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2025/8/1

NECのモダンワークスタイルを支える約 9 万台の Azure Virtual Desktop 活用、快適で自由度の高いユーザー体験を顧客にも提供

自ら変わり続ける文化への変革にむけ「Project RISE」を推進し、社内 DX にも積極的に取り組んでいる NEC。以前はオンプレミス VDI (Virtual Desktop Infrastructure : デスクトップ仮想化) が利用されていましたが、ネットワーク帯域やデスクトップ性能の不足、リードタイムの長期化という問題に直面していました。

 

これらを解決するために導入されたのが、Azure Virtual Desktop です。導入開始からわずか 2 年半で、 Windows 10 から Windows 11 への OS 切り替えも含めた、VDI 基盤の刷新と移行が完了。

 

Azure Virtual Desktop の導入数は約 9 万台に達しており、世界でもトップクラスの大規模活用事例となっています。これによって快適かつ自由度の高いユーザー体験を実現。その経験から得られた「活きた」知見を元に顧客にもサービスを提供することで、日本の働き方改革を強力に支援しています。

 

NEC ロゴ (Main)

オンプレミス VDIでモダンワークスタイルへ、しかし大規模展開で 3つの問題に直面

1899年に創業し、現在では「海底から宇宙まで」カバーするグローバルテックカンパニーとなった日本電気株式会社 (以下、NEC)。顔認証や指紋認証、虹彩認証の技術力は世界 No.1と評価されており、10万人を超えるグループ全体で 2023年度には約 3兆 5,000億円の売上収益となっています。また DXへの取り組みでも、まずは NEC自身が「クライアントゼロ」として先進的なDXを社内で実践し、そこで得られたナレッジを顧客や社会へと還元および循環させるアプローチを採用。「働き方の DX」、「営業・基幹業務の DX」、「運用の DX」という 3本柱で社内 DXを推進し、2025中期経営計画の目標として EBITDA 成長率年平均 9%と、エンゲージメントスコア 50%の達成を目指しています。

※クライアントゼロ:自社を「ゼロ番目」のクライアントに位置付け、社内での実践によって得られた「生きた経験や価値」を提供することで、顧客や社会の DX推進に貢献するアプローチ。

「その中でも『働き方の DX』では、最高のパフォーマンスを上げられる時間と場所を選択して自分自身の成果を最大化させる『ロケーションフリー』や、適切なタイミングで出社し心理的安全の高い環境でチームメンバーとオープンに意見を交わす『コミュニケーションハブ』、お客様やパートナーとともに事業創出を加速する『イノベーションハブ』という働き方を具現化するため、モダンワークスタイルの実現を進めています」と語るのは、NECコーポレートIT・デジタル部門 ITインフラサービス統括部で上席プロフェッショナルを務める小口和弘氏。その取り組みの歴史について、以下のように説明します。

「NECでは 1984年に国内初となるサテライトオフィスを設置し、その後も研究職を対象にした在宅勤務制度、全社を対象にした裁量労働制度、育児/介護のための在宅勤務制度など、30年以上にわたって働きやすい環境を整備してきました。現在の取り組みは、これらをさらに前進させるものです」。

そのために 2018年には、経営陣がコミットする形で「Project RISE」をスタート。自ら変わり続ける文化への変革と、シンクライアントやクラウドサービスを活用した「モダンワークスタイル」の導入を積極的に進めているのだと語ります。

「2018年当時、シンクライアントを使っていた社員は 3万人弱でしたが、Windows 10への移行のタイミングでシンクライアントへのシフトを後押しし、その後は新型コロナウイルス感染症拡大もあったことから、2022年には 7万人がシンクライアントを使うようになりました」 (小口氏)。

Kazuhiro Oguchi, Executive Professional, IT Infrastructure Services Department, Corporate IT and Digital Division, NEC Corporation

技術面での比較を行うため他社のクラウド型 VDI も使ってみましたが、Microsoft 365 との親和性や強固なセキュリティ、Microsoft Entra ID (旧Azure Active Directory) による認証が可能なことなど、Azure Virtual Desktop にはさまざまな優位性がありました。また NEC がマイクロソフトとの戦略的パートナーシップを拡大していたことも、Azure Virtual Desktop 採用を後押しする結果となりました

小口 和弘 氏, コーポレートIT・デジタル部門 ITインフラサービス統括部 上席プロフェッショナル, 日本電気株式会社

問題解決に向け Azure Virtual Desktopを導入、わずか 2年半で 9万ユーザーに

2022 年当時の基盤として利用されていたのは、自社データセンター内にサーバーを設置したオンプレミス型の VDI でした。しかしユーザー数を急速に増やしていく過程で、大きく 3 つの問題に直面しました。

