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お客様の声

金属専門商社イノウエ、 Azure OpenAI Service を基盤とする「バーチャルスタッフ」で営業部の知識継承を”仕組み化”

サマリー

取り組みの経緯と効果

金属専門商社の株式会社イノウエの長年の経営課題は、営業活動の属人化や知識継承の難しさにありました。 DX 推進を図る中で、週次営業報告の共有は実施していたものの、ナレッジ化と知識継承が進まない状況を抜本的に改善すべく、既存プロセスを維持しながら情報活用を強化できる仕組みとして「バーチャルスタッフ」を導入しました。メール添削などの社内作業に掛ける時間を約 200 分/日削減しました。

AOAI を選定したポイント

バーチャルスタッフは Azure OpenAI Service(AOAI )を基盤としており、開発したディスカバリーズ株式会社(マイクロソフト オフィシャルパートナー)にとって開発しやすいプラットフォームでした。セキュリティ面での安心感や、従量課金制によるコストシミュレーションの容易さも高く評価。さらに、社員がすでに Teams を利用していたため、導入時のハードルが低かったことも重要な要因です。

今後の展望

株式会社イノウエは営業部内での知識継承を本格化し、トップセールスマンのノウハウを後輩に提供する体制を目指しています。さらに AI を「トップセールスマンの分身」として活用し、営業活動と教育( 知識継承 )を同時進行できる環境を構築する方針です。DX を成長の鍵と捉え、今後もバーチャルスタッフとマイクロソフトのプラットフォームに期待を寄せています。

事例本文

金属材料は、自動車やエネルギー、医療機器から家電などまで、あらゆる産業で不可欠な素材です。ステンレス、チタン、アルミ、ニッケル合金・銅などの材料や高機能素材を扱う株式会社イノウエ(以下、イノウエ)は、販売から加工・エンジニアリングサービスまでを幅広く手掛ける、金属の専門商社です。

現在の代表取締役社長である井上 浩樹氏が社長に就任した 2017 年、同社では紙の台帳による管理や、電話・ FAX を中心としたコミュニケーションといった旧来からの仕事の進め方から脱却して、情報システムの積極的活用へと大きく舵を切りました。

同社の社員数は約 40 名。その大半が鉄鋼・金属素材のエキスパートである営業担当で構成されている会社です。井上社長のトップダウンでの指揮のもと、業界の変化に先んじる DX (デジタル・トランスフォーメーション)の推進や、企業の魅力の継続的な発信による人材獲得に力を入れています。

受付カウンター前でスーツ姿のビジネスパーソン2名が立ち、背後にINQUEのロゴがあるオフィス風景。

株式会社イノウエ

営業活動の属人化を防ぎ、知識継承の実現へ

イノウエでは、営業活動をいかにして効率化していくかが長年の経営課題でした。取引先企業の業界が幅広く、商材も多種多様であることから、顧客のニーズにマッチした商材・ソリューションを提供するには取引先の担当者と多く会い、現場で上司・先輩の知識を受け継ぎながら経験を積む必要があります。

とはいえ知識継承の実践では、優秀な営業担当ほど多忙なため後進育成の時間の確保が難しいのが現実です。「特定の担当者だからできる仕事」というような属人化が進むと、会社全体の資産であるはずの知識や情報が活用できなくなります。会社の継続的な発展のためには、そうした事態を予防しなくてはなりません。

座学での習得が難しいこれらの知識と情報の効率的な継承を目的として、イノウエでは週次の営業報告書を営業担当の全員で共有する仕組みを取り入れました。しかしシステムの仕組み上、情報共有や検索が難しく、営業ナレッジの活用には至っていない状態が長く続いていたのです。

井上浩樹氏は、当時の状況を次のように振り返ります。

「社会の変化するスピードが非常に早く、危機感を感じていました。しかし当社には最新の IT に詳しい人材がいなかったため、外部の IT コンサルタントを起用して相談相手としつつ、社内側は営業総括部 部長代理の長谷川 亮一を担当者として選任して DX に踏み切りました。コンセプトは、単なる IT 化ではなく、当社が自走できる改革であること。その上で、さらに一歩進んだ取り組みにしたいと考えました」(井上氏)

