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2025/4/4

トヨタコネクティッドは、新たな事業の種として Azure AI を用いた「店舗 AI 音声」を構想、マルチエージェント化を視野に入れたアーキテクチャをわずか 2 日で構築

モビリティと IT を軸としたビジネスを展開するトヨタコネクティッドの中で、次世代の事業の柱を見つけ具現化することをミッションとしている先行企画部。ここで生まれたのが、生成 AI を活用した「店舗内AI音声」で店舗内放送を変革していくというアイデアでした。これをマイクロソフトのハッカソン形ワークショップ Azure Light-up で提案したところ、参加者全員が「面白い」と評価。その翌週にはわずか 2 日間で、実際に動くシステムが作られています。

構築されたシステムは、独立性の高い 5 つの機能モジュールで構成されており、これらがオーケストレーション機能で連携するようになっています。このアーキテクチャのベースとなったのは、マイクロソフトが提唱するマルチエージェントの考え方でした。Azure AI  音声で生成される音声はきわめて自然な発音を実現しており、アプリケーションコード内で音質やトーンを選択できるため、カスタマイズにも向いていると評価されています。

実際に複数の小売業者や広告代理店にデモとインタビューを行った結果、「人が録音しなくてもこれだけ自然な音声が生成できるのか」「これなら導入したい」という声をいただいています。店舗内放送での生成 AI 活用は、シナリオ作成や録音のコスト削減、オンデマンド コンテンツ追加による地域情報の発信やそれによる来店動機創出などの効果が期待されていますが、他にも災害情報の迅速な反映やインバウンドへの対応、小売店舗以外での活用などのアイデアも生まれています。

Toyota Connected

未来を先取りした事業として「店舗内音声」での生成 AI 活用を構想

トヨタ自動車株式会社の顧客向け IT を推進する戦略ビジネスユニットとして、2000 年に設立された「ガズーメディアサービス株式会社」。その後複数回の社名変更を経て、2017年に今の社名になったのがトヨタコネクティッド株式会社 (以下、トヨタコネクティッド) です。その主な事業は、安心安全で快適便利なドライブ体験をサポートするコネクティッドサービスと、新たなモビリティサービス創出に向けたビッグデータ活用基盤の構築やソリューション開発。2011年にはマイクロソフト・コーポレーションとの資本提携も行っており、クルマと ITを軸とした事業を展開しています。

最近では、クルマの枠を超えモビリティ社会全体に向けた事業への取り組みも行われています。この活動を担っているのが、2019 年に設置された「先行企画部」です。

「弊社は、『人とクルマと社会をつないで豊かで心ときめくモビリティ社会の創造』をビジョンに掲げています。その中で先行企画部は、『未来を先取りする集団として責任を持って味見 (トライ) する』を組織のパーパスと定義しています」こう語るのは、トヨタコネクティッド 先行企画部 新規ビジネス推進室 新ビジネス企画2G で GM を務める杉原 健一郎 氏。「トヨタコネクティッドは、現トヨタ自動車会長の豊田 章男 氏が設立した会社です。いま、100 年に 1 度の変革期と言われる自動車業界にあって、クルマだけでなくモビリティ社会全体をよりよくするために事業を通じて社会課題を解決することに本気で取り組んでいます」。

ここで今進められているプロジェクトの 1 つが、「店舗内音声」における生成 AI の活用です。

「社内には以前から将来のコネクティッドサービスとして、生成 AI と音声を組み合わせるというアイデアがありましたが、それを小売業の店舗放送でも使えないかと考えました。実際に小売店舗の方にヒアリングすると、お客様対応などの現場の負荷軽減や来店動機の創出という課題に対して生成 AI×音声による解決の可能性があることが分かりました。我々としては、このような異業種の事例も含めて最適な顧客体験を科学し続けることで、クルマの中やモビリティ社会へ新たな視点を持ち込めればと考えています」 (杉原 氏)。

杉原 健一郎 氏, 先行企画部 新規ビジネス推進室 新ビジネス企画2G GM, トヨタコネクティッド株式会社

“以前から、マイクロソフトに生成 AI 活用の話を伺っていましたが、Azure Light-up で店舗内音声の話をしたところ、参加者全員が面白いねと反応してくれました。その後すぐに、Azure のエキスパートがこれを実現するためのアーキテクチャをホワイトボードに書き出し、具体的なアイデアもどんどん出てきました。そのスピード感はとても印象的でした”

杉原 健一郎 氏, 先行企画部 新規ビジネス推進室 新ビジネス企画2G GM, トヨタコネクティッド株式会社

Azure Light-up でアイデアを披露、その場で専門家がアーキテクチャを提案

このアイデアが披露されたのは、2024 年 9 月 12 日に開催された「Azure Light-up」。これはユーザー企業とマイクロソフトのパートナーである株式会社ゼンアーキテクツが、ハッカソン形式でクラウド ネイティブなシステムを構築するためのプログラムであり、この Azure Light-up にはトヨタコネクティッドの先行企画部とゼンアーキテクツのほか、トヨタコネクティッドの AI統括部、マイクロソフトのアプリイノベーション スペシャリスト、本社所属の専門組織であるグローバルブラックベルトも参加していました。なお AI統括部はトヨタコネクティッド社内の生成 AI 活用を推進するための部署ですが、生成 AI を活用した事業開発の支援も業務領域に含まれています。

