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2026/08/03

綿密な検証と独自の育成プログラムで Microsoft 365 Copilot 活用を定着化。JAF が進める生成 AI 活用による業務変革

JAF では、DX を「JAF の強みをデータとデジタルでつなぎ、価値を高める取り組み」と位置づけ、2019 年から IT リテラシー向上と DX 人材育成を推進してきました。そうした土台の上で生成 AI 活用を本格化し、まずは安全に利用できる環境を整備。その次の段階として、デジタル戦略推進部が中心となって、Microsoft 365 Copilot の導入と活用定着に取り組んでいます。

はじめに AI を正しく理解し、安全に活用できる環境づくりを重視し、Azure OpenAI Service を活用した内製の生成 AI チャット ツール「JAF AI Chat」を展開しました。その後、日常業務で利用頻度の高い Word、Excel、PowerPoint、Teams、Outlook といった Microsoft 365 アプリケーションの中で AI を活用できる点に価値を見出し、Microsoft 365 Copilot を導入。活用の幅を拡げています。

2026 年 2 月に Copilot を利用する職員に対して実施した調査では、Microsoft 365 Copilot による業務時間削減効果は月あたり平均 11.8 時間となり、費用対効果を見込める 2 時間以上の削減効果を得られた職員は全体の 95.5%、満足度も 90% を超えました。情報検索や文章作成だけでなく、各部門の実務に即した活用も広がっており、JAF における AI 活用の定着と業務変革が着実に進んでいます。

JAPAN AUTOMOBILE FEDERATION

DX ビジョンの実現に向け、AI 活用の土台づくりを進める JAF

JAF(一般社団法人 日本自動車連盟)は、全国で 2,074 万名を超える自動車ユーザーの団体で、ロードサービスをはじめ、さまざまな会員サービスや交通安全活動などを展開しています。同法人では DX を単なる最新技術の導入ではなく、「JAF の強みをデータとデジタルでつなぎ、価値を高めていく取り組み」と位置づけ、継続的な基盤づくりを進めてきました。

同法人で DX や AX(AI Transformation)の推進を担い、職員の IT リテラシー教育、AI をはじめとするIT ツールの実証実験・展開に取り組むデジタル戦略推進部 DX/AX推進課の山内 昭憲氏は、「DX を推進するためには、まず IT を正しく理解することが重要です。私たちはこれまでも、全社の底上げを図るための施策を展開してきました」と話します。

JAF では 2019 年に、IT を基礎から学び、職員同士の交流も促すため、メタバース上に「JAFIT アカデミー」を創設。全社的な IT リテラシーの底上げに加え、独自の認定制度も設けることで、より高いデジタルスキルを持つ DX 人材の育成にも取り組んでいます。

また、AI 技術の進展を踏まえ、AI を DX 推進のエンジンとして活用していく方針を示しています。こうした取り組みのなか、2025 年から Microsoft 365 Copilot を段階的に導入し、内製の生成 AI チャットツールと併用しながら、社内での AI 活用を広げています。

山内 昭憲 氏, デジタル戦略推進部 DX/AX推進課 課長, 一般社団法人 日本自動車連盟

“DX を推進するためには、まず IT を正しく理解することが重要です。私たちはこれまでも、全社の底上げを図るための施策を展開してきました。”

山内 昭憲 氏, デジタル戦略推進部 DX/AX推進課 課長, 一般社団法人 日本自動車連盟

安全性と正しい理解を重視し、生成 AI 活用の基盤を整備

JAF が生成 AI 活用を進めるうえで重視したのは、利便性だけでなく、安全性の確保と職員の正しい理解でした。2023 年頃、LLM を基盤とする生成 AI が急速に注目を集めるなか、JAF でも業務効率化につながる可能性に期待が高まりました。山内氏は「ほかの多くの企業同様、JAF でも少子化に伴う人手不足と職員の負担を軽減するための業務効率化は大きな課題となっており、AI はその課題を解決するひとつの手段になると感じました」と振り返ります。

デジタル戦略推進部は、各種生成 AI ツールの検証を進め、当初は、機微な情報を扱わないことを条件に外部の生成 AI ツールの利用を開始しましたが、情報漏洩や著作権侵害に対する懸念が残っていました。こうした課題を踏まえ、JAF は 2023 年に Azure OpenAI Service を活用した内製の生成 AI チャットツール「JAF AI Chat」をリリースしました。これにより、安全性を担保したうえで生成 AI を活用できる環境が整えられました。

