのでしょう。私自身、さまざまなデバイスを試してきましたが、ドキュメントを作成するにあたっては Windows がもっとも使いやすいと感じています」(野田 氏)

ARROWS Tab Q5010 は、タブレットとしてだけではなく、別途キーボードを取り付けることができます。こうしたデタッチャブル PC は、農業高校での利用に向いていると野田氏は付け加えます。

「大根の生育状況を確認するなど、外に出る場面が多いですから、そういうときはタブレット部分だけ持っていって、資料を作るときはキーボードを差し込んで教室で、という使い分けが非常に便利です。農業高校はこうしたデタッチャブル PC と非常に相性が良いと思います。また家でも活用してもらうため持ち帰り可能にして、充電してくるように言っているのですが、それでバッテリーが一日保つため、学校に別途設備を用意する必要もありません」(野田 氏)

効率化により、生徒自身が探究する時間が生まれる

Windows 端末は、愛媛県立西条農業高等学校にどのような新しい学びをもたらしているのでしょうか。

「日本学校農業クラブが年に一回、全国大会を開催しており、生徒達は日頃取り組んできた研究成果を発表します。この際、研究の内容だけでなく、スライドのデザイン性も問われます。写真も撮影できる ARROWS Tab Q5010 のおかげで、プレゼンテーションをより作り込むことができるようになりました。おかげさまで全国大会に出場できています」(野田 氏))

愛媛県と言えばミカンのイメージが強いかもしれません。しかし、市場競争が激化する中では、新たな付加価値の創出や、販路拡大が必要となっています。こうした課題に対して、西条農業高校の生徒達は「獣害被害を避けるためのパパイヤ栽培」「重量物を運ぶためのアシストスーツ」などを研究し、農家への提案をおこなっているのです。

普段の授業や研究を実施するうえで、Microsoft 365 は協働編集を可能にしてくれたと、野田氏は微笑みます。

「チームで同時に作業を進めることが、アナログ時代と比べて格段に便利になりました。SharePoint 上に PowerPoint のファイルを置けば、役割分担して同時にプレゼン制作を進めることができます。他の子の作っているスライドも俯瞰できるので、『ここちょっと違うよね』といったフォローもすぐにできます。今ではこちらが何も言わずとも、生徒自身がこうしたコラボレーションを自発的にしてくれるようになりました」(野田 氏)

「発表すること」を前提にした結果、スライド作成技術の向上だけでなく、授業を聞く態度がより真剣になったと野田氏は続けます。

「私の授業では、一つの単元を学習したら必ず発表をさせています。人前で話すことには慣れが必要ですから、その機会をなるべく与えなければなりません。そして、自分が説明する側に回ると、事前に知っておかなければならないことの多さに気づいてくれるんです。『発表に備えて授業をちゃんと聞いておこう』と、真剣に聞いてくれる生徒が増えました」(野田 氏)

西条農業高校の生徒全員が Windows 端末 を持ち、Microsoft 365 をインフラとして使えるようになったことは、生徒の学びを深化させただけではありません。教員の仕事にも変化をもたらしています。

「西条農業高校では、県に先駆けて Microsoft 365 を導入していたこともあり、校務における ICT 活用も積極的に進められています。Excel Online を活用した校務連絡の Web 化や、Microsoft Teams for Education・Microsoft Forms・Power Automateを組み合わせた備品予約システム・欠席連絡システムの構築、対面とオンラインを同時におこなうハイブリッド授業なども実現できています」(野田 氏)

「これまで時間をかけて印刷したり、備品予約のために階段を上り下りしていたのですが、その必要が全くなくなりました。ICT に抵抗があった人でも、便利さを分かってもらえれば浸透は早いです。今では教員も生徒も、みんな当たり前のように Teams を使っています。特にインパクトが大きかったのは Forms ですね。集計に 5、6 時間かかるようなアンケートも今では一瞬です。また、私はノート提出をすべて Microsoft OneNote Class Notebook  にしています。ドキュメントモードにすれば自動的にトリミングされて、綺麗に貼り付けられますから、見返すのも簡単です。すぐにチェックできますし、返却の手間もありません」(野田 氏)

こうしたデジタルによる時短は、生徒にとっても深い学びをもたらします。従来は、電卓で計算して、手書きでグラフを描く作業で授業が終わることもありました。しかし、Excel ですぐにアウトプットできるようになった結果、その時間をプロジェクト学習に割けるようになったのです。「生徒が教員を超えてくるようになった」と、野田氏は嬉しそうに言います。

「検索して済むことは授業では極力扱わず、『なぜこの地域はトマトをこう育てているのか?』などと、問いを立てさせて、探究させるようにしています。農家さんを訪問したり、独自に調べたりすることによって、我々も知らなかったようなことを突き止めてくるような生徒が現れ始めました。デジタルによる効率化は、教員がファシリテートして、生徒自身が考えて活動する時間を生み出してくれたのです」(野田 氏)

最新の ICT を駆使して学校全体のレベルアップを目指す

今後は、教員全体の ICT 活用に関する知識・技術を底上げしていきたいと野田氏は展望します。

「教員が ICT を活用できなければ、デジタルの良さを生徒が享受することができません。MIEE を通じて得た事例や、学校内での取り組みを共有していくことで、全体的なレベルアップを図りたいと考えています」(野田 氏)

既に西条農業高校では、野田氏が思いもよらない取り組みが生まれています。

「SharePointスペースで、学習用の VR 空間をつくった先生がいるのですが、生徒に非常に好評です。競技用の問題を生徒自身が作り合ったり、それぞれが学習したことをセクションごとにまとめて共有したりしています。VR は没入感もあって、既存の Web ページとはまた違った体験ができているようです。教員もこれに見習って、授業用の教材なども上手に共有していけたらいいですね」(野田 氏)

一人一台端末として Windows 端末の ARROWS Tab Q5010 を使い、Microsoft 365 のさまざまなサービスによって、新たな ICT 教育を実現している愛媛県立西条農業高等学校。日本のスマート農業を担う未来の人材が、ここから輩出されていくことでしょう。

“高校は社会に直結する学びの場ですから、Microsoft Word や Microsoft Excel、Microsoft PowerPoint などに早めに慣れておくことが、将来に必要だと考えられたのでしょう。私自身、さまざまなデバイスを試してきましたが、ドキュメントを作成するにあたっては Windows がもっとも使いやすいと感じています”

野田 昇吾 氏, 生活デザイン科 教諭, 愛媛県立西条農業高等学校

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