Trace Id is missing
2023/02/07

ICT 活用で先生の負担を減らし、生徒とのコミュニケーション時間へ。Windows で実現した西宮今津高等学校の取り組み

小中学校に続いて、2022 年度から高校での「1 人 1 台端末整備」が始まっています。授業が細分化され、より専門的になる高校教育においては、どのような端末が適しているのでしょうか?

Windows PC を BYOD (Bring Your Own Device) のメイン端末に選び、マイクロソフト ソリューションを活用した ICT 教育を実現しているのが兵庫県立西宮今津高等学校です。同校は、小中学校や大学との一貫性を重視しながら、生徒たちの将来を見据えた授業をスタートさせています。

Nishinomiya-Imazu High School

生徒たちが使い慣れており、卒業後も使い続けられるデバイスを採用

兵庫県の南東部に位置する兵庫県立西宮今津高等学校。阪神甲子園球場にほど近く、窓を開ければ声援が聞こえてきます。同校は 2007 年に単位制の総合学科高校として学科改編され、県内全域からの受験が可能となりました。

生徒の夢をできるだけ叶えられるようにと、西宮今津高等学校で福祉医療国語やビジュアル デザイン、情報実習といった多彩な選択科目の中から授業を選択することができます。

そんな同校が最初に大規模な ICT 化を実施したのは 2020 年のこと。兵庫県の「県立学校学びのイノベーション推進事業」によって、各教室に短焦点プロジェクターが設置され、1 学年につき 40台の Surface Go 2 が使えるようになりました。さらに 2022 年には、GIGA スクール構想にもとづく 1 人 1 台端末環境整備によって dynabook K60 をメイン端末とした活用が始まっています。

1 人 1 台端末の選定を担当した兵庫県立西宮今津高等学校 ネットワーク管理者 白井美弥子氏は、「入学前、卒業後の繋がり」を考慮すると、Windows PC が最適だったと振り返ります。

「兵庫県では、県立学校で仕様を検討して、入学する子たちに『こういう PC を持ってきて下さい』と推奨端末を公示する BYOD に近い形式をとっています。各ご家庭で端末を購入していただくわけですから、学校推奨端末については高校卒業後も使うことを念頭に置きました。大学の先生に相談したところ、講義やゼミで使うにはタブレット専用ではなく、PC 用の OS をもつものが適しているとお聞きしました。また、西宮市の小中学校では Windows PC を 1 人 1 台端末として使っています。そこで入学前 ~ 在学中 ~ 卒業後の繋がりを実現するためには、Windows PC が最適と考えたのです」(白井氏)

白井氏はマイクロソフト認定教育イノベーター (MIEE) の資格を有しており、新たな ICT 教育のあり方を追求してきました。学校同士が連携して教育を提供することの大切さを白井氏は強調します。

「MIEE の研修の中では、普段あまり接点のない小学校の事例を聞けたことがとても参考になりました。小学校を卒業して 5 年後の子どもたちを私たちが見ているわけです。プログラミング的思考などを身に付けるためには、小さい頃から自分で考えて解決する力を積みあげていかなければなりません。端末選定においても、子どもたちの成長をトータルで見守っていくという観点が重要だと考えました」(白井氏)

そして白井氏は、数ある Windows 端末の中から、Windows 10 搭載の dynabook K60 を学校推奨の PC に選んだ理由を次のように明かします。

「大きな理由は『リアカメラが使用できること』です。dynabook K60 はラップトップ型でありながらキーボードを外すことができるので、タブレットとしても利用ができます。キーボードの打ち心地も良く、机から落ちにくい作りだったというのも良かった点です。もうひとつ考慮したのは『持ち運びの軽量さ』です。西宮今津高等学校の生徒は 9 割が自転車通学ですから、リュックに入れて運べる重量であることが必要でした。これらのポイントに加えて、小中学校の GIGA 端末を上回るスペックであることが最低要件だったのですが、dynabook K60 は条件を満たしている上に、コスト的にもかなり手頃だったのです」(白井氏)

兵庫県では Microsoft 365 のライセンスを一括して契約しているため、多様な Microsoft 365 アプリケーションや、端末のデータを管理や保護が可能な Microsoft Intune などを学校の負担なく使うことができます。

より深い教育コミュニケーションが可能に

西宮今津高等学校では、さまざまな場面で Windows PC と Microsoft 365 が活用されるようになりました。大きく変わったことの 1 つは、生徒とのコミュニケーションです。

「普段の連絡ごとや試験範囲のお知らせなどは、紙ではなく Microsoft Teams for Education を使うようになりました。小テストの実施や課題回収なども Teams で行う教科が増えてきました。先生によって使い方に差はありますが、文化祭のステージ発表の台本を Teams で共同編集しているクラスもあります。私は放送部の顧問をしているのですが、読み上げている様子を録画して、『先生聞いて下さい』と送ってくる生徒もいます」(白井氏)

Teams によって、生徒と効率的で安全なコミュニケーションができるようになったと白井氏は続けます。

「部活動の出欠連絡などをさっと伝えられるようになりました。先生にとっても、生徒にとっても時短になっています。また、先生の立場としては生徒とチャット アプリなどで私的に繋がるのは避けたいものでしたが、Teams によって学校の管理下でやり取りができるようになりました」(白井氏)

もちろん、Teams は学習面においても大いに活用されています。参加者が一緒の作業スペースでリアルタイムに書き込みができる Microsoft Whiteboard や、Microsoft PowerPoint を使って、生徒同士が意見を共有しながら授業を進めていると白井氏は説明します。