JAF AI Chat を普及するにあたり山内氏らは、全国 8 地方本部すべてを直接訪問し、体験会を開催しました。山内氏は「当時はまだ AI の評価が定まっておらず、万能な道具として捉えられたり、逆にハルシネーションのリスクを過度に懸念されたりすることもありました」と振り返ります。

同じく AI 活用推進をリードするデジタル戦略推進部 DX/AX推進課の中村 あやめ氏も、「AI への期待値が高すぎることで、使ったときにギャップを感じてしまうのも問題ですし、最初から使おうと思えない状況も問題だと考えていました。直接職員の皆さんと対話しながら行う勉強会は、AI を正しく理解して、正しく活用してもらう土台づくりとして、とても有意義だったと感じています」(中村氏)

体験会では、デジタル戦略推進部が業務で活用できると判断した、情報検索、文章校正や要約、アイデアの壁打ちといった作業を、まず従来の手順で行ってもらった後に、同じ作業を JAF AI Chat で試してもらうことで、AI の有効性を実感しやすい構成にしました。

「これまで自分が苦労してやっていた仕事を AI に代わってもらえるという体験は、大きなインパクトがあったと思います」と山内氏が語るように、体験会後の JAF AI Chat の全社展開はスムーズに進みました。さらに 2024 年に入ると、「Microsoft Word や Excel など、日常的に使うアプリの中でも AI を活用したい」という声が高まり、Microsoft 365 Copilot の試験導入につながっていきます。

中村 あやめ 氏, デジタル戦略推進部 DX/AX推進課, 一般社団法人 日本自動車連盟

“AI への期待値が高すぎることで、使ったときにギャップを感じてしまうのも問題ですし、最初から使おうと思えない状況も問題だと考えていました。直接職員の皆さんと対話しながら行う勉強会は、AI を正しく理解して、正しく活用してもらう土台づくりとして、とても有意義だったと感じています。”

中村 あやめ 氏, デジタル戦略推進部 DX/AX推進課, 一般社団法人 日本自動車連盟

Microsoft 365 Copilot の試験導入を通じて活用法を見極め、全社展開と定着支援を推進

Microsoft 365 Copilot の試験導入は、まずデジタル戦略推進部と、一部開発系のメンバーを含む約 20 人の少人数で始まりました。

「当時はとにかく手探りでした。Microsoft Word や Excel などのアプリごとに、Microsoft 365 Copilot を使ってどんなことができるのか、そしてどんなことができないのかを試してみて、できることをどのように業務に生かせるかどうかを判定し、そのなかから “この使い方を職員に広げてもよいか” といった判断を進めていきました」(中村氏)

試験導入で特に好評だったのは、ファイル添付が可能なことと、アプリから直接 AI を利用できることでした。「これなら各部門でも有効活用できる」との手応えを得て、2024 年 4 月から段階的に全社導入を進めることが決まりました。

「当時職員へ付与可能なライセンス数に上限があったことから、JAF AI Chat を普段から利用していること、JAFIT アカデミーを受講して AI をはじめ IT に関する知識をある程度有していることを条件として募集したところ、想定を超える 200 名以上の職員から応募がありました」(中村氏)

JAF が導入時に重視したのは、ライセンス配布そのものではなく、Microsoft 365 Copilot を正しく使いこなせる状態をつくることでした。そこでデジタル戦略推進部のメンバーは 4 カ月の間に、ガイダンスを含めて計 6 回のハンズオンセミナーを実施。このプログラムは、「Copilot(副操縦士)を使いこなす」という意味を込めて「パイロット養成講習」と名づけられました。

その後もパイロット養成講習を数期にわたって実施し、講習を修了した職員に順次ライセンスを付与してきました。2026 年 6 月時点では、Microsoft 365 Copilot のライセンスを付与された職員は 580 名に達しています。講座内容についても、パイロット養成講習は Microsoft 365 Copilot の仕様変更や機能拡張に合わせて、内容を継続的に見直しています。

中村氏とともにプログラム内容の企画や職員からの問い合わせ対応を担当するデジタル戦略推進部 DX/AX推進課の天谷 昌以子氏は、プログラムを組み立てるうえでの工夫についてこう説明します。

