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2025/07/30

ソラストがAzure 基盤で「診療報酬請求業務」の新アプリ「solabell (ソラベル)」を開発、自社のノウハウを活かしてソリューション プロバイダーを目指す

1969 年に診療報酬請求の受託業務を開始し、現在は約 400 もの病院の診療報酬請求業務を担っている株式会社ソラスト。この業務は多くの専門書籍や関連資料を参照する必要があり、ルールをどのように適用するかが条件によって変わるため、適切な請求を行うにはルール調査に時間がかかり、その知見が属人化しやすいという問題がありました。また、算定ルールが変更された際には社内でマニュアルを作成し、スタッフ全員に配布する必要もありました。

このような問題を解決するために開発されたのが「solabell」です。これは、国が定めたルールと現場スタッフのナレッジを紐付けて集約、必要な情報を全文検索で探し出し、関連情報にもその場でアクセスできるようにしたものです。システム基盤は Azure を採用。全文検索には Azure AI Search が活用されており、複数のパラメーターを調整することで、業務との関連性が高い情報が優先的にリストアップされるようになっています。

「有識者の頭の中をナレッジ化」したことで、診療報酬請求業務に必要なルール確認の時間が 短縮され、1 時間以上かかるような複雑なケースも 5 分程度で完了できるようになりました。新人トレーニングのために作成していた資料も、solabell に蓄積されたナレッジに置き換えることが可能になっています。また病院の医師や職員に請求内容を説明する際にも、以前は膨大な書籍を持ち込む必要がありましたが、今ではタブレット 1 つで可能に。2025 年 9 月には外販も開始し、ソリューション提供を新たな事業の柱にすることを目指しています。

Solasto Corporation

算定ルールに関する膨大な情報の確認が必要な診療報酬請求業務

1965 年に創業し、医療関連受託事業を推進してきた株式会社ソラスト (以下、ソラスト)。その後、1999 年に介護事業、2002 年に保育事業を開始し、一貫して社会福祉領域での人財育成と活躍の場の提供を事業の柱としてきました。そして近年は「人とテクノロジーの融合」に向けた取り組みを積極化。これによって最高のサービス提供を行うことで、「安心して暮らせる地域社会」を支え続けようとしています。

この「人とテクノロジーの融合」の一環として進められてきたのが、病院の「診療報酬請求業務」の精度を高めるための新アプリ「solabell (ソラベル)」の開発です。

診療報酬請求業務とは、カルテ (診療録) に基づいて診療報酬明細書 (レセプト) を作成し、協会けんぽや市区町村などの健康保険の「保険者」に診療報酬を請求する業務のこと。日本では国民皆保険制度が導入されており、加入者が診察を受ける際には医療費の最大 3 割を患者が負担、残りは保険者が負担するしくみとなっています。

「保険者に請求する診療報酬は病院の収益の 9 割を占めており、この業務を受託する当社スタッフも、これを正しく行う必要があります」と語るのは、ソラスト 医療事業本部 事業統括部長 兼 事業推進部長を務める津田 豊彰 氏。しかしこの業務は、国が定めるルールをきちんと理解し、それに適切な形で準拠したレセプトを作成しなければならないため、決して簡単なものではないと言います。

その難しさについて「レセプト作成を行う際には、多くの専門書籍や関連資料を参照する必要があり、その内容をどのように解釈するかも重要です」と説明するのは、ソラスト 医療事業本部 アウトソーシング事業統括部 運営管理部 請求精度向上グループでディレクターを務める宮本 大悟 氏。場合によってはそれだけで、1 時間かかるケースも珍しくないのだと言います。

またソラスト 医療事業本部アウトソーシング事業統括部 西日本エリア 西日本運営第二グループ高知サテライトオフィスでスーパーバイザーを務める森岡秀一 氏は、「ルールをどのように適用するのかは条件によっても変わるため、知見が属人化しやすいという問題もあります」と指摘。その結果、経験豊富なスタッフに経験の浅いスタッフからの質問が集中し、負担が大きくなるという問題も生じていたと語ります。「診療報酬は原則として 2 年ごと、薬価は毎年改定されていますが、算定ルールが変更された場合には社内でマニュアルを作成し、スタッフ全員に配布する、といったことも行われていました」。