「『うどんを食べる手順は?』『まっすぐしか進まないホウキとちりとりで落ちているゴミを最短で拾うには?』といったアルゴリズムの概念を学ぶ授業では、生徒同士が互いの考えを見ながら進めています。同じ事を紙でやろうとすると書き直しに時間がかかってしまいますが、Whiteboard ならばすぐです。Type-C コネクターで大きなモニタに繋いでより効率的に作業することもできます」(白井氏)

1 人 1 台端末としての Windows PC と、コラボレーション ツールの Teams は、対面授業においても、互いの意見に触発されながら考えを磨いていく授業を実現しています。こうしたやり方はハイブリット授業にも応用可能です。

「今後、登校できないようなケースが起きたとしても、教室と家庭の両方から Teams で繋ぐことによって、一緒に課題を進めるハイブリッド授業が実現できるでしょう」(白井氏)

先生の業務を 5 倍効率化し、生徒と向き合う時間を増やす

マイクロフトのソリューションは、学習面における先生の負担を軽減するだけでなく、より効果的な指導をするための手助けもしています。アンケート フォーム作成ツール Microsoft Forms は、課題の自動採点機能や、回答傾向の分析機能を有しているのです。

「Forms の自動採点はものすごく便利です。採点ミスが無くなりますし、『1 問目で間違えた子は 10 問目でも間違えやすい』といった傾向まで見えるようになります。データにもとづいた自分の弱みですから、生徒もミスを繰り返さないよう注意することができているようです」(白井氏)

記憶が新鮮なうちに小テストのフィードバックを返せることは、教育上とても効果的だと白井氏は語ります。

「今までは小テストの紙を回収して、授業の空き時間や放課後の部活動の時間が終わった後に赤ペンで採点を始めて、約 240 人分のデータをまとめて…といったとても時間のかかる作業でした。祝日や学校行事の関係で、テストをした翌々週にやっと返せるということもありましたが、それでは生徒たちも内容を忘れてしまいます。しかし、1 人 1 台端末と Forms のおかげで、記憶が新鮮なうちに解説ができるようになりました。小テストをやったその授業のうちにフィードバックできるのです。手間は5 分の 1 以下になり、その分、生徒になにかしてあげられる時間が増えました」(白井氏)

学校のネットワークは、セキュリティ保護の観点から「校務系」と「学習系」に分断されています。これまではテスト結果を校務系の PC に入力するには、紙の手帳などから転記する必要がありました。しかし西宮今津高等学校では、Microsoft 365 の導入によって、Forms で実施した試験結果を校務系の PC で Microsoft Excel のデータとしてエクスポートし、成績処理に活用することができます。

「Microsoft OneDrive によって、在宅勤務中や外出中に作ったプリントなども、USB メモリなどでデータをわざわざ移すことなく、データを同期するだけで簡単に印刷することができています。『こんな確認テストのフォームをつくりました』という先生同士のノウハウ共有も、今までよりずっと活発におこなわれています」(白井氏)

先生のリテラシーを高めるために、西宮今津高等学校においては、テスト期間中や夏休みなどを利用した ICT 研修が実施されています。先生からの関心は高いと白井氏は言います。

「年配の先生でも意欲的に話を聞いてくれます。『研修にどうしても出席できないから補習をしてくれないか』という方もいらっしゃいました。デジタルの食わず嫌いはせずに、まずは使ってみて判断しようという空気が西宮今津高校にあります」(白井氏)

生徒たちに気づきを与える授業を展開していく

1 人 1 台端末としての Windows PC が導入されてまだ半年足らずにも関わらず、西宮今津高等学校の 1 年生は「分からないことをすぐ調べる」といったことが習慣になってきていると白井氏は言います。

「どこまで PC を使っていいのかまだ手探りなところがあり、顕著な変化が見られるのはもう少し先かなと思っています。それでも、常に持ち歩くことが習慣になり、分からないことがあったら開いて調べる、といったことが当たり前になりつつあります」(白井氏)

PC の管理についても、今後はより生徒主体にしていきたいと白井氏は続けます。

「今年度の初期設定は私たちが一緒に行いましたが、手順書さえ渡せばある程度のことはやってくれることが分かりました。Windows 11 へのアップデートなどに対応するために、各自で家の Wi-Fi に繋いでもらって、あとは Intune から自動的に設定したものが降りてくる、といった段取りにしていきたいと思います」(白井氏)

最後に、今後の授業を白井氏は次のように展望しました。

「情報科目においては、ロボットのセンサーから取得した情報を Python で分析して、上手く制御するような授業をしていきたいと思っています。また、Teams の Reflect 機能にも注目しています。これは、『好奇心』『疲れている』など、どういう状態でその授業を受けたのかを生徒自身が記録するものです。成績のスコアだけでなく、感情のデータなどを元に、自分の学びに関する気づきをさらに深めていって欲しいです」(白井氏)

Windows PC とマイクロフト ソリューションの活用によって、生徒に向き合う時間を増やし、学びを深めている西宮今津高等学校。同校の教育は、生徒一人ひとりの夢を叶える大きな助けとなっていくことでしょう。

“入学前 ~ 在学中 ~ 卒業後の繋がりを実現するためには、Windows PC が最適と考えたのです”

白井 美弥子 氏, ネットワーク管理者, 兵庫県立西宮今津高等学校

次のステップに進みましょう

Microsoft でイノベーションを促進

カスタム ソリューションについて専門家にご相談ください

ソリューションのカスタマイズをお手伝いし、お客様独自のビジネス目標を達成するためのお役に立ちます。

実績あるソリューションで成果を追求

目標達成に貢献してきた実績豊かな製品とソリューションを、貴社の業績をいっそう追求するためにご活用ください。

Microsoft をフォロー