政策インタビュー 第 3 回

国民の権利を守る「公平・公正な社会」の基盤づくり

マイナンバー制度の意義と、必要性について
衆議院議員 内閣府大臣補佐官
自民党 神奈川県第 8 選挙区支部長
福田 峰之 氏
福田 峰之 氏の写真

2016 年 1 月の導入 (2015 年 10 月から国民に番号を通知開始予定) が近づき、注目を集めている「マイナンバー制度」。
社会保障や税、災害対策の分野で効率的に情報を管理するため、国民 1 人 1 人に番号を割り振るこの制度は、どのような効果をもたらすのか。あるいはまた、どのような未来を描き出すために、この制度が整えられてきたのか。
IT 戦略特命委員会事務局長およびマイナンバー利活用推進小委員長を務める福田 峰之 氏に、いくつかのポイントにわけてお話を伺いました。

【プロフィール】
第 47 回総選挙において、3 期目の当選を果たす。2015 年 3 月 31 日の閣議決定によって内閣府大臣補佐官【社会保障・税番号制度: マイナンバー担当】に任命される。衆議院内閣委員会委員。自民党においては IT 戦略特命委員会・水素社会実現推進委員会・知的財産戦略調査会コンテンツ小委員会各事務局長として政策立案の実務を担う。さらに FCV (燃料電池自動車) を中心とした水素社会実現を促進する研究会・児童の養護と未来を考える議員連盟・日本エストニア友好議員連盟各事務局長も務め、エネルギーから社会保障、外交まで幅広いテーマに取り組んでいる。

年金、労働、医療、福祉などの社会保障を 公平・公正に享受できる社会へ

マイナンバー制度とはまさに、「次の世代に向けた社会基盤づくり」だと思っています。主な目的は、次の 3 点です。

  1. 1. 公平・公正な社会の実現
  2. 2. 国民の利便性の向上
  3. 3. 行政の効率化

マイナンバーが導入されると、国民の利便性は確実に向上するでしょう。
端的に例を挙げると、役所への各種申請手続きが簡素化されます。
役所の窓口が開いている平日の 9 時から 5 時の間に何かを申請するためには、大切な仕事の時間を融通しなければなりません。しかし、マイナンバー導入以降は電子申請も進みますから、役所に立ち寄る必然性も下がっていきます。

さらに大きなメリットが、マイナンバーで正確に管理される情報に基づき、年金、労働、医療、福祉などの社会保障を、間違いなく享受できるようになるということです (公平・公正な社会の実現)。

これらのメリットは、マイナンバー導入による「行政の効率化」と、密接な関係にあります。

従来は、基礎年金番号や健康保険被保険者番号、納税者番号などが縦割りに管理されていたため、さまざまな非効率が存在していました。

加えて、従来の年金台帳などの管理には、漢字文化ならではの難しさもありました。たとえば、「齋藤」という苗字には、複数の漢字が使われています。
A 社に勤めた人の名前が、最初は、難しい字で「齋藤 XX」と届けられていたのに、転職先の B 社からは少し簡略になって「斎藤 XX」と届けられる。さらに 3 社目となる C 社からは、「斉藤 XX」と届けられて、いざ記録をさかのぼろうとすると、3 種に分かれてしまった記名が、同一人物を示すのかどうか、保証する情報が何もないという危険性が存在していたのです。

マイナンバーの制度下では納税や年金、保険などの状況が透明になりますので、このような不公平は生じません。とにかく、国民が当然の権利として有するすべてのものを、公平・公正に提供できるようにすることが、マイナンバー制度の根本になります。

「国民の皆様が有する権利が、万一にも失われないようにするためにある」と言ってもいいでしょう。

ポイント 1: マイナンバーの利活用は、「社会保障」、「税」、「災害対策」の行政手続きに限られる

マイナンバーの利活用は、先ほどお話した通り、「社会保障」、「税」、「災害対策」の 3 つに限られます。

そして、このマイナンバーが記された「マイナンバー カード (個人番号カード)」は、あくまでも任意で発行します。
このカードには、顔写真が付けられ、住所・氏名・生年月日・性別の 4 情報が記載され、さらにインターネット上での公的認証に活用できる IC チップも埋め込まれています。 身分証明書としても、これ以上のカードはないでしょう。

このカードを所持していただくことでさまざまなサービスをご享受いただけるようになりますが、前述した社会保障、税、災害対策の行政手続きに必要なのは、マイナンバーそのものです。誰もがカードを持ち歩く必要はありません。

