Windows クリエイターズ ファイル
異業種から飛び込んだエステサロン経営の道。
業界の旧い「当たり前」に自分のもてるスキルで挑み続けるなかで
発信するあらゆるアウトプットの瞬間に、Windows PC がありました。
アウトプットし続けることが大事。
「正直言うと、私、パソコン苦手なんです。これまで動画なんてつくったことがなかったし、動画編集ソフトも、検索して 2 番目くらいに出てきたものを使ってみたものの、使いにくくて後悔しているほど。慣れた人からすれば、不思議に思われるくらいです」
東京都内の住宅街。マンションの一室に自身のエステサロンを構える高橋あすかさんは、エステティシャンとして活躍する以前には、IT 企業などで人事のプロフェッショナルとして仕事をしてきたという、異色の経歴の持ち主です。
多忙な会社勤務を続けながらスクールに通い、退社とともに起業。以来の経営は“手探り”だったと言うものの、ひょんなきっかけから動画共有サービスに開設した動画チャンネルは、いまや多くのファンがつく人気チャンネルに育ち、サロンのプロモーションに大きく寄与しています。
「動画を観たと言って、遠方から来てくださる方が多い」と言う高橋さん。「こういったウェブ上でのコミュニケーションは、続けることに意味があると思っています。だから、スタッフと一緒にスマートフォンで撮影して、編集して毎週 1 本アップしています」
「サムネイル用の画像のつくり方ひとつとっても、正解が分からないからとにかくやってみる。どうやればいいかわからないので、動画から切り出した画像をスマホアプリで加工する方法に、今は落ち着いていますね」
とにかく、アウトプットを続けることの重要さを身にしみて理解している高橋さん。先の動画チャンネルにマッサージ動画を上げ続ける一方で、顧客に送るダイレクトメールや、店舗の看板、店内でサービスや商品を紹介するための POP づくりなど、Windows PC をフル活用して自身で手を動かしてきました。
現場にいなくても、できることがある。
アウトプットし続けることにこだわる高橋さんの姿勢は、休業要請でお店を開けれない中でも、ビジネスを継続することを可能にしました。
「エステサロンのスタッフが自宅勤務となると、何もやることがなくなるじゃないですか。営業を自粛せざるをえなくなって以降、まずやったのが、オンライン ショップの強化でした。スタッフにはオンライン ショップを紹介するブログを毎日書いてもらったんですが、そもそもお店のブログには、時短で働くスタッフに執筆してもらっていたので、土台ができていたといえます」
撮りためた動画を編集するほかにも、ウェブサイトの改修にも取り組んだという高橋さん。必要な仕様書は PowerPoint でつくり、制作会社との遠隔コミュニケーションを進めました。さらには、メールマガジンの配信も強化しました。
「以前からも定期的に配信していたのですが、自粛中は『簡単に調理できるカロリー控えめのレシピ』や『おすすめしたい海外ドラマランキング』なんて内容のものもお送りして。近くに感じていただけるような、日常のことをお届けしていました」
動画にブログにメールマガジン。営業できないからと諦めるのではなく、やるべきことを見つけ出すことでモチベーションを維持できたと自粛期間を振り返る高橋さん。自宅では量販店で一目惚れして購入したお気に入りの Surface Pro 6 を駆使し、仕事だけでなく動画を観てリラックスする時間も過ごしたと言います。
「やることがあってよかったなって思います。むしろ、充実していたかもしれません。今まで手をつけられなかったことに、ちゃんと取り組めました」
Windows PC を通して、伝えられる知識。
高橋さんは、オンラインでのコミュニケーションにさらなる可能性を感じています。
「オンライン ストアで商品を売るだけでなく、わたしたちエステティシャンの技術も売れないかと思っています。例えば、この美容液を売るとともに、その美容液を使ったセルフケアの方法をオンラインでレクチャーするんです。言ってみれば『おうちでエステ』として、商品と技術をセットで販売するわけです」
「いま扱っている商品はどれも高額で、買っていただけるお客さまが多くいるのはありがたいのですが、ただ買っていただくだけだと申し訳ない。今、外に出るのも控えた方がいいという情勢のなかで、できることにチャレンジしたい」
そのアイデアからは、高橋さんの行動が常に、自分のスキルを求める声に向き合うことを出発地点にしていることがよくわかります。そしてそれは、エステティシャンとしてのスキルだけでなく、経営者としてのスキルについても同じことがいえます。
最近は、施術内容を伝える動画チャンネルとは別に、自身の経営観を伝える内容の動画チャンネルも開設した高橋さん。作成し配信している動画は、エステティシャンがもっておくべき一般常識や、接客についての基礎知識にも及びます。
彼女が今、関心をもって取り組んでいるのが人材教育。高橋さんが人事畑を歩んできたからこそ共有できる、女性をエンパワーするためのノウハウです。
女性がいろんなビジネスに関われるようにしたい。
「そもそも会社を辞めて経営の道を選んだのも、雇用で社会貢献したいという想いがあったからです。女性が活躍できる会社をつくる、というのが、私の夢なんです」
一般的に、エステティシャンを志す人は、しかるべき教育機関に学び専門知識を身につけたあとは、サロンでの実地経験を経て腕を磨くほかありません。いざサロンに職を得たとしても、エステティシャンの多くは給与も安く、拘束時間が長いのも当たり前。さらに転職をしようにも、教育機関で学べる内容だけでは限界があるといいます。
「Excel を使った入力くらいはできても、PowerPoint に至っては、使える人はそういませんよね。客単価の設定など、サロンを経営するために必要な知識もあまり浸透していないことが多いことを、この仕事に就いて初めて知りました」
だからこそ、同じ場所で働く人たちの地位を向上させたいのだと、高橋さんは考えているのです。
「関わる人が皆、もっと数字とパソコンに強くなるといいなと思っているんです。エステに関わってきた女性たちが、エステだけでなくいろんなビジネスをして、皆が幸せに暮らせる社会になったらいいなと」
そして、高橋さんはそれも不可能ではないと考えています。自身が経営するサロンで、積極的に時短勤務を取り入れ、成功してきた高橋さんは、こう語ります。
「いろんな女性が活躍する場をつくりたい。私が自分の会社でできることには限界があるし、業界全体を一気に変えるようなことはムリでも、小さな組織から変えていけると思っているんです」
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クリエイターズ ファイル 01: 中村早雪さん
クリエイターズ ファイル 02: Astro-Nauts さん
クリエイターズ ファイル 03: calamity さん
クリエイターズ ファイル 05: 山下紘史さん
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