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お客様の声

弁護士事務所全体の競争力強化と付加価値向上を目指し、Vanguard Tokyo 法律事務所は全メンバーへ Microsoft 365 Copilot を提供

サマリー

Copilot 導入の背景と経緯

国際的かつ先進的な大企業をクライアントに持つ Vanguard Tokyo 法律事務所は、弁護士業務の効率化と付加価値向上のために Copilot を採用。「議事録作成」「翻訳」「過去の法的アドバイスの整理と活用」などの効率化に AI を活用し、法律事務所としての競争力強化に繋げている。

Copilot 選定のポイント

SharePointとの高度な連携が可能で、過去の情報資産を活用できる点を高く評価。情報セキュリティへの信頼性が高く、コンプライアンス面も安心できる。Outlook でのメール作成に掛ける時間は 50 %近く短縮され、弁護士として「何を書くべきか」により集中できるようになった。リサーチツールなどのエージェントも活用している。

今後の展望

Copilot の新機能をキャッチアップしながら、働き方をより洗練させていきたい。法律業界での AI 活用は世界的な潮流。弁護士が AI を使いこなせることが重要になっていくと予想されるため、情報交換も活発化させていく。

事例本文

Vanguard Lawyers Tokyo

Vanguard Tokyo 法律事務所は、国際的に活動する企業に創造的で革新的なアドバイスを提供することを理念として掲げ、グローバル企業における労働問題や訴訟・危機管理といった分野の法的アドバイスで高く評価されている法律事務所です。

近年、大手の法律事務所では業務用の独自 AI を開発するなど積極的な投資が続いていますが、法律現場での AI 活用はまだ始まったばかりであり、試行錯誤の段階にあります。多数の先進的な企業をクライアントとしている Vanguard Tokyo 法律事務所は、まさに昨今の法務とビジネス現場におけるデジタル技術の活用や AI の実践的利用の浸透といった時代の変化の最前線です。

Vanguard Lawyers Tokyoのロゴの前に立つ阿部マリア、木下雅彦、杉本雅史

Vanguard Tokyo 法律事務所

法律業界ではAI 活用による競争力強化が進行中

法律事務所を利用するクライアント側の変化として、最近では「 10 年分の法的アドバイスを AI にまとめさせたので内容をチェックしてほしい」といった要望や「法律的な内容について、 AI の回答が正しいかどうかを確認したい」といった依頼など、これまでにはなかったタイプの相談が 2024 年以降は急増しています。法律事務所も、AI の進歩をスピーディにキャッチアップしなければ生き残れない時代です。

 AI によって生じた、法律関係の業務の変化を分類すると、①ミーティングでの議事録作成の高速化、②翻訳業務の圧縮、③過去の法的アドバイスの整理と活用の  3 つが挙げられます。

従来はスタッフが同席して作成していた議事録も、クライアント企業側が AI でまとめることが一般化しています。録音データをもとにサマリーが作成され、 ToDo リストへと落とし込んだ議事録が、早い時にはその日のうちに届きます。

従来からあった機械翻訳も英文和訳(英語を日本語へ翻訳)では、一定の精度を保っていましたが、和文英訳(日本語を英語へ翻訳)は日本語に多い省略や曖昧さゆえに、正しい英訳は困難でした。一方で AI 翻訳は、文脈を理解して適切に判断する精度が高く、主語と述語の整っている契約書などの文書ならば AI 翻訳のみでも十分なクオリティを得られるほど、品質が向上しています。

「当事務所でも翻訳の外注が圧倒的に減り、スピードとコストの両面で効果が出ています」と、Vanguard Tokyo 法律事務所 パートナー 弁護士の木下昌彦氏は AI 利用のメリットを強調します。

 AI によって、過去に実施した法的アドバイスをより素早く見つけ出すことも容易になりました。従来ならばノウハウや経験を必要とした文書検索も、その文書管理システムが AI と連動していれば、 AI とやりとりするだけ候補ファイルを絞り込めます。

その一方で、 AI を使えば短時間で高品質なアウトプットが得られることをクライアント側も熟知しており、従来は 1 週間を頂戴して人手を掛けていた業務も AI の活用を前提として 2 日で完了してほしいといったケースが発生しています。

「こうした状況は、法律事務所同士の競争の激化を招くと予想されます。今まで以上に高い付加価値を出せること、そして価格競争力を磨いていくことが弁護士事務所に問われる時代です」(木下氏)