津田 豊彰 氏, 医療事業本部 事業統括部長 兼 事業推進部長, 株式会社ソラスト

“ソラストは創業から約 60 年間『役務提供型』ビジネスを行ってきましたが、このような労働集約モデルのままではさらなる成長は困難です。そのため今後は、長年にわたって蓄積してきたノウハウとテクノロジーを融合した、ソリューション プロバイダーを目指します。その第一弾が solabell の外販であり、solabell なら必ずや成功できると確信しています”

津田 豊彰 氏, 医療事業本部 事業統括部長 兼 事業推進部長, 株式会社ソラスト

「人とテクノロジーの融合」で次世代オペレーションの実現へ

このようにソラストでは、診療報酬請求業務の精度を維持し続けるために、かなり大きな人的負担が強いられていました。この問題を解決するために開発されたのが solabell です。そのきっかけとなったのは、2021 年 9 月に「次世代オペレーションを考えよう」という企画が持ち上がったことでした。

「次世代オペレーションで目指したことの 1 つが、診療報酬の算定を迅速かつ正しく計算できるようにするしくみを作り上げることでした。この業務の品質を高めることは、ソラスト全体の品質に直結すると考えたからです」 (津田 氏)。

その実現の方向性として、2022 年 8 月には経営会議で「solabell 構想」を披露。さらに 2023 年 1 月には、その具現化を目指した準備プロジェクトが始まっています。

「この段階ではまだアイデア レベルだったので、具体的な構想を作り込んだうえで 2023 年 8 月に予算承認を取り、2024 年 1 月に RFP 作成を開始しました」と言うのは、ソラスト 医療事業本部 アウトソーシング事業統括部 サービスイノベーション部 医事業務DX推進グループでグループ長を務め、solabell の企画および開発で中心的な役割を果たしている大港 優太 氏です。この RFP に対し、2024 年 3 月までの間にベンダー 3 社からの提案を受け、最終的に株式会社システムサポート (以下、システムサポート) の提案を採用しています。

北原 章徳 氏, 医療事業本部 アウトソーシング事業統括部 サービスイノベーション部 部長, 株式会社ソラスト

“solabellは、診療報酬請求業務に必要な情報やナレッジを現場スタッフが迅速に入手できることを目指したため、全文検索の実装が不可欠でした。システムサポートはその実装経験が豊富で、こちらの質問にもその場ですぐに適切に回答してくれました。また将来は生成 AI の活用も視野に入っていますが、これに関する知見も豊富でした”

北原 章徳 氏, 医療事業本部 アウトソーシング事業統括部 サービスイノベーション部 部長, 株式会社ソラスト

Azure をシステム基盤にすることで、わずか半年での正式リリースを実現

その理由について、ソラスト 医療事業本部 アウトソーシング事業統括部 サービスイノベーション部で部長を務める北原 章徳 氏は、次のように説明します。

「solabellは、診療報酬請求業務に必要な情報やナレッジを現場スタッフが迅速に入手できることを目指したため、全文検索の実装が不可欠でした。システムサポートはその実装経験が豊富で、こちらの質問にもその場ですぐに適切に回答してくれました。また将来は生成 AI の活用も視野に入っていますが、これに関する知見も豊富でした」。

これに加えて、既に利用している Microsoft ソリューションとの親和性も重視したと言うのは、ソラスト IT戦略本部 副本部長 兼 ITソリューション部 部長 兼 ITディベロップメント部 部長を務める小林 信隆 氏です。

「当社は 2020 年に Microsoft 365 を契約していますが、そのころから Azure を使っており、DWH の構築などを行っていました。Azure は Microsoft 365 との親和性が高く、認証基盤やセキュリティ機能なども用意されており、高い信頼性の確保が容易です。そのため solabell の開発でも、システム基盤に Azure を採用することは既定路線でした」。

