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2025/05/22

業務変革に取り組む JCB。Microsoft 365 Copilot の利用率を高め、業務効率化、生産性を大幅に向上

決済環境が変化する中、さらなる飛躍に向けて変革を進める JCB。生成 AI 活用では、レベル 1: 日常業務の効率化、レベル 2: 組織内の個別業務への適用、レベル 3: お客様向けサービスへの適用に分けて取り組みを進めている。レベル 1 の実現では、日常業務の効率化・生産性向上のための生成 AI を必要とした。

同社の従業員は日常業務で Word、Excel、PowerPoint などを利用。Microsoft 365 Copilot (以下、Copilot) は、使い慣れたタスクバーに Copilot アイコンが表示され、それをクリックするだけで利用できる。Copilot の導入時には、Microsoft 365 の製品条項やデータ保護規約を同様に参照することができ、スムーズにリスクアセスメントを終わらせることができた。

2024 年 6 月に Copilot 本格導入後、直近 (2025 年 3 月現在) で半年間平均 83% という高い月間利用率 を実現。また 2025 年 1 月に、ユーザーに実施したアンケートの結果、よく使用されるケーストップ 5 のユースケース合計で 1 人当たり平均約 6 時間 / 月の時間削減等による業務効率化が図れたことがわかった。2025 年度全社員(時給制契約社員を除く) に対し、Copilot ライセンス配布を計画中。

JCB Co Ltd

業務変革の実現に向けて生成 AI の活用に着手

日本発唯一の国際カードブランド運営会社である JCB。ブランドメッセージは、「世界にひとつ。あなたにひとつ。」です。「お客様志向」とともに、日本で生まれたアイデンティティを大切に、おもてなしの心、きめ細やかな心づかいといった「日本的」がメッセージに込められています。また、JCB はデジタル時代に適したプロダクトの開発に注力しています。さまざまなデジタルウォレットの対応、JCB タッチ決済、スマートフォンで簡単・安全に支払いができる NFC (近距離無線通信) タグ決済など、さまざまな決済ソリューションを展開しています。

金融と IT の融合による FinTech が進み、決済環境が大きく変化する中、JCB はさらなる飛躍に向けて変革を進めています。変革に向けたキーテクノロジーの 1 つが AI です。同社は、AI を活用した会員審査や、加盟店の審査・登録の自動化など積極的に AI 活用を進めています。2023 年に、同社は業務効率化や生産性向上を目指し生成 AI の活用に着手。JCB 総合企画部 経営企画グループ 副主事 赤坂 浩史 氏は、生成 AI 活用における 3 つのレベルについて説明します。

「生成 AI 活用は、業務変革を目的とする、レベル 1: 日常業務の効率化、レベル 2: 組織内の個別業務への適用、レベル 3: お客様向けサービスへの適用の 3 つの層に分けて取り組んでいます。レベル 1 は、例えるなら生成 AI を活用するための筋力トレーニングです。基礎となるスキルを磨くことで、レベル 2・3 につながり成果を最大化できます。従業員の誰もが日常業務で使える生成 AI を求めていました」

2023 年 11 月、Microsoft 365 アプリに搭載された AI アシスタント Microsoft 365 Copilot(以下 Copilot) の法人プランの提供が開始されました。同社は、生成 AI を日常業務で利用するレベル 1 の実現を目指し、2024 年 1 月に 440 ライセンスを先行導入。実際の業務で Copilot を利用し評価する PoC (概念実証) を実施しました。

赤坂 浩史 氏, 総合企画部 経営企画グループ 副主事, 株式会社ジェーシービー

“生成 AI 活用は、業務変革を目的とする、レベル 1: 日常業務の効率化、レベル 2: 組織内の個別業務への適用、レベル 3: お客様向けサービスへの適用の 3 つの層 に分けて取り組んでいます。レベル 1 は、例えるなら生成 AI を活用するための筋力トレーニングです。基礎となるスキルを磨くことで、レベル 2・3 につながり成果を最大化できます。従業員の誰もが日常業務で使える生成 AI を求めていました”

