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2024/12/20

パラマウントベッドが 「今後 10 年を見据えた ERP」として Microsoft Dynamics 365 を導入

1998 年に「製造業に強い ERP」を導入していましたが、事業拡大に伴う業態の変化によってグループ会社も増え、対応できないことが増大。ERP でカバーできない業務機能は別システムとして追加されていったため、基幹システム全体が「個別最適化されたサブシステム」の集合体になっていました。その結果、1 つの業務を行うために複数システム画面を操作する必要があり、個別最適化されていたシステム同士が完全に連携していなかったため、ペーパーレス化の推進も困難でした。

2020 年に中期経営計画が発表され、これを機に「10 年後まで見据えた基幹システム」を構築することになりました。ここで、すでに 50 を超えていたサブシステムの数を大幅に削減することを目指し、他社 ERP 製品に比べて機能カバレッジが広く、CRM領域までサポートしている Dynamics 365 の採用を決定。2023 年 10 月から導入が開始され、2024 年 4 月には国内グループ会社への展開が完了しています。

50 以上あったシステムは 10 程度まで削減され、受注から出荷までの一連の業務が、Dynamics 365 の一貫性のあるユーザーインターフェイスだけで完結するようになりました。業務に関する各種データは Dynamics 365 に集約されており、それらを Power BI によって可視化し中間管理職や現場社員の意思決定に活かす、という取り組みも始まっています。またペーパーレス化も進みつつあり、紙文書の管理負担や保管スペースが徐々に減少。システム機能改修などの運用管理負担も大幅に軽減されています。

Paramount Bed Co Ltd

2020年に策定した「中期経営計画」を支えるため、10年後まで見据えた基幹システムの構築へ

1947年に創業し、病院用ベッドの専業メーカーとして事業をスタートしたパラマウントベッド株式会社 (以下、パラマウントベッド)。その後、高齢者施設の運営や在宅介護へも事業を拡大し、近年はヘルスケア分野を中心とした事業の多角化を推進しています。現在では医療/介護事業者向けのベッドやマットレス、医療福祉機器/家具などの製造販売や、これらの輸出入、リース、レンタル、保守、修理などの事業を展開。2020年 5月には、2030年を見据えた「中期経営計画」を発表し、その後も計画を上回る成長を続けています。

このような企業経営を支えるために進められているのが ERPの刷新です。パラマウントベッドは 1998年に「製造業に強い ERP」を導入していましたが、これを Dynamics 365に入れ替えつつあるのです。

「事業拡大に伴う業態の変化によってグループ会社も増え、現在では国内だけでもパラマウントベッド、パラテクノ、パラマウントケアサービスという 3つの事業会社と、これらを統括するパラマウントベッドホールディングスでグループを構成しています」と語るのは、パラマウントベッドホールディングスで常務取締役を務める木村陽祐氏。その結果、既存の ERPでは対応できないことも増えていたと振り返ります。ERPでカバーできない業務機能は別システムとして追加されていったため、基幹システム全体が「個別最適化されたサブシステム」の集合体になっていたのです。

「個々のシステムは業務に合わせて設計および構築していったものであるため、それぞれの機能はよくできており、ユーザーもそれらの使い勝手に満足していました。しかし 1つの業務を行うために複数システム画面を操作する必要があり、3~ 4画面を切り替えながら作業するのが日常的になっていました。また ERPを入れていたにもかかわらず、紙による申請や決裁が多いという問題もありました。個別最適化されていたシステムどうしが完全に連携していなかったため、ペーパーレス化の推進が困難だったのです」 (木村氏)。

このままでは 2030年に向けた企業成長を支えることはできないと判断。ERPを含めた基幹システム全体の刷新に向けた検討を開始することになります。

「2020年には、2030年に向けた目指すべき姿『パラマウントビジョン2030』と、同ビジョンに基づく3つのフェーズに分かれた『中期経営計画』を策定しました。そこでこれを機に、10年後まで見据えた基幹システムを構築することになりました」 (木村氏)。

その検討段階では、主要な ERP製品を遡上に載せた徹底的な比較検討を実施。その結果選ばれたのが、Dynamics 365 Customer Insights、Dynamics 365 Customer Service、Dynamics 365 Field Service、Dynamics 365 Finance、Dynamics 365 Sales、Dynamics 365 Supply Chain Managementといった製品を含む統合的なビジネスアプリケーションである Dynamics 365だったのです。

紀野國 靖士 氏, DXプラットフォームセンター シニアマネージャー, Trust Base 株式会社

まず最も重視したのは、当社が必要とする機能をどこまでカバーできるのかという『Fit率 (適合率)』の高さです。今回の ERP 刷新では、既に 50 を超えていたサブシステムの数を大幅に削減することを目指しました

木村 陽祐 氏, 常務取締役, パラマウントベッド ホールディングス株式会社

幅広い機能カバレッジを評価し Dynamics 365を採用

「今後 10年を見据えた ERP」として Dynamics 365を選んだ理由について、木村氏は次のように説明します。

「まず最も重視したのは、当社が必要とする機能をどこまでカバーできるのかという『Fit率 (適合率)』の高さです。今回の ERP刷新では、既に 50を超えていたサブシステムの数を大幅に削減することを目指しました。その中には CRM領域の機能も含まれており、Dynamics 365以外の製品では対応できませんでした」。

また、ERPの内部にまで手をいれるカスタマイズを行うと、ERP製品のバージョンアップ時の対応負荷が大きくなることから、今回は「Fit to Standard (標準機能に手を加えることなくそのまま利用すること)」を前提にすることも決定。これも「適合率を重視する」という判断につながったと語ります。