2024 年 4 月には開発をスタート。そのわずか 4 か月後にはパイロット運用を開始し、2024 年 10 月に正式リリースしています。

「Azure はセキュリティやガバナンスがしっかり組み込まれているため、非機能要件を開発者が考える必要がなく、機能要件だけに集中できます」と言うのは、システムサポート フューチャーイノベーション事業本部ソリューションサービス事業部でシニアマネージャを務める村岡エドアルド 大輔 氏です。「そのため開発着手から半年間で正式リリースすることが可能になりました」。

大港 優太 氏, 医療事業本部 アウトソーシング事業統括部 サービスイノベーション部 医事業務, 株式会社ソラスト

“solabell はまさに、有識者の頭の中をナレッジ化したものだと言えます。当社が人の力で積み上げてきたものを、デジタル技術で集約かつ共有することに成功したのです。これがあれば、わからないことを有識者に聞かなくても、その場で解決できます。有識者の時間も含めてトータルで考えれば、生産性を飛躍的に高めることが可能になるはずです”

大港 優太 氏, 医療事業本部 アウトソーシング事業統括部 サービスイノベーション部 医事業務, 株式会社ソラスト

ルールとナレッジを紐付けることで「有識者の頭の中」をナレッジ化

システム構成は図に示すとおりです。マイクロソフトが提供するさまざまなマネージド サービスが活用されており、アプリケーションはコンテナとして実装されています。アプリケーションの管理は GitHub で行われ、GitHub Actions を利用した CI/CD も実現されています。

「solabell の開発で最も重要なポイントとなったのが、国が定めた保険診療のルールと現場スタッフのナレッジをどのように紐付けるかということです。ナレッジは Web 画面から入力してもらいますが、この際にシステムに取り込まれているルール情報の ID を指定してもらい、紐付けるようにしています」 (村岡 氏)。

これに加えて、スタッフが入力する画面を使いやすくすることにも配慮したというのは、システムサポート フューチャーイノベーション事業本部 ソリューションサービス事業部の小林 優太 氏です。

「ナレッジの記述方法としては、利用する人が読みやすいように Wiki の記法を採用しています。入力する人は細かい記法を覚えていなくても、ボタンをクリックするだけでフォントや文字サイズ、引用範囲の指定などが行えます。また関連するナレッジもリンクされており、すぐに参照可能です」。

全文検索機能は Azure AI Search によって実現。ソラスト側の担当者に検証してもらいながら、情報の重み付けに関する複数のパラメーターを調整することで、業務との関連性の高い情報からリストアップされるようにしています。

「solabell はまさに、有識者の頭の中をナレッジ化したものだと言えます。当社が人の力で積み上げてきたものを、デジタル技術で集約かつ共有することに成功したのです。これがあれば、わからないことを有識者に聞かなくても、その場で解決できます。有識者の時間も含めてトータルで考えれば、生産性を飛躍的に高めることが可能になるはずです」 (大港 氏)。

小林 信隆 氏, IT戦略本部 副本部長 兼 ITソリューション部 部長 兼 ITディベロップメント部 部長, 株式会社ソラスト

“当社は 2020 年に Microsoft 365 を契約していますが、そのころから Azure を使っており、DWH の構築などを行っていました。Azure は Microsoft 365 との親和性が高く、認証基盤やセキュリティ機能なども用意されており、高い信頼性の確保が容易です。そのため solabellの開発でも、システム基盤に Azure を採用することは既定路線でした”

小林 信隆 氏, IT戦略本部 副本部長 兼 ITソリューション部 部長 兼 ITディベロップメント部 部長, 株式会社ソラスト

算定ルールの確認時間がわずか5分に、新人トレーニングの資料としても活用可能

その効果について、森岡氏は次のように述べています。

「solabell の検索機能や情報の関連付け機能は、診療報酬請求業務の効率化に大きな貢献を果たしています。以前は医科診療報酬点数表や関連書籍を確認しながら業務を行っていましたが、solabell なら検索すればすぐに目的のページが表示され、関連する情報にもすぐにアクセスできます。以前は調べるだけで 1 時間かかっていたことも、今は 5 分程度で完了します」。