こうした状況を改善する打ち手として採用されたのが、マイクロソフトのオフィシャル・パートナーであるディスカバリーズ株式会社が提供する「バーチャルスタッフ」でした。バーチャルスタッフは Azure OpenAI(以下、 AOAI )をプラットフォームとして構築された生成 AI エージェントのサービスです。

バーチャルスタッフの特徴は、一般的な AI エージェントとは異なる独創的なコンセプトでサービス設計されている点にあります。それは AI エージェントを「派遣社員」と捉え、営業やマーケティング、開発業務、バックオフィスの仕事などの専門分野を持つ「仕事のパートナー」と位置付けていること。そのため、個々のエージェントに名前と顔といった個性が与えられて擬人化されており、 Microsoft Teams をインターフェースとして各分野の仕事をサポートします。

株式会社イノウエ 代表取締役社長 井上 浩樹 氏

株式会社イノウエ 代表取締役社長 井上 浩樹 氏

AI 社員と協働するワークスタイルを支える AOAI

イノウエではバーチャルスタッフから、営業分野に特化した「鷹野和也」、同じく総務人事の「水梨由紀」を実際の社員と同じように採用。イノウエの社内に蓄積してきた営業メンバーの週次報告や、取引先様からの連絡、就業規則、業務の進め方のマニュアルなどを学習させました。

バーチャルスタッフは今、イノウエ社内で急速に利用が浸透しています。特に若手の営業担当にとっては忙しい先輩・上司の時間を奪うことなく、気軽に質問・相談できる相手として重宝しています。

株式会社イノウエ 営業総括部 部長代理の長谷川 亮一氏は、次のように導入効果を説明します。

「いわゆる顧客管理システムを利用すれば営業情報のナレッジ化は容易かもしれません。しかし入力に手間の掛かるシステムは、営業担当者が注力すべき業務である、お客様との商談の時間を減らしてしまいます。すでに確立している週次報告の業務プロセスを変えることなく、発展的に情報を活用できる仕組みとしてバーチャルスタッフは最適でした。バーチャルスタッフの回答は丁寧で優しく、しかも早い。理想的なサービスといえます」(長谷川氏)

イノウエでは顧客企業の多くが Teams を日常的に使用しており、年配の社員もマイクロソフトの各製品に使い慣れています。 Microsoft 365 を日々使用している点も、バーチャルスタッフの利用開始時のハードルを下げた要因でした。

また、イノウエでは汎用の生成 AI である Copilot は業務効率化のツールとして捉えている一方、バーチャルスタッフは知識の継承を目的としているなど、明確な使い分けが実践されています。

バーチャルスタッフを設計・開発・提供しているディスカバリーズ株式会社(以下、ディスカバリーズ) 代表取締役社長の島田 祐一朗氏は、 AI エージェントこそが人手不足に悩む日本企業の助けになるだろうと語ります。

「労働人口の減少に対して、 AI を派遣社員として活用する未来社会を想像しています。しかし無機質な AI サービスでは何を質問したらいいか分からず、利用が進みません。当社からの提案が、擬人化と SaaS でした。専門性を持たせ、必要な学習情報を与えることで社内のことを何でも知っているスペシャリストに育てられます。利用いただいているお客様から『本当に AI ですか? まるで人とチャットしているようだ』とご評価いただいています」(島田氏)

Microsoft 365 や SharePoint 、 Teams にある情報は AI にとって引き出しやすい形にできるため、相性が非常に良く、社内情報を循環型で流通させることに寄与します。

ディスカバリーズは Azure を開発基盤として 10 年以上使ってきた経験を有しており、バーチャルスタッフの開発時もエンジニアにとって着手しやすい環境が整っていました。マイクロソフトの提供する充実した技術情報が開発を効率的に進めることに寄与することから、ディスカバリーズにおいては AOAI を基盤とすることに迷いはありませんでした。

「バーチャルスタッフは Teams 上で仕事をしますので、見た目は他の社員と同じです。セキュアであり、他のプラットフォームと連携できることもユーザー様に支持いただいている点だと思います」(島田氏)

