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最高裁判所と Microsoft Teams の画面イメージ

誰もが裁判 IT 化の恩恵を受けるための第一歩

大坪和敏と土井隆写真

大坪 和敏

弁護士 (馬場・澤田法律事務所、東京弁護士会)。東北大学法学部卒。1997 年、弁護士登録。2018 年~ 2020 年 1 月、日本弁護士連合会事務次長。

土井 崇

日本マイクロソフト株式会社 政策渉外・法務本部 弁護士 (日本・ニューヨーク州)。法律事務所にて企業法務に従事後、日本マイクロソフト株式会社入社。主にヘルスケア、政府・地方自治体、教育分野におけるビジネス案件に関する法務サポートを担当。法的イシューの解決と未然防止のほか、クラウド利用に関するお客様の理解・信頼を得られるよう活動。弁護士 (日本・ニューヨーク州)。

大坪氏 (右) と土井 (左)。対談は霞ヶ関の弁護士会館で行われた。

IT 化のモチベーションにつながる Teams の導入

――まず、おふたりの自己紹介をお願いします。

土井 日本マイクロソフトの法務部門でリーガルを担当しています。今はもっぱら公共機関のお客様を相手とする営業部門のサポートをしておりまして、今回の裁判手続等 IT 化への Microsoft Teams (以下 Teams) の運用開始に関する業務にも参加しています。

大坪 弁護士の大坪です。東京弁護士会所属で、港区の馬場・澤田法律事務所で勤務しています。2020 年の 1 月まで 2 年間、日弁連の事務次長を務めていた関係で、裁判手続等 IT 化の取り組みにも関わってきました。

―― 2020 年 2 月から争点整理における Teams の運用が始まっていますが、弁護士の皆さまの所感はいかがでしょうか?

大坪 民事裁判において、争点整理の位置付けはとても大きなものです。争点と証拠がきちんと整理されていれば、その後の審理がスムーズに進み、裁判官が判断すべき争点もはっきりするので、効率的に適正な判断を下すことができます。それだけに、争点整理にはある程度の時間が必要で、1 年以上かかる事件も少なくありません。これをもっと効率的に進められないかという問題意識は、裁判所も弁護士会も強く持っていたと思います。Teams の利用で争点整理が大きく変わると考えている人は少ないでしょうが、Teams の利用経験がないことを不安に感じている人は多いかもしれません。

日本マイクロソフト株式会社 佐藤 知成

Teams の導入により、移動時間を短縮できる効果は大きい。

土井 遠隔地の訴訟の場合、弁護士の皆さまが出張する手間も大きいですよね。1 日がかりの出張となるとスケジュールの調整が難しいですから、裁判所と双方の弁護士の都合がなかなか合わずに期日が延び延びになることも多い。Teams が導入されればその調整が容易になり、争点整理を効率的に進めることができますよね。

大坪 そうですね。これまでは、横浜地方裁判所で行われる争点整理の場合でも、東京の弁護士は電話会議ではなく現地に来てほしいという運用でした。それが 2 月以降、横浜地方裁判所は 5 月からですが、距離に関係なく Teams の Web 会議で争点整理手続に参加することが認められるようになりました。東京と横浜は比較的近いとはいえ、それなりにかかっていた移動時間を短縮できる効果は大きいと思います。

土井 私たちとしても、移動時間の短縮というわかりやすい効果は、これから IT 化を進める上で、司法に関わる皆さんのモチベーションとして、とてもよいことなのではないかと思っています。

働き方の選択肢のひとつとしての Teams

――弁護士の皆さまのなかで、Teams に対する不安や懸念はあるのでしょうか?

大坪 Teams の採用が決まった当初は、他のツールの方が使いやすいのでは? といった声があったことは事実です。ただ、運用が始まってから不都合があったという話はほとんど聞かないですね。実際、これまでも電話会議は可能でしたが、裁判官や相手方代理人の様子が画面を通してわかる Web 会議のほうが、安心感があると思います。また、一部で弁護士以外の人間が画面の向こうにいて訴訟に関わる「非弁活動」への懸念を訴える声もありますが、画面を通じて非弁活動をチェックできる分、その可能性は電話会議よりも低くなると考えています。セキュリティを気にする人や操作方法に不安を持つ人に関しては、最高裁が中心となって作成したガイドラインをもとにしたマニュアルなどを配布して、理解を深めてもらえるよう配慮されています。

日本マイクロソフト株式会社 佐藤 知成

Teams への理解を深めることが、裁判手続等 IT 化を促進する鍵となる。

土井 大変わかりやすいマニュアルをつくっていただき、感謝しています。ただ、私たちマイクロソフトとしては、実際に使用される皆さまの不安や懸念を払拭しなければ普及にはつながらないと思っていますので、皆さまの声を受け止めた上で、さらに多くの説明の機会をつくっていきたいと思っています。

大坪 ありがとうございます。操作に関しては、パソコンに慣れていればそれほど問題はないと思いますし、各地での研修も予定していただいていますが、やはり実際に事件に際して使ってみないと身につかないことも多いと思いますから、継続的なサポートをお願いしたいところです。

――民事裁判への Teams の導入は、弁護士の働き方改革につながるとお考えでしょうか?

