Windows クリエイターズ ファイル
デジタル領域で活躍する広告プロデューサーにして、
得てきた知見を惜しみなく共有する業界きっての発信者。
Windows はその「伝えること」への徹底したこだわりを可能にします。
“自由形サラリーマン”を名乗るワケ。
「“ちゃんとした肩書き”としては、プロデューサー。でも、自分では“自由形サラリーマン”って名乗っています」
常に笑いを絶やさない顔に、特徴的な赤いセルフレームの眼鏡。「仕事でもなんでも、ウケないのがイヤで」と豪快に笑う姿と“自由形サラリーマン”という異色な肩書きの山下紘史さんは、実は、国内最大手の通信会社が提供するデジタルサービスを一手に担うデジタル・マーケティング・カンパニーを率いる取締役。社内においては、東京とは別に沖縄オフィスを立ち上げ、地方での働き方に一石を投じる役割を買って出るリーダーでもあります。
経営陣に名前を連ねると同時に、さまざまなメディア事業のプロデュースを手がけるプレイヤーでもある山下さん。さらに、さまざまな講演依頼を受けるなど、自身からの発信を続ける顔をもつその姿は、いかにも「自由」そのものに映ります。
「会社の不利益にならなければ自由にやっていい、というのがぼくらの会社のルール」なのだと言う山下さん。
フリーランスという働き方も目立ち始め、同じ企業に勤めるにしてもスタートアップやベンチャーといった多様な選択肢も選ばれるようになった昨今、“サラリーマン”という言葉は、少しネガティブな含みをもって語られるようになってきました。
「でも、会社の枠組みという制限があるなかでどれだけ自由にできるか、体現してやろうと思って」と、“自由形サラリーマン”のゆえんを語ります。
「それにね、堅そうな環境にいて、ちょっと面白いことをやると、それだけでめちゃくちゃ面白そうに見えるんです」
圧倒的なインプットが、仕事を楽しくする。
現在に至るまで、実に 8 つの会社を経てきたという山下さん。これまでのキャリアにおいては、自身で立ち上げた会社を経営していたこともありました。その経験から自らが獲得した哲学は、「せっかく仕事をするんなら、楽しめることをやろう」ということでした。
「いまや、パソコンとスマホと Wi-Fi があれば、いつでも、どこからでも、だれとでも仕事ができますよね。働く機会そのものは、拡がっているといえます。だから、新入社員に対しても、“いつでも転職できるから、イヤになったら辞めていいよ”って伝えています。それで人事には苦い顔をされることもあるんですが、相手に対して不義理さえしてなければ、どうやったって仕事は続けていけると思うんです」
マーケティング施策や広告展開、あるいは事業開発まで、山下さんの手がける仕事は多岐にわたります。それらにひとつ、共通している点を挙げるなら、すべてクライアント、人ありきで生まれている仕事だということ。そう考えると、「相手に対する不義理を働かない」という言葉は、なおさら重く響きます。
さらに、“楽しいサラリーマン”になるためには、“楽しい仕事を見つける”よりも、“仕事”を“楽しい”ものに変えることも必要になってきます。その点においても、山下さんは“クライアント”という存在の大きさを重要に考えているようです。
「クライアントワークで大事なことって、『クライアントよりクライアントのことを考えること』だと思うんです。そう考えると、日常生活のなかで目に入るものすべてが、そのための“インプット”になる。道を歩いていても広告はたくさん目に入るし、インターネットを見ていても、そこでつくられているものを自分の中にインプットできる。そうやってたくさんの“引き出し”をつくれば、いざというときにアウトプットして、クライアントの要請に応えることができるんです」
そして、その考え方は、自分自身だけでなく会社のメンバーにも浸透していると言う山下さん。その姿勢を新しくジョインした若手社員にも共有し、チーム全体の目線をそろえる彼の姿は、フリーランスの働き方にはない、組織で働く“サラリーマン”ならではの醍醐味すら感じさせます。
逆に、そういったインプットが可能な人間でないと、この仕事には向いてないとさえ言う山下さん。若いメンバーには「たとえばコンビニで商品を手にとったときに、自分がなぜこれを選んだのかを自然に考えられるようになれ」という話をすると言います。なぜそのパッケージに惹かれたのか、食べたときに写真に撮ってシェアするだろうかといった“ユーザーのインサイト”を常に感じられるようにすることで、自分の仕事にも活かしていけるというのが、その理由です。
「そういうことを考えられる人たちが、必然的に周りに集まってくるようになってきた」とも言う山下さん。その言葉が物語るのは、教え、学ぶ姿勢が強い組織をつくるということなのかもしれません。
向き合う相手のことを考え抜くからこそ。
メンバーそれぞれの意思をひとつの方向性にまとめ上げるのがリーダーたる山下さんの役割だとするなら、人と人とが集い語り合う機会をなかなかもてなくなったコロナ後の社会では、立ちふさがる困難が多くありそうです。しかし、実際のところ、山下さんはじめとするチームは、むしろコミュニケーションの量も質も、向上していると言います。
「今振り返ってみると、以前は会議を開くときの制約があまりにも大きかったように思います。時間や場所が制限されて、全員が揃わないことも多かった。でも、オンラインが当たり前になった今では、関係者全員が、一斉にフラットになった感覚です。沖縄のオフィスに至っては、コミュニケーションがさらに活発化している感じさえあります」
リモートワークのもたらしたメリットは、クライアントとの関係性も変えています。
「クライアントとなる企業側も、オンライン ミーティングを始めるようになりました。オンラインなら、プロジェクト リーダーであるプロデューサーが必ずしも前に立つ必要はありません。例えばディレクターが直接クライアントと話すこともできる。コミュニケーションの幅も深さも、すごく広がっています」