第 1の問題は、ネットワークの帯域不足です。テレワークの拡大で Web会議の利用も広がっていきましたが、ユーザーからの VDIアクセスとクラウドサービスへの接続をデータセンターに収容するため、膨大な帯域が必要になっていったのです。NECではその対応に向け、イントラネットとインターネットとの間に 40 Gbps もの帯域を確保。しかし数万ユーザー規模の VDIでは、これでも十分ではありませんでした。

第 2は VDIで提供しているデスクトップそのものの性能の制約です。オンプレミスで膨大な数のユーザーに対応するためデスクトップの集約率を高めた結果、ユーザー間でリソース競合が発生するようになっていました。

そして第 3の問題が、デスクトップ提供までのリードタイムの長さです。特に新型コロナウイルス感染症が拡大した時期には、世界的にサプライチェーンが混乱し、サーバーの調達が困難になりました。

「サプライチェーンが正常な状態でも、ハードウェアの調達やデータセンターのラック確保のために、4か月程度かかっていました」と振り返るのは、NECコーポレートIT・デジタル部門 ITインフラサービス統括部でプロフェッショナルを務める中村祐介氏。新しい種類の仮想デスクトップを提供する場合でも、ユーザーが利用できるようになるまでには企画段階から 1年程度かかっていたと言います。「また CADをシンクライアントで使いたいというニーズもありましたが、投資に見合う効果が得られることを事前に示すことが難しいため、投資判断がなかなかできないという問題もありました」。

このままでは快適なデスクトップ環境の実現が難しく、モダンワークスタイルのさらなる推進は困難だと判断。その解決のために導入されたのが Azure Virtual Desktopでした。コロナ禍で在宅ワークへと移行し始めてから半年が経過した 2020年 10月には、導入に向けた検討を開始。2021年 1月から 10~ 20名規模での技術検証を行ったうえで、2021年 6月に導入を決定、大規模な環境構築に着手しています。

「技術面での比較を行うため他社のクラウド型 VDIも使ってみましたが、Microsoft 365との親和性や強固なセキュリティ、Microsoft Entra ID (旧Azure Active Directory)による認証が可能なことなど、Azure Virtual Desktopにはさまざまな優位性がありました。また NECがマイクロソフトとの戦略的パートナーシップを拡大していたことも、Azure Virtual Desktop採用を後押しする結果となりました」 (小口氏)。

2021年 10月には社内リリースを行い、数百名規模での利用を開始。その半年後には、約 1万ユーザーへと拡大しています。その後もユーザー数は増加を続け、2024年 6月末時点で約 9万ユーザーが Azure Virtual Desktopを活用。これは、世界でもトップクラスです。

「この大規模展開を行うにあたり、マイクロソフトにはユニファイド サポート (Microsoft Unified) を通じて、利用者体験を高めるための新機能の紹介や導入サポート、Azure Virtual Desktop に最適な VM (Virtual Machine) に関する具体的な提案などをしていただきました」と中村 氏。また問題発生時にも、スピーディな対応をしてもらったと語ります。「このようなサポートの存在も、わずか 2 年半で 9 万ユーザーという大規模移行を果たせた、大きな理由だと考えています」。

Yusuke Nakamura, Professional, IT Infrastructure Services Department, Corporate IT and Digital Division, NEC Corporation

新しいデスクトップ モデルの追加も、新規投資を行うことなく手軽に行えるようになりました。Azure Virtual Desktop の提供はまず “標準業務用モデル” からスタートし、その後 “高負荷業務用モデル” 、”CAD/ビデオ編集用モデル” を追加していますが、高付加モデルは企画から約 3 か月、CAD モデルは約 2 か月でリリースしています

中村 祐介 氏, コーポレートIT・デジタル部門 ITインフラサービス統括部 プロフェッショナル, 日本電気株式会社

オンプレミス VDIの課題をすべて解決、複数のデスクトップモデルの提供も可能に

VDIを Azure Virtual Desktopへと移行したことで、第 1の課題だったネットワーク帯域のボトルネックは、根本から解消されました。Microsoft Teamsなどの主要な Web会議サービスは、通信経路を最適化できる Azure Virtual Desktopクライアント向けモジュールを標準機能として提供していることから、図 1に示すように、多くの帯域を必要とする音声/ビデオ通信を、Azure Virtual Desktopへのリモート接続とは別の経路で行うことが可能です。その利便性について、NECクラウド開発統括部でディレクターを務める記井浩之氏は次のように語ります。