赤坂 浩史 氏, 総合企画部 経営企画グループ 副主事, 株式会社ジェーシービー

インタビュイー2名のインタビュー時画像

Microsoft 365 環境のもと速やかに Copilot の PoC を実施

Copilot 導入を決意した理由について、株式会社ジェーシービー システム本部 システム企画部 戦略グループ 前澤 英亜 氏は話します。

「当社の従業員は、日常業務で Word、Excel、PowerPoint などを使っています。使い慣れたタスクバーに Copilot アイコンが表示され、それをクリックするだけで利用できるというイメージがすぐに浮かびました。Copilot は、日常業務の延長に存在しているため、浸透すると確信しました。Copilot 導入時には、Microsoft 365 の製品条項やデータ保護規約を同様に参照することができ、スムーズにリスクアセスメントを終わらせることができました」

PoC において、初期導入分の Copilot 440 ライセンスが約 70 ある全部署に行き渡るように配慮したと赤坂氏は話し、こう続けます。「人選は、各部署のマネージャーに任せました。ただ、多様なデータを集めるために、役職や職種、年齢などを重複しないでほしいという要望を伝えました」

「Copilot の PoC は 2024 年 1 月から 3 月までの約 2 カ月間実施。最終段階で Microsoft Forms を使って評価に関するアンケートをおこないました。アンケートの結果、300 人中 7 割が、Copilot 活用により社内外の情報の収集・検索にかかる時間が減ったと回答し、1 人当たり平均約 5 時間 / 月の削減効果が期待できることがわかりました。この数字は、Copilot ライセンスの費用対効果に見合うと考えていたラインであり、次のステップに進むための根拠となりました。Copilot のライセンス数拡大はスムーズに決定しました。課題は、『生成 AI を使う習慣や文化をいかにつくっていくか』でした」 (赤坂氏)

同社は、2024 年 6 月に Copilot のライセンス数を 1,000 に拡大し、同年 10 月には これまでの募集・利用の傾向を踏まえて 1,600 に増やしました。「追加した 600 ライセンスに関しては挙手制にしました。メールで使いたい人を募集し抽選したのですが、抽選に外れた人数も数百人 と推測されます。それほど社内で関心が高いのです。ログなどを見て、使っていないユーザーに対しては権利を譲ってほしいというお話をし、ライセンス規約を参照したうえで、入れ替えもおこなっています」 (赤坂氏)

同社は、Copilot の利用者に対し、Copilot の基本操作などが学べる勉強会動画の受講、生成 AI 活用時のガイドラインと内容に関する確認小テストの受講を必須としました。間違いなく便利なテクノロジーなので、まずは使ってもらう・触ってもらうために動画を用意しました。その一方で、利用時のリスクなどのリテラシー教育も重要と考えていたため、動画と小テストを利用するための条件にしたのです。また、Microsoft SharePoint の掲示板機能で「生成 AI 社内活用コミュニティ」サイトを作成し、勉強会動画や Copilot に関する情報、Tips (ティップス、役立つヒント) 集などを掲載。生成 AI に関する情報交換の場となっています。

“Copilot の PoC は 2024 年 1 月から 3 月までの約 2 カ月間実施。最終段階で Microsoft Forms を使って評価に関するアンケートをおこないました。アンケートの結果、300 人中 7 割が、Copilot 活用により社内外の情報の収集・検索にかかる時間が減ったと回答し、1 人当たり平均約 5 時間 / 月 の削減効果が 期待できることがわかりました。この数字は、Copilot ライセンスの費用対効果に見合うと考えていたラインであり、次のステップに進むための根拠となりました。Copilot のライセンス数拡大はスムーズに決定しました。課題は、『生成 AI を使う習慣や文化をいかにつくっていくか』でした”