大坪 個人的には、争点整理で Web 会議ができるようになっても、やるべきことはこれまでとあまり変わらないので、そこまで大きく働き方が変わることはないのかな、という気がしています。ただ、Web 会議によって移動時間が節約される分、余裕はできるでしょうし、さらにフェーズが進んで書面の電子化が可能になれば、持ち運びが楽になりますから、そこには期待しています。

土井 そうですね。働く場所の制約が少なくなりますから、働き方が変わっていく可能性はあるのではないでしょうか。とはいえ、画面越しではなく Face to Face での会話が必要な場合もありますし、自宅より事務所のほうが集中できるという人もいます。つまり、働き方の選択肢のひとつとして Teams というツールが増える、と捉えていただければよいのではないかと思います。ちなみに現在、争点整理以外の業務で Teams をお使いいただくこともあるのでしょうか?

イメージ: あなたを伸ばす、強いチームを。

働き方改革を進めるためにも、よりよい IT の活用方法を提案していくことが大切。

大坪 私が所属する事務所で、顧問先との会議で使っている弁護士もいるようです。ただ、相手にも Teams を使える環境を整えてもらわないといけないので、そこがネックになっている部分はあるかもしれません。

土井 私たちがもっとがんばって普及しないといけないですね (笑)。日常業務における Teams の活用方法でいえば、例えば大坪先生が後輩の弁護士の先生がつくった書面をレビューするときに、これまでは紙もしくは Microsoft Word のファイルに修正履歴を入れて、それを反映してまた確認して、という手間が必要だったものが、Teams を使えば共同編集できるようになります。業務のクオリティ向上にも役立てていただけるのではないかと思っています。

国民にとって大きな利益となる裁判手続等 IT 化

――弁護士の皆さまの業務のクオリティが上がることは、私たち国民の利益にもつながりますよね。

大坪 そうですね。私は、IT 化が進むにつれて、弁護士側の意識も変わっていくと思っています。書面の提出が遅い弁護士や、訴状の内容が足りていなかったりわかりにくかったりする弁護士が IT 化によって可視化され、顧客にもその情報が伝わってしまうわけです。そうなれば、弁護士の業務への取り組み方が、必然的に変わらざるを得ないのではないでしょうか。

土井 確かに、今後 IT 化が進むと、弁護士としてどのような付加価値をお客さまに提供できるかといったことが、より問われるようになるでしょうね。それは、ツールを駆使して業務を効率化し、お客さまへのレスポンスを早くすることかもしれないし、AI などの分析ツールに基礎的なリサーチを任せて、弁護士にしかできない思考の部分に集中するといったことかもしれない。いずれにしても、弁護士業界に大きな変革の波がやってくるのではないでしょうか。

日本マイクロソフト株式会社 土井 崇

IT 化によって弁護士の業務への取り組み方や裁判のあり方も変わっていくはず。

大坪 それに、裁判がもっと身近になると思います。例えば、依頼者が入院中の方だったとしても、病室から Web 会議で裁判に参加できるといった可能性が広がりますよね。

土井 民事裁判の IT 化の話では、もっぱら効率化や迅速化といった言葉が使われますが、なんのための IT 化なのかといえば、国民の裁判を受ける権利を広くもれなくカバーして、効率的かつクオリティの高い司法サービスを受けられるように、といった目的が根底にあるわけです。そこは忘れてはいけない部分ですね。

上質な司法サービスを誰もが受けられることが重要

――今後、裁判手続等 IT 化が進むにつれて、どのような課題が出てくるとお考えでしょうか。

大坪 例えば、書面のつくり方が変わってきます。動画やプレゼンソフトで要点をわかりやすくまとめたり、3D ソフトをつかって証拠をイメージで提示したりといったことが比較的容易になります。これはメリットでもありますが、デメリットでもあります。どういうことかと言うと、デジタル ツールでわかりやすく加工された要点や証拠によって、裁判官が偏ったイメージを植え付けられてしまう可能性があるわけです。また、これらの技術にかかる費用を負担できる経済力がある方が有利になるといったことも考えられます。そうならないようなルールづくりが必要ですし、そのベースとなる理論的な研究もまだ足りていないと感じています。

土井 とても貴重なご意見をありがとうございます。マイクロソフトには「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする」というミッションがあります。いま大坪さんがおっしゃったことは、まさにこのミッションに該当するものだと思います。私たちのツールで広がった可能性を、一部の人ではなく、すべての人が享受できること。そのひとつの現れとして、民事裁判の IT 化があるのだということを、改めて確認させていただきました。

日本マイクロソフト株式会社 土井 崇

連携を強めて、誰もが質の高い裁判を受けられる社会の実現を目指す。

大坪 裁判手続等 IT 化に関しては、弁護士のなかにも不安や消極的な意見が少なからずあることは否めません。これまでも、裁判の効率化のために試行錯誤をしてきた歴史があり、うまくいかなかった施策も経験していることも影響しているかもしれません。IT 化に対するマイナスな意識を払拭するために、まずフェーズ 1 で Web 会議やファイル共有に慣れてもらい、それを第一歩として、以前できなかったことに改めて挑戦していく。そのことが、弁護士の意識を変えるきっかけになるのではないかと思います。

土井 この対談で、裁判手続等 IT 化に Teams が導入されたことは、民事裁判の効率化、迅速化に資するものであると確認したと同時に、目に見える効果だけではなく、裁判所、弁護士、そして民事裁判のあり方を変えることこそが重要である、という気持ちを改めて強く持ちました。これからも皆さまのフィードバックをもとに、Teams に限らず、私たちの有するさまざまなサービスをご提案していきたいと思っています。

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