「以前は、オンプレミス VDIで音声/ビデオ通話まで行うと帯域が不足するため、資料共有は VDIにアクセスするシンクライアント、音声/ビデオはスマートフォンという、2種類のデバイスを併用していました。今ではシンクライアント 1台で Web会議に参加でき、以前は発生していた音声やビデオの遅延も起きなくなっています」。

第 2の課題だったデスクトップの性能問題も、Azure Virtual Desktopのシングルセッションを利用しユーザー間のリソース競合を回避することで解消されました。

もちろん第 3の課題だったリードタイムの問題も解決しています。Azure Virtual Desktopなら新規ユーザーを追加する際にハードウェアの調達やデータセンターのラック確保を行う必要がないため、毎月数千台規模の Azure Virtual Desktop増設にも問題なく対応できました。

「新しいデスクトップモデルの追加も、新規投資を行うことなく手軽に行えるようになりました。Azure Virtual Desktopの提供はまず “標準業務用モデル”からスタートし、その後 “高負荷業務用モデル”、”CAD/ビデオ編集用モデル”を追加していますが、高負荷モデルは企画から約 3か月、CADモデルは約 2か月でリリースしています」 (中村氏)。

Hiroyuki Kii, Director, Cloud Development Department, NEC Corporation

以前は、オンプレミス VDI で音声/ビデオ通話まで行うと帯域が不足するため、資料共有は VDI にアクセスするシンクライアント、音声/ビデオはスマートフォンという、2 種類のデバイスを併用していました。今ではシンクライアント 1 台で Web 会議に参加でき、以前は発生していた音声やビデオの遅延も起きなくなっています

記井 浩之 氏, クラウド開発統括部 ディレクター, 日本電気株式会社

標準業務用モデルと高負荷業務用モデルとの間を、相互に移行することも容易です。既存のデスクトップの内容を変更することなく、Azure Virtual Desktopが動いている VMのスペックだけを変更すればいいからです。これに関して、NECサービスビジネス統括部でマネージャーを務める和田麻里氏は、次のように語っています。

「必要に応じてモデルを選べるのは、非常に便利です。私自身も標準業務用モデルから利用を開始し、途中で高負荷業務用モデルへと切り替えましたが、データやアプリケーションの引越作業をまったく行うことなく、すぐに移行することができました」。

さらに和田氏は、認証がシンプルになったことも快適性につながっていると話します。以前は社外から VDIに接続するために VPN (Virtual Private Network : 仮想専用通信網)の認証を行い、その上で VDIの Windowsにログインする必要がありましたが、Azure Virtual Desktopの場合は Microsoft Entra IDの認証だけで使い始められるようになりました。

NECでは今後、Azureの各種サービスを活用しながら、Azure Virtual Desktop環境の運用をさらに高度化していく計画です。既に、コスト削減のために自動的に電源の ON/OFF を行うしくみを Azure上の Azure Functionsで実現しており、Azure Monitorを活用した利用環境の可視化および最適化にも取り組んでいます。

その一方で、約 9万ユーザーに Azure Virtual Desktopを導入した経験を顧客に提供する取り組みも始まっています。2022年 10月には NECのノウハウと Azure Virtual Desktopを組み合わせた「NEC Virtual Desktop for Microsoft Azure」の提供を開始。1年半余りの間に、既に数万シートを販売しています。

「2024年 5月には価値創造モデルである『BluStellar (ブルーステラ)』を新たに発表し、ここでも Azureを活用したオファリングを行っています」と記井氏。また、複数のパブリッククラウドとの接続拠点を有する NECの印西データセンターは、国内 SIerが提供するものとしては数少ない「Azureと閉域網でダイレクトに接続された」データセンターであり、これを利用したよりセキュアな提案も行えると語ります。「これだけ大規模な Azure Virtual Desktop導入を経験している SIerは他にありません。クライアントゼロとしての経験をご提供することで、日本のお客様の働き方改革を積極的にご支援していきたいと考えています」。

Mari Wada, Manager, Service Business Department, NEC Corporation

必要に応じてモデルを選べるのは、非常に便利です。私自身も標準業務用モデルから利用を開始し、途中で高負荷業務用モデルへと切り替えましたが、データやアプリケーションの引越作業をまったく行うことなく、すぐに移行することができました

和田 麻里 氏, サービスビジネス統括部 マネージャー, 日本電気株式会社

NEC 4 名の集合写真

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