ただ、私たちとしては、できれば全国民にマイナンバー カードを所持していただきたいと考えています。それは、将来的なサービスを充実させるためです。

ご承知のように、「住民基本台帳カード (住基カード)」は、2014 年 3 月時点で国民の 約 5% にしか普及していません。普及が進まなかった理由としては、開始時のサービスの範囲が限定されていたことや、有料であったことが挙げられます。
そして、普及が進まなかったために、住基カードの可能性を広げることも叶わず、「住基カード多目的利用団体数」も、わずか 202 市区町村に留まっています。

ここで得られた教訓は、カードが普及しなければシステムへの投資コストに見合う活用が期待できず、
新しい住民サービスを生み出すこともできなくなってしまうということでした。

だからこそ、私たちはマイナンバー カードを健康保険証などと一元化していく方針を打ち出して、2020 年までに国民の大半への普及を推進していく方針を立てています。

そしてもう 1 つ、マイナンバー制施行から約 1 年を目途に導入される予定のサービスとして「マイナポータル (情報提供等記録開示システム)」があります。

これは、国と国民を結ぶ「窓」だと考えてください。行政機関が持っている自分自身の情報を確認することや、自分自身が利用できる行政サービスの確認などが行えるポータル サイトです。
もちろん、利用するかどうかは個人の自由です。このポータル サイトへのログインには、マイナンバーを使わず、マイナンバー カードの IC チップとパスワードを活用する予定です。

これは、非常に重要なポイントです。つまり、「マイナンバーの利活用」と「マイナンバー カードの利活用」、そして「マイナポータルの利活用」は、まったく異なるものだということです。

ポイント 2: マイナンバー カードの IC チップを使った個人認証機能が、多様なサービス創出のカギ

マイナンバー カードの利活用によって、非常に便利なサービスが数多く生まれてくるものと予想されます。 その可能性を支えるのが、金融や医療を始めとする民間の企業や団体です。

念のため繰り返しますが、マイナンバーそのものは、国が、限られた行政手続きの中で利用するだけです。つまり、民間企業がマイナンバーそのものの利活用を行うことはありません。
そもそもマイナンバーは、高度な個人情報に紐づいていますから、システムの構築、運用には重大な責任が伴います。このデータを「扱いたい」という民間企業は存在しないでしょう。

しかし、マイナンバー カードに搭載された IC チップを活用した個人認証機能については、さまざまな企業から、インターネット サービスにおける活用へ期待する声を数多く伺っています。

たとえば、銀行の口座開設や、携帯電話の新規契約などは、確かな本人認証が求められることもあり、決してネット上で完結しない状況にあります。
しかし、マイナンバー カードの IC チップとパスワードを使って確実な本人認証が行えるようになれば、架空口座の心配もなくなるため、インターネット上から簡単に口座開設できるようになるかも知れません。そのほか、さまざまなサービスが発展し、国民の利便性向上につながっていくでしょう。

インターネットの利活用が、社会にとって必要不可欠となっている今、そのインターネットを、より安心して活用する手段としても、マイナンバー カードが期待されているのです。

ポイント 3: マイナポータルを通じて、国が積極的に国民の生活と命を救済することも可能

次に、マイナポータルについても説明させてください。

このポータル サイトを通じて、行政機関がマイナンバーの付いた自分の情報をいつ、どことやりとりしたのか確認できるほか、行政機関が保有する自分に関する情報や行政機関から自分に対しての必要なお知らせ情報などが確認できるようになる予定です。

たとえば、各種社会保険料の支払金額や確定申告などを行う際に参考となる情報が確認できる予定です。
あるいはまた、引越しの際に必要となる各種手続きを、官民横断的にワンストップ サービスとして提供できる可能性もあります。

つまり、旧来の縦割り行政サービスではなく、国民個人を中心に位置づけたワンストップ サービスの窓口として期待しているのです。

そこではたとえば、国が、国民の方々に対して、「お節介」を焼くこともできます。
たとえば、「本来ならば生活保護対象となるほど苦しい生活をされているのに、制度の詳細を知らず、ライフラインを活用できずにいる方」に対して、国の方から「あなたは、生活保護の受給対象者です。制度をご利用ください」と、アナウンスすることだってできます。

もちろん、「そんなものに頼りたくない。余計なお節介だ」と言われる方も居られるでしょう。それは、立派なお考えだと思います。
しかし、本当に制度を知らないという方も居られます。そうした方を、積極的に救うことも国の責任です。弱い立場にある方々の命と生活も、しっかりと保障されなければいけません。