赤坂 浩史 氏, 総合企画部 経営企画グループ 副主事, 株式会社ジェーシービー

週次 Tips 配信で“使ってみよう”を引き出す。Copilot 活用促進のための一手

Copilot の活用を促進するうえでの課題は、利用者が自発的に活用できる環境をどう整えるか。最も有効な施策となっているのが、Microsoft Teams を使った週次 Tips 配信です。配信担当者の 1 人である前澤氏は、狙いと人気の理由を説明します。

「週次 Tips 配信は、役立つ情報の提供とともに、多忙で Copilot の存在を忘れていたユーザーに対し、利用する動機づくりを意識しています。システム企画部の担当者数名で Teams のチャットを使って投稿しており、当初は毎日おこなっていました。汎用的ではなく、業務で使うと便利なプロンプトや機能を中心としています。アイデア出しのプロンプトや、 1 日のタスクとスケジュールを Copilot に組み立ててもらうプロンプトなど内容は多彩です。ユーザーにヒアリングして好事例を収集し、その中からピックアップして配信するケースも増えています。個別で問い合わせがあったり、社内ですれ違う際に『Tips 配信を見てるよ』と声をかけてもらったり、役立っているという実感は投稿する私たちのモチベーションになっていると思います」

前澤氏は、「ポイントは、毎週 Tips がチャットで飛んでくるということです。『こんな使い方があるのか』という気づきが、『使ってみよう』という動機付けになると思います」と話します。

週次 Tips 配信の投稿記事で「良かった」ものに対し、ユーザーはスタンプを押して“推し”を伝えます。これまで最もスタンプが多かったのが、プロンプト共有機能です。「週次 Tips 配信で気に入ったプロンプトがあった場合、保存マークをワンクリックすると、自分の画面上の一覧に表示されます。次に使う時は一覧から選択するだけです。マイクロソフトから Copilot 新機能情報の提供を受ける中で、『待ち遠しかった』のがプロンプト共有機能でした」(前澤氏)

前澤氏は、「Copilot を最初に利用する際にハードルとなるのはプロンプトの入力です。プロンプト共有機能は、Copilot をより効率的に活用する手法として高く評価されました。」と付け加えます。

前澤 英亜 氏, システム本部 システム企画部 戦略グループ, 株式会社ジェーシービー

“週次 Tips 配信は、役立つ情報の提供とともに、多忙で Copilot の存在を忘れていたユーザーに対し、利用する動機づくりを意識しています。システム企画部の担当者数名で Teams のチャットを使って投稿しており、当初は毎日おこなっていました”

前澤 英亜 氏, システム本部 システム企画部 戦略グループ, 株式会社ジェーシービー

ユースケーストップ 5 合計 で 1 人当たり平均約 6 時間 / 月の効率化を期待

Copilot の月間利用率は、半年間平均で直近 (2025 年 3 月現在) が 83% でした。高い利用率の理由について赤坂氏は説明します。「月 1 回のマネージャー層が集まる会議で、社長は Copilot の活用を薦めるメッセージを伝えています。社長メッセージは社員向けポータルサイトで発信され、全社員が閲覧できます。週次 Tips 配信などユーザーに直接働きかける活動とトップダウンの相乗効果により、社内で Copilot を使う雰囲気が醸成されつつあると感じています。社長向けレクチャーも実施し、ワンクリックでメールの要約を見ることができるなど、時間の有効活用面のメリットに高い関心を持たれていました」

業務効率化において、同社は 1 回の会議 30 分以内など独自の会議ルールを定め、会議の生産性を高めるという取り組みをおこなってきました。Copilot 活用により、従来の取り組みとの相乗効果も出ています。2025 年 1 月に、時間削減効果の高かったユースケースに関するアンケートを実施した結果、会議関連 (議事録・要約・内容把握) がトップでした。

赤坂氏は、「議事録作成は、1 人当たり月 6 回は発生しており、その作業を効率化することで、確実に時間を削減できると見込んでいました。アンケート結果では、1 人当たり 1.4 時間 / 月の削減効果が出ているとの成果が得られました」と話します。

