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2025/04/11

富士フイルムソフトウエアが、オンプレミスのスケールアウト NAS を Azure NetApp Files へと移行し、5 年間の TCO を 55% 削減

富士フイルムソフトウエア株式会社は、フォトイメージング事業で使われていたオンプレミスの仮想マシンを、2021 年に Microsoft Azure へとクラウド リフトしました。しかし、ファイルを保管するスケールアウト NAS はそのままオンプレミスに残され、ハイブリッド構成で運用されていました。

この NAS も、2023 年に Microsoft Azure へと移行しました。ここで採用されたのが Azure NetApp Files です。採用理由は高いピーク性能とスケーラビリティに加え、性能を動的に変更できアクセス負荷に合わせてコストを最適化できることでした。

ファイル移行時に棚卸しを行うことでファイル容量を大幅に削減し、アクセス頻度の増減が少ないファイルは Azure Files も併用することで、大きなコスト メリットを享受しています。5 年間の TCO はオンプレミス NAS に比べて 55% 削減。移行作業も robocopy を使って低コストで実行されています。

FujiFilm

クラウド リフトの際にはコストの観点から見送られた、スケールアウト NAS のクラウド化

1934 年の創業以来、写真分野のリーディング カンパニーであり続けると共に、市場ニーズの変化を捉えて事業ポートフォリオを変化させながら、常に新たな価値を提供し続けている富士フイルム グループ。その中で 1990 年に設立され、ソフトウエア開発の中核会社として重要な役割を担っているのが、富士フイルムソフトウエア株式会社 (以下、富士フイルムソフトウエア) です。その主要事業の 1 つである「フォトイメージング事業」では、サービスを支えるシステムが段階的にクラウド化されています。

「フォトイメージング事業では、デジタル カメラ データのプリントや、フォト ブックの作成、お気に入りの写真によるインテリア雑貨やグッズの作成、カレンダーや年賀状、ポストカードの作成など、多岐にわたる写真プリント サービスを提供しています」と事業内容を説明するのは、富士フイルムソフトウエア ソフトウエア開発本部 ネットワークソリューショングループの溝口 権介 氏。このような一般消費者向けのサービスに加えて、プロ写真家を対象としたサービスなども手掛けていると語ります。「対象システムで提供しているサービス数は 80 あり、そのためにオンプレミスにある 69 台の物理機器の上で、 153 の仮想マシンを稼働させていました」。

これらのクラウド化に向けた検討が始まったのは 2019 年。2006 年から稼働を開始していたオンプレミス システムの老朽化対策に伴い、高額投資が発生する見込みになったことが、その大きなきっかけとなったと溝口 氏は振り返ります。このタイミングでシステムのあるべき姿について検討した結果、クラウド化に踏み切ることになったのです。

クラウド サービスの選定段階では、まずはできるだけアプリケーションの改修などを行わず、そのままクラウドに「リフト」できることを重視。その結果採用されたのが、Azure でした。

「リフトしたシステムの多くは Windows Server で稼働しており、データベースもマイクロソフトの SQL Server を利用していました。これらをそのままリフトするのであれば、Windows Server との親和性が高い Azure の選択は必然でした。また Azure であれば SQL Server を PaaS 化でき、コスト面での優位性もあります」 (溝口 氏)。

2021 年にはサーバー群のリフトと SQL Server の PaaS 化を実現。ただし、写真データなどを保存するNASはオンプレミス上に残し、ハイブリッド クラウド構成にすることが決まります。

「Azure Files Premium でクラウド化することも検討したのですが、オンプレミスで使っていたスケールアウト NAS である Isilon (現在のDell PowerScale) とコスト比較した結果、求める性能と容量で契約するとコスト メリットが得られないことがわかりました。フォトイメージング事業は富士フイルム グループの収益基盤であるため、他社との競争を考えるとコスト上昇にはセンシティブです。またこのころは、Azure Files に比べて性能の柔軟性が高く、コスト メリットも得られそうな Azure NetApp Files が登場していましたが、まだ日本リージョンには未展開だったため採用を見送りました」。

溝口 権介 氏, ソフトウエア開発本部 ネットワークソリューショングループ, 富士フイルムソフトウエア株式会社

“PoC を実施した結果、Azure NetApp Files はオンプレミスのスケールアウト NAS に匹敵する性能とスケーラビリティ、安定性を発揮しました。他にも NAS をクラウド化するサービスを検討しましたが、これが最も優れていました”

溝口 権介 氏, ソフトウエア開発本部 ネットワークソリューショングループ, 富士フイルムソフトウエア株式会社

性能を動的に変更できる Azure NetApp Files であれば、コストを最適化できると判断

もちろんスケールアウト NAS に関しても、「いずれはクラウド化すべき」だと考えていたと溝口 氏。2022 年にはその決断を後押しする、ある決定が下されることになります。スケールアウト NAS が稼働していたオンプレミスの共用データセンターが、2023 年 10 月に稼働を終了することになったのです。

「これが新たな理由となり、改めてスケールアウト NAS のクラウド化に向けた検討がスタートしました」と言うのは、富士フイルムソフトウエア ソフトウエア開発本部 ネットワークソリューショングループで研究員を務める藤村 信和 氏。ここでも最も重視されたのは、性能を確保しながらコスト メリットをどう出すかだったと語ります。そのために採用検討の対象となったのが、2021 年に採用が見送られた Azure NetApp Files。その理由について藤村 氏は次のように説明します。