一方で、年金や生活保護の不正受給は許されなくなります。

マイナポータルは、国の定めるルールに沿って、全員が公平・公正に権利を享受できる社会への入り口でもあるのです。

ポイント 4: マイナンバーの安全性に対する誤解

ここで一点、お話させていただきたいのですが、マイナンバー制度について、かなり多くの誤解が生じていると思います。中でも特に多いのが「マイナンバー カードを落としてしまったら、あらゆる個人情報が筒抜けになってしまうのではないか?」というご心配です。

結論から言えば、マイナンバーが他人に伝わっただけで、支障が生じることはありません。

銀行のキャッシュ カードやクレジット カードもそうですよね。カードに刻印された番号を見られただけでは、お金を奪われることはありません。
パスワードやセキュリティ コードなどの情報を守ることが、重要となります。

マイナンバーも同様です。
マイナンバーに関するパスワードは、多層的に設定されています。たとえば、マイナポータルにログインするためのパスワードと、より高度な個人情報を引き出す時に必要とされるパスワードは異なります。

このパスワードがなければ、個人情報は引き出せません。

ですから、マイナンバー カードにパスワードを書き込むようなことだけは、避けていただきたいです。もっとも、そんな心配は不要だと思いますけれど (微笑)。

ポイント 5: 災害などで各種証明書を失っても、「自己を証明し、権利を守る」ことが可能

冒頭でも「国民の皆様が有する権利が、万一にも失われないようにするためにある」と、お話しましたが、これはマイナンバーのメリットを語る上で、とても重要なポイントであると考えています。

特に災害時。
免許証も、保険証も、通帳も印鑑も、すべて家に置いたまま、急いで避難した結果、自宅が丸ごと津波で流されてしまった場合にどうするか……。

生活するお金を引き出すために、銀行に向かっても、キャッシュ カードもありません。そうした時に、どうやったら自分が自分であることを証明し、口座のお金を引き下ろしてもらえるのか……。

「自分を証明する」という行為は、実は非常に難しいものなのです。

もちろん、先ほどのような状況であれば、マイナンバー カードも流されてしまうでしょう。
しかし、マイナンバーの情報は、国の運用するシステム上に残っています。パスワードなどの必要情報を覚えてさえいれば、カードの再発行もスムーズに進み、銀行での個人認証に役立てることができるでしょう。

つまり、不意の災害にあってとしても、すべての資産と権利を失う恐れがなくなるのです。

ポイント 6: 世界最先端のビッグ プロジェクトとしての価値

国民に ID を振り当てて、電子政府化を図る取り組みは、世界でも、北ヨーロッパにあるエストニア共和国しか実現させていません (電子政府化プロジェクト「e-Estonia」)。非常に積極的に ICT を活用し、先進的な取り組みを数多く進めている国であり、国民 1 人あたりの起業数はヨーロッパでも一番と言われています。
電子化による行政の効率化が、国全体のイノベーションに大変良い影響を与えた事例です。

しかし、エストニアの人口は約 130 万人。対して、日本の人口は約 1 億 2 千万人です。

これだけでの規模で、マイナンバー制度に取り組むのは、世界に前例のないビッグ プロジェクトなのです。

マイナンバーによって、日本の行政効率化が促進され、「世界最先端 IT 国家」へと大きな歩を進めることで、国全体でイノベーションを促進することができれば、世界からも大きく評価されるでしょう。

特に、社会保障の基盤がまだ整備されていない新興国に対しては、このマイナンバーのシステム等を他の類のない「新しいインフラ」として提供することで、貢献することもできるでしょう。

日本としても、新しい産業の創出につながりますし、世界の国々に貢献することもできる。そうした、大きな目標も考えられるのです。

たゆまぬセキュリティへの取り組み。
各 IT 企業には、信頼できるプラットフォームづくりへの協力を期待

これまで、さまざまなメリットを説明させていただきましたが、これらはすべて、「確かなセキュリティ」に守られた、信頼できるプラットフォームがあればこそ運用できる話です。

セキュリティについては、内閣でも「サイバー セキュリティ基本法」に基づいて、真摯に取り組んでいます。しかし、サイバー セキュリティの徹底と、継続維持には、日本マイクロソフトを始めとする IT 企業の協力が欠かせません。

是非とも、信頼できるプラットフォームの提供および構築を通じ、マイナンバー制度をきっかけとして、大きく進化する日本の ICT 社会に貢献していただきたいと思います。

マイクロソフトのマイナンバー関連の取り組み

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