Windows クリエイターズ ファイル
小さいころに手に入れて以来、Windows PC で挑む「プロ」の世界。
将来をゲームに捧げることを決めた高校生が、悩み葛藤しながら
プレイ スキルを磨く日々に、そのマシンは寄り添っています。
勉強机は、捨ててしまった。
「ほかに熱中できるものがなかったんです。でも、ゲームだけは、やっていて楽しいと思えた」
現在高校 3 年生で、e-Sports のプロアスリートを目指す calamity の名前で通っている彼が語ったゲームに惹かれる理由を、言葉通りの消極的な選択だと断じるのは、おそらく正しくありません。
今、世界中で熱狂を呼んでいる e-Sports の世界。なかでも高い人気を誇り、競技性の高さからも多くの大会が開催されている「リーグ・オブ・レジェンド」 (以下 LoL) をプレイする calamity (原 朱里) さん は、高校 2 年生まで通った進学校から、部活動として e-Sports を推奨している N 高等学校に「LoL に集中するために」転校した筋金入りのプレイヤーです。
転校する前には、友人たちを集めてチームを組み、高校生のプレイヤーが競い合う大会にもキャプテンとして出場した calamity さん。
決勝戦まで勝ち上がるも敗退したそのときの悔しさを胸に、進学校で勉強を続けて大学受験するという道を断ち、e-Sports の世界に飛び込んだのです。
自分がなぜゲームに惹かれ、どのようにゲームに取り組み、これからどんなプレイヤーになろうとしているのか。訥々と語る言葉は、強い意志を感じさせます。
Windows PC とモニタが鎮座するほかは飾り気のない部屋を見回して「勉強机は、捨てちゃいました」と語り、「まだまだひよっこです」と謙遜するも、そのプレイスキルで将来のトップランカー入りを期待できる好位置につけている calamity さん。
世界では日本とは比べものにならないほどの異次元の戦いとビジネスが繰り広げられている e-Sports。そのプロアスリートの入り口に立って、もがきながら、しかし淡々とモニタに向かう日々を続けています。
機材にはこだわらない。スキルを磨くのみ。
calamity さんがゲームに夢中になったのは、小学生のころでした。当時『マインクラフト』を楽しんでいた calamity さんは、中学受験に合格した小学 6 年生のとき、初めて自分のためのパソコンを手に入れます。
「ゲームに必要なスペックを調べて、買ってもらったんですよね。買ってもらうためには、いろんな条件を課せられてたんですが、それをクリアして」
初めての “マイ PC”を手に入れるための条件がどんなものだったかは「もう忘れちゃいました」と素っ気ない calamity さん。当時の彼の前には、例えば PlayStation など、世間一般が「ゲーム機」と捉えているコンシューマー機があったはずですが、それも「やりたいゲームは大体 Windows PC でできるのがわかっていたから」と初志貫徹。「スマートフォンはいらないから Windows PC が欲しい」と熱望した Windows PC を手に入れたときの喜びは、ひとしおだったみたいです。
その後、中学 2 年生のときに出会った LoL に熱中し、高校 1 年生のときに出場した大会では、なんと決勝まで駒を進めます。
「それで、勘違いしたんです。プロになりたいという思いががぜん強くなって。ゲームは好きだし、ほかに得意なものがない。自分のプレイ スキルはまだまだだって思いますけれど、根拠のない自信みたいなものがあるんですよね」
今使っている Windows PC は、自身にとって 3 台目となるマシン。購入にあたっては、「予算内で手に入るスペック」のものを選び取っただけで、「とくに機材にこだわりはない」と、calamity さんは言います。
e-Sports の世界でより高みを目指すのであれば、PC のスペックもマウスもキーボードも、よりよいスペックのものを求めるのが当然のように思われますが、その選択には、すべて彼の無言の意志が込められているようにも感じられます。
「プロになりたいと思ってから、プレイすることがいつも楽しいとは限らないってことがわかりました。ゲームをやりすぎたのかもしれないですね」。そう苦笑いをする姿は、これまで蓄積してきた練習量の裏返しなのかもしれません。
今、籍をおく N 高等学校での授業は、すべてブラウザで受講できるビデオ授業になっています。朝起きて授業を受けるときも、夜チームメンバーと集まってプレイするときも、Windows PC がそこにはあります。
「以前やっていたプレイ動画の配信も、いずれ復活させようと思っています」と、言う calamity さん。「いまはとにかく、ランクを上げること」と語る姿からも、物事の優先順位を見極めようとするクレバーな人となりがうかがえます。
もっと頑張らなきゃと、自分を鼓舞する日々。
今、calamity さんが取り組んでいる LoL は、5 対 5 の 2 チームで争うゲーム。プレイヤーは自陣と敵陣とに分かれ、チームメイトと協力して敵チームの本拠地に攻め込みます。先に相手の本拠地を破壊したチームが勝利を収めるというシンプルなルールながら、戦局を有利に進め勝利を収めるためには、チームメイト同士の連携や戦略が不可欠です。
「戦略を磨くには、他のプレイヤーのプレイを観て研究することも必要です。プロになるためには自分のランクを上げる必要があるんですけれど、正直、次のランクに上がるのに壁を感じています。頑張んなきゃって思っています」
規模こそ拡大しているものの、いまだ成熟にはほど遠い e-Sports の世界では、“プロ”になるために何をすればいいのか、明確な道筋が用意されているわけではありません。
「そう考えると、確かに不安もあります。でも、小学校の頃は、いまの自分より全然頑張ってたと思うんです」
いまの自分は、まだ舞台に立てるような段階ではない。そう自らのことを冷静にみながら、淡々と夢に向かう道筋を進んでいく姿は、夢に向かってひた走る決意の強さを、感じさせるのでした。
Windows クリエイターズ ファイル
クリエイターズ ファイル 01: 中村早雪さん
クリエイターズ ファイル 02: Astro-Nauts さん
クリエイターズ ファイル 04: 高橋あすかさん
クリエイターズ ファイル 05: 山下紘史さん
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