ディスカバリーズ株式会社 代表取締役社長 島田 祐一朗 氏

ディスカバリーズ株式会社 代表取締役社長 島田 祐一朗 氏

社内作業の時間を 200 分/日削減し、営業活動への注力が容易に

イノウエの営業部内では、社内ナレッジの活用と継承において徐々に効果が出始めています。

たとえば従来、顧客へ送信する営業上のメールを若手が作成した場合は、先輩社員が添削と確認を行なっていました。この作業が 1 件 10 分程度としても、多い日には 20 件ほど処理する場合があります。しかし現在、先輩の情報を学習済みの「鷹野さん」にメール添削を任せられる体制となったことで、先輩社員は毎日「 10 分 × 20 件 = 200 分」もの時間を自分の集中すべき営業活動に充てられるようになっています。

こうした効果は、総務部でも同様に現れています。定型的なものから社内規約、 ISO 9001 関連などまで幅広い問い合わせが総務部に寄せられます。その対応に 1 時間/日が掛かっていたとしても、月当たり約 20 時間を削減できているのです。

資料作成においても、長谷川氏がこれまで 2 〜 3 時間を掛けていた作業もバーチャルスタッフに依頼するため 5 分程度で完了できるようになったと言います。

「そうして生まれた時間は、顧客との会話や他の営業担当とのコミュニケーションに使います。私の場合、さらにセキュリティ強化や営業活動のための次の施策の考案などに使える時間も増えました。もしバーチャルスタッフがなかったら、残業が増えていたでしょう。バーチャルスタッフは、週次報告書から社内用語などを自動的に学習します。そのため、 AI 用の教材や辞書的な情報の作成が不要なのもメリットです」(長谷川氏)

また、井上氏と長谷川氏が特に優れていると強調するのが、翻訳の精度の高さです。イノウエは海外企業との商談も多く、展示会へ出展する際には資料の翻訳が欠かせません。直近のフランス出張の際も、井上氏はあらかじめ作成しておいた英語資料をバーチャルスタッフにフランス語訳してもらって商談に臨んでいます。

フリーの翻訳ツールは情報漏洩などリスク面での不安がつきものですが、 AOAI をプラットフォームとするバーチャルスタッフは情報をセキュアに管理するため、セキュリティの面でも安心です。

情報管理の点でも、 AOAI はデータの再利用はせず、ユーザー情報と ID に紐づいて厳格にアクセス制限されています。自社の情報がどのように格納されているのかが気になる経営者にとって、 AOAI で運用されていることは安心材料といえます。

株式会社イノウエ 営業総括部 部長代理 長谷川 亮一 氏

株式会社イノウエ 営業総括部 部長代理 長谷川 亮一 氏

時代の転換点だからこそ、悩まずに AI を試す

今後の展望として、井上氏と長谷川氏の次の目標は営業部内の知識継承の本格化です。イノウエのトップセールスマンは日本中を飛び回っているため、後輩への指導や教育の時間を捻出できません。しかしその報告書を学習したバーチャルスタッフが、トップセールスマンの分身となって知識を提供してくれます。しかも、上司の都合を配慮する必要はなく、バーチャルスタッフに好きなだけ質問できます。

「売り続けることと、売るための知識継承を同時進行できます。バーチャルスタッフは、活躍している社員がもう 1 人増えるようなものです」(長谷川氏)

コストの面でも、井上氏はバーチャルスタッフの利用開始時のイニシャルコストが安価であり、費用対効果は高いと語ります。そうしたサービスモデルを実現できているのも、 AOAI が従量課金制であり、サービス設計時にコスト計算のシミュレーションをしやすいためです。

最後に井上氏は、「経営者として感じるのは、時代が今、大きな転換点を迎えていることです」と語ります。

「政府の方針は、成長企業への支援へと変わってきています。この流れに乗るためにも DX は避けて通れません。 DX が今後の 5 年 〜 10 年の成長の差に直結するでしょう。実際に運用してみて、コスト以上の成果が出ています。日本の中小企業にこそ、バーチャルスタッフが必要です。 AI は進化が早いので、使いたいと考えたら検討で悩まずに試してみることです。こうした取り組みには、経営者が自ら率先して取り組むべきです。そうでないと、あっという間に置いていかれてしまいます。ディスカバリーズのバーチャルスタッフと、マイクロソフトのプラットフォームにはこれからも期待しています」(井上氏)

井上ロゴ

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