This is the Trace Id: 5d2d8a9a6cf3b6b72da8b9f1ba1941f1
2024/09/26

Azure Backup と Azure File Sync でハイブリッド型ファイル サーバーを構築した日機装

特殊ポンプからビジネスをスタートし、航空宇宙やメディカル、深紫外線 LED など、専門性の高い複数の分野で新たな市場を創出し続けている日機装株式会社。オンプレミスで運用されていたファイル サーバーが、クラウドへと移行されつつあります。

そのクラウド基盤として採用されたのが Azure。Azure Files と Azure File Sync を組み合わせ、Azure とオンプレミスを連携させることで、オンプレミスと同等のパフォーマンスを発揮しつつ容量を柔軟に拡張できる環境を、以前の半分以下のコストで実現しています。

ファイル バックアップなどの運用コストや手間も大幅に削減。既に 5 つの主要事業所のうち、2 拠点のファイル サーバーの一部データが、Azure のクラウド ストレージへと移行されています。今後は他の事業所でも、同様の取り組みを進めていく計画です。

日機装の企業ロゴ

​特殊ポンプからビジネスをスタートし、航空宇宙やメディカル、深紫外線 LEDなど、専門性の高い複数の分野で新たな市場を創出し続けている日機装株式会社。オンプレミスで運用されていたファイル サーバーが、クラウドへと移行されつつあります。そのクラウド基盤として採用されたのが Azure。Azure Filesと Azure File Syncを組み合わせ、Azureとオンプレミスを連携させることで、オンプレミスと同等のパフォーマンスを発揮しつつ容量を柔軟に拡張できる環境を、以前の半分以下のコストで実現しているのです。ファイルバックアップなどの運用コストや手間も大幅に削減。既に 5つの主要事業所のうち、2拠点のファイルサーバーの一部データが、Azureのクラウドストレージへと移行されています。今後は他の事業所でも、同様の取り組みを進めていく計画です。

ファイルへの高速アクセスを維持しつつ、オンプレミスのファイルサーバー容量を拡張するというアイデア

1953 年に「特殊ポンプ工業株式会社」として創立されて以来、それまで日本にはなかった技術や製品を導入および開発し、専門性の高い複数の分野で新たな市場を創出し続けている日機装株式会社 (以下、日機装)。その事業領域はポンプ システムのみならず、各種産業用機器や航空宇宙、メディカルにも広がっており、2014 年からは水や空気を浄化する技術として注目される「深紫外線 LED」の開発・生産も手掛けています。また、世界中の顧客ニーズに応えるためのグローバル ネットワークも構築。世界の連結子会社は 51 社に上り、「ものづくりで、社会の進化を支え続ける日機装」という長期ビジョンのもと、独自の技術で社会課題の解決に貢献しています。

ここで 2023 年に着手されたのが、ファイル サーバーのクラウド化です。各主要拠点でオンプレミス運用されていたファイル サーバーの一部を、オンプレミスとクラウドを組み合わせた環境へと移行することで、ファイルの高速アクセスを維持しつつ、オンプレミスのファイルサーバー容量を柔軟に拡張できるようにしているのです。

「日機装には東京都渋谷区にある本社のほか、東京都東村山市、石川県金沢市、静岡県牧之原市、石川県白山市に国内主要拠点があります」と説明するのは、日機装 企画本部 グローバル情報統括部 第三グループの片山 悠里 氏。それらのうち東村山事業所には技術研究所が置かれており、30TB (テラバイト) 以上の容量を持つファイル サーバーが運用されていたと言います。「これらのファイル サーバーのベースとなっていた Windows Server 2012 R2 が 2023 年 10 月にサポート終了を迎えることになりました。コストを最適化するため、このタイミングでファイル サーバーをクラウド化しようと考えました」。

しかし完全にクラウド化するのはリスクもあると判断。東村山事業所では大容量の CAD データを日常的に扱っており、クラウド上に置かれた CAD データを事業所内からアクセスすると、レイテンシ (通信遅延) によって操作性が低下する危険性があったと言います。「実際に他社メガ クラウドでテストしてみたところ、期待していた速度を出すことができませんでした」 (片山 氏)。