このAzure Light-upについて、杉原氏は次のように述べています。

「以前から、マイクロソフトに生成 AI 活用の話を伺っていましたが、Azure Light-up で店舗内音声の話をしたところ、参加者全員が面白いねと反応してくれました。その後すぐに、Azure のエキスパートがこれを実現するためのアーキテクチャをホワイトボードに書き出し、具体的なアイデアもどんどん出てきました。そのスピード感はとても印象的でした」。

山本 玄人 氏, AI統括部 AI技術室 室長, トヨタコネクティッド株式会社

“第 2 回目の Light-up は実装を主軸にしたものですが、わずか 2 日間で動くものを作り上げることができました。Azure はデプロイやサービス立ち上げが簡単で、セキュリティも組み込まれており、信頼できるシステムを作りやすいからです。また音声に関しても、声質やトーンが豊富に用意されており、その選択をコード内で行えるため、カスタマイズに向いていると感じました”

山本 玄人 氏, AI統括部 AI技術室 室長, トヨタコネクティッド株式会社

わずか 2 日でアーキテクチャを構築、各コンポーネントの独立性を強く意識

その翌週には 2 回目の Light-up を開催。この時はトヨタコネクティッドの AI統括部とマイクロソフト、ゼンアーキテクツが参加し、実際に動くものが作り込まれていきました。これについてトヨタコネクティッド AI統括部 AI技術室 室長の山本 玄人 氏は、次のように語っています。

「第 2 回目の Light-up は実装を主軸にしたものですが、わずか 2 日間で動くものを作り上げることができました。Azure はデプロイやサービス立ち上げが簡単で、セキュリティも組み込まれており、信頼できるシステムを作りやすいからです。また音声に関しても、声質やトーンが豊富に用意されており、その選択をコード内で行えるため、カスタマイズに向いていると感じました」。

ここで構築されたシステムは図に示すとおり。そのシステム構成の特長について、実際に構築を担当したトヨタコネクティッド AI統括部 AI技術室 室付の井野 幸治 氏は、次のように説明します。

「システムは大きく 5 つのブロックに分かれています。Azure Static Web Apps 上のユーザー アプリ、Azure Functions 上のオーケストレーション機能、Azure OpenAI Service と Azure AI 音声によるシナリオ/音声生成、外部からデータを収集するためのAIと Cosmos DB、そして音源を格納した Azure Blob Storage です。強く意識したのは、個々のブロックの独立性を高め、オーケストレーションで連携させることです」。

井野 幸治 氏, AI統括部 AI技術室 室付, トヨタコネクティッド株式会社

“システムは大きく 5 つのブロックに分かれています。Azure Static Web Apps 上のユーザー アプリ、Azure Functions 上のオーケストレーション機能、Azure OpenAI Service と Azure AI 音声によるシナリオ/音声生成、外部からデータを収集するための AIとCosmos DB、そして音源を格納した Azure Blob Storage です。強く意識したのは、個々のブロックの独立性を高め、オーケストレーションで連携させることです”

井野 幸治 氏, AI統括部 AI技術室 室付, トヨタコネクティッド株式会社

店舗内音声のアイデアと親和性が高いマルチエージェントという世界観

ここで注目したいのが、マイクロソフトが 2024 年 10 月に発表した「Agentic World」の世界観にも沿った構成になっていることです。マイクロソフトのアプリ イノベーション スペシャリストである宮坂 航亮は、次のように述べています。

「Agentic World とは、複数の AI エージェントを連携させることでより高度な処理を自律的に行い、全体としてユーザーの価値を提供するという世界観です。マルチエージェントの考え方は Agentic World の発表前からマイクロソフト社内にありましたが、店舗内音声はその絶好のユースケースだと感じました。そこでトヨタコネクティッド様と一緒に、このようなアーキテクチャを構築することにしました」。

杉原 氏も「マイクロソフトが提示したマルチエージェントの考え方は、私たちのアイデアとの親和性が高いと感じました」と述べています。「外部から情報を収集するエージェント、その情報を使ってシナリオを作るエージェント、そして音声を出すエージェントを連携させれば、店舗内音声はもちろんのこと、さまざまな用途に応用できると考えました」。

宮坂 航亮, クラウド&AIソリューション事業本部 インテリジェントクラウド統括本部 Azure営業本部 アプリイノベーションスペシャリスト, 日本マイクロソフト株式会社

“Agentic World とは、複数の AI エージェントを連携させることでより高度な処理を自律的に行い、全体としてユーザーの価値を提供するという世界観です。マルチエージェントの考え方は Agentic World の発表前からマイクロソフト社内にありましたが、店舗内音声はその絶好のユースケースだと感じました。そこでトヨタコネクティッド様と一緒に、このようなアーキテクチャを構築することにしました”