また新人のトレーニングの効率化にも、大きな貢献を果たしていると指摘します。

「これまでは、1 時間のトレーニングに対して 2 ~ 3 時間かけて資料を作成していました。しかし solabell に集約されたナレッジを活用することで、改めて資料を作成する必要はなくなりました。またオンラインでトレーニングを行う場合でも、Microsoft Teams の画面にそのまま solabell の画面を表示することが可能です」。

受託病院の医師や職員との会話も、solabell によって円滑化されています。

「病院の医師や職員に診療報酬請求内容を説明するときには、以前は必要な書籍を持ち込む必要があり、先生方も書籍を広げるための机を用意してから話を聞いていました。今ではタブレットで solabell の画面を見せるだけなので、立ち話でも説明できます」 (宮本 氏)。

Microsoft EntraID で管理されているアカウントごとに、よく見るページをブックマークするしおり機能やメモを作成する機能も評価されています。solabell は個々のユーザーが、自分好みに育てていくことも可能なのです。

なお、ソラストは 2024 年 10 月に solabell の特許を申請。2025 年 2 月には CBNews が主催する「病院DXアワード2025」において、優秀賞を受賞しています。

森岡 秀一 氏, 医療事業本部 アウトソーシング事業統括部 西日本エリア 西日本運営第二グループ 高知サテライトオフィス スーパーバイザー, 株式会社ソラスト

“solabell の検索機能や情報の関連付け機能は、診療報酬請求業務の効率化に大きな貢献を果たしています。以前は医科診療報酬点数表や関連書籍を確認しながら業務を行っていましたが、solabell なら検索すればすぐに目的のページが表示され、関連する情報にもすぐにアクセスできます。以前は調べるだけで 1 時間かかっていたことも、今は 5 分程度で完了します”

森岡 秀一 氏, 医療事業本部 アウトソーシング事業統括部 西日本エリア 西日本運営第二グループ 高知サテライトオフィス スーパーバイザー, 株式会社ソラスト

solabell 外販を皮切りに「人のノウハウを活かした」ソリューション プロバイダーへ

「ソラスト社内では一部で Azure OpenAI Service によるチャットも活用されていますが、今後はこのような生成 AI 機能も solabell に組み込んでいきたいと考えています」と大港 氏。その活用例として、入力するナレッジの下書き作成や、今後搭載予定の算定に関する Q&A 機能の回答下書き作成などに、生成 AI が活用できるのではないかと語ります。「生成 AI は医療の世界にもどんどん入っていくはずですが、ここでは信頼できるものが必要です。その提供を、ぜひマイクロソフトに期待しています」。

また solabell を外販することも計画されています。その構想について、津田 氏は次のように語ります。

「ソラストは創業から約 60 年間『役務提供型』ビジネスを行ってきましたが、このような労働集約モデルのままではさらなる成長は困難です。そのため今後は、長年にわたって蓄積してきたノウハウとテクノロジーを融合した、ソリューション プロバイダーを目指します。その第一弾が solabell の外販であり、solabell なら必ずや成功できると確信しています」。

既に 2025 年 1 月には、外販に向けた開発もスタート。2025 年 9 月には外販を開始する計画です。「人とのテクノロジーの融合」で、医療の世界をどのように変革していくのか。これからもソラストの取り組みから目が離せません。

村岡 エドアルド 大輔 氏, フューチャーイノベーション事業本部 ソリューションサービス事業部 シニアマネージャ, 株式会社システムサポート

“solabell の開発で最も重要なポイントとなったのが、国が定めた保険診療のルールと現場スタッフのナレッジをどのように紐付けるかということです。ナレッジは Web 画面から入力してもらいますが、この際にシステムに取り込まれているルール情報の ID を指定してもらい、紐付けるようにしています”

村岡 エドアルド 大輔 氏, フューチャーイノベーション事業本部 ソリューションサービス事業部 シニアマネージャ, 株式会社システムサポート

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