直近のユーザーアンケートでは、よく使用されるユースケーストップ 5の合計 で、1 人当たり平均約 6 時間 / 月の業務効率化が期待できることを検知しています。2 位は社内情報の収集・検索。関連情報や社内用語も検索できることが高く評価されています。5 位のメール要約も 1 人当たり 6.7 回 / 月とよく利用されていました。

トップ 5 以下は、Copilot が職種によって使い方が異なるといった特性が出ていました。「たとえば、7 位のアイデア出しは、営業担当者が事前に情報を整理し、どういう提案をもっていくか、Copilot と対話しながら考えをまとめていくのに使っていると思います。9 位の翻訳は、国際部門で英語や英語以外の言語の翻訳でよく利用されています。10 位のプログラムコードは 13 時間 / 月と大きな削減効果となりました。マーケティング部門などのデータ分析でプログラムコードを書く際に使われていると想定しています」(前澤氏)

“月 1 回のマネージャー層が集まる会議で、社長は Copilot の活用を薦めるメッセージを伝えています。社長メッセージは社員向けポータルサイト で発信され、全社員が閲覧できます。週次 Tips 配信などユーザーに直接働きかける活動とトップダウンの相乗効果により、社内で Copilot を使う雰囲気が醸成されつつあると感じています。社長向けレクチャーも実施し、ワンクリックでメールの要約を見ることができるなど、時間の有効活用面のメリットに高い関心を持たれていました”

赤坂 浩史 氏, 総合企画部 経営企画グループ 副主事, 株式会社ジェーシービー

生成 AI とつくるビジネスの未来、従業員 1 人ひとりを支援する Copilot の可能性

生成 AI のトレンドとして、特定の目的を達成するエージェントが注目を集めています。前澤氏は「業務フローに合ったエージェントをローコードで開発できる Microsoft Copilot Studio (コパイロットスタジオ)」に関して、本格展開に向けて検証を進めています」と話し、こう続けます。

「社内業務では、エージェントが役立つ作業が日常的・定期的に発生しています。『何かを指示したら自動で作業を完遂してくれる』といったパターンをどんどんつくっていきたいと思います。また、従業員個人の業務を支援する観点では Copilot エージェントに期待しています」(前澤氏)

同社は、2025 年度に全社員に対し、Copilot ライセンス配布を目指し準備を進めています。今後の Copilot 活用促進について赤坂氏は言及します。

「従業員の行動や習慣を分析する Microsoft Viva Insights により Copilot の利用状況を可視化しています。今後、マネージャーがダッシュボードで自組織のメンバーの利用状況を把握し、アドバイスがおこなえるようにしていきたいと思います。Microsoft Forms によるアンケートで実感値を収集し、データと実感値を合わせて、施策立案や効果検証に役立てていきます。現場からユースケースを収集し横展開する活動も一層注力していきます。また、マネージャーが『この仕事に Copilot を使ってみよう』と積極的に発信している部門は、利用率が高いことがわかりました。そこまで踏み込んでいない部門もあるので、利用率の高い組織の方法を、同じ業種の他部署に広げることも考えています。今後、個人と組織の両面から、Copilot 活用促進を一層図っていきます」

世界中のお客様に「日本的」を大切にした価値を提供し、新たな決済体験を実現する JCB。日本発唯一の国際ブランドカードとして成長する同社とともに、Copilot は従業員 1 人ひとりに寄り添い歩んでいきます。

“現場からユースケースを収集し横展開する活動も一層注力していきます。また、マネージャーが『この仕事に Copilot を使ってみよう』と積極的に発信している部門は、利用率が高いことがわかりました。そこまで踏み込んでいない部門もあるので、 利用率の高い組織の方法を、同じ業種の他部署に広げることも考えています。今後、個人と組織の両面から、Copilot 活用促進を一層図っていきます”

赤坂 浩史 氏, 総合企画部 経営企画グループ 副主事, 株式会社ジェーシービー

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