徳島県勝浦郡上勝町(町長:笠松和市、以下、上勝町)とマイクロソフト株式会社(本社:東京都渋谷区、代表執行役 社長 樋口泰行、以下マイクロソフト)は、2007年10月より協力して取り組んでいるICTの利活用による上勝町の地域振興に関して、この1年間の活動実績と今後の活動計画を発表します。
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上勝町とマイクロソフトは、この1年間協力して、ICTを利活用した地域振興に関する活動を展開し、以下のような実績がありました。
- 町内事業所・住民向けICT勉強会の実施
2008年2月より、産業・生活でICT利活用促進のため、町内の事業所・住民に向けてICT勉強会を5回実施、毎回40名程度が受講しました。この勉強会を通して町内でICT利活用の気運が高まり、ICTリーダーの設置、産業情報発信プロジェクトチームの結成を決定しました。また、町内の住民・団体によるブログが、新規に5件スタートし、合計15件となり対前年比50%増となる効果が上がりました。
- Live Meetingシステムの導入による経費削減
2008年6月末に株式会社いろどりがICT勉強会で紹介されたマイクロソフトのWeb会議サービスMicrosoft Office Live Meetingを導入し、役場や町内の企業が積極的に活用した結果、導入後4か月の間に、上勝−高松間、上勝−東京間で計8回のOffice Live Meetingを活用したオンライン会議を実施し、約72万円の交通費の経費削減効果(注)を上げました。
(注)移動時間の節約による人件費の削減、上勝町で実施することによる参加人数の増加、会議開催間隔の短縮による生産性の向上など、金額換算できない効果も大きい
- 農家向け情報システムを利用する農家の増加
農家が、インターネットを通じて売り上げを把握する情報システムの先行導入してきた彩事業に加え、香酸柑橘農家、葉わさび農家、いっきゅう茶屋生産農家にも導入し、2007年10月以降の1年間で対前年比2.1倍に増加(注)しました。
(注)2007年10月58軒が、2008年10月122軒に増加
- 情報発信の効果による定住者の増加
2007年10月以降の1年間で、13名のIターン、5名のUターン合計18名が町内に転入しました。前年の同期間(8名)と比較し、2.25倍に増加しており、多くのIターン者が町民や町内団体によるブログを移住の最終的な決断の判断材料としていた傾向がありました。東京の個人経営者が、上勝町に事務所移転をするなど、後継者確保という上勝町最大の課題の解決にも効果を示しました。
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上勝町では、上勝町と同様に過疎や少子高齢化、産業構造の変化など多くの課題を抱える地域への提案に向けた先進的な事例の創出を目指し、ICT利活用の推進機関として、2008年2月に「上勝町ICT戦略検討委員会」(以下、検討委員会)を設立しました。
このたび、検討委員会では、新たに「上勝ICT戦略3カ年計画」を策定し、住民のICTリテラシ向上に向けたICTリーダーの人材育成や住民向けPC講座の実施、町内ポータルの公開などICTのインフラの活用をしていきます。
マイクロソフトは、検討委員会のアドバイザーとして、技術支援およびICT啓発活動のコンテンツ提供や講師を派遣します。
具体的な活動は、以下の通りです。
- 「上勝町ICT戦略3カ年計画」(仮称)の策定
「より多くの住民がICTによって生活が豊かになったことが実感できること」を目標として、平成21-23年度の3カ年の戦略を策定します。町内全114事業所においてWeb、ブログ、メールなどICTを利活用する体制の確立、オンライン会議の活用による高齢者安否確認システムおよび生活相談のインフラ構築、ICTリーダー育成(20名)などを盛り込んで、2009年3月の制定を目指します。
- パソコン教室の開設
11月7日(金)を皮切りに初心者向けおよびビジネス向けPC講座を実施し、今後順次、ブログ作成講座やWebコンテンツ作成講座を追加します。1年間で全住民の約15%に当たる300名の受講者を予定しています。
- 集落巡回啓発セミナーの実施