「一般的なユースケースの紹介だけだと、自分たちの業務に落とし込むのは難しいので、たとえば、JAF で開催するイベントの成果や課題の整理や取引先向けの資料作成といった具体的なユースケースをハンズオンに取り入れて、普段の業務が Microsoft 365 Copilot で便利になることを実感できるように意識しています」(天谷氏)

天谷 昌以子 氏, デジタル戦略推進部 DX/AX推進課, 一般社団法人 日本自動車連盟

“一般的なユースケースの紹介だけだと、自分たちの業務に落とし込むのは難しいので、たとえば、JAF で開催するイベントの成果や課題の整理や取引先向けの資料作成といった具体的なユースケースをハンズオンに取り入れて、普段の業務が Microsoft 365 Copilot で便利になることを実感できるように意識しています。”

天谷 昌以子 氏, デジタル戦略推進部 DX/AX推進課, 一般社団法人 日本自動車連盟

月平均 11.8 時間の削減効果を確認。想定を超えるユースケースも拡大

JAFでは、パイロット養成講習の受講後にアンケートを実施し、Microsoft 365 Copilot の活用効果を継続的に把握しています。

「2026 年 2 月のパイロット養成講習受講者を対象とした調査では、Microsoft 365 Copilot による業務時間削減効果は月あたり平均 11.8 時間で、費用対効果を見込める 2 時間以上の削減効果を得られた職員は全体の 95.5%。満足度も 90% を超える結果が得られました」(中村氏)

活用領域は、情報検索や情報収集、文章校正、アイデアの壁打ちといった当初想定していた用途にとどまりません。運営側の想定を超える使い方も現場から生まれています。

たとえば、「通常は数十分かかる PowerPoint でのイベント会場のレイアウト作成を、Microsoft 365 Copilot で 3 分で作成した、という報告です。パイロット養成講習では紹介していなかった活用方法の共有は、推進メンバーとしても「そう来たか」と驚かされました」(天谷氏)

また、Microsoft 365 Copilot に業務マニュアルを読み込ませたうえで、プロンプトを工夫し、マニュアルを調べる時間や理解する時間の短縮を図るという事例も生まれています。さらに、Microsoft Teams の書き込みから依頼事項や締切情報を抽出しリストアップすることでスケジュール管理に役立てたり、関わりの少ない職員との打ち合わせ前に、Copilot で相手の情報を確認し、打ち合わせの準備に役立てたりするなどの使い方も共有されています。

これらのユースケースは、年に 1 回開催される「DX アワード Copilot 部門」や、社内で定期的に開催している職員同士によるユースケース紹介の場(事例共有会)を通じて、全国の職員へ展開されています。教育と実践の循環が、新たな活用方法の発見にもつながっています。

中村 あやめ 氏, デジタル戦略推進部 DX/AX推進課, 一般社団法人 日本自動車連盟

“2026 年 2 月のパイロット養成講習受講者を対象とした調査では、Microsoft 365 Copilot による業務時間削減効果は月あたり平均 11.8 時間で、費用対効果を見込める 2 時間以上の削減効果を得られた職員は全体の 95.5%。満足度も 90% を超える結果が得られました。”

中村 あやめ 氏, デジタル戦略推進部 DX/AX推進課, 一般社団法人 日本自動車連盟

マイクロソフトも伴走しながら、継続利用を後押し

Microsoft 365 Copilot の導入開始から約 2 年が経過し、ちょっとした変化も見られるそうです。「ライセンス申請のきっかけとして、以前は事務局から発信する告知を見て応募するというケースが多かったのですが、最近は同僚や上司から勧められて、というケースが増えてきました」と中村氏。

「当初は興味がなかったものの、まわりが Microsoft 365 Copilot を使って業務を効率化しているのを見て、自分も使ってみたいと考える職員が増えてきているのだと思います。また管理職にも AI 活用の理解が広まっているのは、とてもよい傾向だと考えています」(山内氏)

現在は、多くの職員が JAF AI Chat を活用し、より業務の質を高めたいという職員が Microsoft 365 Copilot も併用する形で、JAF の AI 活用は順調な広がりを見せています。

一方で、「使い方を教えて終わり」ではなく、その後の活用継続こそ重要だと考えています。パイロット養成講習は毎回平均 150 人ほどが参加するため、相応の問い合わせが寄せられますが、事務局だけでは最新情報の把握や迅速な対応が難しい場合もあります。そこで、日本マイクロソフトへの相談が大きな支えになっているといいます。