山下さんらがクライアントとのやりとりで使うリモート ツールは、Teams が多いと言います。そして、その理由は「クライアントが使っているから」というだけではないようです。キーワードは“共通言語化”です。
「Teams だと、共有した資料を参加者全員が手を加えてアップデートしていけるじゃないですか。多くのステークホルダーが参加する会議では、僕らの得意とするデジタル領域の知識にさほど詳しくない人がいるのが当然です。そのとき、僕らの考えを説明しながら、さらにクライアントの課題をヒアリングするのに、Teams は圧倒的に使いやすい。同じもの見て、書いていくというプロセスの方が、物事って理解しやすい。共通言語化しやすいんですよね」
インプットをアウトプットに変えるとき。
仕事とは、向き合う相手があって成されるもの。であるからこそ、相手が求めるものをくみ取る。それは、何もおもねるような態度ではなく、お互いのパフォーマンスを最大限発揮するための“地ならし”のような感覚なのかもしれません。
山下さんが自らの PC を選ぶとき、Windows を使い続けているのも、そこに理由があります。
「僕らがお仕事をしているお客さんは、その大多数が Windows を使われています。ということは、使っている Microsoft Office も Windows ですよね。数字を落とし込んだ Excel を圧縮して送ったとき、自分が相手と同じ環境下にあれば、送り先で何かあっても説明しやすいんです」
「クライアントと同じ環境でやることが必要だと思っています」とも言う山下さん。提案用の PowerPoint をファイルで渡したときに、環境の違いゆえにもし表示がずれていたのが「我慢できない」山下さんは、「それが僕らのアウトプットだと思われたら、切ないじゃないですか」と語ります。
「この仕事は、とにかくアウトプットが重要だ、というのが僕の意見です。こんなセミナーに行きました、こんな本を読みましたなんて、仕事の評価には関係ない。それをカタチにして初めて、自分が咀嚼してどこまでわかっているかが分かるんですよね」
「そして、そのアウトプットの体裁が雑だったら、それはつまり仕事そのものが雑だということ。アウトトップした瞬間に、それは自分だけのものではなくなります。誰がいつ、なんどき見るか分からないわけで、プロジェクトにとって重要なキーパーソンが一瞬だけ見て『なんだ、この雑なの』って一笑に付されてゼロになってしまう可能性だってあるんですよね」
ゆえに、山下さんの資料づくりの哲学は、「ひとたびアウトプットするなら完璧に、全部出すべし」というもの。手がけた PowerPoint の資料がたとえ 1 ページであっても、表紙をちゃんとつけること。日付はちゃんと入れておくこと。ページ内で使う言葉や色、大きさ、配置する場所や流れすべてに、何かしらの意味を帯びさせられる人間こそプロデューサーであると考えています。
「僕らが相手にしているお客さんは、日々さまざまな提案に向き合っています。だから、第一印象の瞬間での“心地よさ”は、圧倒的である必要があると思っています」と言う山下さん。「そういえば」と前置きして、Windows 10 のちょっとしたティップスも教えてくれました。
「『ペイント 3D』ってアプリケーションがあるじゃないですか。あまり使っている人を見たことがないけれど、すごくよくできます。以前であれば写真加工ソフトを使わざるをえなかった表現も、すごくつくりやすいんです。使いこなしている人、なかなかいないんじゃないかな」
ナレッジを共有し、ともに成長するために。
山下さんは、オンラインコミュニケーションに頼らざるをえなくなった今この瞬間を、むしろチャンスだと捉えています。これまでも、束縛のない自由な組織だからこそ、自分が手がけた仕事で得られたナレッジを組織のメンバーたちと共有する機会をもつようにしてきましたが、その様子が様変わりし、可能性を感じているのです。
「月に何度か、夕方の時間に広い会議室に 2 〜 30 人が集まり、自分がやった案件をプレゼンするんです。ただ、それも物理的な会合だと、どうしたって参加できるメンバーは限られてしまう。でも、それがオンラインで開催できると、輪が自然と拡がる。普段は接点のないチーム以外のメンバーがどんな仕事をしているかがわかるし、ひとつの事例を一緒にみて、一緒に議論でできるようになったのが、すごくいいんです」
そしてその“輪”を、さらに社外にも広げていこうとしています。
「近く、クリエイター同士がナレッジを共有できる団体をつくろうと思っているんです。彼らが自分のアウトプットを共有して、レベルアップできる場をつくりたいんです。かつてインターネットには、小手先のコンテンツも多く存在していました。でも、時代はそれを許さなくなっています。インターネットはもはや、誰もが説明なしに触れられるツールであり、ゆえに、圧倒的に考え抜かれて、こだわった思いを乗せたものをつくることが求められている」
そう語りながらも、「まあ、大晦日の神社のような、“落ちたプレゼン”の供養会。つまりは“反省会”ってことですね」と笑う山下さん。笑顔の奥には、相手に歩調を合わせながら、相手のことを考え抜き、相手の想像を上回る何かを求めるクリエイターの姿がありました。
Windows クリエイターズ ファイル
クリエイターズ ファイル 01: 中村早雪さん
クリエイターズ ファイル 02: Astro-Nauts さん
クリエイターズ ファイル 03: calamity さん
クリエイターズ ファイル 04: 高橋あすかさん
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