「まず初めにコスト メリットの大きいオブジェクト ストレージの採用を検討しました。しかし、生産拠点のレガシーなシステムとの連携が制約となり、全てのアプリケーションをモダナイズすることは適いませんでした。一方で Azure Files でコスト メリットが出ないと判断された最大の理由は、いったん利用を開始すると性能が固定され、アクセスが少ない時期でも性能を落としてコストを下げる、ということができなかったからです。しかしフォトイメージング事業のサービスは、年末や卒業式シーズンに利用が集中するため、性能を動的に変更できることが望まれます。これを簡単に実現できるのが Azure NetApp Files です。またサービス毎に性能値を設定できることや、ベースが NetApp なので Windows OS の CIFS や SMB に加えて、Linux の NFS にネイティブ対応できることも評価しました」。

もちろん正式採用を行うには、実際に性能変更を円滑にできるのか、顧客に提供するサービスで安全に使えるのか、といったことを検証しなければなりません。そこで富士フイルムソフトウエアでは 2022 年 2 月に、Azure NetApp Files の PoC を実施しています。

「ここで NAS への負荷が最も高いサービスをピックアップし、性能検証を行いました」と溝口 氏。また SMB と NFS で同時利用が可能なのか、稼働が安定しているかなども評価されたと言います。「Isilon の性能やスケーラビリティ、安定性は非常に優れていますが、Azure NetApp Files はこれに匹敵するものでした。他にも Isilon をクラウド化できるサービスを検討しましたが、コストや性能、安定性において、Azure NetApp Files に優位性があり採用を決定しました」。

2023 年 3 月には Azure NetApp Files への移行を正式決定。より大きなコスト削減効果が得られるように、さらに 2 つの取り組みが行われています。

藤村 信和 氏, ソフトウエア開発本部 ネットワークソリューショングループ 研究員, 富士フイルムソフトウエア株式会社

“フォトイメージング事業のサービスは、年末や卒業式シーズンに利用が集中するため、性能を動的に変更できることが望まれます。Azure NetApp Files であればこれを実現できるうえ、サービスごとに性能値を設定できることや、Linux の NFS にネイティブ対応できることも評価しました”

藤村 信和 氏, ソフトウエア開発本部 ネットワークソリューショングループ 研究員, 富士フイルムソフトウエア株式会社

ファイルの棚卸しで容量を大幅に削減、アクセス頻度の低いファイルは Azure Files も併用

1 つは、移行対象となるデータの容量削減です。各サービスを主管する事業部門に対し、移行対象の容量とそれに対するコストを明示したうえで、データの棚卸しを依頼したのです。

「オンプレミスでは約 200 TB のファイルがありましたが、PoC を開始したタイミングで移行対象ファイルは 70 TB 程度になるだろうと予測していました。その後、事業部門に棚卸しを依頼した結果、最終的な容量は 15 TB にまで削減されています。オンプレミスではなかなかコスト意識が高まらなかったため、多くのデータが塩漬けのまま保存されていたことがわかりました」 (藤村 氏)。

もう 1 つの工夫は、Azure NetApp Files だけではなく、Azure Files も併用していることです。アーカイブ データのようにアクセス頻度が常に低いことがわかっているものは、性能設定を低く抑えた Azure Files に置くことで、より安価にファイルを保存できるようにしたのです。移行時点では、Azure NetApp Files に約 10 TB、Azure Files に 5 TB のファイルが保存されています。

「ファイル移行は Windows Server の robocopy で行いました」と言うのは、富士フイルムソフトウエア ソフトウエア開発本部 ネットワークソリューショングループの岩本 年弘 氏。まずフォルダごとに全ファイルをコピーし、その後は差分コピーを継続、2023 年 5 月に平日夜間帯での切り替えが実施されたと言います。「この際にマルチスレッド機能と帯域制御を組み合わせて、通常業務に影響を与えない範囲でコピー スピードを高めています。従来のツールや手法を採用できたことで、安心してファイル移行を進められました」。

ファイル保存を Azure に移行したことで、運用面でもメリットが生まれています。「オンプレミス システムでは運用管理に Nagios とスケールアウト NAS 専用の管理ツールを使ってストレージ監視を行っていました。Azure NetApp Files と Azure Files は、既にリフトした仮想サーバーと同じように、Azure Monitor で統合管理できます。複数のツールを使う必要がなくなったのです」 (藤村 氏)。

それでは肝心のコスト メリットは、どれだけ得られると試算されているのでしょうか。オンプレミスのスケールアウト NAS と比較して、Azure NetApp Files と Azure Files の組み合わせは、5 年間の TCO を約 55% 下げられることがわかっています。

「対象システムのクラウド化の第 2 段階を完了し、当初掲げていた「持たない IT への変革」を実現できました」と溝口 氏。今後は、クラウドのメリットをさらに享受するためリフトした仮想マシン上で動いているアプリケーションを「シフト (モダナイズ)」していきたいと語ります。

「モダナイズが進んでいけば、ファイル サービスから BLOB などへのデータ移行も進んでいくと思われますが、現行アプリケーションの中にはモダナイズが難しいものも存在します。それまで Azure NetApp Files と Azure Files の組み合わせは、今後も継続的に利用していくことになるはずです」。

岩本 年弘 氏, ソフトウエア開発本部 ネットワークソリューショングループ, 富士フイルムソフトウエア株式会社

“データ移行は Windows Server の robocopy で行いました。マルチスレッドや帯域制御の機能がそのまま使えたので、安心してデータ移行を進められました”

岩本 年弘 氏, ソフトウエア開発本部 ネットワークソリューショングループ, 富士フイルムソフトウエア株式会社

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