Vanguard Tokyo 法律事務所 パートナー 弁護士 木下昌彦 氏

Vanguard Tokyo 法律事務所 パートナー 弁護士 木下昌彦 氏

全メンバーのライセンスを確保して、事務所全体で一括導入

 Vanguard Tokyo法律事務所が Microsoft 365 Copilot (以下、 Copilot )を試験運用したのは 2025年初頭。弁護士はもちろん、サポートスタッフの方々やIT担当など、役割の異なる各組織のメンバーに、それぞれ 2 週間ほど Copilot を実際に操作してもらって有用性を判断しました。試験運用で得られたデータを検証した結果、 Copilot の導入は業務効率の向上が見込めると判断され、事務所の全メンバーの使用が決定しました。

どのようなツールであっても、実際に手元にあって学習機会が提供されることで初めて使えるようになります。製品選定において、 IT 部門との調整を担当した同事務所のアソシエイト 外国法事務弁護士(アメリカ合衆国オハイオ州)の阿部マリア氏は次のように振り返ります。

「当務所のパートナーは、これからの特に若い世代にとってAIは必須のツールになるというヴィジョンを持っていました。そして弁護士だけでなくスタッフ全員が AI を使って仕事を効率化することを期待していました。これが全員分のライセンス確保を実施した理由です」(阿部氏)

Vanguard Tokyo 法律事務所 外国法事務弁護士(アメリカ合衆国オハイオ州)阿部マリア氏

Vanguard Tokyo 法律事務所 外国法事務弁護士(アメリカ合衆国オハイオ州)阿部マリア氏

SharePoint との連携で、蓄積した情報資産を活用

 Vanguard Tokyo 法律事務所が、数ある汎用 AI の中でも Copilot を選択した理由は2つあります。1つは Microsoft SharePoint (以下、 SharePoint )との連携が容易であること。もう1つはセキュリティへの信頼性の高さです。

Copilot と SharePoint を連携させることで、 SharePoint に格納されている過去の情報資産や文書、データベースなどの参照が可能になります。事務所が蓄積してきた情報資産を利用して成果を出せる価値が高く評価されました。これは職場の情報として SharePoint の情報を調べるよう指示することで実現する機能であり、無償版のCopilot Chatとの大きな違いです。

一方、汎用 AI の活用では情報保護と高度なコンプライアンス機能によるリスク軽減とデータの管理が重要です。木下氏は、「当事務所ではマイクロソフトのセキュリティに信頼を寄せています。 Copilotは Microsoft 365 E5 の強固なセキリュティ基盤上で動作していることから、 Copilot ならば情報の保護の観点でも安心だと考えました」と話します。また Copilot はマイクロソフトのソリューションの一部であることから、 AI 導入時に承認を求めているクライアントにおける承認プロセスをシンプルにできる点も評価されました。

高度な情報セキュリティを持つ AI ソリューションを従業員へ提供することは、コンプライアンスなどの観点で今後ますます重要になります。事務所内で利用できるオフィシャルな AI が導入されていることで、スタッフが無料の AI ツールを無断で使うことによる情報漏洩リスクの回避になります。

英文メールのドラフト作成に費やす時間約 25 時間/月 削減し、より付加価値の高い仕事に集中

弁護士の仕事で多くの時間を占めるのが、メールを読むことと書くことです。 Copilot の導入によって、メールのドラフト(下書き)に費やす時間が大幅に短縮されたと同事務所の弁護士 杉本茉永氏は効果を語ります。

「 Copilot と Outlook の連携が非常に強力です。メール作成のスピードが格段に上がりました。たとえば英文メールを作成する場合、そのメールで伝えたい内容の骨子を日本語で素早く書き、その英訳と文章化を Copilot にやってもらいます。 Outlook 内で完結するため、わざわざブラウザを開いて行ったり来たりする必要もありません。私は出力された英文をチェックし、必要に応じて修正して送信。 1 件の英文メール作成に掛ける時間はおよそ 10 分から 5 分程度に短縮されました。英文メールは毎日 15 件程度を処理するため、 1 日あたり約 75 分、 1 ヶ月ならば約 25 時間にあたる時間を Copilot のおかげで生み出せていることになります。業務で使うアプリと Copilot が統合されていることは、一般的な AI を利用するよりも業務効率向上の効果が大きいです」(杉本氏)