片山 悠里 氏, 企画本部 グローバル情報統括部 第三グループ, 日機装株式会社

クラウド化を検討していた中で、Azure Files と Azure File Sync の組み合わせはどうかという話を、マイクロソフトからいただきました。これならハイブリッド型でファイルを配置するというアイデアで当社が求める要件を安価に実現できます。

片山 悠里 氏, 企画本部 グローバル情報統括部 第三グループ, 日機装株式会社

この問題を解決するためのアイデアとして出てきたのが、クラウドとオンプレミスを組み合わせるというものでした。

「これはハイブリッド カーと同様の考え方です」と説明するのは、日機装 企画本部 グローバル情報統括部 第一グループの加賀谷 信吾 氏。電気自動車には排気ガスを出さないというメリットがある一方で長距離走行や寒冷地での走行が苦手という弱点があり、ガソリン車には長距離走行や寒冷地走行でも問題がない一方で、排気ガスで大気を汚してしまうというデメリットがありますが、これらの「いいとこ取り」をしたのがハイブリッド カーなのだと言います。

「オンプレミスはパフォーマンスが出やすい一方で、ハードウェアの調達や運用が必要になり、コストが高くなりがちです。その一方でクラウドはレイテンシの問題がありますが、手間をかけずに導入、運用でき、BCP レベルも高くなります。そこで両者を組み合わせて、理想的な環境を作り出そうと考えたのです」 (加賀谷 氏)。

加賀谷 信吾 氏, 企画本部 グローバル情報統括部 第一グループ, 日機装株式会社

以前はファイルを LTO にバックアップし、月次で他の事業所に移送していたため、バックアップ運用に手間とコストがかかっていました。今では Azure Backup で自動的にバックアップが取得されるため、この手間とコストが不要になっています。

加賀谷 信吾 氏, 企画本部 グローバル情報統括部 第一グループ, 日機装株式会社

閉域網で接続でき、オンプレミス環境との連携を安価に実現できる Azure
そのためのクラウド基盤として選ばれたのが Azure です。採用理由について、片山 氏は次のように説明します。

「クラウド化を検討していた中で、Azure Files と Azure File Sync の組み合わせはどうかという話を、マイクロソフトからいただきました。これならハイブリッド型でファイルを配置するというアイデアで当社が求める要件を安価に実現できます。またプライマリー リージョン内でのデータ冗長化に加え、Azure Backup によるバックアップで災害対策も可能。さらに、Azure ExpressRoute を組み合わせれば、閉域網でオンプレミス環境と接続でき、セキュリティの担保も容易です」。

2023 年 3 ~ 4 月に PoC を実施。以前、検証を行い十分なパフォーマンスが出なかった他社メガ クラウドとの比較が行われ、2023 年 4 月に Azure の正式採用が決定します。そして 5 月に予算確保、6 月に発注を行い、2023 年 7 月に移行プロジェクトがキックオフされます。

「このプロジェクトでは、東村山事業所の約 30TB のファイルと、白山工場の約 7TB のファイルの移行を行いました。一気に移行するとネットワーク帯域が不足するため、帯域を調整しながら土日祝日を使った差分同期を実施しました」と語るのは、PoC 段階からこの移行プロジェクトに参画している、日本ビジネスシステムズ株式会社 (以下、JBS) クラウドソリューション事業本部 モダンワークプレイス2部 2グループの平林 昌幸 氏です。移行作業はいずれも 2023 年 9 月にスタートし、白山工場は 10 月上旬、東村山事業所は 11 月に完了したと言います。

平林 昌幸 氏, クラウドソリューション事業本部 モダンワークプレイス2部 2グループ, 日本ビジネスシステムズ株式会社

東村山事業所の約 30TB のファイルと、白山工場の約 7TB のファイルの移行を行いました。一気に移行するとネットワーク帯域が不足するため、帯域を調整しながら土日祝日を使った差分同期を実施しました。

平林 昌幸 氏, クラウドソリューション事業本部 モダンワークプレイス2部 2グループ, 日本ビジネスシステムズ株式会社

この際に構築されたシステムの構成は、図に示すとおりです。Azure に東村山事業所用と白山工場用のサブネットが用意され、それぞれのサブネット上に Azure Files と Azure Backup のインスタンスを実装。オンプレミス環境と Azure の間は ExpressRoute で閉域接続され、Azure File Sync によってファイル同期が行われています。