Dynamics 365の採用を決定したうえで、要件定義を実施。2021年 3月には導入プロジェクトをキックオフしています。ここからさらに業務要件を深掘りし、2022年 1月に基本設計をスタート。同年 7~ 12月にかけて開発を行い、2023年 1月からの受け入れテストを実施したうえで、2023年 10月にパラマウントベッドとパラテクノへの導入が実施されます。さらに、2024年 1月にパラマウントケアサービス、2024年 4月にパラマウントホールディングスへと導入し、国内グループ会社への展開が完了しています。

導入されたシステムは、Dynamics 365やデータ活用基盤が Azure上で稼働しており、インターネットや Azure ExpressRouteを介してオンプレミス環境とも接続されています。

なお、基本設計をスタートした 2022年 1月からは、FastTrack for Dynamics 365も活用しています。これは、Dynamics 365の導入、展開、活用を支援するため、専門家によるガイダンスや各種セルフサービスツール、「Success by Design」という手法に基づく各種リソースなどを提供する、Microsoftの無償サービスです。これを活用することで、より短期間で確実に Dynamics 365の導入、展開、活用を進めていくことが可能になります。

このタイミングで FastTrack 活用を開始した理由について「ちょうどこのころに、ERP機能と CRM機能を連携するための新しいツールが登場し、それを適切に活用するために FastTrack の力を借りましょうと、導入パートナーに提案されたからです」と説明するのは、パラマウントベッドでシステム統括部部長を務める浅沼久悦氏です。ここで FastTrackのエキスパートに参画してもらった結果、その後も継続的に伴走支援してもらうことになったと振り返ります。

「FastTrackのエキスパートは技術的スキルが高く、使い方に関する細かい議論ができる一方で、マイクロソフト製品全般に関する幅広い視野も持っています。また稼働後に注意すべきポイントなども提案してくださったため、展開計画も立案しやすくなりました。さらに今回は、オンプレミスで運用していた基幹システムを丸ごとクラウドへと移すことにしたため、セキュリティ関連の知見をいただけたことも助かりました。これだけ優れたサービスなら基本設計段階からではなく、要件定義段階から活用すべきでした」 (浅沼氏)。

紀野國 靖士 氏, DXプラットフォームセンター シニアマネージャー, Trust Base 株式会社

このような追加開発を、ERP 内部に一切手を加えない形で実現できることも、Dynamics 365 の重要な特長です。そのため Dynamics 365 のバージョンアップ時の影響も、最小限に抑えることが可能です。また Power Apps や Power Automate など、自由度の高い汎用的な開発ツールが用意されていることも、エンジニアにとっては非常に魅力的です

浅沼 久悦 氏, システム統括部 部長, パラマウントベッド株式会社

Dynamics 365の画面だけで業務が完結、ペーパーレス化も一気に進む

Dynamics 365への移行によって ERPでカバーできる業務領域が拡大し、50以上あったシステムは 1 0程度にまで削減。以前は受注から出荷まで複数のシステムを使う必要がありましたが、現在では Dynamics 365だけを使うだけでよくなり、一貫性のあるユーザーインターフェイスで業務が完結するようになりました。業務に関する各種データも Dynamics 365に集約されており、それらを Power BIによって可視化し中間管理職や現場社員の意思決定に活かす、という取り組みも始まっています。

ペーパーレス化も進みました。「現在では紙で行われる業務が減り、月間 3~ 4万枚の紙が不要になりました」と浅沼氏。しかし重要なのは紙自体のコストではなく、その管理負担や保管スペースが減りつつあることだと言います。「ISO9001や J-SOXなどを遵守するには、これらが定める文書管理の要件を満たす必要があり、その作業にかなりの時間がかかっていました。ペーパーレス化が進むことによって、これらの作業や確保すべき場所に関する心配が減りました」。

もちろんシステム管理の負担も軽減しています。たとえばあるシステムの機能を改修する場合、以前は関連するシステムをすべて洗い出す必要があり、その作業にかなりの時間が費やされていましたが、今では「見るべき範囲」が大きく絞り込まれています。また決算期には、以前はシステム部門が ERPに SQL文を投入して決算に必要なデータを抽出していましたが、Dynamics 365はユーザー自身が Excelファイルにデータをエクスポートできるため、この作業も不要になりました。

ただし「Dynamics 365への移行はすべて順調に進んだわけではなく、課題も残されています」と指摘するのは木村氏です。その 1つとして挙げられたのが「Fit to Standard」に対するユーザーからのフィードバックや期待だと言います。「以前のシステムは個別最適化されていたためユーザーの満足度が高かったのですが、Fit to Standardでは業務をシステムに合わせる必要があります。これに率直なフィードバックを寄せる社員が少なくないのです」。

このような状況を解決するため、ユーザーに対するヒアリングを改めて実施。2024年 10月からはその意見に基づき、Power Platformなどを活用しながら、新規機能の追加開発が進められています。

「このような追加開発を、ERP内部に一切手を加えない形で実現できることも、Dynamics 365の重要な特長です。そのため Dynamics 365のバージョンアップ時の影響も、最小限に抑えることが可能です。また Power Appsや Power Automate など、自由度の高い汎用的な開発ツールが用意されていることも、エンジニアにとっては非常に魅力的です」 (浅沼氏)。

今後は追加開発によってユーザー満足度を高めたうえで、海外用の「ひな形システム」を作成する予定。その後さらに数年かけて、海外拠点や海外グループ会社に展開していく計画です。

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