阿部氏も同様に、日本語メールを作成するときは日本語の敬語表現に気をつけた文章を Copilot で生成していると話します。 Copilot は文脈を理解し、正しいニュアンスで翻訳することに長けています。一般的な翻訳ツールでは対応が難しい、自然かつ高度な文章を生成できる点がメリットです。

弁護士の仕事はクライアントから送られた資料を読んで背景事情を理解するところから始まり、「何について言うか・言わないか」の区別が重要となります。 Copilot の得意とする、その文章のどこを強調すべきかを判断して文章を生成できる強みが弁護士業務でも発揮されています。これによって生じるメリットは、単なる業務時間削減ではありません。より付加価値の高い仕事に弁護士の方々が集中でき、それ以外の仕事は AI で徹底的に高速化できることを意味します。メールだけでなく、契約書などもスクラッチで作るのではなく、 SharePoint に格納してある情報を Copilot に探させて、最初のドラフト作成まで一気に進めることが可能です。

「これからの時代は AI との協働が基本になると思います」と杉本氏は、働き方そのものが変化しつつあると語ります。

Vanguard Tokyo 法律事務所 弁護士 杉本 茉永氏

Vanguard Tokyo 法律事務所 弁護士 杉本 茉永氏

ブレインストーミングやダブルチェックにも Copilot を活用

指示した作業を高速に処理するだけでなく、 Copilot はブレインストーミングの使い方でも成果につながっています。たとえば「〇〇のような内容を作りたい。サンプルを 5 つ探して」というような自然な日本語文のまま、自分が知りたいことや作業内容を説明すれば Copilot が理解してくれます。逆に Copilot 側から「この点についてはどうですか?」と質問されて新しい気づきを得ることもあります。また、見落とし防止のために Copilot と自分でダブルチェックをする使い方も有益です。

「私は深い調査を行う際には Copilot のエージェント『リサーチツール』(旧名「 Researcher エージェント」)を積極的に活用しています」と阿部氏は使い方を紹介してくださいました。「たとえば契約書の場合、当事者は誰か、レビューにおける私の目的は何かといった背景を Copilot  に理解させ、クライアントに有利な解決策の検討に活用します。メリットとデメリットを整理した表の作成も Copilot は得意です」(阿部氏)

法律事務所での使い方として、法令を参照するときに、どの法令のどの箇所が該当しそうかを Copilot にピックアップさせる使い方も効果的です。時間節約になると同時に、内容の精度や品質の向上につながります。

AI はすべての人に必須のツールになる

もはや Vanguard Tokyo 法律事務所にとって、Copilot は業務上必須の存在となっています。Copilot の活用方法をより深く学びながら、働き方をより洗練させていきたいと同事務所では計画しています。

木下氏の予想では、Word や Excel を誰もが使っているように、AI は今後すべての人にとって必須のツールになりえます。今後は Copilot を使う(使える)人と、使わない(使えない)人を比較すると、仕事のスピードやクオリティで大きな差が付くかもしれません。AI は登場してまだ日の浅いソリューションであることから、早急に 自分の仕事に取り入れていくことを木下氏は勧めています。

杉本氏は「私にとってはまさに仕事のパートナーのような存在です。人間には置き換えられません。 Copilot があるからこそ私は、私にしかできない仕事に集中できます。仕事の満足度も上がっています」と述べます。

いま、Vanguard Tokyo 法律事務所では Copilot の効果的な使い方が日々模索されています。たとえば Prompt Coach エージェントを使うことで、クライアントとのリレーションシップを「 Warm かつ Friendly にしたい」あるいは「 Professional にしたい」といった細かい指示が可能です。

今後の展開として、Vanguard Tokyo 法律事務所ではアドミン業務(管理系業務)の効率化に Copilot を活用していくほか、他の法律事務所と AI やデジタル技術の活用方法についての情報交換をより活発にしていく考えです。世界的な法律事務所では先進的な活用がなされており、法律業界全体でも AI を活用していこうというムードが強まっています。今後は弁護士がキャリアを構築していく上でも、 AI を使いこなせることが重要になるでしょう。

今後 AI はすべての人にとって必須のツールになるでしょう。 AI で、仕事のスピードやクオリティで大きな差が付くかもしれません。 Copilot は、あらゆる人の業務上のパートナーとなりえる存在です。(木下氏)

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