「私たちが自力で調べても、その元になる情報が正しくなかったり古かったりする場合があります。マイクロソフトにも相談にのってもらい、日々情報提供をしてもらえることは非常にありがたいですね」(天谷氏)

また、日本マイクロソフトが企画する他社との事例共有会や Microsoft AI Tour などのイベントにも積極的に参加しているとのこと。中村氏も「毎回勉強になります。得られた情報は研修資料作成の参考にしています」と、その機会を大いに活用しているそうです。

天谷 昌以子 氏, デジタル戦略推進部 DX/AX推進課, 一般社団法人 日本自動車連盟

“私たちが自力で調べても、その元になる情報が正しくなかったり古かったりする場合があります。マイクロソフトにも相談にのってもらい、日々情報提供をしてもらえることは非常にありがたいですね。”

天谷 昌以子 氏, デジタル戦略推進部 DX/AX推進課, 一般社団法人 日本自動車連盟

AI エージェントも視野に、現場に根づく活用をさらに広げる

JAF では、Microsoft 365 Copilot の活用が広がるにつれて、社内の情報を活用したさらなる業務改善への期待も高まっています。山内氏は、今後の展開について次のように語ります。

「現在は Copilot Studio の検証を進めている段階ですが、AI エージェントを有効に活用するには、AI エージェントに対する正しい理解、業務に合わせた設計や継続的な調整に加え、AI が参照しやすい形に整理されたデータや文書を用意することが欠かせません。こうした点を理解したうえで活用しなければ、期待した成果につながらない懸念があります。Microsoft 365 Copilot の導入時と同様に、まずは私たち自身がノウハウを蓄積したうえで、社内への展開を進めていきたいと考えています」

AI エージェントをどの業務に、どのように活用できるのかを見極めながら、コストとのバランスも踏まえて進めていくことが重要だといいます。

また、中村氏と天谷氏は、今後に向けて「パイロット養成講習」の内容もさらに磨き上げていく必要があると考えています。「Microsoft 365 Copilot の進化に合わせて、資料や課題の内容を更新し続けることで、社内でより有効に活用できる場面が増え、業務効率化につながると考えています。今後は AI エージェントに関する内容も盛り込む予定です。最新情報の確認や資料の校正などで、日本マイクロソフトにも協力していただければと考えています」(中村氏)

天谷氏も、日本マイクロソフトの JAF 担当チームの支援によって課題を解決できた職員から「こんなに便利なものは、もう手放せない」という声が寄せられたエピソードを紹介し、今後も継続した支援への期待を語ります。

山内氏は「AI という技術によって、働き方や世の中の仕組みが変わろうとしているいま、この立場で AX(AI トランスフォーメーション)に関われていることを幸せに感じています。より多くの職員に AI の可能性を知ってもらい、AI を使いこなして業務を効率化することが評価されるような組織にしていけたらと思っています」と展望を語りました。

JAF の専務理事 野津 真生氏は、AI の取り組みについて次のように述べます。

「AI の活用は、単なる業務効率化にとどまるものではなく、職員一人ひとりがより高い価値を生み出すための環境を整えていく取り組みだと考えています。JAF では、安全性の確保と職員の正しい理解を重視しながら、生成 AI を安心して活用できる環境づくり、人材育成、現場での実践支援を段階的に進めてきました。Microsoft 365 Copilot の活用も、こうした積み重ねの延長線上にある重要な取り組みであり、現場で着実に成果が表れてきていることを心強く感じています」

AI の可能性を強く信じ、全社で実践を重ねながら、業務に即した活用方法を模索し続ける JAF。Microsoft 365 Copilot に加え、今後は AI エージェントも見据えた取り組みを通じて、DX の実現に向けた取り組みは、今後さらに加速していくでしょう。日本マイクロソフトも引き続き、その取り組みを支援していきます。

山内 昭憲 氏, デジタル戦略推進部 DX/AX推進課 課長, 一般社団法人 日本自動車連盟

“AI という技術によって、働き方や世の中の仕組みが変わろうとしているいま、この立場で AX(AI トランスフォーメーション)に関われていることを幸せに感じています。より多くの職員に AI の可能性を知ってもらい、AI を使いこなして業務を効率化することが評価されるような組織にしていけたらと思っています。”

山内 昭憲 氏, デジタル戦略推進部 DX/AX推進課 課長, 一般社団法人 日本自動車連盟

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