宮坂 航亮, クラウド&AIソリューション事業本部 インテリジェントクラウド統括本部 Azure営業本部 アプリイノベーションスペシャリスト, 日本マイクロソフト株式会社

コスト削減と来店機会の増大に期待、新たな活用アイデアも続々と誕生

最初のシステムを構築後、約 1 か月間の調整を行った上で、2024 年 11 月からは小売業者のニーズ調査にも着手。大手小売チェーンと広告代理店を対象としたインタビューが行われています。

「Azure 上で生成された音声のデモも行っていますが、複数の小売業者様から “人が録音しなくてもこれだけ自然な音声が作れるのか” “これならぜひ導入したい” という声をいただいています」と話すのは、トヨタコネクティッド 先行企画部 新規ビジネス推進室 新ビジネス企画2G の三角 壮 氏。また広告代理店からも「これは革新的だ」という反応をもらっていると言います。

「生成 AI で店舗ごとにカスタマイズした放送が可能になれば、各店舗のキャンペーンをオンデマンドで組み込むことができ、地域のイベント紹介なども可能になります。最近は EC でモノを買う時代になっており、どう実店舗に足を運んでもらうか、来店動機の工夫に悩む店舗が増えていますが、地域密着型の店舗内放送で愛着を感じてもらえれば、来店機会の増加につながるはずです。また本部にとっても、シナリオ作成や録音のコストを削減できるというメリットがあります」。

このように生成 AI による店舗内音声には大きな可能性がありますが、他にもさまざまな活用アイデアが、ニーズ調査の中で生まれています。

「例えば、日本は災害が多いので、災害に関する情報をリアルタイムで店舗内放送に反映できないかという話をいただいています」と三角 氏。また「インバウンド対応のために、日本語の後にすぐ各国語で放送したいというニーズも出てきています」と語ります。さらに広告代理店からは、レジャー施設や駅や公共施設のコンコースにおけるアナウンスでも活用できるという意見が出ていると言います。

三角 壮 氏, 先行企画部 新規ビジネス推進室 新ビジネス企画2G, トヨタコネクティッド株式会社

“生成AIで店舗ごとにカスタマイズした放送が可能になれば、各店舗のキャンペーンをオンデマンドで組み込むことができ、地域のイベント紹介なども可能になります。最近は EC でモノを買う時代になっており、どう実店舗に足を運んでもらうか、来店動機の工夫に悩む店舗が増えていますが、地域密着型の店舗内放送で愛着を感じてもらえれば、来店機会の増加につながるはずです。また本部にとっても、シナリオ作成や録音のコストを削減できるというメリットがあります”

三角 壮 氏, 先行企画部 新規ビジネス推進室 新ビジネス企画2G, トヨタコネクティッド株式会社

海外展開も視野に、マイクロソフトと一緒なら容易と評価

このようなニーズ調査を続けながら、次の段階では店舗内で実際に使えるサービスを実際に提供することで、正式導入を前提とした実証実験を予定しています。そこで来店されるお客様の反応やコスト削減効果、売上高向上効果を定量的に計測したうえで、新規事業として立ち上げていく計画です。

「さらにその延長線上には海外の可能性もあると感じています。」と杉原 氏。音声を流している店舗は世界中にあり、店舗内音声のマーケットは非常に広いのだと言います。「マイクロソフトと一緒に取り組むことで、日本以外も視野に入れやすくなると考えています」。

最後に、トヨタコネクティッド AI統括部で主査を務める原 宣孝 氏は、今回のプロジェクトについて次のように述べています。

「今はまだエージェントそれぞれが高度な推論をしているわけではないため、Agentic World で描かれているマルチエージェントだと言い切ることはできませんが、それを実現するための基盤は構築できました。今後さらにエージェントの数と精度を向上させ、マルチエージェント化を進めていくことになるでしょう。また生成 AI そのものも、今後さらに進化していくはずです。その進化に合わせて、私たちの使い方も進化させ続けていく必要があると考えています」。

店舗内音声における生成 AI 活用が、実際にどのような成果を挙げていくことになるのか。そしてシステムの構成や使い方がどのように変化していくのか。トヨタコネクティッドの新たな挑戦に、これからも目が離せません。

原 宣孝 氏, AI統括部 主査, トヨタコネクティッド株式会社

“今はまだエージェントそれぞれが高度な推論をしているわけではないため、Agentic World で描かれているマルチエージェントだと言い切ることはできませんが、それを実現するための基盤は構築できました。今後さらにエージェントの数と精度を向上させ、マルチエージェント化を進めていくことになるでしょう。また生成 AI そのものも、今後さらに進化していくはずです。その進化に合わせて、私たちの使い方も進化させ続けていく必要があると考えています”

原 宣孝 氏, AI統括部 主査, トヨタコネクティッド株式会社

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