町内の5つの集落を巡回して、高齢者世帯向けにパソコン利用のメリットや導入法などの啓発セミナーを実施します。上勝町内の65歳以上高齢者実世帯の50%に当たる130世帯の受講を目指します。
- ICTリーダーの任命と活動開始
地域産業へのICTの普及を促進するため、上勝町ICT戦略検討委員会が、住民および町内企業に勤務する、企業などでの経験が豊富でICTスキルの高い人材を5名程度選任し、2008年12月1日(月)に任命します。ICTリーダーは、町内企業を訪問し、企業経営でのICT利活用や情報提供などを行います。
- ICT勉強会の継続的実施
これまでの勉強会を継続的に実施し、年間で10回の実施を目指します。
- 産業情報発信プロジェクトチームの結成
農業・林業・観光・市民活動の分野で、インターネットによる情報発信を促進するための、インフラの整備・商品開発・マーケティング活動を行うプロジェクトチームを結成します。このプロジェクトチームは、検討委員会に所属しない町内の生産者や関連団体に絞って活動します。
- 町内のブログ新規開設促進の環境整備
検討委員会では、上勝町内の15のブログが、移住検討者や観光客への強力な情報発信元となると判断し、地域振興活動に有効なツールと位置づけ、ブログの新規開設の促進に向けて、新たに開設するPC教室において、ブログによる情報発信方法や町内ブロガーによるブログ活用のノウハウ伝達をしていきます。
- 町内の情報発信をワンストップで閲覧できるポータルサイトの開設
点在している町内のWebサイトをつなぎ、各事業者や地域の特長、また住民の生の声など上勝町のライブ情報が一覧できるポータルサイトを作成し、2009年3月の公開を目指します。
以下は、上勝町の地域振興に向けたICTの利活用に関する、上勝町からのコメントです。
上勝町長 笠松和市
「21世紀は環境と情報の世紀といわれています。特に情報を制するものは、世界を制するとまで言われており、光ファイバーは過疎地域や離島など交通の不便な地域に効果をもたらすと考えています。
昨年マイクロソフトと地域振興に関する覚書を締結し、農家の情報システム利用率の増加やオンライン会議の利用など様々な成果を見ていますが、取り組みを進めた結果の一つとして、大手ソフト会社に勤務経験があり現在では東京都内で会社経営をしている方が年内にも上勝町に移住しSOHOで会社経営をすることが決まりました。
また、自然環境に配慮した有機農業への取り組みを、ICTを活用して情報発信した結果、Iターンによる定住といった後継者確保にもつながっています。
この例のように作家や一般企業の事務や企画、総務部門などは、過疎や離島などに事務所を移転することにより、きれいな空気やおいしい水、豊かな自然の中で仕事ができる時代となってきました。一方で農家が手塩にかけて栽培した農産物も自分で価格を決めてネット販売ができる時代であり、『いかに情報機器を有効に利活用するか』ということが私たちに課せられた課題となっています。
マイクロソフトとの取り組みの一つで、町内の企業関係者に向けてICT勉強会を定期的に実施してきました。その中でICTを企業経営に生かそうとする気運の醸成がなされています。中山間地域においてこのような動きが出てくるのはきわめて珍しいことと言えます。
個人では、Iターン者を中心にブログによる上勝町内の身近な情報発信がなされ、住民レベルで情報交換する取り組みが盛んとなり町内の動きを情報共有することにより、情報発信力がさらに向上し、地域活性化が図られています。
今後は、ICTリーダーを中心とした人材育成を進め『ICTの利活用により豊かさが実感できる』ための取り組みを推進し、住民とともに研鑽と実践を積み重ね、21世紀から22世紀にかけて世界のモデル地域になるよう応援くださる行政や企業などのご支援に応えたいと考えています。」
株式会社いろどり 代表取締役 兼 上勝町ICT戦略検討委員会委員長 横石知二
「マイクロソフトとのICTの取り組みを始めて、この1年で目に見えてきたことは、ブログなどの個々で発信していた情報が共有・交流されることになり、より上勝町の一体感が出てきました。『個が線になったことが何よりも大きい』。町内の各事業所が、今までは自分の商品にだけしか関心がなかったのが、勉強会などを通して、上勝ブランドを意識するようになってきたのも大きな成果だと思います。
ICTにより『個』に磨きがかかり、脳が活性化されていることに手応えを感じています。」