日常的に使用しているファイルは、オンプレミス側のサーバー上に置かれると共に、Azure File Sync によって Azure Files にも同期。最後にアクセスしてから 45 日が経過すると、オンプレミスのファイルが自動的に削除されます。つまりオンプレミス側のファイル サーバーは、45 日間ファイルを保持するキャッシュとして機能しているのです。

以前に比べてコストは半分以下に、AMM の活用もコストダウンに貢献

「このようなしくみによって、以前と変わらないパフォーマンスと使い勝手でファイルにアクセスできる一方で、オンプレミスに必要なファイル容量は 1/3 程度まで削減されました」と言うのは、日機装 企画本部 グローバル情報統括部 第四グループの谷内 一夫 氏。「既に以前のファイル サーバーと比べてコストは半分以下になっており、将来のハードウェア更新に必要な費用まで含めれば、6 ~ 7 割のコスト削減効果が得られるはずです」と語ります。「以前は不可欠だったレガシー システムのスキルも不要になりました。JBS には新しい環境の運用資料も作っていただきましたが、新人でもこの資料を一読するだけで運用が可能です」。

谷内 一夫 氏, 企画本部 グローバル情報統括部 第四グループ, 日機装株式会社

既に以前のファイル サーバーと比べてコストは半分以下になっており、将来のハードウェア更新に必要な費用まで含めれば、6 ~ 7 割のコスト削減効果が得られるはずです。

谷内 一夫 氏, 企画本部 グローバル情報統括部 第四グループ, 日機装株式会社

このようなコスト削減効果について「当社としても精一杯のお見積りを出させていただきましたが、PoC の際に Azure Migrate and Modernize (AMM) を活用したことも、コストダウンにつながっています。これにはクラウド移行を支援する情報提供のみならず、移行にかかる費用を補填するオファーも含まれており、非常に魅力的なプログラムです」と言うのは、このプロジェクトに営業担当として参画したJBS 通信・メディア事業本部 通信・サービス部 2課の田中 晴飛 氏。

また加賀谷 氏は、データ バックアップの手間やコストも削減されたと述べています。

「以前はファイルを LTO にバックアップし、月次で他の事業所に移送していたため、バックアップ運用に手間とコストがかかっていました。今では Azure Backup で自動的にバックアップが取得されるため、この手間とコストが不要になっています」。

さらに「事前に用意した容量ではなく、実際に使った容量に課金されることも、Azure Files の大きなメリット」だとも谷内 氏は指摘。不要なファイルを削除すれば、その分だけコストを下げることができるのです。「その一方で、キャパシティの上限を意識する必要がなくなったことも、運用を容易にしています」。

なお日機装では PC のクラウド化を目指し、Azure Virtual Desktop (AVD) の試験運用も進められています。AVD は在宅勤務時や外出時、海外出張時でもセキュアに PC 環境を使えるため、将来の理想の PC 環境になり得ると、高く評価されているのです。そのファイル サーバーとしても、Azure Files は重要な役割を担うはずだと期待されています。

「今後は他の事業所のオンプレミス ファイル サーバーも、Azure Files と Azure File Sync の組み合わせに移行していきたいと考えています」と片山 氏。「既に次のプロジェクトとして、金沢事業所のファイル サーバー移行を検討しています」。

田中 晴飛 氏, 通信・メディア事業本部 通信・サービス部 2課, 日本ビジネスシステムズ株式会社

PoC の際に Azure Migrate and Modernize (AMM) を活用したこともコストダウンにつながっています。これにはクラウド移行を支援する情報提供のみならず、移行にかかる費用を補填するオファーも含まれており、非常に魅力的なプログラムです。

田中 晴飛 氏, 通信・メディア事業本部 通信・サービス部 2課, 日本ビジネスシステムズ株式会社

次のステップに進みましょう

Microsoft でイノベーションを促進

カスタム ソリューションについて専門家にご相談ください

ソリューションのカスタマイズをお手伝いし、お客様独自のビジネス目標を達成するためのお役に立ちます。

実績あるソリューションで成果を追求

目標達成に貢献してきた実績豊かな製品とソリューションを、貴社の業績をいっそう追求するためにご活用ください。

Microsoft をフォロー